京都在住3ピースロックバンド、Hakubiが鋭くシーンに斬り込む『光芒』

Hakubi | 2019.04.03

 片桐(Vo&Gt)、ヤスカワアル(Ba)、マツイユウキ(Dr)による京都在住のHakubi(ハクビ)。自身の不甲斐なさや、やるせなさ、他に比べての劣等感を独白的に紡ぎつつも、そのどこか向こうに伺える微かな光や希望、いつしかの自分を信じさせてくれる歌と、それをより可視化させる音楽性も魅力的な3ピースロックバンドだ。ここ最近、彼らの楽曲に共感する者が多く出現。去年から今年にかけてのライブサーキットフェスでは、軒並み早々の入場規制がかかるほどの人気だ。そんな彼らが京都・KYOTO MUSEによる新レーベル「NEW KIDS ON THE RECORDS」から初の全国流通盤となる『光芒』をリリース。これまでの魅力や歌ってきたことは崩さず、それをよりどれだけ多くの幅広い人に届けられるかにも重きが置かれた。現在の彼らを知るには最適な1枚にして、新しい側面や表現方法も含め今後の発展性も期待できる盤だ。そんなHakubiが、EMTG MUSICに初登場。意外にもロングインタビューは初だという3人に、今作を中心に色々と話を訊いた。

