常に挑戦するRude-α、最新作「Paradise」で得たものとは

Rude-α | 2021.01.10

 Rude-αの新曲「Paradise」は内海紘子監督、ボンズ制作のアニメ『SK∞ エスケーエイト』オープニングテーマ。2019年7月の「LIFE」(『Dr.STONE』エンディング)以来のアニメタイアップとなり、オープニングは初めてだ。「真夏の女神」「マリーミー」と同じく、SUNHEE(ソニ)とEQとの共同制作だが、ポップなその2曲からは大きく趣を変え、血沸き肉躍るロック色濃厚なトラックの上で、Rude-αのボーカルがピチピチと跳ね回っている。

──「マリーミー」に続くタイアップ曲ですね。資料を読んで作ったんですか?
Rude-α:今までやったものって全部原作があるんですけど、これは原作がないし、曲を作った段階では絵もまだなかったので、台本だけ読ませていただいて、言葉からイメージをふくらませて作りました。アニメを見たら想像の100倍ぐらいよくてびっくりしました。いつもより考えて作ったと思います。
──絵がないとやりにくくなかったですか?
Rude-α:それはなかったですね。監督さん(内海紘子さん)が音楽に厳しい人らしいんですけど、一発OKいただきましたし。
──どんな作品なのか、ざっと説明してください。
Rude-α:沖縄を舞台に主人公たちがスケボーバトルを繰り広げていく青春アニメなんですけど、第1話を試写で見せていただいたら、めちゃくちゃ面白かったです。作品によってはターゲットの年齢層とかあると思うんですけど、いろんな年齢層が楽しめるアニメになってるんじゃないかなって個人的には思いました。ボンズは名作がいっぱいあって、友達にも「ボンズのオープニングはやばいぞ」って言われました。『SK∞』も人気作品になってほしいですね。
──ルードさん自身はスケボーは?
Rude-α:中高生の頃にちょこっと。どっちかっていったら仲間がみんなやってて、僕だけラップやってるみたいな感じでした。
──ジャケット写真、かっこいいじゃないですか。
Rude-α:これはマジ奇跡の一枚です(笑)。公開したときにファンの子から「ルードさんスケボーもできるんですか?」ってめっちゃ言われましたけど、乗って移動ができる程度で、段差をジャンプしたりは本当にできないんで。
──経験があるとアニメに共感できる部分も多かったのでは?
Rude-α:<世の中に僕ら/殺されてしまう前に/止まらなくなるこの衝動のまま/アスファルトを蹴る>っていう一節があるんですけど、今って街中でスケボーするのも「危ない」みたいに言われるじゃないですか。でも、そういう中から生まれてくるカルチャーを僕は大事にしたいというか、色眼鏡で見られる感覚はラップやってた僕もわかるので、スケボーのアニメだからこそ、そういう目線でやろうと思ったっていうのはありますね。
──ストリートカルチャーとしての共感みたいなところですかね。
Rude-α:こういう気持ちって、僕も十代の頃ラップやりながら抱いてたものですからね。スケボーだけじゃなくて、ランニングしてる人でもスポーツやってる人でも、何か前に向かってる人たちが聴いたときに、その世界に入り込める曲になったらいいなって思って、こういう疾走感のある曲調にした感じです。
──舞台が沖縄というのはアニメには珍しい気がしますが。
Rude-α:僕が初めてラップした、実家から5分くらいのとこにある公園の中のパークとかアニメの舞台のモデルになってるんですけど、たまたまらしいんですよ。そういうところではちょっと運命的なものを感じたりもしましたね。
──自分自身とつなげることができる部分があったと。
Rude-α:そうですね。<路上から paradise>とも歌ってますけど、僕自身、路上で音楽を始めたのがいつの間にかプロになって、いつかもっと上の華やかな世界に成り上がっていく、っていう意味を込めて「Paradise」っていう曲名をつけてるんで。
──これは「真夏の女神」「マリーミー」と同じセッションで作った曲ですか?
Rude-α:そうです。自粛期間前にデモは完成してて、4月の頭ぐらいには今の状態になってますね。これまでもアップテンポの曲は作ってましたけど、ここまでロックとかパンクみたいな要素を盛り込んで作ったのは初めてなんで、そういう意味では振り幅を見せきれたかなって思います。
──「真夏の女神」以降のシングル3曲は、僕の目には『23』でプレビューした新しいRude-α像をさらに追求したものに映るんですが、ご本人としてはどうですか?
Rude-α:僕がいちばん追求してるのは、“型にはまらない”ってことなんです。そういった意味では、どの曲でも違った色を出せてるんで、徐々に自分の理想とする音楽を作れるようになってきてるのかなって思いますね。もっともっと自由にしていって、逆に全然ポップな要素がない曲を作っても面白いと思うし、さらにポップに振り切ったものもあっていいだろうし。時期や場面に応じて、いろんなことに挑戦できたらいいなって思います。
──SUNHEEさん、EQさんとの制作を通して得たものは?
Rude-α:やっぱり自分にはないメロディラインの案を出してもらえたりするので、学べる部分は学んで、別の制作に生かしたりしてるつもりです。マインド的な部分より技術的な面が大きいと思いますね。アーティストとして、音楽をやる身として、学ぶべきことはまだまだたくさんあるなって。最近は作曲もちょこちょこやってるんですよ。EQさんがビート作ってるのを今までは横で見てたりしましたけど、自分でもやるようになってからは、トラック聴いただけでも「すごい音作ったな、俺はこんなリズム作れないわ」とか思うし。SUNHEEさんやEQさんへのリスペクトがもっと強くなりました。
