前へ

次へ

ファンキー加藤 HALFWAY STAR TOUR 神奈川県民ホール ライブレポート

ファンキー加藤 | 2016.12.02

 2ndソロ・アルバム『Decoration Tracks』(通称デコトラ)をリリースしたファンキー加藤が、11月中旬からスタートさせた「HALFWAY STAR TOUR」。その2公演目が、11月17日(木)、神奈川県民ホールで行われた。1曲終わるごとに、会場のあちこちから「加藤さーん!」の声。そのなかには、可愛い子供たちの声も混じっていてほっこり。本当に幅広い年齢層に愛されてるんだなぁとあらためて思いながら、Tシャツとジーンズにチェックのシャツを羽織り、のっけから汗だくになって歌う加藤のまっすぐな眼差しに引き込まれていった。
 私自身、ファンキー加藤のライブは二度目という初心者。だからふと他のアーティストのライブとの違いに気づいたりする。もちろん、ファンにとってはもう当たり前になっている光景なのだが。そのひとつが、客席がずっと明るいということ。観客を見やり、そこにいる一人ひとりとずっとアイコンタクトしながら歌うというのが、加藤のスタイルなのだ。一緒にライブを作ろう! と、同じ目線でいてくれる加藤の優しさが、観客は心底うれしくて、少しでも心を近づけようと手を伸ばすのだろう。サポート陣は、加藤のプロデューサーとしてもお馴染みの田中隼人と、今ツアーから初めてコーラスで加わるブッコミの翔(ブレインコミックス)。加藤とブッコミの翔とは、実は15年来のつきあいだという。3人で奏でるだけで何かがわかり合える。そんな音の会話に、みんな自然と笑顔になった。

 前半には映画『サブイボマスク』の挿入歌を、映像とともに歌う場面も。そう、映像といえば、“デコトラ”からの超R&Rな「急性ラブコール中毒 Part.1」では、ライブ用に撮影されたオリジナル映像をまじえ、加藤がレトロなモンキー・ダンスを披露。オシャレでキュンとする曲や、出身地八王子の原風景を歌ったジンとしみる曲、鐘の音がキラキラとしたクリスマス・タイムの景色を運んでくる曲など、新曲群も意欲的に届けてくれた。その歌詞を聴くにつけ、“デコトラ”には、自分がそもそも何を持ち、何に奮闘してきたかを確認し、今の自分、これからの自分を形成する要素として受け入れようとする視点が多いことに気づく。ファンモンのデビューから10周年経った今年、試練にもぶち当たった加藤の言葉は、正直で誠実なだけでなく、もう失くすものなど何もないという覚悟をもまとうようになったんだなとも。
 それが痛いほど伝わってきたのが、後半への入り口となった3曲だった。まずは、「10年前のあの曲、現在のあの曲を聴いてください」と、FUNKY MONKEY BABYS初期の曲「ALWAYS」とソロ最新シングル「走れ走れ」をあえて対比させるように歌った加藤。前者では、みんな拳を突き上げて歓喜の声を合わせ、後者では逆に、加藤の歌声に聴き入った。「走れ走れ」というタイトルだが、レゲエ風リズムのテンポはあくまでもゆったり。単純すぎるかもしれないが、そこになによりグッとくる。若き日のがむしゃらさとは違う「もう一度だけ 全てを背負いこんで」の走り方があることを、自分の人生の「時代」を象徴する2曲を続けて歌うことで、加藤は示したかったのではないだろうか。
「いろんなことがあって、どうしようもなくなって、逃げたくなった。そんな俺を支えてくれたのが、スタッフ、家族、ファンのみんなでした。だから、向き合ってくれる人たちだけのために歌を歌っていきたいと思いました。よかったら向き合ってください。寄り添ってください。この声を、心のド真ん中で受け止めてもらえるとうれしいです」
 そんなMCでさらに続いたのが、“デコトラ”からのロッカバラード「本当のこと」だった。ブルースハープをかき鳴らし、声を嗄らしてシャウトする姿はもはやパンク。身を削って書いたであろう歌詞の凄みが、ズッシリと伝わってくる。けっして暗いトーンではない。むしろ、そこにいる者たちのすべてを肯定し、包み込んでくれる、泣きたくなるほどの優しさにあふれた言葉たちだった。歌う加藤にも悲壮感はない。大切なファンに思いを体当たりでぶつけた、他に何も望まない爽快感がそこにある。生命力を自らほとばしらせることのできるアーティストなんだなとつくづく。
 「本当のこと」って何だろう? と、ここ半年ほど加藤は自問自答を続けてきたはずだ。もがいて、もがいて、たどり着いた答えが、今、目の前にある。そんな感動が加藤の眼差しに浮かんだのが、左手の人差し指を空に突き上げて、ファンモンの代表曲「ちっぽけな勇気」を観客と共有した瞬間だった。そして、「何回も生まれ変わっていきましょう!」とソロ曲「CHANGE」。やってきたことを捨てるのではなく、自分の細胞の一部として受け入れ、未来につなげていくという決意を感じる、後半戦の流れだった。「こんなどうしようもない俺が、今歌える最高の応援歌です」と言って本編を締めたのは、ツアー・タイトルに通じるあの曲。「歌声届いてますか?」とたしかめながら、言葉一つひとつに魂をこめるその姿はまさに、いつか逆転満塁ホームランを見せてくれると信じるに足る「HALFWAY STAR」だった。
 アンコール、なんと加藤は1階席横のドアから登場すると、そのまま客席を縫って、自らすすんでもみくちゃになりながらステージに上がった。「はしゃぎすぎて声が嗄れちゃったけど、それくらいワンマンライブはやっぱ楽しいとつくづく思いました」と観客にアンコールを感謝。ここで、一人ひとりの目を見て歌ってたことに言及した加藤は、「マジで、俺と目が合ったと思った人」と観客に挙手をうながした。ところが、結果は加藤の期待を遥かに下回っていたようで、「少なっ!」と本気でガッカリした様子。

