SE「エレクトリカルパレード」が華々しく流れる中、コグレ（Vo）、ヒラノ（G）、クロサワ（B）、タテベ（Dr）がステージに登場。激しいドラムの連打を合図にスタートしたオープニングナンバーは「羊飼いの少年」。シャープなビート、ドリーミーな音像が一気に広がる様が猛烈にドラマチック！　熱い演奏に刺激されて、みるみる内に観客も夢中になって踊りだす。そして、タテベの力強い「1・2・3・4！」というカウントを合図に雪崩れ込んだ2曲目「The next!のテーマ」が人々をさらに巻き込み、3曲目「しゃぼん玉」で大爆発を迎えた。タテベが放つ強烈なビートに合わせてステップを激しく踏んで演奏するヒラノとクロサワ。マイクに噛みつかんばかりの勢いで歌うコグレ……メンバー全員が心拍数の限界に挑んでいるかのような全力投球のオープニングであった。

　「ガールフレンド」と「恋の業火」も立て続けに演奏した後、「今、揺れるこの灯火を消さぬ様に 消さぬ様に 誰にも言えずに夜が明けて 降る雨 耳を澄ましてた」（未発表音源。この日の来場者にプレゼントされた限定CDに収録。シングル『ライトミュージックワンダーランド！』の帯を持ってきた人に配布された）。哀愁に満ちたメロディと熱く高鳴るサウンドの間を何度も行き来する起伏に富んだ展開が印象的な曲であった。そして演奏が終了した後、最初のMCタイム。「今やった曲は、ヒラノさんと一緒にアコギで録った「今、揺れるこの灯火を消さぬ様に 消さぬ様に 誰にも言えずに夜が明けて 降る雨 耳を澄ましてた」という曲です」とコグレが説明。すると1人の観客が「長い！」と、タイトルに対して素直なツッコミを入れる。「長いです！」とコグレは動じることなく返答し、話を続けた。「メンバーみんなでディズニーランドへ行きましょうよ。でも、みんな忙しいようで。だからここで約束して欲しいです」……メンバー全員で頻繁にディズニーランドへ遊びに行くのだというThe next! Liddell 1974。彼らの仲の良さが窺われる心温まるMCであった。

　ヒラノがリードボーカルを務めた「ヒラノソング」を皮切りに、さらに盛り上がり続けた中盤戦。観客が笑顔を浮かべながら全力で飛び跳ねて踊った「ライトミュージック！」。甘酸っぱいメロディがダイナミックに弾け、ヒラノのタッピング奏法によるギターソロもバッチリとキマった「ワンダーランド」。パンキッシュなサウンドを全力で炸裂させた「ちょっと変な僕の恋人」。穏やかなサウンドで幕開けつつも、やがてヒリヒリとした爆音へと転じた「ロミオとジュリエット」……先程のMCタイムでの和やかなムードから一転、多彩なサウンドを溢れ返らせる4人の姿がとても雄々しい。観客は彼らの姿を見つめ、汗だくになりながら身体を揺らし続けた。

　後半戦はインターバルを殆んど挟むことなく、ますます凄まじい勢いで演奏が展開した。強力なダンスロック「猫になりたい」と「ピーターパンシンドローム」が連発され、一層の熱気に包まれた会場内。「憂鬱な夜の狂想曲」の爆音は、ゾクゾクするほど鬼気迫るものがあった。身体を激しく揺らしながら共に歌う観客の姿もあった「僕のマザーグース」。そして、ラストを飾ったのは「チューリップ」。ヒラノのギターのみが音を奏でた静かな冒頭。暫くの間、耳を傾けながらステージ上に座っていたコグレはやがて立ち上がり、観客に向って語りかけた。「今年はCDを出させてもらいました。いつかこの日がみなさんの誇りになれるよう、続けていかなければいけないなと思いました。少し早いですけど、僕らからみなさんへのクリスマスソングです」と言って両手でピースサインを掲げると、スタンドマイクを握って歌いだした。コグレの歌、ヒラノのギター、クロサワのベース、タテベのドラムが一体となり、構築された奥行き深いアンサンブルが美しい。そして温かいサウンドが広がった後、爆音が神々しく炸裂していった。曲の中盤でコグレは寝転がったり、座ったりしながらメンバーたちが奏でるサウンドを心地よさそうに浴びていた。そんな印象的な場面を経て突入したクライマックスでは、4人がユニゾンで歌うメロディが力強く響き渡り、観客は興奮を露わにしながら身体を震わせた。鼓膜をピリピリと震わすフィードバック音が轟いたエンディングは、とにかく「壮絶だった」と言う外ない。圧倒的な刺激を我々の元に残して、メンバーたちはステージから去っていった。

【取材・文:田中 大】