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Lenny code fiction 原宿アストロホール 初ワンマンライブレポート

Lenny code fiction | 2016.11.18

 2016年8月31日に1stシングル「Key-bring it on,my Destiny-」(TV東京系アニメ「D.Gray-man」オープニングテーマ)でメジャーデビューを果たした4ピースバンド、Lenny code fictionが11月13日(日)に原宿アストロホールで初めてのワンマンライブを開催した。フロアを埋め尽くした観客の前で彼らは、ライブバンドとしてのポテンシャルの高さ、そして、ここから一気に駆け上がっていく意志をダイレクトに示してみせた。

 開演予定時間の17時を少し過ぎた頃、エレクトロ系のトラックと鉄琴によるメロディが聴こえてくる。穏やかなSEが広がる中、まずはKANDAI(Dr)がドラムに座り、強烈なビートを放つ。さらにKazu(Ba)がベースを、ソラ(Gt)がギターを重ね、ラウドにしてしなやかなバンドサウンドが出現。そこに片桐(Vo/Gt)が登場し、「Lenny code fiction、始めます。しょっぱなから盛り上がっていこうぜ!」と叫ぶと同時に最初のナンバー「Rebellious」へとなだれ込む。ずっしりとした重厚感と強烈なスピード感を併せ持ったこの曲によって、会場の熱気がグングン上がっていく。
「気を抜いているとすぐに終わってしまうから。最初から飛ばしていこう、よろしく!」(片桐)という煽りを挟み、エッジの効いたギターサウンドと艶めかしいメロディが共存する「Romance」へ。その後もインターバルを取らず、高揚感溢れるナンバーを次々と叩き込む。アグレッシブなサウンドをぶちかましながら、ポップな手触りを失うことがないステージングも印象的だ。
 ライブ前半のピークを演出したのは、メジャーデビューシングル「Key-bring it on,my Destiny-」。「Lenny code fiction、初ワンマンライブ。俺たちがデビューして、ひとつも間違ってなかったことをこの曲で証明します」(片桐)という言葉に導かれたこの曲はダイナミックかつキャッチ―なバンドアンサンブルと「選んできた言葉、道が/確かに今自分を作った」というフレーズがひとつになったアッパーチューン。音楽を志し、さまざまな道のりを経て集まった4人が素晴らしい未来に向かって歩み始める――メジャーデビューのタイミングに相応しいこの曲は、Lenny code fictionの最初のライブアンセムとして強烈な存在感を発揮していた。

 ライブ中盤では、憂い、切なさを感じさせるような楽曲が披露された。まずは「ワンマンライブをやるにあたって、自分ってどんな曲をやってきたんだろう?と思い返して。寂しかったこと、しんどかったことを日記のように書きまくっていたことがあったんです。ライブでも、寂しさの部分を共有できる空間にしたい。そういう瞬間も作っていきます」という言葉とともに演奏された「Meteor」。感情の繊細な動きと重なるようなリズム、切ない情感を含んだメロディ、そして、大切な“君”との思い出を胸に進んでいく決意を描いた歌がひとつになったこの曲は、オーディエンスひとりひとりの心を強く揺さぶったはずだ。さらに冬の星座にまつわるロマンティックな記憶を抒情的に描き出した「オリオン」(2ndシングル「Flower」収録)、どんなにつらいときでも人はひとりではないとメッセージする「世界について」(1stシングル収録)も。刹那的な熱狂だけではなく、ふだんは胸のなかに隠している様々な感情を表現し、音楽を通してダイレクトに共有する。それもまた、彼らのライブの大きな魅力なのだと思う。

 ガレージ系ロックンロールのテイストを反映させた「Showtime!!!!」(1stシングル収録)からライブはクライマックスへと突き進む。シャープなギターフレーズとダンサブルなリズム・セクションが絡み合う「KISS」(2ndシングル)によって、オーディエンスもさらに激しく体を動かしはじめる。さらにパンキッシュなスピード感に満ちた「Lightness Monkeys」、「今日の日を絶対に忘れないように」(片桐)という言葉にリードされた「Once」も。メンバー全員が感情をひとつにして歌っているようなイメージが強く伝わるステージングも素晴らしい。
 ラストナンバーは2ndシングルの表題曲「Flower」。「デビューしてから最高に楽しんだけど、1年半か2年前にすごいしんどくて、音楽をやるのが。そのとき”自分だけの曲じゃなくて、みんなに届けたい”と思って曲を書きはじめて」。そんな片桐の言葉に導かれたこの曲は、「君は一緒にいて」という切実な思いが込められたナンバー。生々しく、リアルなエモーションが真っ直ぐに伝わり、大きな感動なかでライブはエンディングを迎えた。

 初めてのワンマンライブで幅広い音楽性、派手なステージング、そこに込められた濃密な感情を体現した彼らは、2017年の2月から3月にかけて全国ツアー「Lenny code fiction LIVE TOUR 2017“Non-fiction”」を行う。メジャーデビューのタイミングで一気に知名度を上げた4人はこのツアーによって、ライブバンドとしての魅力を全国各地で示すことになりそうだ。

【取材・文:森朋之】
【撮影:佐藤祐介】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Lenny code fiction

リリース情報

Flower

Flower

2016年11月09日

Ki/oon Music

1. Flower
2. オーロラ
3. KISS

セットリスト

Lenny code fiction Presents
『Non-fiction』
2016.11.13@原宿アストロホール

  1. 1.Rebellious
  2. 2.Romance
  3. 3.2073
  4. 4.Hope your grant
  5. 5.Key -bring it on, my Destiny-
  6. 6.Meteor
  7. 7.オリオン
  8. 8.the last words
  9. 9.世界について
  10. 10.Ruby’s Day
  11. 11.Showtime!!!!
  12. 12.KISS
  13. 13.Lightness Monkeys
  14. 14.Once
  15. 15.Flower

お知らせ

■ライブ情報

Lenny code fiction LIVE TOUR 2017 “Non-fiction”
2017/02/17(金) club Lizard YOKOHAMA
2017/02/24(金) 仙台MACANA
2017/02/26(日) 秋田LIVE SPOT2000
2017/03/01(水) 名古屋 ell.FITS ALL
2017/03/03(金) OSAKA MUSE
2017/03/17(金) 福岡 DRUM SON
2017/03/23(木) 代官山UNIT

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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