前へ

次へ

バンドとホストバンド、双方で面目躍如を見せた、TRICERATOPS主催イベント

TRICERATOPS | 2011.05.11

 オープニングアクトのBARBARSの初々しくもポップでパワフルなステージのあと、どこか貫録のようなものさえ携えて、今年デビュー15周年を迎えるTRICERATOPSは登場した。

 4月11、12日に赤坂BLITZにて開催された“DINORSAUR ROCK’N ROLL 5 WE ARE ONE -CERTIFICATE-"。彼ら主催によるこのイベントは、対バン形式ではなく、TRICERATOPSがいるステージにゲストを迎えて共演するというスタイル。2010年9月にアルバム『WE ARE ONE』、さらに同年12月に『WE ARE ONE CERTIFICATE』をリリースした彼らのメッセージが、折しも日本中が手と手を取り合い、ひとつになろうとしているこの時期に、立体的なリアリティをもって完結しようとしていた(当初、イベントは3月に予定されていたが、東日本大震災のため振替となった)。

「よく来てくれたね! これ以上ないくらい、ひとつになろう!」と、和田唱が叫ぶ。そのテンションがそのまま演奏や歌に注ぎ込まれ、この2日間で演奏曲目がほとんどかぶらないというバンドとしての挑戦もありつつ、15年間の進化を見せつける。  それは楽曲にもつながっている。どの曲も丁寧なリアレンジが施され、芯の通った1曲の中にしなやかな演奏、さまざまな表情を見せるボーカル、正確なコーラス、自由にうねるグルーヴ……、これまで培ってきた実力が集約されている。  バンドの本領を発揮しながら、さらにゲストを迎えるというのがこのイベントの贅沢なところ。

 1日目、黒いミニドレスで華やかに登場したのはMay J.。自然にメンバーの表情も緩み、やわらかいムードの中、アヴリル・ラヴィーンの「Sk8er Boi」に続いて、キュートなデュエット曲「Startin’ Lovin’」を聴かせた。
 1日目のもう一人のゲストは、楽曲提供などですっかり交流も深まった藤井フミヤ。この日は「キメゼリフ」と「爆音Time」を。「TRICERATOPSの演奏で歌うのは気持ちいい。最高のスリーピース!」とフミヤ。和田との声の相性も抜群だ。
 2日目のゲストは、まず、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎を迎え、忌野清志郎のカバー「世の中が悪くなっていく」。間奏でギターソロのバトルもあり、緊張感のある演奏を聴かせたあとは、セットリストにはなかった(菅原がお気に入りという)『WE ARE ONE』のボーナストラック曲をアドリブでセッション。そして「CanとCan’tのパスポート」ではエッジの効いたデュオを聴かせた。

 2組目のゲストはHOME MADE 家族。まさに今回のテーマとなる「WE ARE ONE」を引っ提げて、「僕ら 繋がってんだ」という歌詞そのままに会場の熱を上げていく。マイケル・ジャクソン「Wanna Be Startin’Somethin’」のカバーは意外だったが、2組はジャンルという垣根をぴょんと跳び越え、観客も強烈に巻き込みながら一緒に力強く歌い踊り、凄まじいクライマックスに昇り詰めた。「"WE ARE ONE"というメッセージを表現するには、同じミュージシャンでも異ジャンルでなければならない」と、アルバム制作中から和田は語っていたが、その理想がここで現実となったのだった。
 2日間ともライブ中盤ではアコースティックコーナーを設け、「10年後もみんなが愛する人と一緒にいられますように」と願いながら「2020」や、「SCAR」「僕らの一歩」など、じっくり聴かせる場面もあった。

 音楽のあらゆるスタイルをあらゆる人たちとあらゆる趣向で提示してみせたTRICERATOPS。常に前向きで、時に雄々しく時にやさしく時にユーモラスな彼らの姿勢は、尊敬し合う友人たちに、信頼するオーディエンスに、音楽という奇跡に、今日も繋がっている。

【Photo by 山本倫子】
【取材・文 森田恭子】

関連記事

リリース情報

WE ARE ONE -CERTIFICATE-

WE ARE ONE -CERTIFICATE-

2010年12月29日

avex trax

1. WE ARE ONE TRICERATOPS
2. CanとCan’tのパスポート TRICERATOPS with 菅原卓郎 [9mm Parabellum Bullet]
3. Startin’Lovin’ TRICERATOPS with May J.
4. 爆音Time TRICERATOPS with 藤井フミヤ
5. WE ARE ONE - Fickle Remix - TRICERATOPS with HOME MADE 家族

このアルバムを購入

トップに戻る