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でんぱ組.inc「私達がやってきた事は間違ってなかった」感動の武道館をレポート!

でんぱ組.inc | 2014.05.20

 場内が突然暗転し、スクリーン上で流れ始めたオープニングVTR。1人の男性が秋葉原の劇場『Dear☆Stage』ででんぱ組.incと出会うまでを追ったドキュメンタリー風映像を経て、1曲目「Dear☆Stageへようこそ♡」がスタートした。ステージ後方の壇上に、相沢梨紗、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音、古川未鈴、夢眠ねむがゆっくりとせり上がりながら登場すると凄まじい歓声が起こり、会場全体でサイリウムの光が激しく揺れる。続いて、1stアルバム『ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!』のメドレー。お馴染みの曲の数々がノンストップで駆け抜け、客席で見守る人々の興奮は天井知らずに高まっていく。その熱気をさらにエスカレートさせたのが「W.W.D」。一体感に溢れる観客のコールに包まれながらメンバーたちが浮かべる笑顔が眩しい。曲の途中で6人が一旦姿を消し、衣装の早替えをして再登場するというスリリングな演出も盛り込まれるなど、片時も目を離せない場面の連続であった。

 「歴史に残るライブをしたいと思います。最後までよろしく!」(相沢梨紗)。「今日は世界で一番ハイテンションで元気だよ!」(成瀬瑛美)。「最高の日にするぞ! かかってこい、お前ら!」(最上もが)。「武道館! よろしく!」(藤咲彩音)。「来ましたね、武道館。今日は最高の日にしましょう」(古川未鈴)。「みんな声出てますか? ねむは声出てるぞ!」(夢眠ねむ)。各メンバーの挨拶の後、「でんぱれーどJAPAN」がスタート。スピード感溢れる展開、強烈なビートに刺激され、会場内に渦巻く熱気の上昇は全く止まるところを知らない。そのまま「VANDALISM」「ファンシーほっぺ♡ウ・フ・フ」「なんてったってシャングリラ」「ナゾカラ」……個性豊かなナンバーが連発され、日本武道館は完全にでんぱ組.inc色に染め上げられていった。

 「ノットボッチ…夏」を披露し終えると、ステージ上から姿を消した6人。スクリーンに楽屋での様子を捉えた映像が流れた。間もなく始まるソロパートに向けて、マイペースに過ごしているメンバーたち。しかし、トップバッターである「えいたそ」こと成瀬は、空腹のあまり倒れてしまう。「えいたそ! えいたそ!」と呼びかけ、パワーを送るメンバーたちに観客も加勢し、会場全体に応援コールが響き渡る。やがて元気を取り戻して立ち上がった成瀬は、夢眠が握った特大おむすびを頬張ってステージへと向かった……という寸劇を経て、各メンバーのソロステージがスタート。「トキメキ☆すちゃらかテキサス」(成瀬瑛美ソロ)。「あのね…実はわたし、夢眠ねむなんだ…♡」(夢眠ねむソロ)。「ニューロマンティック」(最上もがソロ)。「Promise of the World~我コソ世界ノ救世主~」(相沢梨紗ソロ)。「P and A」(藤咲彩音ソロ)。「ソーリー、ロンリー。」(古川未鈴ソロ)……メンバー各々の魅力が際立つパフォーマンスが続いた。古川のソロが終わると、ステージ上に全員集合。まずはBiSのカバー「IDOL」を猛烈な勢いで駆け抜けるように披露し、「W.W.D II」へと雪崩れ込んだ。スクリーンでは過去の映像も流れ、様々な挫折、迷い、葛藤を乗り越えてきたでんぱ組.incの物語が歌い上げられていく。彼女たちの活動をずっと見守ってきたファンたちは、特別な感慨を抱きながらこの曲を聴いていたのではないだろうか。

 「昨年の大阪野音で初めて「W.W.D II」を歌った時はみんなボロボロ泣いちゃって。でも、今日は6人揃ってしっかり歌うことができました!」(古川)。「出会えたことが奇跡。みんな大好きです!」(成瀬)。「こんなに会いに来てくれるのも奇跡。でんぱ組.incを見つけてくれてありがとうございます!」(相沢)。「みんなもいてでんぱ組.incだと感じてます」(夢眠)。「でも、そろそろラストスパートなんです」(最上)。「ラストスパートの元気はありますか?」(藤咲)。6人各々が観客に呼びかけて、いよいよライブは佳境へ。温かい手拍子を誘った「くちづけキボンヌ」。エネルギッシュなビートが躍動した「キラキラチューン」。大合唱を巻き起こした小沢健二のカバー「強い気持ち・強い愛」。そして、「夢は夢じゃないんだよと教えてくれた曲です」と相沢が言い、ラストに届けられたのは「Future Diver」。飛び跳ねながらコールを送る観客、全力で歌い踊る6人が一体となって会場全体を震わす。清々しい昂揚感が広がる中、本編は締め括られたのであった。

