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サスフォー×ナッシングスが渋谷で激突! 「GIANTSTAMP TOUR Ⅱ TURBO」ファイナル公演をレポート!

Suspended 4th | 2020.05.01

 「サスフォーには負けない!」、「ナッシングス先輩にぶん殴られました。ぶん殴り返します!」と、ライブ中にこんなMCを挟むほど両者は熱いバトルを繰り広げた。同じステージに立てば先輩も後輩も関係ない。久しぶりにバッチバチの火花が飛び散る好取り組みを観た気分になった。
 Suspended 4thが昨年7月にリリースした1stミニアルバム『GIANTSTAMP』に伴う東名阪リリースツアーが各地即完したことを受けての追加公演「GIANTSTAMP TOUR Ⅱ TURBO」を同じく東名阪の3本行い、そのファイナルにあたる東京・渋谷TSUTAYA O-EAST公演は2階席までビッシリの超満員状態だ。

 この日のゲストはNothing’s Carved In Stone。ステージに村松拓(Vo/Gt)、生形真一(Gt)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr)の4人が登場。グルーヴィーなリフが印象的な「Who Is」で幕を開けると、凄腕集団の名に相応しい主張の激しい演奏力を爆発させ、それは曲が進むにつれてヒートアップ! またWHITE ZOMBIE、STATIC-X辺りのインダストリアル・メタルを彷彿とさせる「Honor is Gone」をぶち込んだりと、エッジ際立つ攻めの楽曲チョイスも興味深く、色気と狂気を束ねた肉感的なロックサウンドを叩き付けていく。観る者をボコボコに殴り倒さんばかりの気迫溢れるサウンドを浴びながら、主役のサスフォーを立てるというより、いい意味でここにいる観客を全員かっさらう本気度を感じた。ラストは《僕らが鳴らすミュージック/いつか誰か救えるような》とド直球の歌詞を用いた「Music」を披露。フロントマンとして成長著しい村松の包容力に長けた歌声に心を奪われ、彼らはステージを去っていった。

 LED ZEPPELINの「Stairway to Heaven(天国の階段)」が転換BGMとして流れ、途中で暗転すると、Kazuki Washiyama(Gt/Vo)、Seiya Sawada(Gt)、Hiromu Fukuda(Ba)、Dennis Lwabu(Dr)のメンバー4人は通常運転とも言えるジャム・セッションを開始。そのあとWashiyamaは「リハです」と断りを入れ、一度ステージ袖に引っ込んで再度現れると、「あと1時間でツアーが終わる。楽しみましょう!」と名残惜しそうに言い放ち、「GIANTSTAMP」で本編スタート。大らかな空気を会場いっぱいに行き渡らせてじわじわと盛り上げると、バキバキのスラップ・ベースが火を噴く「97.9hz」をプレイ。ジャンプにシンガロングにと観客を一気に沸点へと導く手腕を発揮。それから「誰ひとり置いていかない!」と熱く叫び、「BIG HEAD(incl.Jam Session)」では地を這うグルーヴィーなロックでフロアを激しく揺らしていく。
 そして、序盤に早くも新曲「オーバーフロウ」(3月25日発売のコンピレーション・アルバム『The Very Best Of PIZZA OF DEATH Ⅲ』収録)を披露。Sawadaのオシャレなカッティングで始まり、ジャジーなテイストを感じさせながら、ストリート仕込みの砂煙舞う荒々しさも兼ね備えた豊かな曲展開が素晴らしい。観客のリアクションも良好で、音源を聴き込んだあとにまたライブでやってほしいと心底思わされるほど。WashiyamaとDennisのツイン・ボーカルで聴かせる「Rainy, Rainbow later」に入ると、ファンキーかつ雄大なスケール感を帯びた音色を解き放つ。後半、2階席にいる人たちに上ハモ、1階のフロアにいる人たちにメロディ部分を歌わせ、大合唱の光景を作り出す。そんなやりとりを笑顔で楽しむ観客の姿をあちこちで見かけ、こうしたアプローチにもサスフォーの人懐っこいキャラクターが滲み出ていた。

 ジャム・セッション~「Vanessa」とシームレスに繫ぎ、跳ねるリズムで再び焚き付け、メンバー4人の丁々発止とうなる演奏も観客の熱気に油を注ぐ。活況を呈した会場に向かって、「今年は(TSUTAYA)O-EASTを目指す!」と宣言する一幕もあった。今のバンドの勢いがあれば十二分に可能だろう。というか、サスフォーの演奏をもっと大きな会場で聴きたい――そう思っているのは僕だけではないはず。Fukudaの壮絶なスラップ・ベースから「ストラトキャスター・シーサイド」に雪崩れ込むと、過熱する演奏も相まって大フィーバー。ここでブルージーにむせび泣くWashiyamaのギターを含むジャム・セッションを挟んだあと、ラストは「think」で本編を締め括った。しっとり聴かせる歌ものナンバーも彼らの魅力のひとつで、行間を活かした演奏力が実に味わい深いものだった。

 バンドはアンコールに応えると、「KOKORO-DOROBOW」、FU MANCHU並みにファズを効かせたギターにシビれる「INVERSION」の2曲をやり遂げ、全10曲を見事に完走した。
 ナッシングスというライブ猛者と真正面から向き合ったサスフォー。こうして2バンドを続けて観ると、両者の共通点と相違点が明確に炙り出される形となり、稀に見る刺激的な対バンであった。個々のプレイヤビリティの高さ、多彩な音楽要素を持ったジャンルレスな佇まいという意味で共通点を感じる一方、バキバキの攻撃力を発揮するナッシングス、流動的かつ心地よい演奏で魅了するサスフォー。真逆とまでは言わないけれど、ストリートで培ったサスフォーの自由度の高い演奏力は彼らならではの大きな武器だ。Washiyamaは最後に「また強くなって帰って来ます!」と言っていたけれど、今日のライブを通じて、いろいろ感じるところがあったに違いない。次回のサスフォーはどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、とても楽しみになってきた。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:ヤスカワショウマ】

リリース情報

By Your Side

By Your Side

2019年09月25日

Silver Sun Records

01.Who Is
02.One Thing
03.Blow It Up
04.Alive
05.Bridges
06.The Savior
07.Kill the Emotion
08.Music
09.Still
10.Beginning

リリース情報

GIANTSTAMP

GIANTSTAMP

2019年07月24日

PIZZA OF DEATH RECORDS

01.〒460-0008
02.GIANTSTAMP
03.97.9hz
04.ストラトキャスター・シーサイド
05.Vanessa
06.ヨンヨンゼロ
07.kniht
08.think

セットリスト

GIANTSTAMP TOUR Ⅱ TURBO 2020.02.09@渋谷TSUTAYA O-WEST

    ●Nothing’s Carved In Stone
  1. 01.Who Is
  2. 02.Spirit Inspiration
  3. 03.In Future
  4. 04.Bog(’19 ver.)
  5. 05.Honor is Gone
  6. 06.Milestone
  7. 07.Isolation
  8. 08.Like a Shooting Star
  9. 09.Out of Control
  10. 10.Music
    ●Suspended 4th
  1. 01.GIANTSTAMP
  2. 02.97.9hz
  3. 03.BIG HEAD
  4. 04.オーバーフロウ
  5. 05.Rainy, Rainbow later
  6. 06.Vanessa
  7. 07.ストラトキャスター・シーサイド
  8. 08.think
【ENCORE】
  1. EN1.KOKORO-DOROBOW
  2. EN2.INVERSION

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