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小田和正、オフコース時代の名曲も多数披露!全国ツアー完走

小田和正 | 2016.11.01

 小田和正のライブで恒例なのが、開演前のショート・フィルムであり、そこにはこれから始まるステージの、おおまかなコンセプトが示されることも多い。今回の場合、年代を追った懐かしい写真が、まさにアルバムを捲るように映された。これは「君住む街へ」というツアーが、先にリリースされた3枚組ベスト『あの日 あの時』を引っ提げたものであることを表わしている。でも、ここが肝心なのだが、ベストといえどオープニングで演奏されるのは「wonderful life」というピカピカの新曲だ。新曲のクオリティにこそ、アーティストの現役性が示される。♪ワ~ンダフル、と、弾む小田の歌声で、早くも場内は、大いに盛り上がっている。
 このあとMCを挟んで、オフコース時代の名曲達が惜しげもなく演奏されていく。一時は“ルッキング・バック”の名のもとに、特に曲のアレンジに関してはその時点での新たな“正解”を探るべく、元来はエイトビートの曲を16ビートにする試みなどに積極的だった小田だが、今回のツアーでは、よりオリジナルに近い印象で聴けるものばかりだ。まさに季節にぴったりの「秋の気配」。日本のポップス界の伝説的な名曲ともいえる「さよなら」。そして自分が初めて書いたオリジナル曲と、そう紹介しつつ、会場のみんなにも歌って欲しいと呼び掛けた「僕の贈りもの」。リード・ギターに自ら初めて挑戦した「時に愛は」は、バンドのギタリスト・稲葉政裕とのツイン・ギターを聴かせる。でも一転、ストリングスの流麗な響きの「心はなれて」へ。「言葉にできない」は、毎ツアーでお馴染みかもしれないが、当時は実験的なメロディと歌詞、そしてアレンジだった「I LOVE YOU」が聴けたのも嬉しかった。
 これまた恒例なのだが、小田のライブでは前半戦が終了した時点で「ご当地紀行」という、ツアー先でのオフをムービーで追うコーナーが挟まれる。今回は、これまで各地を回ってきてのさまざまな場面が映された。握手を求め、近づく人達に、あくまでニュートラルに接する小田。さらには名所旧跡を訪ね、長い石段を見掛けると、全力で駆け上ってみせる。

 後半戦は、特に小田が同世代を意識した「the flag」でスタートする。カメラが同世代と思しき男性の姿を探し、スクリーンに大写しする。この世代の人達は、自分が写ったからといって笑顔で手を振ったりはしない。
 この日、完璧だと思ったのが「伝えたいことがあるんだ」で、小田の楽曲にしてはAメロから早口風であり、バックの演奏と歌詞というギアとギアが、見事に噛み合って聞こえた。今日の演奏だと感動もひとしおだ。「恋は大騒ぎ」では巨大バルーンがアリーナに登場し、まさに客も小田も大騒ぎな楽しい光景が広がる。
 曲のつなぎ方にも創意工夫が見られた。「キラキラ」のエンディングのあと、ストリングスが「ラブ・ストーリーは突然に」のイントロを奏でて繋げたりするところは、よく練られていた。そういえば「愛を止めないで」が終わって赤いライトが下に向きを変え、「時に愛は」へ移ってく時なども、実にリリカルだった。ステージ上にいる人間達以外の、すべてのスタッフの力量が結集してこその素晴らしいライブなのである。
 花道を移動しつつ、時には疾走しつつ、メニューは進んでいく。小田のライブに特徴的なのは、定位置に長く居ることがないから、客席に居て、目が慣れない、ということだ。厳密にきっちり区別されてはいないが、ベスト盤『あの日 あの時』のDisc1がオフコース時代の楽曲であり、「恋は大騒ぎ」などがDisc2。ここまでそんな流れだった。さらに「たしかなこと」からはDisc3の収録曲となっていく。ツアー・タイトルにもなった「君住む街へ」で本編が終了する。

 小田のMCで印象深かったのは、ライブをやる前には高い声が出るのか不安だが、いざやってみるとちゃんと出る、という、そんな話。ちゃんと出るどころか、エネルギーに満ちた歌声は、終盤になっても衰え知らず。まさに唯一無二のものなのである。アンコールで「YES-YES-YES」のような、渾身の力を駆使しないと歌えない曲をやり切るあたりも凄いの一言だ。ワルツ・テンポで、まさにラストに相応しい「やさしい夜」。ここで終わりかと思えば、まだ終わらない。
 今日、ここに集まった人々は、さまざまな自分の人生の通過点に居るのだろうし、希望も不安も人それぞれで様々なのだと思う。その、ここにいる全員にとって心の栄養素になるような「ダイジョウブ」が歌われて、さらにバンドやストリングス全員が前に出てきて、各自ハンドマイクの見事なアカペラで「また会える日まで」を披露する。さらにさらに、最後の最後に「NEXTのテーマ~僕等がいた~」が演奏される。それが終わると、小田とバンドは速やかにステージを後にした。

【取材・文:小貫信昭】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル 小田和正

リリース情報

ALL TIME BEST ALBUM『あの日 あの時』

ALL TIME BEST ALBUM『あの日 あの時』

2016年04月20日

アリオラジャパン

【DISC-1】
01.僕の贈りもの(1973)
02.眠れぬ夜(1975)
03.秋の気配(1977)
04.夏の終り(1978)
05.愛を止めないで(1979)
06.さよなら(1979)
07.生まれ来る子供たちのために(1980)
08.Yes-No (1980)
09.時に愛は(1980)
10.心はなれて(1981)
11.言葉にできない(1981)
12. I LOVE YOU (1981)
13.YES-YES-YES(1982)
14.緑の日々(1984)
15.たそがれ(1985)
16.君住む街へ(1988)

【DISC-2】
01.哀しみを、そのまゝ(1985)
02. between the word and the heart-言葉と心-(1988)
03.恋は大騒ぎ(1990)
04.ラブ・ストーリーは突然に(1991)
05.Oh! Yeah! (1991)
06.そのままの 君が好き(1992)
07.いつか どこかで(1992)
08.風と君を待つだけ(1992)
09.風の坂道(1993)
10.それとも二人(1993)
11.my home town(1993)
12.真夏の恋(1994)
13.伝えたいことがあるんだ(1997)
14.緑の街(1997)
15.woh woh(2000)
16.the flag(2000)
17.キラキラ(2002)

【DISC-3】
01.たしかなこと(2005)
02.大好きな君に(2005)
03.明日(2005)
04.風のようにうたが流れていた(2005)
05.ダイジョウブ(2007)
06.こころ(2007)
07.今日も どこかで(2008)
08.さよならは 言わない(2009)
09.グッバイ(2010)
10.やさしい雨(2011)
11.東京の空(2011)
12.その日が来るまで(2013)
13.愛になる(2014)
14.そんなことより 幸せになろう(2014)
15.やさしい夜(2014)
16.wonderful life(2016)
17.風は止んだ(2016)

お知らせ

■ライブ情報

イルカ45周年
イルカのミュージックハーモニー25周年記念
 青春のなごり雪コンサート

2017/01/15(日) 東京国際フォーラム ホールA

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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