現在のアイドルシーンの中でもパフォーマンス力の高さで一目置かれている9人組ガールズグループ東京パフォーマンスドール(TPD)が、6月19日に品川ステラボールで2部構成の結成3周年ライブ＆イベントを行った。

　90年代に一世を風靡し活動を休止した初代TPDから年月を経て新たにオーディションを行い、3年前の6月19日にひらかれたお披露目記者会見で新生TPDとして再び活動をスタートさせた彼女達。そんな記念すべき日に開催された結成3周年ライブの1部は、先代の代名詞でもあった歌とダンスをノンストップで繰り広げるライブ『ダンスサミット』を引き継ぎ、今や新生TPDの魅力を伝える武器となったライブシリーズ『ダンスサミットネイキッド』のスペシャルバージョン。『3rd Anniversary ダンスサミットネイキッドSP!!』と銘打たれたこの日のステージはアニバーサリーという事で本編を4つのパートに分け、会場に集まった全員がグループの成長を追体験できる構成になっていた。

　先ずはスクリーンが下され結成時のレッスン映像が流されるとメンバー9人がステージに登場し、お披露目会見の時に最初にパフォーマンスした「ダイヤモンドは傷つかない」からライブはスタート。続いて「十代に罪はない」「夢を」「東京ハッカーズ・ナイトグルーヴ」と先代から受け継がれた4曲が披露されたこのパートは、TPDという物語の続きが始まった3年前を思い起こさせてくれると同時に、そこからページが進んだ今のメンバーの変化も感じさせてくれるようなステージングだった。

　続いては事前に告知されていた『PLAY×LIVE「1×0」』の曲を披露するパート。新生TPD
最初のオリジナル公演で2013年8月から約1年間行われた演劇とライブを融合させた舞台『PLAY×LIVE「1×0」』のライブ映像が流され、高嶋菜七と小林晏夕の歌声が切ないバラード劇中歌だった「Lost Without You」がパフォーマンスされると会場の雰囲気がそれまでと一転。グループの歌とダンスで見る者を高揚させ一体感を作る『ダンスサミットネイキッド』の中で、そことは違うTPDのもう一つの魅力でもある個々の表現力が加わった劇中歌5曲が披露された構成が秀逸で、それぞれのメンバーが演じてきた思いを込めたパフォーマンスにフロアーは魅了されていた。

　中盤パートは『ダンスサミットネイキッド』公演の映像が流された後にメンバーがソロ曲を披露。浜崎香帆の伸びやかな歌声が印象的な「ふたりのストーリー」、高嶋菜七のカッコよさが前面に出た「Darlin’」のオリジナル2曲以外に、他メンバーが歌ったリアレンジされた先代ソロ曲もライブを重ねて来た事でそれぞれのオリジナル曲のように聴こえ、メンバーの成長ぶりが感じられた。

　終盤はTPDの今を見せるパート。スクリーンに「TPDはそして進化を続ける」という文字が映し出されると、たたみかけるようにアッパーなシングル曲がノンストップで披露された。特に「DREAM TRIGGER」以降、恒例となっている「ゴーゴーレッツゴー、レッツゴーTPD」の掛け声からの「BRAND NEW STORY」、そしてオリコンチャートでグループ史上最高位の2位を記録した「逆光×礼賛」の3連発ではステージから放出されたメンバーの熱を受けてファンのボルテージも頂点に達し、怒号のような熱いコールとサイリウムの海がフロアーいっぱいに広がった。ラストは上西星来の「今鳥肌が立つほど感動しています！みんなありがとう！」というお礼の言葉からの「DREAMIN’」。新生TPDが結成以来ずっと大切に歌い続けてきた曲で本編は終了した。

　大きなコールに応えて始まったアンコールでは、メンバーが一人ずつダンスパフォーマンスしながら紹介される「WE ARE TPD!!」に続いて8月17日に発売されるシングル「純愛カオス」を初披露し、「RAISE YOUR HANDS」で大団円。アニメ『逆転裁判～その「真実」、意義あり！～』のエンディングテーマに決定しているという新曲について櫻井紗季は「私たちの心の中の光と陰を表しているんですけど、夢や目標を追いかけている時に同時に来る悔しさだったり不安な気持ちを全部受け止めて強くなっていくぞ！というメッセージを込めて歌っているので、より多くの方々に聴いてもらえると嬉しいです」と最後のMCで語っていたが、切なさを秘めたメロディアスなこのダンスチューンでTPDは今後どんな新しい物語を作っていくのか？ここから始まる彼女達の今夏以降の活動が楽しみになるような3周年ライブだった。

【取材・文：山村哲也】