EMTG:まずは結成の経緯からお伺いします。もともと片桐さんはギターの弾き語りで活動されていたとか?
片桐:そうなんです。高校3年生の終わり頃からツイキャスで夜中とかに弾き語りを始めて。そこからライブハウスでも歌い始めるようになったんです。東京にも何度かライブをしに来たこともありました。
EMTG:そこからバンドへ移行したんですね。
片桐:今でも弾き語りとしても活動はしていますが、それはまたバンドとは別物として捉えていて。私、もともとはバンドをやりたかったんですよ。だけどそんな仲間もいなくて。まずは一人で弾き語りか始めたんです。
EMTG:そこから現在のメンバーが揃ったのは?
マツイユウキ(以下、マツイ):僕が大学のサークルで片桐と出会って、一緒にこのバンド名でコピーバンドを始めたんです。そこでは主に3ピースの女性ボーカルのコピーを演っていて。ところが、当時のベースが学校が忙しくなってしまって。ちょうどその頃、僕の高校時代の知り合いだったアル(ヤスカワ)がSNSで「バンドをしたい」とつぶやいていたのを見て誘ったんです。
EMTG:Hakubiは片桐さんの歌詞も印象深いです。歌の主人公のほとんどが自分に自信がなかったり、不甲斐なさを自覚する中、「でも進まなくちゃダメだ」といった密かな決意の蠢き(うごめき)を各曲に感じます。
片桐:作るとどの曲も自然とそういった内容になってることが多いんです。自分がもともと好んで聴いていた音楽も楽しい音楽よりかは、ちょっと暗めの自分を見つめる音楽が多かったし。
EMTG:夜中に独りぼっちで負の部分を考えて…そんな状況を彷彿とさせます。
片桐:楽曲制作や実際にそれを歌ったりすることで、自分に言い聞かせたり、想いや考えていることを吐き出し、それで自分を浄化させている部分が多分にあります。カバーにしろ、オリジナルにしろ、自分の感情を吐き出したり、爆発させたくて歌い始めたところもあって。いわゆる自分の中のモヤモヤをどこかにブツける為に歌を作ったり歌ったリしているところはあります。それが自分やHakubiの音楽の根源でしょうし、高校の頃、自分で音楽を演り出した時点から全く変わってない信条だったりします。
EMTG:モヤモヤとした場所を闇雲に進んでいき、光や到達点、夢や希望を伺わせるものの、そこが明確に歌われていないのも特徴的です。それを歌はもとよりサウンドでも上手く表現されていますね。
ヤスカワ:楽器陣は曲の雰囲気に合わせつつ、更に視覚的に寄り添える演奏やアレンジを心掛けてます。なのでかなり試行錯誤があって辿り着くことが多くて。特に今回の「光芒」に関しては、これまでは割と片桐が原曲を持ってきて、それに沿って3人で整えていく制作スタイルでしたが、今回はその片桐が持ってきたものを、更に3人で改めて構築し直して制作したりしました。
EMTG:そこには何か意図でも?
ヤスカワ:初の全国流通盤ということもあり、より多くの人に聴いてもらえる機会でもあるので、最も楽曲の持つ本質みたいなものがしっかりと伝わる、そんなアレンジを心がけました。お互いやりたいことをやりつつ、だけどキチンと曲の雰囲気を壊さず、更に増強させる。そんなアレンジへと意識も移っていきました。なので、今回の作品は自分たちでもHakubiとしての伝え方の新しい方法論が出来たと自負しています。
片桐:以前はほぼ弾き語りでメロディも曲調も決まった状態で持っていき、「あとはよろしく」と各人でアレンジを組み立ててもらってましたが、今回はアルのベース先行で作ったり、元曲を一度解体し、それを組み合わせ直したりして、より楽曲が伝わり、映えるアレンジへと向けていけたんです。
マツイ:それこそタイトル曲の「光芒」はスタジオにホワイトボードを持ち込んで、そこに色々な構成パターンを書き出して試していきましたから。
EMTG:その意識の移行は、これまでみなさんが闇雲に一方的に放っていたものが、やはり昨今の活動で実感した、求めたり聴いてもらえる人たちが現れたことへの自覚や、その方々に向けてといった意味合いも強い?
片桐:今回は特に初めての全国流通盤だったので、よりいいものにしたい一心でした。その分、細かいところも色々と凝ってみたりして。なので歌だけでなく、楽器での表現や表情づけも意識して作りました。
EMTG:確かに一見聴きやすくメリハリもあり、これまで以上に歌を活かしたアレンジや構成ですが、よくよく聴くとかなりそれを活かす為の細かい工夫等が見受けられます。
ヤスカワ:構築的な部分と直感的な同居を大事にしました。特に「光芒」に関しては、レコーディングの残り6時間でようやく楽曲が完成したもので。そもそもリード曲が無い状況で今回はレコーディングに臨んでしまったんです。そんな中、やはりもっとバシッと自分たちが伝わり、且つ新しい自分たちを見せられる曲が欲しいなと思い始めて。やはり片桐の声質の良さを活かすのは、ゆっくりとした曲だとは知っていたので。まさにこの曲はそれにめちゃくちゃ合ってると感じて。これからのHakubiの代表曲や指針となる曲になる確信があるし、今後この曲がフィーチャーされるようなバンドになっていきたいんです。
EMTG:この「光芒」は歌詞もこれまでとはやや趣きが変わった印象を受けました。従来、自分の負の部分を一方的に独白的に吐き出していたものが、それを聴き、共感したり気持ちを重ねている方々の思いも背負い、代弁してく覚悟や決意が伺えたんです。
