2013年12月13日のクリスマス直前、DEEPの全国ツアー「DEEP LIVE TOUR 2013“HISTORY~Love＆Harmony~”」の追加公演が行われた。会場となった渋谷公会堂にはカップルの姿も多く、満員の会場にロマンチックなムードをそえる。冬のバラードが 多いDEEPにとっては、まさにうってつけの条件がそろったタイミングだと言っていいだろう。

　ライブは鐘の音を合図にスタート。ステンドグラスを背景に、まるで教会を思わせるようなステージセットは、クリスマスにピッタリだ。そこに白い 衣装のメンバー4人が現れ、持ち前の美しいハーモニーを活かした「Love＆Harmony」で、オーディエンスの心をグッとつかむ。ツ アータイトルの“HISTORY~Love＆Harmony~”からもわかるように、新旧織り交ぜたセットリストは、初めて彼らのライブを体験する人にも嬉しい内容。DEEPと言えば、 じっくり聴かせるコーラスグループというイメージを持つ人も多いが、ポジティヴなメッセージを持つ「Spirit」や「Blue Sky」では場内の手拍子を導き、熱いパフォーマンスを展開する。実は“しっとり”も“躍動感”も体験できるのが、DEEPのライブの面白さなのだ。メド レーのコーナーでは、「Silent Night」や「With you~Luv merry X’mas~」といったクリスマスにちなんだ曲をセレクト。スペシャルな空気を盛り上げる。その流れから「Long Distance」や「白いマフラー」など冬を思わせる名曲が続き、場内はしっとりした空気に包まれた。

　バラード中心でもライブが単調にならないのは、TAKA、YUICHIRO、KEISEI、RYOの4人の声の質感の違いと、彼らの個性がぶつ かってうまれるハーモニーの面白さにある。中盤には、カバー曲「ラブ・ストーリーは突然に」や、アップテンポなナンバー「X-GIRL」で、華麗 な ステップを披露し、構成にアクセントをつけて進行。後半ではアコースティックアレンジで「Endless road」や「SORA~この声が届くまで~」、そして彼らにとってはマスターピースとも言える「君じゃない誰かなんて~Tejina~」を熱唱。素朴な アレンジにからむハーモニーの美しさは圧巻。こうしてライブはクライマックスへ向かう。“DEEPのライブに好きな人と来ると99.9％結ばれ る！”という 彼らのジンクスもうなずけるボーカルパワーだ。

　本編最後のブロックではダンサブルなDEEPらしさが炸裂。サマーチューン「GO」ではタオルが振られ、「LINKS!!」では合唱も起こり、会場は一体感に包まれた。アンコールにも2度応じ、大ラスで歌ったのが、2009年リリースのヒット曲にして4thシングルの「未来への扉」。気 持ちも新たに、2014年へのぞむメンバーの思いを感じさせるラストナンバーとなった。とはいえ、DEEPの動きはここで一段落するわけではな い。2月12日にはバレンタインシーズンを彩るバラードシングル「雪しずり」のリリースも決定している。もちろん、間違いなく寒さを吹き飛ばすラ ブソングに仕上がっているはずだ。DEEPの季節はまだまだ終わりそうにない。

【取材・文：海江敦士】