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1stと2ndをまとめたレコ発でリベンジ。Adlerを対バンに迎え、シフコン本領発揮の爆音で解き放たれた「アイウォントゥーミーチューTOUR」を独占レポート!

SHIFT_CONTROL | 2021.01.07

 岐阜発のギターロックバンド、SHIFT_CONTROLが現在のメンバーで実施する初のツアー「SHIFT_CONTROL presents アイウォントゥーミーチューTOUR」。各地でゲストアクトを迎えて東名阪と彼らの地元・岐阜を回る同ツアーの東京編が、12月18日(金)に渋谷・TSUTAYA O-Crestで開催された。

 2020年1月に発表した1stミニアルバム『Afterimage』のツアーが新型コロナウイルス感染拡大の影響ですべて中止に追いやられてしまい、全国デビューしてからライブがほとんどできていなかったSHIFT_CONTROL。本ツアーはそのリベンジであり、10月リリースの2ndミニアルバム『Slowmotion』も引っさげて行う、待ちに待った2作分のレコ発となる。

 まずは、ゲストアクトのAdlerが登場。八王子をホームに都内中心で活動している2018年結成の4人組ロックバンドの彼らは、3月にリリースした2nd EP『Twilight』の収録曲「再会」「ハルノネ」「brightnight」をはじめ、若さと躍動感あふれるパフォーマンスで全8曲を演奏。MCでは、石河尚修(Vo/Gt)が「遠征のときに機材車で「Override」を爆音で流しながらめちゃめちゃ盛り上がってるくらい、僕らもSHIFT_CONTROLが好きなんですけど、今日はただの憧れで終わりたくないです」と意気込むシーンもあった。

 SHIFT_CONTROLが対バンに選んだだけあって、確かな歌心や熱いエモーション、キャッチーなメロディセンスを持ち合わせたバンドで、磨けばさらに輝きそうな原石のような魅力を放っていたAdler。ほかにも、最高の瞬間をいつまでも更新し続けられたらという想いを込めた「リビングデッドサマー」、タメの効いた展開でじっくり聴かせるロッカバラード「手紙」などでしっかりと存在感を残した。2021年以降きっと頭角を現してくるはずなので、躍進を楽しみにしておきたい。

 そして、Their / They’re / Thereの「End And End」をSEに、いよいよSHIFT_CONTROLがステージへ。「いろんな楽曲が流行っていますが、Mステに出てもおかしくない曲をやります!」とアサノチャンジ(Vo/Gt)が冒頭でブチかまし、いきなりのキラーチューン「バーンアウト」で勢いよく口火を切るさまは、制約の多い現実という呪縛から解き放たれたかのようで、水を得た魚のようでもある。負けん気が渦巻く感じでうなるグルーヴ、爆発力に富んだ演奏、猛烈な変拍子……それらが絶妙のバランスで掛け合わされて、みるみるうちにバンドのエネルギーは増幅していく。

 続いては、一転してカラッとした音色に変わる「逆夢」。チャンジと岡村耕介(Gt)のツインギターにチャーミングなリフ、「ワン、ツー、スリー、フォー!」の活気あるコーラスが会場を明るく染める。<単純にスキしか愛せない><永遠にこのままでいたい>と叫ぶくまおかりお(Dr)のパートも映えるなど、全員がガンガン主役を奪いに行くようなプレイスタイルの上で、なおかつ演奏がガッチリ噛み合っているのが刺激的でたまらない。

 くまおかのドラムソロに乗せて、「今日は開催できるかどうかマジでギリギリで、正直不安だったけど、こうして実現できました。我々はもうライブをやっちゃってるし、あなた方は観ちゃってます。あとには引けません」とチャンジが告げ、宮崎良太(Ba)のゴリッと歪んだリフでインした「死亡遊戯」もキレキレ。メンバーが“マシンガンフレーズ”と呼ぶイントロ、岡村のタッピングが重なって一段とパワーが増す中、意外なところで音を急ストップさせ、<いーち にー 秋刀魚のしっぽ ゴリラの肋骨>という数え歌の部分をチャンジがくまおかに歌わせたりと、ヘヴィで荒々しいだけじゃなく、そうした遊び心でも楽しませてくれる。

「大阪・名古屋と回ってきて今日が3日目で、3曲が終わりました。もう楽しみすぎて、ライブをできることが楽しすぎて、まばたきしたら今ここにワープしてたくらい……めちゃくちゃ楽しいです!」と興奮気味に語るチャンジだが、それもそのはず。先に書いたとおり、この4人で初めて作った音源『Afterimage』リリース後のツアーはコロナで全部ふいにされた経緯があって、『Slowmotion』と合わせて2作分の想いと曲を詰め込んだ、現メンバーが揃って一発目のツアーなのだから。熱くならないわけがない。

「ラストトリップ」以降は、『Afterimage』の楽曲もメニューに加わり、セットリストに厚みが増す。それにしても、4人にはこれまで本当にたくさんの葛藤や苦悩があったのだろう。メンバー全員が演奏しながら、鬱憤を一気に晴らしたかのような表情で楽しそうに歌を口ずさんでいる姿は、まさに公演タイトルの“アイウォントゥーミーチュー”。すなわち、“あなたに会いたくて仕方なかったんだよ”という想いであふれていた。

