物語を紡ぐように作品を繰り出す、若きポップクリエイター“音楽かいと”の才能に迫る

ゆびィンタビュー | 2021.04.22

 大阪在住、ネット時代の新しい才能、“音楽かいと”が気になってしょうがない。作詞作曲、アレンジ、トラックメイク、そしてミックスまで手がける独自のプロデュースセンス。この春、高校生活最後に完成させた新作EP『君は音楽で泣いた』(2月17日リリース)では、暖かみのあるデジタライズされた作品を創出し、さらなる成長を遂げた。

 昨年リリースしたEP「僕は音楽に照らされて」で颯爽とシーンに現れた彼だが、新作はその続編となり、両作品タイトルを繋げると“僕は音楽に照らされて、君は音楽で泣いた”となる。高校生活で感じたことを具現化し、心の葛藤を乗り越えた先にみえた希望を描き出す、音楽を通じたコミュニケーションという作品テーマだ。

 物語を紡ぐように作品を繰り出す、ストリーミング時代の若きポップクリエイターの才能に注目すべきだ。

PROFILE

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音楽かいと


大阪在住の18歳。ダンスポップが身上のSSW、トラックメーカー。
ビクター「ワン!チャン!!」オーディション2019の大阪編ファイナリスト、RO JACK2019年2月度入賞アーティスト選出、BSフジ「FUJI-YAMA MID-NIGHT-FISHING」にてサカナクション山口一郎と藤原ヒロシに楽曲を評価されるなど、各方面で熱い注目を集めている。
話題のシンガー三阪咲のシングル曲「ヒラヒラ」に楽曲提供。

  • 心にスッと入ってくるかいとさんのサウンドやメロディー、言葉の選び方が素晴らしくって。
  • 音楽かいと

    今の時代だからこそ音楽をやれているなと思っています。今は、音楽を作るにも知るにも全部インターネットから情報を得ています。そして、ネットを通じて世界へ発信できるのはありがたいと思ってます。
  • もともと、音楽を習っていたんですか?
  • 音楽かいと

    一切なくて、DTMで初めて作りはじめました。
  • ミックスまで自分でやられてますが、今、海外サウンドを見ているとミックスの重要性が問われていますよね。
  • 音楽かいと

    そうですよね。今作は、自分でやりました。
  • リファレンスとして音の響き方、空間の作り方など参考にされた作品なんてあるんですか?
  • 音楽かいと

    ミックスに関しては、音楽を作曲していく中で一緒にやっています。気持ちいいなって思えるサウンドになることを意識しています。曲によるんですけど、楽器ごとにこの音良いなとか参考にすることはありますね。ドラムのキックとか。
  • 1曲目「希望」が素晴らしいですよね。イントロから入り込める没入感の高さがよくって。構成含め、とてもこだわりを感じました。

  • 音楽かいと

    「希望」は、ピアノが好きなのでイントロから綺麗なメロディーを作りたくて。そこに歌をのせていきました。構成は、同じような繰り返しにはしたくなくて1番はメロディーで、2番からは違うメロディーを入れてます。
  • 今の時代、コロナ禍で学生生活を送られてきたかいとさんも、様々な制限などで悩まされることもあったんじゃないかなと。
  • 音楽かいと

    もっと人と接する機会が欲しかったですね。音楽を作るにしても人と会える機会がぐっと減っていたので。いろんな人と出会うことで、感情に刺激あることをやってみたいですよね。曲にも書けるので。
  • そんな意味では、TERAをフィーチャリングに迎えた「静かな町、線路の音」や、Umnoiseとコラボした「月の都へ帰るまで」など、仲間的なアーティストも徐々に広がっている感じですか?

  • 音楽かいと

    そうですね。この2組は僕が初めてライブをした時に一緒だった方々で。とてもお世話になったので、一緒にやらせていただきました。

  • この2曲がそれぞれまたとてもよくって。
  • 音楽かいと

    ありがとうございます。プレイリスト(Spotify公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』)にも入れていただいて。嬉しかったです。

  • 最初、それこそ何者なんだろうと思っていたらめっちゃ若かったし(笑)。
  • 音楽かいと

    ははは(苦笑)。
  • そんなかいとさんが自発的に音楽を好きになったきっかけは?
  • 音楽かいと

    小学校3年生の頃です。最初に、SPYAIRというバンドにハマって。そこからCD買ったりライブへ行くことを覚えて。両親とも音楽好きで、家でも車の中でもずっと音楽が流れている環境でした。お父さんからは、中田ヤスタカさんや角松敏生さんを勧められました。とても好きだったようです。
  • その2組を共有しているって面白いね。かいとさんの音楽を聞いていると、歌よりのEDMからの影響も大きそうだけどアヴィーチーとか好き?
  • 音楽かいと

