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憧れのステージでもあったSHIBUYA-AXに刻んだグドモの夢

グッドモーニングアメリカ | 2014.03.14

 2000年の12月16日にオープンし、多くのアーティストと、数えきれないほどのオーディエンスとの思い出を刻んできたSHIBUYA-AXが、2014年の5月31日を持って営業を終了するのが発表されたのは、昨年の秋のこと。14年という重ねられて来た歴史の中で、グッドモーニングアメリカの4人も“いつか自分たちも、この場所でライヴをしてみたい!”という想いを、このステージにぶつけていたという。
 そして。2014年3月2日。ついにこの日、彼らはその夢を現実のモノとしたのであった。

 この日は、1月からスタートさせた全国19ヵ所をまわったツアー『イチ、ニッ、サンでジャンプツアー2014』のファイナルでもあった。実に、この公演はすべての公演がソウルドアウトであったと言う。
 もちろん。ファイナルであったこの日もソウルドアウト。1階フロアも2階席も、彼らの音を聴きに来たオーディエンスでギッシリと埋め尽くされていた。彼らは、そんな最高の景色の中で夢を叶え、そして、『イチ、ニッ、サンでジャンプツアー2014』を締めくくったのだ。

 さらに。この日、そんな最高の景色に花を添えたのは、Nothing’s Carved In Stone。グドモの憧れの存在であるというNothing’s Carved In Stoneが、オープニングアクトとして出演してくれることになったときは、メンバー全員で飛び上がって喜んだのだとライヴ中のMCで語っていたほど。

 Nothing’s Carved In Stoneは、そんなグドモの4人の想いをしっかりと受け止め、彼らのツアーファイナルを最高のモノにしようと、熱いライヴを届けてくれた。そんなNothing’s Carved In Stoneのライヴに、グドモファンたちは、大きな声援を贈り、そして、純粋に、心の底からNothing’s Carved In Stoneの音を楽しんでいたのだった。

 Nothing’s Carved In Stoneがステージに登場したのは18時ちょうど。5つの強い光が、ステージから客席に向けて放たれ、村松(Vo)、生形(G)、日向(B)、大喜多(Dr)を逆光で照らすと、オーディエンスは轟音の様な歓声を彼らに贈った。
 彼らは、そんなオーディエンスからの声に応えるように、1曲目に用意していた「ツバメクリムゾン」を届けた。歌詞の中に綴られた紅い感情が、照明の赤と解け合い、より深い朱となってオーディエンスにぶつけられた瞬間だった。独特な音色と、彼らにしか出せないグルーヴで間髪入れずに聴き手を魅了していく。とことん歪んだ日向のベースを軸とする「Cold Reason」なんてのは、もうNothing’s Carved In Stone以外には成せない音である。

「おい! 最高におもしれぇじゃねぇか! さすがグドモのお客さんだな! 愛してるぞ、オマエら! 今日は対バンで、グドモの日だけど、俺たちにもプライドがあるんで、今日はここでぶつけて帰りたいと思います!」(村松)

 村松らしい屈託のないMC。誰のファンだろうと、自分たちの放つ音でノッてくれる奴らには、素直に“愛してる”が言えるのは、自分たちに自信があるからだ。そして、ちゃんとグドモを盛り上げながらも、容赦せず、音楽人として正当に音で競い合おうというその精神も、呼んでくれたグッドモーニングアメリアへの敬意であったに違いない。実に気持ちのいいヤツ等である。
 スキルがあってこそ、センスがあってこそ生み出せる、マニアックとも思えるNothing’s Carved In Stoneの音楽だが、ちゃんとそこには聴き手のことを考えたキャッチーさが宿されているのだ。この日の終盤に届けられた「村雨の中で」と「きらめきの花」は、オーディエンスが明日からも輝けるようにと願って唄われた、最高のラブソングに聴こえてきたのだった。

 すっかりあったまったSHIBUYA-AX。
グッドモーニングアメリアの登場を待っていると、ナント、2階席上手から、『ドラゴンボール』の孫悟空のコスプレをしたベースのたなしんが登場した。これには会場中が大爆笑。なんでも、『イチ、ニッ、サンでジャンプツアー』からの、連想で、“ジャンプ”から『少年ジャンプ』、そして、『ドラゴンボール』、からの孫悟空だったらしい(笑)。
 2階席の最前列をそんな説明をしながら上手から下手へと移動し、“では、ワタクシ、ステージへと瞬間移動致します!”と、「イチ、ニッ、サンでジャンプ」を口づさみながら、瞬間移動(普通に徒歩で移動・笑)。フロアに降り立つと、オーディエンスの中に紛れたかと思うと、客席からステージまで、ナントナント、筋斗雲(オーディエンスのリフト)で移動したのでありました。