 本ツアー初披露の「Error」も強烈で、取材時にチャンジが話していた「この4人で作る音楽にすごく自信がある」という言葉が、ライブを観るにつれてより深く納得できてくる(参照記事:シフコンが意欲作をドロップ! 『Slowmotion』全曲解説インタビュー! https://music.fanplus.co.jp/special/20201016085fb5ac3)。音が尋常じゃなくデカくて、演奏力もズバ抜けて高く、喉をグッと開くような独特の唱法で歌うチャンジのボーカルは決してサウンドに負けて埋もれたりしない。また、変拍子や激情感がどんどんクセになる一方で、よく耳を澄ましてみると岡村、宮崎、くまおかのコーラスがさりげなく上手かったりすることにも気づく。

 オレンジの照明がステージをやさしく包み込んだサマーチューン「irony」では、ノスタルジック&ポップな色合いが強まり、『Slowmotion』で切り開いたSHIFT_CONTROLの新境地をしっかりと印象づける。岡村のブルージーに鳴くギターソロも沁みるし、ラストのシンガロングは曲の季節感や哀愁と相まってさまざまな気持ちが去来してエモい。見逃せない瞬間ばかりが続く。

「今も幸せだけど、自分はどうしてもわがままだから、まだ足りなくて。もっといろんな人に知ってもらいたい。ここにいる全員と俺たちでそれができると本気で信じてます!」というチャンジの宣言を経て自信たっぷりに放たれたのは、バンドの看板曲になり得る魅力を湛えた初の英詞ナンバー「アイウォンチュー」。リズム隊がさらにギアを上げたビートで引っぱり、音の塊が怒涛のテンションで迫り来る痛快さに加え、サビで訪れるポリリズムのメロディも音源以上にやみつき度がすごい。歌詞さながらに感情が先行してあふれ出すようなトリップ性があって、4人からライブをやれる喜びがビシビシ伝わってくる。くまおかが「#コン」と鳴らすカウベルも決まった。

 ライブ定番曲の「InTheDebris」も畳みかけられ、勢いはなお止まらない。これぞシフコンの真骨頂というか、フラストレーションをエネルギーに変えるような、思い通りの活動ができない時期に溜まっていたものを全放出するような、もどかしさを吹き飛ばす爆音が無双状態で轟き、ライブバンドとしての実力を遺憾なく発揮した。

「今、8曲が終わりました。一瞬でした」と話すチャンジの言葉どおり、あっという間にライブも終盤。現体制での原点となった曲「Override」はクライマックスで披露された。ハイトーンがきれいに抜けていくチャンジのボーカル、抜群にキャッチーなメロディを奏でる岡村のギター、全体をどっしりしたビートで支える宮崎のベース、パワフルでメリハリの効いたくまおかのドラム……やっぱりシフコンのグルーヴが成り立つにはどのピースが欠けてもダメなことが、この曲を聴いているとあらためてよくわかる。

 本編ラストは「サナギ」を、自分たちの描く未来に希望の光を見出すように、そして誰もが抱える苦しい現状に寄り添うように、渾身のパフォーマンスで届けてみせた。今にも泣き出しそうな、渇望した表情で演奏にのめり込むメンバーの姿にジーンときてしまう。なぜなら、作品に対する思い入れの強さが伝わるから。「逆夢」のときは全員が楽しく笑顔を見せていたりと、曲に感情移入してついつい同じ顔になってしまうほど、この4人は混じり気のない想いで音を鳴らしている。本当にいいバンドだ。

 さらに、アンコールでは「かまうな」を投下。宮崎がイントロでoiコールを入れて熱量たっぷりに聴かせ、<暗い顔してないで走ろうぜ>と歌いかけるさまは、今の世界へ向けたエールソングのようで、ドラムセットに立ち上がって喜びを爆発させるくまおか、去り際に宮崎の背中をバンバンと叩く岡村の充実感も微笑ましい。会心のライブなのが窺えるリアクションだった。

 そういえば、この日は会場BGMでandymoriの「すごい速さ」が流れていた。<すごい速さで夏は過ぎたが ラララララララ 熱が胸に騒ぐ>――まさにああいう感じで時が瞬く間に楽しく過ぎ去る、閃光のようなライブだったと思う。苦境を乗り越え、新たな一歩を踏み出したSHIFT_CONTROL。まだ目撃できていない人は、2021年どこかで必ずシフコンのライブを観て度肝を抜かれてほしい。

【取材・文:田山雄士】
【撮影:Machida Chiaki】

tag一覧 J-POP ライブ SHIFT_CONTROL

リリース情報

Afterimage

Afterimage

2020年01月29日

No Big Deal Records

01.Override
02.ヒューマノイド
03.罠
04.依然、暗がり
05.かまうな
06.ラストトリップ
07.ghost

リリース情報

Slowmotion

Slowmotion

2020年10月14日

No Big Deal Records

01.バーンアウト
02.逆夢
03.irony
04.死亡遊戯
05.アイウォンチュー
06.Error
07.サナギ

セットリスト

SHIFT_CONTROL presents アイウォントゥーミーチューTOUR
2020.12.18@渋谷TSUTAYA O-Crest

【Adler】
  1. 01.再会
  2. 02.新曲
  3. 03.Panzermast
  4. 04.リビングデッドサマー
  5. 05.No friends
  6. 06.手紙
  7. 07.ハルノネ
  8. 08.brightnight
【SHIFT_CONTROL】
  1. 01.バーンアウト
  2. 02.逆夢
  3. 03.死亡遊戯
  4. 04.ラストトリップ
  5. 05.Error
  6. 06.irony
  7. 07.アイウォンチュー
  8. 08.InTheDebris
  9. 09.Override
  10. 10.サナギ
【ENCORE】
  1. EN1.かまうな

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