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KANA-BOON 約1年ぶりのツアー「KANA-BOONの格付けされるバンドマンツアー 2016」4/16日(土)幕張メッセ

KANA-BOON | 2016.05.06

 「いやあ、すごい景色です。こんな景色の前だと、そりゃ歌詞も飛ぶよ(笑)」――オーディエンスの大歓声が木霊するフロアを見回し、谷口鮪(Vo./Gt.)は思わず苦笑いする。KANA-BOONにとって約1年ぶりとなるワンマンライブツアー「KANA-BOONの格付けされるバンドマンツアー 2016」。ツアー初日、幕張メッセを埋め尽くしたオーディエンスたちは最高の盛り上がりでバンドを迎え撃つ。それに応えるKANA-BOONの4人も、より力強さと表現力を増したバンドアンサンブルをかき鳴らし、フロアの熱狂をはるかに加速させていった。

 彼らにとってメジャー3作目となるオリジナルアルバム『Origin』を引っさげ、日本国内外を回るワンマンツアー「KANA-BOONの格付けされるバンドマンツアー 2016」は、当然ながら『Origin』の楽曲を軸に据えたセットリスト。それぞれのプレイヤーの個性をこれまで以上に主張させ、このバンドならではのグルーヴ感を強く追求した傑作『Origin』の楽曲たちが、幕張メッセのフロアを時に激しく揺さぶり、時に軽やかに疾走する。今の彼らの音楽が持つスケール感をありありと感じさせた「革命」、飯田祐馬(Ba./Cho.)のファンキーなベースラインと古賀隼斗 (Gt./Cho.)のド派手なギターソロが印象的な「talking」、高く上げられたオーディエンスの手がリズムに乗って左右に揺れた「グッドバイ」と、どこを取ってもハイライトと言えるようなKANA-BOONの鮮烈なパフォーマンスに、幕張メッセ中のオーディエンスが心を激しく捕まえられた。

 熱狂のオーディエンスが一転して静まり変えるほどの深い感動を響かせた「かけぬけて」、聴く者の心臓をギュッと鷲掴みにしてしまうほどヒリヒリとした焦燥感と求心力を持った「僕らはいつまで経ってもさ」をはじめ、『Origin』の初回生産限定盤Aの特典CDである『KANA-BOONが人間をつくります。』からのナンバーも数多く披露された。『Origin』収録曲と同じように熱い歓声でオーディエンスに迎えられ、瑞々しい衝動をフロアに響かせていく。タキシードに身を包みステージで躍動する彼らが実に頼もしい。

 クールな演奏だけでなく、彼ららしいトホホな演出もオーディエンスを大いに沸かせる。今回のツアーでは、ツアータイトルにもなっているように、ライブ中に格付犬「リッチー」がステージに現れてはクイズを出題し、正解・不正解に応じてメンバーを「一流」「二流」「三流」「そっくりさん」に格付けしていくというコーナーが設けられている。ツアー初日から3問連続で不正解だった古賀と小泉貴裕(Dr.)は二流から三流、そしてそっくりさんへと転落。ステージタオルがなんと雑巾になってしまったり、強面のスタッフにタキシードの袖を引きちぎさられたりと、そっくりさん扱いの2人は散々な目に遭う。この日はクイズに全問正解し、余裕の表情で「そっくりさんたちの“俺を見て”感がサムい」と古賀と小泉を切り捨てた飯田だが、果たして安泰なままこのツアーを終えることができるだろうか。興奮のライブと爆笑の格付けが目まぐるしく同時進行していくという過剰な情報量とサービス精神はKANA-BOONならではだろう。オーディエンスも熱狂したり大笑いしたりと本当に大忙しである。

 1年ぶりのワンマンツアーの初日とあって、スタートこそやや緊張した面持ちの4人だったが、ライブが進むに連れて彼らはオーディエンスの熱狂を一身に浴びながらどんどんと気持ちを解放していく。鮪は「一緒に踊ろう!」「みんなの声を聴かせて!」とオーディエンスを力強く牽引し、フロアの興奮をぐんぐん加速させる。「ツアーを回るのがすごく楽しみでした。一年間もツアーをしないのは本当に寂しい。みんなの顔を見られなくて寂しかったです。初日からこんなにたくさんのみんなと会えてすごく嬉しいです、ありがとうございます」と鮪はフロアを見回して屈託のない笑顔を見せた。バンドにとっても、オーディエンスにとっても、本当に待ちに待った瞬間なのだ。KANA-BOONの音楽を全身で受け止めようとするオーディエンスと、そんなオーディエンスに全身全霊を捧げようとするKANA-BOONのパフォーマンスに、会場は親密な空気感に溢れつつ、どこまでも熱気がヒートアップしていった。

