初期衝動の狭間で揺れる青さ、4人の目に映るものとは――。初インタビュー!

オレンジスパイニクラブ | 2020.01.22

 茨城県出身の4人組バンド・オレンジスパイニクラブが、初の全国流通盤となるタワーレコード限定1stミニアルバム『イラつくときはいつだって』を、1月22日にリリースする。ミュージックビデオが話題になった「キンモクセイ」やライブ定番曲「敏感少女」を含む7曲入りの新作についてはもちろん、バンド結成時の話や、事務所への所属についてなど、メンバー全員に訊いた。ちなみに、インタビュー取材は今回が初めてとのこと。フレッシュな4人の姿を想像しながら、ぜひとも読んでみてほしい。

オレンジスパイニクラブ『イラつくときはいつだって』トレーラー映像
EMTG:もともと「ザ・童貞ズ」として活動されていたということで、結成の経緯をお訊かせください。ライブ動画を観させていただきましたが、かなりパンキッシュな音楽をされていたんですね。
スズキユウスケ(Vo/Gt):パンキッシュな音楽性になる前に、俺とナオトとゆっきーと、当時のギターの4人で、オルタナティブな音楽をしてたんです。正直、バンドで何をしたらいいかもわからなかったです。ステージに立って歌ったこともなかったので、初ライブではMCどころか、歌うことすらもできなかったんですよ。20分間、無言で終わるっていう。
全員:(笑)。
スズキナオト(Gt/Cho):その時は違うバンド名でやってたんです。メンバー2人が受験を理由にバンドをやめて、また同じメンバーで再結成したのが、ザ・童貞ズですね。
ユウスケ:再結成したのも、暇だったからなんですよ。その時は本気でバンドをやろうとは思ってなかったんですけど、ダラダラと続けた結果、今に至るという感じですね。
EMTG:でも、結成当時のオルタナサウンドからの音楽性の変化って結構なものだったと思うのですが、そこには順応できたんですか?
ナオト:曲を作ってたのは俺だったんですけど、単純に聴く音楽が変わっていったんですよね。その頃から銀杏BOYZとかを聴くようになって、青春パンクを好きになりました。もともとバンドを組んだ時は中学3年生くらいでしたし、音楽をちゃんと聴き込んでもいない状態だったんです。ライブも3回しかやっていませんでしたし。
EMTG:なるほど。ナオトさんはもともとドラムで、メンバーが脱退したタイミングでギターに転身されたとのことですが、大変じゃなかったですか?
ナオト:実はずっとギターもやってて、ギターのほうが好きになっちゃったんですよね。それに、ドラムって後ろじゃないですか? ちょっと前に行きたいなぁという気持ちもありましたね(笑)。
ユウスケ:ドラムだった時、ドラムセットごと10cmくらい前に出すんですよ。それがもう面倒くさくて!
ゆっきー(Ba/Cho):ドラムが見えるように、俺らがちょっとズレたりしてたもんね(笑)。ナオトのドラムはすごい派手だったから、ギターになってからどうなるんだろうなぁという不安はありました。でも、当時は高校生だったし、何も考えてなかったですね。
EMTG:ゆりとさんは、加入→脱退→再加入とのことですが、一度脱退した理由と、再加入を決めたきっかけは何だったんですか?
ゆりと(Dr):脱退したのは、単純にお金がなかったんですよね。メンバーがみんな酒飲みだし金遣いが荒かったから、「一緒にいたら自分もヤバくなるな」と思ったんです(笑)。
ユウスケ:ゆりとが抜けてからは、3人のドラマーにサポートしてもらってたんです。その間ゆりともライブには来てくれてて、その流れで「やっぱり戻ってきてくれない?」って声を掛けたんですよ。そしたら「考えとくわー!」って言われて、ああこれは絶対に無理だなぁって諦めてたんです。でも、その後ゆりとから「スタジオいつ入るの?」って電話が来て、びっくりしました。
ゆりと:あの時、酒入ってたんだよね(笑)。でも酒が入ってなかったら今ここにはいないので、酒って偉大だなと思います。結果オーライです!
EMTG:遊びで始めたバンドだったのが、今では事務所に所属しているということで本気になったのだと思いますが、そうした心境の変化はいつ頃にありました?
ナオト:俺は1年くらい前ですね。ゆりとが戻ってくるっていうタイミングくらいかな。またメンバーが抜けないように頑張ろうと思いました。
ゆりと:再加入した時には、本気でやりたいと思ってました。自分だけ地元が違うということもあって、片道3,000円のバスに乗っていくので、やるなら真面目にやりたいなと思ってました。
