3人組ガールズバンド、Chelsy（チェルシー）がいまシーンで大きな注目を集めている。メンバーはMIO（Vo・G）、SHIZUKA（B）、AMI（Dr）の21歳、現役大学生。YUIやステレオポニーなど数多くのヒット曲を手掛ける Honey Bee Studioが主催する、育成型オーディション「みつばち軽音楽部」の出身で、昨年メジャーデビューを果たしたばかり。そんな彼女たちが自身最大キャパとなるO-WESTでワンマンライブを開催した。チケットがソールドアウトとなった会場には多くの熱狂的なファンが駆けつけ、終始大盛り上がりのライブだった。

　毎回、様々なテーマでライブを彩るChelsyだが、4月5日はイースターということで、ステージにはカラフルなタマゴや風船が飾りつけられていた。「レディース＆ジェントルマン！」と、開演のアナウンスが会場に流れるといよいよメンバーが登場。甘酸っぱい青春が蘇るポップナンバー「My Way」からライブはスタートした。1曲目から、オイ！オイ！オイ！と盛り上がるフロアのテンションもかなり高い。今夜は熱いライブになりそうだ。

　続く、「Please Please Me」でも疾走感のあるサウンドでさらにライブの勢いは加速。そして「新曲です」と、MIOが短く告げてから攻めのロックチューン「I’m in love」へ。キュートな3人の佇まいからは想像もつかないエモーショナルな演奏は、そのギャップに少し驚かされる。結成4年目。本格的な楽器への取り組みは高校生のころと言うから、バンド歴はまだそれほど長くはない。だが、ライブハウスを拠点にここまで地道にのし上がってきた彼女たちがライブにかける情熱は本物だ。それがひしひしと伝わってくる1曲だった。

　「今日という日をみんなで目一杯楽しんでいきましょう！」（MIO）、「MCを考えてきたけど、忘れちゃうレベルの盛り上がり！」（AMI）と、興奮気味に意気込みを語った最初のMC。大人への階段をのぼる切ない気持ちを描いた「Good-bye girl」に続き、「Restart」では、 SHIZUKAのチョッパーベースも炸裂。AMIはポニーテイルに結った髪を揺らしながら激しくドラムを叩く。時おり目を合わせながらプレイするリズム隊の息のあったグルーヴにのせて、MIOはメロディにぐっと気持ちをのせて言葉を紡いでいく。いいバンドだ。

　MCではイースターの話題ということで、ChelsyのNo.1ムードメイカーAMIが「インフルエンザのときに飲んだ薬でタマゴの幻覚を見た」というエピソードを暴露。SHIZUKA は「（AMIが）毎朝タマゴを食べてるからコレステロールが心配（笑）」と笑いをとると、続く「Animation」では 曲の途中でMIOがテーブルクロス引きの一発芸を披露。見事にグラスはバラバラと崩れ落ちたが会場が大いに湧いたのは言うまでもない。

　比較的アップテンポなロックチューンが目立つChelsyの楽曲群だったが、ライブ後半のミディアムバラード「I will」はこの日のハイライトだった。フロアにふわりと羽が舞い落ちる幻想的な空間にMIOの凛とした歌声が響き渡る。バンドのこうした幅広い音楽性は今後のChelsyの大きな武器になっていくだろう。

　さらに、この日はファンを喜ばせた発表があった。3rdシングル「SistAr」を5月27日にリリースすることが決定したのだ。MIOが「私たちは高校時代に出会って4年。血の繋がった姉妹みたいにこれからも続けていきたい」と、この曲への想いを語ると、作曲を手がけた SHIZUKA は「イントロのループではみんなで盛り上がりたいです。大切な人を想いながら聴いてください」と言い、新曲「SistAr」へと繋いだ。出だしのNaNaNa~というコーラスをはじめ、ハンドクラップでもこの曲を初めて聴いたとは思えない一体感を見せた会場。最後は「escape」で最高潮のテンションのままライブを締めくくった。

　アンコールではイースターライブ限定のTシャツに着替えてメンバーが登場（ワンピースのMIOだけはTシャツだとダサかったらしく着替えず）。まず1曲目に「Blue Moon」をゆったりと聴かせると、「みんなと一緒に過ごせてハッピーです」と、MIOがお客さんへの感謝を伝えた。そして会場全員で写真撮影をしたあとは、「本当に本当に最後の曲です」と名残惜しそうな言葉とともに、ラストナンバー「Rocket」へ。サビではお客さんが一斉にタオル回しで盛り上がり、およそ1時間半のライブは幕を閉じた。

　この日ライブの至るところでお客さんを楽しませる準備をして、楽しげな表情でステージに立ったChelsyの3人。そこにはバンドマンであると同時に、一端のエンターテイナー魂も根づいていた。これから彼女たちがどんなふうに成長していくのか見守りたい。

【取材・文：秦理絵】