    そうです。それこそ作曲を始めたくらいにアヴィーチーにハマっていて。メロディーの力でここまで感情を動かすことができるんだと驚きました。他にもザ・チェインスモーカーズやゼッド、カイゴなど聴いていました。
  • 今だとYouTubeで聴いたり?
  • 音楽かいと

    最初YouTubeで見つけて、CDを買いに行ったり。中学生の頃からCD買うのが好きでしたね。当時は北海道にいたのですが。
  • そうか、大阪のイメージが強いけど中学時代は北海道にいたんだね。
  • 音楽かいと

    そうなんです。その後また大阪に戻ってきました。
  • それは特殊な経験をしているよね? 転校経験は、自分の性格にもあらわれていたりする?
  • 音楽かいと

    それはあると思います。北海道へ行ったから生まれた歌詞などもありますし。1枚目のアルバムの3曲目ぐらいまでは北海道へ転校した経験があったからこそ書けた曲でした。
  • なるほどね。哲学的な、でも削ぎ落とされた言葉の魅力が最新EP『君は音楽で泣いた』には感じられて。そして、かいとさんの歌声って楽器的に使われてもいるから、歌詞の意味だけにとらわれず楽しむこともできるし、歌詞の言葉を抜粋して自分ごとにも共感することもできるんですよね。
  • 音楽かいと

    それはありますね。楽器的なボーカルは、中田ヤスタカさんからの影響です。ボーカルのカットアップだったり、聴いていて楽しかったので真似したいと思いました。
  • 音楽面において、自分らしさってどんなところだと思っていますか?
  • 音楽かいと

    ダンスミュージックやテクノ、EDMを聴いてきたのですが、初めて自分の意思で好きになったのはバンドだったので、歌詞を重視する側面も好きで。その融合が僕の音楽なのかなって。
  • メッセージ性もあるもんね。
  • 音楽かいと

    今も洋楽や邦楽問わずチャートをチェックしたり、知らない曲は聴こうとしていますね。あ、あとお母さんの影響で岡村靖幸さんも好きです。
  • ああ、それは面白いね。
  • 音楽かいと

    唯一無二なアーティストですよね。僕もああいった誰にも真似のできないアーティストになりたいと思っています。
  • 最新EPに収録された2曲目「Love Myself」や3曲目「傘の下」では、ストーリーテリングとして童謡のようにも受け止められたんですよ。トラックでの音使いの演出、雨の音が入ってきたり、コーラスの取り入れ方で感情表現をあらわしたり。
  • 音楽かいと

    「傘の下」は特になんですけど、物語を紡ぐ感じで歌詞を書きました。歌詞を書く上でメロディーにハマることが一番大事なんですけど、言葉の意味が曖昧になるのは嫌なので、メロディーを重視しすぎずに言葉がしっかり伝わることを優先していたりします。メロディーを変えてみたり。歌詞は普段から書き溜めているんですよ。トラックを作って、当てはまる歌詞を探したりしますね。
  • 面白いなあ。
  • 音楽かいと

    トラックを流しながら、歌詞のイメージから即興で歌ってメロディーを作り始めていきます。
  • そうなんだね。4曲目「逆転」もシンプルな歌詞なんだけど、深く歌詞と突き刺さる音とのハマり具合が絶妙で。
  • 音楽かいと

    トラック自体はJ-POPじゃない感じにしたくて。歌詞の内容は、ちょうどお母さんが新しいことを始めようとしていたので、何歳になっても新しいことを始めるのは遅くはないし頑張って欲しいなと思って作りました。
  • かいとさんとか、反抗期とかなさそうですね。
  • 音楽かいと

    ははは(笑)。僕はなかったと思っています。お母さんからは「あったぞ!」と言われました(苦笑)。
  • そうなんだ(苦笑)。もともと運動とかもやってたんだっけ?
  • 音楽かいと

    小6から中2まで水泳の選手クラスにいて毎日プールで泳いでいました。今は音楽作ってるだけですけどね。音楽を作りはじめてのからの方が自分を出せるようになったかもしれません。
  • 今回もビクターエンタテインメントCONEXTONE、CONECTUNEからのリリースとなりますが、メジャーレーベルからのリリースへは憧れがあったんですか?
  • 音楽かいと

    ずっと目標でした。高校生の間にリリースしたいと思っていたので、最初にお話をいただいたときは嬉しかったですね。
  • もともと将来へ描いていた夢なんてありました?
  • 音楽かいと

    自分でも驚いたんですけど、幼稚園の時に書いてた将来に夢に「歌手」って書いてたんですよ。
  • まじで!
  • 音楽かいと

    昔から音楽が好きだったんでしょうね。
  • そっかあ。またEPの方に戻ると、「Tears」という曲がとても良くって。かいとさんを一歩先に進ませてくれるナンバーですよね。
  • 音楽かいと

    これは、BTSがビルボード1位になったときに作った曲で。日本の音楽ももっと海外で聴かれたいなって思ったんです。僕自身も世界で売れたいなって夢があるので。日本の曲の良さと海外っぽいサウンドを合わせて作ったのが「Tears」でした。
  • このスタイルを突き詰めるのも面白そうですもんね。まさに狙いが明確にあったんだ。そういえば、三阪咲さんのシングル曲「ヒラヒラ」へ楽曲提供もされていましたが、作家活動にも興味がある感じ?