ユウスケ:俺は「キンモクセイ」のMVが出たくらいですね。たくさんの人に観てもらって、反響があって、改名して、心を切り替えてやろうと思いました。
ゆっきー:俺は高校卒業のタイミングですね。就職する気でいたんですけど、就職したらバンドができないなと思って、先生に相談して「フリーターでいきます」って言いました。その頃からです。
EMTG:バンドの改名もありましたが、それも心機一転的な意味合いがあったんですか?
ユウスケ:「ザ・童貞ズ」っていうバンド名をずっと変えたくて、もう3年くらい前から考えてたんですよ。足掻くように「The ドーテーズ」ってカタカナにしてみたりもしたんですけど、やっぱり童貞の響きは変わらないし……(笑)。
ゆっきー:それで、俺がたまたま深海魚図鑑の適当なページを開いたところに「オレンジスパイニクラブ」というカニがいて。冗談半分でそれをメンバーに伝えたら、思いのほか「いいじゃん」ってなって決まりました。
ユウスケ:俺は「ミステイクブラザー」が良かったんだけどなー!
ナオト:ダサいよ! 絶対やだよ(笑)。
EMTG:そういった様々な変化のなかで、事務所から声がかかった時はどう思いました?
ナオト:声をかけてもらった時は、3人はいなくて俺だけだったんです。実はほかの会社の人からも名刺を貰ったことはあったんですけど、「うちでやらない?」って声を掛けてもらえたのは初めてでした。「騙されてるんじゃないか?」って思いましたね(笑)。
ユウスケ:絶対騙されると思ったよな。社長も初めて会ったときは酔っぱらってたし(笑)。
EMTG:そういった縁が繋がっていった結果、新作『イラつくときはいつだって』が初の全国流通盤としてリリースされますね。オルタナティブ、青春パンク、そして現在。メロディ、鳴らし方、歌い方、様々な変化があったと思いますが、どうでしょうか?
ナオト:「キンモクセイ」のリリースの前に『under 20』っていうアルバムを出したんですけど、その頃から、青春パンクというよりも、自然と落ち着いた曲を作るようになりましたね。
オレンジスパイニクラブ『キンモクセイ』Music Video
ゆっきー:多分、影響される音楽が変わってきたんだと思います。
ナオト:ヒップホップを聴き出したことですかね? あとはThe ピーズの影響もありますね。
ゆりと:ナオトの曲の変化とともに、俺らの考え方が変わっていったっていうのもあります。昔は音がデカけりゃいい!と思ってたけど、最近は静かな音楽がいいなと思うようになりましたし。年齢の変化もあると思いますけど。
EMTG:なるほど。今作は、何かコンセプト的なものを持って制作されたんですか?
ナオト:1枚を通してこうしたい!というよりは、曲を作るスピードが遅いということもあって、出来た曲があったら入れていくしかない、という感じでした。だから、作品自体というよりも、1曲1曲にそれぞれのコンセプトがあるんだと思います。
EMTG:今作のリード曲はユウスケさんが作詞・作曲をした「37.5℃」ですが、たとえば「東京の空」や「デイリーネイビークレイジー」のようなアッパーな楽曲もあるなかで、聴き心地の良いミディアムチューンである同曲を推していこうと思ったのには、何か意図があるんですか? もちろん、いい曲であることは大前提として。
オレンジスパイニクラブ『37.5℃』Music Video
ユウスケ:ライブでバカバカやりたいんですよね。ライブ映えではないですけど、「東京の空」や「デイリーネイビークレイジー」のような曲はライブのお楽しみとしてとっておきたいというか。「キンモクセイ」みたいな静かな曲をネット上にアップして「ライブで聴きたい」と思ってもらえたなら、ライブでの意外性がより発揮されるんじゃないかなと思ってます。
EMTG:実の兄弟であるユウスケさんとナオトさんが各々作った楽曲がそれぞれ収録されている作品ですが、統一感があるというか、別の人が作ったという違和感がないことがすごいなと思います。
ナオト:たしかに。たまにどっちの曲かわからないって言われます。
ユウスケ:俺はギターが下手なんで、簡単なことしかできないんですけど、ナオトはギターが上手いので、繊細な曲だったり難しい曲だったりが得意な気がします。でも、どっちが作ったというのは抜きにして、これからもいい曲なら作品に入れていきたいですね。
EMTG:メロディやフレーズに関しては、どういったやり方で作り上げているんですか?
ゆりと:ユウスケさんの場合は、ざっくりとしたメロをもらって、作り込んでいきますね。ナオトは打ち込みを使ったりしてきた、ほとんど完成形の状態の音を受け取ることが多いです。