片桐:それはあります。でも、それは上に立つのではなく横並び、自分も聴いてくれる方々と同等でいたし、同じ立場や気持ちの共鳴をしたい、そんな想いから来ています。これまでもそうなんですが、基本どの歌も最後には光を射したいとは考えているんです。聴いている人を鼓舞したり、元気づけたり、楽しくさせる曲は世の中たくさんある。でも、それは自分には歌えないし作れない。だったら自分の感情や想い、気持ちを出すことで、同じように感じたり思っている人たちと一緒に戦えたらいいなって。特に最近はそのような気持ちでライブに臨んだり、曲を書いたりしています。その辺りが「光芒」には強く繋がり、現れているんじゃないかな。
EMTG:その辺りも明確です。これまでは「進んでいけ」や「生きていけ」等の促し的な詞ではなかったですから。
マツイ:僕も「光芒」には明らかに歌詞の変化を感じました。これまではちょっと光が射す寸前のところで終わるところが、今回はバチバチ射していて。従来はわりと「頑張れ」的な隠れたメッセージで留まらせてましたが、逆にこの「光芒」は「そんなにあえて頑張らなくてもいい」「そのままでいいんだよ」と歌われている気がしていて。その「やっていることや想っていること悩んでいることは間違いじゃないんだから」みたいな。
ヤスカワ:逆に僕は内容や伝え方は変ってはいますが、根本はあまり変わってないなと改めて実感しましたね。でも、僕がこの曲で今までと違うなと感じたのは、これまで片桐の歌詞では「お前」って強い口調がなかったんです。「君」や「あなた」みたいなニュアンスが主で。そんな中、「お前」って詞が出てきて。それこそキュンとなりました。
EMTG:3曲目の「サーチライト」からも新しいHakubiの表現方法を感じました。
ヤスカワ:サビ以外は全てポエトリーリーディングにしています。新鮮に感じてくれるんじゃないかな。僕、ずっとこういったタイプの楽曲を作品に入れたくて。
EMTG:ほぼ散文詩の朗読に近いスタイルですもんね。
片桐:私、歌詞を思いついた時にメモをよくするんですが、ほぼそれが楽曲になったことがなくて。というのも、曲を書く時はギターを弾きながら作って、その際に一緒に浮かんだ歌詞がほとんどそのまま採用になっていて。対してこの曲はその日にあったことをズラズラとメモに書き、それをそのまま録った感じでした。最初はアルくんが持ってきたベースラインから作り始めたんです。それも自分たちとしては珍しいタイプのフレーズで。“おおっ、これは私のこの最も暗かった日のメモの言葉にピッタリの雰囲気だ!”と(笑)。これはもう自己満になってもいいから、このメモの言葉たちを音に乗せるべきだなって。
マツイ:正直初の試みだったんで、ポエトリーリーディングにはどんなドラムが合うのか? は悩みました。でも、「出来ひん」とは言いたくなくて。そこで自分がポエトリーリーディングを聴く際を想い返して、そこで自分に語ってもらっているように聴いていることに想い当たったんです。その時に自分の心臓の音も合わせて聴こえてくるような気分も思い出し。バンドインした辺りでバスドラムは鼓動を意識して踏んでみたんです。あえてシンプルに、難しくないけど意味のあるドラム。そこは意識しました。
ヤスカワ:この曲に関しては僕の趣味も入ってます。個人的にはメタルやポップパンク類も好きで。曲の展開的にもそこを意識した部分があるんです。激しくはないけど抒情的な感じ。その辺りは上手く取り入れられたかなと。その抒情的な雰囲気と片桐の声の乗りや伸びが上手くミックスしマッチできたかなって。
EMTG:対して2曲目の「どこにも行けない僕たち」は、従来のみなさんの路線を再拡張した印象を受けました。
マツイ:これまで通りのHakubiらしい曲ではあります。
ヤスカワ:この曲が今作中、一番最初に出来たんです。よくよく聴いていただければ、かなり練ってたり凝ってたりが歌に活きている部分もあって。この曲もこれまでより進化したタイプの楽曲と自分たちでは捉えてます。
EMTG:リリックもこれまで同様、変えなくちゃいけないとは分かっているけど変えられない、そんな悶々さが全開ですね。
片桐:この曲は自分が大人になり切れない大人だなとの自覚を歌っていて。昔のことも含めそんなことを想い出しながら描きました。この曲の主人公を私は結局は救うことが出来なくて。でも途中から“救わなくてもいいいかな”と思い始めたんです。そんなタイプの歌があってもいいと後で確信して。まだ途中で、どこにも行けないけど、だけどやるしかない。そんなニュアンスだけ伝わればいいかなって。そういった意味では、これも新鮮な面ではあります。
EMTG:これを携えてツアーも行われますね?
ヤスカワ:過去最長最多のツアーです。武者修行のつもりで全国行ってきます。一本一本を大事にしていきたいですね。
マツイ:前回行った箇所にももう一度帰って来れるし、またこれまで行ったことのなかった土地でもライブが出来るんで、更に色々な人にそこで出会いたいですね。
片桐:今回初の全国流通で、これまで以上に私たちを知ったりしてくれる機会も増え、楽曲を耳にすることもあるでしょうが、作品は作品、ライブはライブで違った自分たちを感じてもらえるでしょうし、私たち自身これらの曲を、生で直に伝えられるのがとても楽しみなので、是非みなさん各所足を運んでもらいたいです。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