 アンコールを求める歓声と手拍子、瞬き続けるサイリウムに応えてアンコールへ。まずは手にしたリボンを優雅に揺らしながら踊った「でんでんぱっしょん」。続いて、何本もの火柱が立ち上るダイナミックな演出に彩られた「ちゅるりちゅるりら」。そして、2015年に初の全国ホールツアーを行い、ファイナルはアリーナ会場(どこのアリーナかはまだ秘密)で迎えることを発表し、「感謝の気持ちをこめて、この歌を歌いたいと思います」という言葉を古川が添えて「ORANGE RIUM」。観客が手にしたオレンジ色のサイリウムの光で会場内が一気に染まる様が壮観! 客席全体から起こった歌声も加わり、温かいムードに包まれながら響き渡っていった。

 メンバーたちがステージから去った後、スクリーンに映し出されたメンバー1人1人の写真。各人の写真がリズミカルに現れるのに合わせ「みりん、りさ、ねむ、えい、もが、ピンキー! アンコール~!」という声が上がる。写真の切り替わるタイミングは徐々に極端なくらいにスローダウン……という観客を焦らすイタズラも飛び出し、自ずと和やかな笑い声も起こった。やがて、「アンコールありがとう!」と、ステージに戻ってきた6人。まずは夢眠の「はい、でんぱ!」という合図に合わせて客席を背景に記念撮影。そして届けられたのは「イツカ、ハルカカナタ」。手を振りながら歌う彼女たちに合わせ、観客も手を振って身体を揺らす。会場内を見回しながら歌う6人は、実に嬉しそうであった。

 「想像もつかなかった景色が広がってます。ほんと、めちゃめちゃ嬉しいです。帰りたくないです。そして、もっともっとみんなを好きになりました。頼りないリーダーだと思われてるだろうけど、みんなが助けてくれてここまで来られました。でんぱ組.incは世界中の人を元気にできると信じてます。いつも応援してくれてありがとう。これからもよろしくお願いします!」(相沢)。「わたしはでんぱ組.incの中で元気なキャラでいるんですけど、レッスンとかでできないことが多過ぎて、悔しい想いをしてきて……ここまでやってこられたのはメンバー、スタッフ、そして何よりも来てくれるみんなのおかげです。みんなが思っている以上に声は届いてます。感謝してます。みんなもそれぞれ夢があると思うけど、わたしたちも夢を叶えて、みんなに夢を叶えるためのパワーを届けられたらいいなと思います」(成瀬)。「今年のツアーの初め、1月5日に武道館の発表をしてから不安でいっぱいでした。それは集客のことはもちろん、新しいステップに行くことに不安があって。みんながいなくなっちゃうんじゃないかと……。今年は辛いことが多くて、毎日泣いたりして。ギリギリの自分を支えてくれたのは家族、メンバー、スタッフ、そしてやっぱりみんなの声が届いてたからです。1つ1つの声は届いてるので安心して欲しいです。これからも6人で頑張るので、よろしくお願いします」(最上)。「でんぱ組.incに入ってから学校との両立が難しくて投げ出したい時があったり、諦めたい気持ちもありました。でも、なんとか卒業することができました。こんなわたしを応援してくれるみんながいるから、ここに立っていられます。ファンのみんながいるから、わたしは前を向いて頑張れてます。これから先のことは分からないけど、みんながわたしを変えてくれたから。間違ってないと信じて、前を向いて頑張っていきたいです」(藤咲)……ステージ下手側ポジションのメンバーから想いを語っていき、古川の順番が廻って来たところで「こういうののトリは、みりんさんにお願いしたい(笑)」と、フライングをした夢眠。彼女は「いわゆるアイドルの才能を持たずに生まれた不器用なわたしとでんぱ組.incを選んで会いに来てくれてありがとうございます。わたしたちはただのオタクで。そんなわたしたちをステージに立たせてくれて、わたしを好きにさせてくれたのがみんなです。みんな、1人1人がわたしたちをここに連れてきてくれました。武道館が人生で一番の大事件。みんなも忘れませんよね? でも、思い出は更新していきたいと思います!」と力強く宣言した。そして、最後に語ったのは古川。「わたしはアイドルになるのが夢で。ほんとそれだけで。諦められなくてずっと走ってきて。でも、理想と現実の差があって、5人に出会えて、こうしてステージに立てて、でも、緊張して上手くいかなくて……それでもこの6人で武道館に立つことができました。それは来てくれるみんながいたからです。信じてくれるみんながいたから。ここに立って、1つはっきり言えることがあります。わたしたちがやってきたことは間違ってなかった。みなさんのためにも、自分のためにも、わたしたちはまだまだ止まりません! もっとすごいところに連れていけるよう、これからも全力で頑張っていきたいと思います!」。メンバー各々、感極まって言葉に詰まる瞬間が度々ありながらも、支えてくれる人々への深い感謝、未来へ向けての強い意思を語った姿は、とても胸を打つものがあった。