 衝撃のオープニング(笑)。しかし、こんなオープニングこそも、グドモらしさと言えるだろう。
 たなしんがステージに到着すると、ステージに張られていた黒い幕が開き、1曲目「アブラカタブラ」がスタートした。オーディエンスは、待ってましたといわんばかりに、1曲目から大暴れ。彼らはそんな声に答え、間髪入れずに「突破していこう」「ウォールペーパーミュージックじゃ躍りたくないぜ」を届けた。「最近雨だね?」と、ゆる?いトークを挟んだのはボーカルの金廣。そんな中、たなしんは、孫悟空のコスプレを脱ぎ、いつもの上半身裸短パン姿に。そして興奮気味に高い声でオーディエンスを引っぱり、恒例の“1、2、3、ファイヤー!”の掛け声で、ますますライヴを盛り上げていった。

 ハイスピードかつメロディアスに攻め立てまくられた「言葉にならない」では、フロアにいくつものサークルモッシュが生まれ、「バンバンガンガン」では、キャッチーなサビがオーディエンスの体を揺さぶり、「マリオネット演者ノ詩」では、ループするギターフレーズがオーディエンスの右の拳を熱く振り上げさせていた。

「1月から始まりましたこのツアーも最後です! 大雪で仙台公演が中止になったりといろいろありましたが、こんなにたくさんの人の前でライヴが出来て本当に幸せです! ありがとうございました!」(渡邊)

 改めて今回のツアーを振り返ってオーディエンスにお礼を言った渡邊の言葉に、会場からは拍手が贈られた。そして彼らは、ここで、今回のツアータイトルでもあり、リード曲でもあった「イチ、ニッ、サンでジャンプ」を届け、さらに会場を1つにした。スティックが折れるほど、全身全霊のドラミングを聴かせてくれたベキ。全力をかけた4人と全力で受け止めていたオーディエンス。まさしくそれは、最高の景色だった。

 ライヴ後半で、“リセット出来ない人生を一生懸命に生きていけたらいいなと思って作った曲です”と、金廣によって紹介された「ロールプレイングゲーム」が届けられると、オーディエンスはそのメロディーとそこに置かれた彼らからのメッセージを真っ直ぐに受け止めていたのだった。
 そして、金廣はここで、ずっと夢見ていた場所であったSHIBUYA-AXに立てたことを、改めて噛み締めたMCを挟み、そして、その光景を“やっと春が来た”と例え、「春が迎えにくるまで」へと繋げたのだった。その曲は、どこまでも優しい空気感でオーディエンスを包み込んでいたのだった。

 そして。アンコールでは、たなしんがパワーアップし、超サイヤ人になって登場し、またまた会場を大爆笑の渦に巻込むと、彼らはそこで5月の30日から始まるツアー『7つの秘宝を探す冒険(読み:アドベンチャー) 2014』が決定したことと、5月6日にニューシングル「拝啓、ツラツストラ」をリリースすることと、その曲が『ドラゴンボール改』のエンディングテーマに決まったことをオーディエンスに報告したのだった。

 最後に「空ばかり見ていた」を届けると、最後に、この日最高の花を添えてくれたNothing’s Carved In Stoneをステージへと呼び込み、オーディエンスと一緒に記念撮影し、このツアーにピリオドを打ったのだった。

【取材・文:武市尚子】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル グッドモーニングアメリカ

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リリース情報

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セットリスト

イチ、ニッ、サンでジャンプツアー2014
2014.3.2@SHIBUYA-AX


Nothing’s Carved In Stone
  1. ツバメクリムゾン
  2. Spirit Inspiration
  3. Cold Reason
  4. November 15th
  5. Out of Control
  6. Pride
  7. 村雨の中で
  8. きらめきの花

グッドモーニングアメリカ
  1. アブラカタブラ
  2. 突破していこう
  3. ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
  4. キャッチアンドりリース
  5. 言葉にならない
  6. バンバンガンガン
  7. マリオネット演者ノ詩
  8. イチ、ニッ、サンでジャンプ
  9. だけど不安です
  10. ファイティングポーズ
  11. ロールプレイングゲーム
  12. 春が迎えに来るまで
  13. たった6文字じゃ
  14. 未来へのスパイラル
  15. 輝く方へ
  16. 空ばかり見ていた

お知らせ

■ライブ情報

7つの秘宝を探す冒険2014
2014/05/30(金)広島ナミキジャンクション
2014/06/01(日)福岡BEAT STATION
2014/06/06(金)札幌PENNY LANE24
2014/06/15(日)大阪なんばHatch
2014/06/21(土)名古屋DIAMOND HALL
2014/06/25(水)仙台MACANA
2014/07/05(土)東京Zepp DiverCity Tokyo

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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