──カップリングの「Spotlight」は、僕が聴いた感じ、前にルードさんが言っていた“ダサかっこいい”というより、もっと普通に男前というか、メジャー感のある曲調だなと思いました。
Rude-α:卒業シーズンにこういうのを出せたら面白いんじゃないかって思って作ったんですけど、新しい挑戦というよりはスタンダードなものを作りたかったんです。「Paradise」はいけるだろうって手応えがありますけど、「Spotlight」は正直、みんなの反応を見てみないと、自分の中で「こういう曲です」って固まらないだろうなって思ってます。出してみないとわかんないっていうか。
──でも本当にベタな卒業ソング、桜ソングにはなっていないというか、新鮮味は感じましたよ。
Rude-α:僕らは細かいところにこだわりますけど、聴く人はもっとシンプルに捉えるじゃないですか。だから「普通じゃん」って言う人もいると思うんですけど、スタンダードだけどサウンドはかっこいい、みたいなバランスを目指して、作曲よりもアレンジで話し合いをいっぱいしたかもしれないですね。この曲が当てはまるような経験をした人が聴いて、「あ、いいな」って感じて、何年か後に曲を聴いたらそのときのことを思い出せるみたいな曲になったらいいなって思って。
──なるほど。そういうものを目指して、田中隼人さん、大知正紘さんと話し合いながら作り上げていったわけですね。
Rude-α:お二人とも、前にも何度かご一緒させていただきましたけど、やりとりは今まででいちばん密だったかもしれないですね。僕は隼人さんみたいに楽器もうまく使ってアレンジしたりとか絶対できないんで、何回も「もっとこんな感じにならないですかね?」ってお願いするのは気まずい部分もあったんですけど、絶対にそうしたほうがいいと思ってガンガンいきました。
──EQさんやバンドメンバーとは対等な関係でチームっぽくできるでしょうけど、田中さんみたいな人が相手だと……。
Rude-α:いやー、やっぱ緊張しますね。EQさんとかは曲作ってる途中にいきなり「バーベキューしよう」とか言い出すような人だから楽なんですけど(笑)、隼人さんはこれまでもいろんなメジャーアーティストとお仕事されてるじゃないですか。そんな人とやるってなったら、やっぱちょっと身構えますよ。ちゃんとやっとかんとな、みたいな。別に怖い人とかじゃないんですけど、リスペクトと緊張感はあります。
──音楽アーティストってそう考えると特殊ですよね。いわゆる普通の職場なら上司や先輩の言う通りに動かなきゃいけないような若い人が看板を背負って、年長の人にも言うべきことは言わなきゃならないわけで。
Rude-α:めっちゃ言いづらいですよ。それもあるし、僕がこの仕事してていちばん「やばい!」ってなるのが、市役所の書類とかに職業欄ってあるじゃないですか。あれなんて書いたらいいのかわからないんですよ。“アーティスト”って書いても市役所の人に「イキってんなこいつ」って思われそうだし(笑)、どう書いたらいいかわからないから毎回“フリーター”って書いてます。所属先に“ソニーミュージック”って書いていいかどうかもわからないし。だから感覚的には仕事してないのかもしれないです。
──仕事だと思っていない?
Rude-α:最近は仕事とか遊びとかっていうより、人生の中の一部みたいな。目の前にある道をただ通ってるみたいな感覚なんで、苦ではないですね。朝9時半集合とか言われたら「仕事だ!」って思いますけど(笑)、昔よりは変なプレッシャーもなく、いい意味で力が抜けてきてると思いますね。
──いいんじゃないですか。楽しくやれているってことだと思うので。
Rude-α:プライベートに仕事を持ち込みたくないんですよ。逆に仕事にもプライベートなことを持ち込みたくない。どうしよう?ってなったときに、一緒にすればいいか、って(笑)。今後は偉い人に怒られても「イェー!」ってふざけようと思ってます(笑)。でも実はすごくちゃんとやってる、みたいな感じを目指したいですね。
──2021年の予定はもう決まっているんですか?
Rude-α:具体的にいつリリースみたいなのはまだですけど、デモ曲みたいなのはけっこうたくさん……というか、ありすぎるぐらいあります。リリース関係なく曲は年中作ってるんで、どれがタイアップついても、どれがリリースでも対応できるぐらいに固まってるし、正直それだけでアルバムは作れますね。どの曲も全部違うんで、楽しみにしててほしいですね。

【取材・文:高岡洋詞】

tag一覧 J-POP シングル 男性ボーカル Rude-α

リリース情報

Paradise

Paradise

2021年01月10日

Sony Music Labels Inc.

01.Paradise
02.Spotlight
03.Paradise instrumental
04.Spotlight instrumental

お知らせ

■配信リンク

「Paradise」先行配信
https://smer.lnk.to/AQiGNtCN



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