ユウスケ:俺は弾き語りで披露してます。めっちゃ恥ずかしいんですけど。
ゆっきー:でも、今回は全体的に自由に作り込んでいけましたね。
EMTG:メンバーとしても、似通う雰囲気はあれど、異なる制作方法でサウンドを作れるというのは刺激的でいいですね。歌詞については、どういう想いで書いてますか?
ナオト:なんだろう……どういうシチュエーションだと出来やすいというのは特にないですね。かなり考え込んで作るので。伝えたいメッセージというのも特にはないですね。
ユウスケ:たとえば「前を向いて生きて行こうぜ!」とか、そういうのはこっぱずかしくなっちゃうんですよね。バイト中に浮かんだり、本を読んで影響を受けたりすることがあります。
EMTG:「東京の空」では《大人になれず僕ら陽炎に揺れて/涙を飲んでいる》というフレーズがありますが、バンドの平均年齢としては24歳である今、大人と子供の狭間を歌っていきたいというような考えはあるんですか?
ユウスケ:このフレーズは、実は20代前半に出来たフレーズなんです。25歳になった今は、自分ではもう大人になったなと思います。この曲は、バンドの曲なんですよ。茨城から東京に出てきて、まだ色々と模索している今の状況を表せるなぁと思って入れました。
EMTG:喜怒哀楽で言ったら、どの感情が優先して曲になっていくんですか?
ユウスケ:なんだろう、「怒」に近いむしゃくしゃした気持ちを歌うっていうのが基本にはあると思います。でも「敏感少女」のような「喜」に寄った曲もあったりしますね。ハッピー寄りというか。
オレンジスパイニクラブ『敏感少女』LIVE映像
ナオト:歌詞を作る時は、その時々のメンタルに影響されることが多いと思います。俺、キレっぽいんですよ。だから「モザイク」や「眠気」のような歌詞になっているんだと思います。
EMTG:なるほど、ありがとうございます。では、今が2020年1月ということで、年始からリリースを迎えるオレンジスパイニクラブは、今年をどんな年にしていきたいですか?
ゆっきー:ツアーも始まりますし、ライブが楽しみですね。あとは、ほかとは違う、唯一無二のバンドでありたいです。
ユウスケ:来年には1,000人規模の場所でライブをしたいっていうのが目標です。あとは曲作りに関して、単純にもっと作ってみたいし、ジャンルにとらわれずに作っていきたいです。
ゆりと:2020年1月にリリースをするという、時期の良さがありますよね。オレンジスパイニクラブで始まり、聴いてくれる人に「今年はオレンジスパイニクラブの年だったな」と言ってもらえたら幸せですね。嵐も今年で活動を終えますし……。
ユウスケ:え!? 嵐の座を狙ってんの!?(笑)。
ナオト:(笑)。2020年は俺とゆりととゆっきーが厄年なんですけど、年男でもあるんですよ。年男のほうが勝つってことで、何事もなく、楽しくツアーに行けたらいいですね。

【取材・文:峯岸利恵】

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リリース情報

イラつくときはいつだって

イラつくときはいつだって

2020年01月22日

primitive

01.キンモクセイ
02.東京の空
03.タルパ
04.37.5℃
05.デイリーネイビークレイジー
06.眠気
07.敏感少女

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

1st mini album『イラつくときはいつだって』
リリースツアー<微熱>

02/09(日) 東京 下北沢DaisyBar ※SOLD OUT
02/12(水) 愛知 名古屋CLUB ROCK’N’ROLL ※SOLD OUT
02/20(木) 京都 nano ※SOLD OUT
02/21(金) 大阪 心斎橋Pangea ※SOLD OUT
03/11(水) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
03/12(木) 宮城 仙台FlyingSon ※SOLD OUT
03/23(月) 福岡 graf
03/28(土) 東京 渋谷WWW

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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