 6人が繋ぎ合った手を掲げ「でんぱ組.inc、これからもまだまだ夢で終わらんよっ!」と宣言。ラストに届けられたのは「サクラあっぱれーしょん」。紙吹雪が桜の花びらのように舞い、観客の掲げたピンクのサイリウムが揺れる中、元気よく飛び跳ねながら歌ったメンバーたち。そして、ステージ後方の壇上で輪になって踊り、ゆっくりと下降するリフトに乗りながら、吸い込まれるように我々の前から去っていった。お伽噺の絵巻物のようなカラフルな非現実感で満ち溢れていたエンディング……終演直後、夢から醒めた直後に似たフワフワした余韻を味わいつつも、忘れられない場面がたくさん胸に刻まれているのを強く感じた。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル でんぱ組.inc

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リリース情報

Dear☆Stageへようこそ~武道館LIVE記念限定盤~

Dear☆Stageへようこそ~武道館LIVE記念限定盤~

2014年05月14日

トイズファクトリー

1. Dear☆Stageへようこそ
2. まもなく、でんぱ組.incが離陸致します
3. Dear☆Stageへようこそ (Off vocal)
4. まもなく、でんぱ組.incが離陸致します(Off vocal)

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セットリスト

ワールドワイド☆でんぱツアー2014 in日本武道館
2014.5.6@日本武道館

  1. Dear☆Stageへようこそ♡
  2. 1st ALBUMメドレー(Kiss+kissでおわらない~Mirror Magic?~ピコッピクッピカッて恋してよ~わっほい?お祭り.inc~BEAM my BEAM)
  3. W.W.D
  4. でんぱれーどJAPAN
  5. VANDALISM
  6. ファンシーほっぺ♡ウ・フ・フ
  7. なんてったってシャングリラ
  8. ナゾカラ
  9. ノットボッチ…夏
  10. トキメキ☆すちゃらかテキサス(成瀬瑛美ソロ)
  11. あのね…実はわたし、夢眠ねむなんだ…♡(夢眠ねむソロ)
  12. ニューロマンティック(最上もがソロ)
  13. Promise of the World ~我コソ世界ノ救世主~(相沢梨紗ソロ)
  14. P and A(藤咲彩音ソロ)
  15. ソーリー、ロンリー。(古川未鈴ソロ)
  16. IDOL
  17. W.W.D II
  18. くちづけキボンヌ
  19. キラキラチューン
  20. 強い気持ち・強い愛
  21. Future Diver
<アンコール>
  1. でんでんぱっしょん
  2. ちゅるりちゅるりら
  3. ORANGE RIUM
<ダブルアンコール>
  1. イツカ、ハルカカナタ
  2. サクラあっぱれーしょん

お知らせ

■ライブ情報

CUPNOODLE presents でんぱ組.inc スペシャルライブ ~2014年ボクらは、FUJIYAMAのある国で現代のSAMURAIと出会う!~
2014/07/23(水)仙台・darwin
2014/07/24(木)郡山・HIPSHOT JAPAN
2014/07/29(火)SHIBUYA CLUB QUATTRO
2014/07/30(水)SHIBUYA CLUB QUATTRO
2014/08/05(火)大阪・UMEDA CLUB
2014/08/06(水)名古屋・NAGOYA CLUB QUATTRO
2014/08/12(火)横浜・yokohama Bay Hall
2014/08/19(火)高松・TAKAMATSU MONSTER
2014/08/20(水)広島・HIROSHIMA CLUB QUATTRO
2014/08/22(金) 福岡・DRUM LOGOS
2014/08/26(火)札幌・PENNY LANE 24
2014/08/27(水)函館・club COCOA
2014/08/29(金)新潟・NEXS NIIGATA
2014/09/02(火)SHIBUYA CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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