光芒

光芒

2019年04月03日

NEW KIDS ON THE RECORDS

1.光芒
2.どこにも行けない僕たちは
3.サーチライト

お知らせ

■マイ検索ワード

片桐(Vo&Gt)
物撮り写真がない 野菜
先輩のバンドマンから「野菜ってけっこうキチンと物撮りされた写真が多い」との話を訊いて、“どんな野菜でも物撮りされているのか?”と疑問に思って、色々と野菜の名前を当てはめて写真検索をしたんです。「蕨(わらび)」「ゴーヤ」等々、“これはないだろう”と検索するんですが、やはりなんでもあるんですよね。「カリフラワー」で調べた際には、丁寧にも「カリフラワー」と「ブロッコリー」の2ショット写真も出てきたり(笑)。どれもまるでアーティスト写真のようにキチンと撮られているものばかりでした。

マツイユウキ(Dr)
アサリの酒蒸し レシピ
僕、呑むのが凄く好きで、年中呑んでるんです。で、外で飲まない時も家では一人で呑むことも多くて。その際、お酒だけだと酔いも早いし身体にも良くないだろうと何か一品は、自分で作るようにしているんです。そんな中、今は「アサリの酒蒸し」を本気で作っていて。アサリを買って、砂を綺麗に抜いて、しかもキチンと2回は抜くんです。なので結局、それを作り終えて呑むとなると、いつも午前2時を回ってしまって(笑)。おかげさまで腕も上がってきて、徐々に美味くはなりましたが、まだ納得まではいたってません。

ヤスカワアル(Ba)
ヴェルファイア 維持費
ヴェルファイアというトヨタの車なんですが、購入した場合の維持費等を調べました。やはり3.5リッターなので税金も高くて。今も車は乗ってるんですが、ハイブリッドではないんです。バイトの関係上、燃費のいいハイブリッドの車が欲しくて。やはり大型車だとどうしても維持費も燃費も高いんですよね。僕、バイトで映像の仕事もしているんで(Hakubiの「夢の続き」のMVはヤスカワが制作し、ほかバンド系のMV制作にも携わっている)、ある程度大きな車じゃないと機材等も収まらないんです。でも、それにしても高けぇな…と。



■ライブ情報

粉塵爆発ツアー2019
04/10(水)TSUTAYA O-Crest
04/12(金)仙台enn 2nd
04/13(土)盛岡Club Change
04/15(月)八戸FOR ME
04/18(木)心斎橋BRONZE
04/21(日)富山Soul Power
04/22(月)松本ALECX
04/24(水)高松DIME
04/25(木)広島CAVE-BE
04/26(金)小倉FUSE
04/28(日)甲府コンビクション
04/30(火・祝)静岡UMBER
05/01(水・祝)金沢vanvan V4
05/03(金)札幌COLONY
05/04(土・祝)苫小牧ELLCUBE
05/06(月・祝)滋賀B-FLAT
05/12(日)周南rise
05/14(火)鹿児島SR HALL
05/15(水)福岡Queblick
05/17(金)大分clubSPOT
05/18(土)松山Double-uStudio
05/20(月)岡山CRAZY MAMA 2nd room
05/21(火)MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
05/23(木)名古屋R.A.D
05/24(金)上越EARTH
05/26(日)千葉LOOK
05/29(水)F.A.D YOKOHAMA
05/30(木)水戸ライトハウス
05/31(金)高崎FLEEZ
06/02(日)柳ヶ瀬ants
06/14(金)KYOTO MUSE

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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