ひめキュン５周年記念イベントが２日間に渡り、同会場（渋谷TSUTAYA O-EAST）で行われた。ここでは２日目の模様をレポートしたい。この日は平日15時半開演にも関わらず、多くの観客が詰めかけていた。前説ではMC担当者が出演者を紹介すると、各アーティストがステージを右から左へ素早く駆け抜け、会場の笑いを誘う。

　まず一番手を務めたのはFRUITPOCHETTEだ。寺谷美奈、東 志栞によるラウド系アイドル・ユニットで、ド頭からゴリゴリにヘヴィな生演奏をバックに、歌に踊りに激しく動き回る。観客もモッシュに大合唱に、と序盤から盛り上がっていた。「フルポシェ３周年、ひめキュンに負けないように追いかけます！」と寺谷が言えば、「てめえら、付いて来れるかー！」と東が力強く煽り、「蒼天-Paradox」では２人のハーモニーや天に突き抜けるようなハイトーン声で観客を魅了する。その後もバラード曲やエレクトロを用いたヘヴィ・チューンを畳み掛けていく。また、今年メタルの祭典『LOUD PARK 15』初出演を告知し、２人が感極まる姿も印象的だった。

　続いて元GENERAL HEAD MOUNTAINの松尾昭彦（Vo/G）率いるJELLYFiSH FLOWER’Sがステージに立つ。「みんな愛媛なのに、何でウチらだけ宮崎から呼ばれたんですか？」と松尾はジョーク交じりのMCを挟みつつ、歌心に溢れるロック・チューンを矢継ぎ早に放ち、実直な熱い佇まいで観客をグイグイ引き込んでいった。

　次はnanoCUNEの登場だ。この日は木下こころが休養（9月15日付けで卒業）となり、大原歩、門田茉優、西岡亜弥実の3人編成だった。しかし、キレ味と俊敏さの両方を併せ持つ、凄まじい運動量を誇示する歌とダンスにただただ圧倒される。ステージを所狭しと動き回り、きっちりと１曲１曲丁寧に歌い上げる様には感動せずにはいられなかった。観客も声を張り上げ、ジャンプする光景が広がり、ステージとフロアが一体感した熱気が立ち込めていた。僅かな曲間に呼吸を整え、次の楽曲へと突入するスタミナとバイタリティは観る者の心を激しく打つ。素晴らしいの一言だ。

　それからメジャー・デビュー10周年を経たLUNKHEADは、「もっとグルーヴしようぜ、O-EAST！」とフロアをガンガン焚き付けていく。フレッシュな勢いと腰の据わった重量感で時にストレートに、時に"祭"と書かれたウチワを持って、縦に横に会場を揺さぶり続ける。最後に小高芳太朗（Vo/G）は観客にマイクを向け、一体感を求める前のめりの姿勢も眩しかった。

　そして、ようやくトリのひめキュンの出番がやって来た。バックの演奏陣が出てきただけで会場は沸き上がり、岡本真依、谷尾桜子、奥村真友里、河野穂乃花、菊原結里亜の５人が姿を現すと、最新6thシングル表題曲「覚醒ミライ」から本編スタート。物語性豊かな曲調だが、ライヴでも抜群に映え、観客も大フィーバー！　「アンダンテ」に入ると、歓声はさらに高まり、既にひめキュンと独壇場を化していく。 　エレクトロを前面に出した「ワタシダイイチキボウ」、「ストロベリーKISS」でも観客を踊らせ、熱狂の渦を作り上げている。同時にメンバーの動きも活発になり、ステージを右へ左へと目まぐるしく駆け回り、パフォーマンスでも目を釘付けにした。中盤の「フリーノート」をやり終えた後、「緊張し過ぎて、今が１曲目みたい」と岡本が零していたが、それだけ５周年記念イベントに賭ける彼女たちの意気込みを伝わってきた。

　本編ラストは、最新シングル『覚醒ミライ』の通常盤のみ収録の「青の少年」で締め括る。曲調自体は大人っぽい雰囲気だが、そこにピュアな心情を吐露した切ないメロディが乗り、胸を激しく突かれた。その後はアンコールにも応え、「You Stay Dream」、続く「例えばのモンスター」でウォーウォーの合唱を作り上げ、大団円を結ぶ。「ここで終わろうと思ったけど、みんなで一緒に歌おうと思います！」と岡本が叫ぶと、今日の出演者をステージに呼び込み、昨年(2014年)活動休止したGARLIC BOYSの超名曲「あんた飛ばしすぎ」がここで炸裂！　各バンドのメンバーがぐちゃぐちゃに入り乱れ、お祭り感満載で終了。それからひめキュンのメンバーは一人ずつ５周年にまつわるエピソードや感謝の気持ちを観客に伝え、その場で涙ぐむシーンも見かけられた。まだまだこれで終わらない。来年１月に地元愛媛のひめぎんホール公演決定の知らせがスクリーンに流れると、感極まって泣き崩れるメンバーもいたほどだ。 　５周年を迎え、さらなる成長と進化を遂げていく彼女たちを応援し続けたい。重要なターニング・ポイントにして、新たな出発地点になりうる最高のイベントだった。

【取材・文：荒金良介】
【撮影：西槙太一】