  • 音楽かいと

    すごくあって。誰かの曲を作るという題材があると、作りやすかったりするんですよ。もっと曲提供などやっていきたいです。
  • そうなんだね。そして、この春にリリースしたEP『僕は音楽に照らされて』収録の「春の前に」は、高校の卒業式で歌う合唱曲として作ったという。

  • 音楽かいと

    僕自身転校をしていたので、これまで小中学校は入学から卒業まで同じ学校にいたことがなかったんでね。なので高校は初めて最初から最後までいられたので何か形に残るものを残したかったんですよ。
  • めっちゃいい曲で。学生生活を通じて、いろんな題材に出会えたということでもありますよね。
  • 音楽かいと

    1曲目の「希望」も今の学校にいることを想像して作ったので大きいですね。
  • 今回、イラストが印象的なアートワークは誰の作品なのですか?
  • 音楽かいと

    ジャケットを描いてくれたのは、僕の高校の先生に頼みました。
  • えっ、すごいね。同級生なのかなって思ったんだけど、先生だったんだ。
  • 音楽かいと

    僕が高校3年生になった時に入ってきた先生で。仲良くなって、絵を描いていることを知って。綺麗な絵だなと思って、高校生最後の作品のジャケットを頼みたいと思ったんです。
  • それは良かったですね。高校生活の集大成感が、さらに高まっていくという。EPのタイトルを『君は音楽で泣いた』にしたのはなぜ?
  • 音楽かいと

    これは昨年リリースした前作EPのタイトル『僕は音楽に照らされて』につながっていて、合わせると“僕は音楽に照らされて、君は音楽で泣いた”になるんです。
  • 言葉の選び方の面白さってかいとさんならではのセンスだよね。影響を受けた作家などいるのですか?
  • 音楽かいと

    僕自身ずっと中学生の頃から本を読むのが好きで。歌詞などは本からの影響が大きいかもしれません。作家でいうと河野裕さんに影響を受けました。歌詞だったら、星野源さんからの影響もあります。はじめて歌詞を好きになったアーティストですね。
  • かいとさんは、僕は1曲目のリリースから知ってはいたけど、ビクター『ワン!チャン!!』2019の大阪編ファイナリスト、『RO JACK』2019年というオーディションやコンテストをきっかけに注目を集めてきたと思うのですが、そういったコンテストなどに応募しようと思ったきっかけは?
  • 音楽かいと

    中学2年生の頃に初めて曲を作って、お母さんに聴かせたら「オーディションとか出したらどう?」って言われて出し続けていました。ちょうど高校1年の頃に受かり始めて。
  • 最初はスマホのアプリで曲を作りはじめた感じ?
  • 音楽かいと

    そうですね。その後、キューベースを使っていて。岡崎体育さんが使ってたんですよ。同じものを使いたいなって。
  • わあ、岡崎体育さんが影響を与えていく時代なんだね。そういえば、音楽かいとの名前も、岡崎体育さんからの影響があったんだっけ?
  • 音楽かいと

    そうです。岡崎体育さんに勝ちたいなと思って。それで、“体育”を越すのは“音楽”かなって(笑)。
  • ははは(笑)。素晴らしい。岡崎体育さんは電気グルーヴの石野卓球さん越えを目指してのネーミングだったもんね。“卓球”だったら“体育”だ、みたいな。継承されているんだなあ。
  • 音楽かいと

    最近は、映像にもハマっていて、大学に入ったら映像や写真での表現も広げていきたいと思っています。
  • それはワクワクするね。今後の活躍をさらに楽しみにしています。

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】

リリース情報

音楽かいと『君は音楽で泣いた』

音楽かいと『君は音楽で泣いた』

2021年02月17日

音楽かいと

01. 希望
02. Love Myself
03. 傘の下
04. 逆転
05. Tears
06. 春の前に

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蔵王四季のホテル

最近調べたのは“蔵王四季のホテル”です。こんなご時世ではありますが、卒業したらどこかに行けたらなって調べてました。ちなみに、北海道にいた頃は授業でスキー受けていました。でも、このホテルは温泉が良さそうなところですね。あと、“夏”“季語”って調べていました。夏に向けての作詞の言葉集めです。

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