 ライブの最後、久しぶりのワンマンのステージに感極まった表情で、鮪は堰を切ったようにMCを語り出した。「メジャーデビューして3年間、ずっと楽しかったわけじゃなくて、昔みたいに純粋に音楽を楽しめない自分たちもいた。その気持ちに気づいたことで『Origin』というアルバムが生まれました。自分たち自身も、昔みたいな純粋な気持ちを取り戻したい。音楽が仕事になっていくのがもどかしいんです。俺らにとって音楽はいつまでも趣味や遊びで、音楽を仕事にはしたくない。たとえ音楽プレイヤーがなくても、みんなの心に僕らの音楽が鳴り続けられるように、これからも作っていきたいと思います」。オーディエンスからは自然と温かな拍手と歓声が巻起こる。どんなに自分たちをめぐる環境が変わっても、自分たちの音楽の原点を貫き通したい――そんな真っ直ぐな覚悟に、今のKANA-BOONの音楽が持つ瑞々しい説得力の確信に触れた気がした。きっと幕張メッセのオーディエンスたちも同じ気持ちだったはずだろう。フロアに熱狂と爆笑を届ける4人が何とも誇らしく感じた。

 自分たちを改めて見つめ直したことでバンドの新たな扉を開くことができた『Origin』。アルバムを引っさげたワンマンツアーでオーディエンスからの熱狂を勝ち取ったことは、このバンドにとって大きな自信と確信になっていくはずだ。幕張公演を皮切りに、「KANA-BOONの格付けされるバンドマンツアー 2016」は沖縄・ナムラホール公演で国内でのファイナルを迎え、さらに香港公演、台湾公演へと続いていく。

【取材・文:大山貴弘】
【撮影:TEPPEI】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル KANA-BOON

リリース情報

Origin(初回生産限定盤A)[CD2枚組]

Origin(初回生産限定盤A)[CD2枚組]

2016年02月17日

Ki/oon Music

[DISC 1]
1. オープンワールド
2. 机上、綴る、思想
3. なんでもねだり
4. ランアンドラン
5. anger in the mind
6. インディファレンス
7. talking
8. グッドバイ
9. 革命
10. ダイバー
11. スタンドバイミー
12. Origin

[DISC 2]
KANA-BOONが人間をつくります。
1. 見たくないもの
2. 目と目と目と目
3. MUSiC
4. ピアスを開けた
5. talking
6. うそばっかり
7. クローン
8. かけぬけて
9. 僕らはいつまで経ってもさ
10. Construct Connect

お知らせ

■ライブ情報

KANA-BOONの格付けされるバンドマンツアー 2016
2016/04/16(土) 幕張メッセ国際展示場9〜11
2016/04/26(火) 日本ガイシホール
2016/05/03(火・祝) インテックス大阪 5号館
2016/05/04(水・祝) インテックス大阪 5号館
2016/05/11(水) 広島BLUE LIVE HIROSHIMA
2016/05/12(木) 広島BLUE LIVE HIROSHIMA
2016/05/14(土) 福岡国際センター
2016/05/31(火) 新潟LOTS
2016/06/01(水) 新潟LOTS
2016/06/03(金) 仙台PIT
2016/06/04(土) 仙台PIT
2016/06/10(金) Zepp Sapporo
2016/06/11(土) Zepp Sapporo
2016/06/16(木) 金沢EIGHT HALL
2016/06/17(金) 富山MAIRO
2016/06/22(水) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2016/06/24(金) 高知CARAVAN SARY
2016/06/25(土) 高松 festhalle
2016/07/03(日) 沖縄ナムラホール
2016/07/09(土) 香港Music Zone@E-MAX
2016/07/10(日) 台湾THE WALL

OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2016
2016/05/14(土) METROCK大阪特設会場
2016/05/15(日) METROCK大阪特設会場

TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2016
2016/05/21(土) 新木場・若洲公園
2016/05/22(日) 新木場・若洲公園

VIVA LA ROCK 2016
2016/05/28(土) さいたまスーパーアリーナ
2016/05/29(日) さいたまスーパーアリーナ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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