 というわけで、アンコール2曲目、加藤はこれ見よがしに目を見開き、会場の隅々にまで視線を送りながら歌を届けた。これには会場のあちこちからクスクス笑いがもれた。その曲が終わると同時に席を立った人には、「あ、終電なくなっちゃうのね。気をつけて帰ってくださいね」と、これまた本気で手を振る。そして、オーラス、タオル回しで盛り上がったあと、生声で挨拶をした加藤は、「ホント、ウソなしで、目が合ったって思った人」と、再び観客に問いかけた。結果、ようやくその人数に納得した加藤は、最高の笑顔になった。少なかったのがよほど悔しかったんだね、と声をかけたくなってしまうこのチャーミングな人柄が、多くの人の心を惹きつけてやまないのだろう。
 “デコトラ”とともに3月まで走り続ける「HALFWAY STAR TOUR」。そのゴールにどんな景色が待っているのか、誰よりワクワクしているのは、加藤本人なのかもしれない。

【取材・文:藤井美保】
【撮影:堂園博之】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル ファンキー加藤

リリース情報

Decoration Tracks[通常盤]

Decoration Tracks[通常盤]

2016年11月02日

ドリーミュージック

M1.MUSIC MAGIC
(よみうりランド2015 ジュエルミネーション テーマソング)
M2.ブラザー
(映画「サブイボマスク」主題歌)
M3.中途半端なスター
(マイナビ転職CMソング)
M4.走れ 走れ
(10/19リリース最新シングル曲)
M5.つながるから
(マイナビ転職CMソング)
M6.勇者のうた
(2016TBS系列プロ野球中継“SAMURAI BASEBALL”テーマ曲)
M7.Ring a Bell
M8.Tokyo Destiny Land
M9.カラフル
M10.ただいま 〜HOMETOWN〜
M11.急性ラブコール中毒 Part.1
M12.少年の声
(フジテレビ系めざましテレビめざましデイリーテーマソング・水曜日)
M13.花鳥風月
M14.本当のこと

お知らせ

■ライブ情報

HALFWAY STAR TOUR
2016/11/12(土) ハーモニーホール座間
2016/11/17(木) 神奈川県民ホール
2016/11/25(金) 市川市文化会館 大ホール
2016/11/29(火) 静岡市民文化会館大ホール
2016/12/01(木) 神戸国際会館こくさいホール
2016/12/06(火) 郡山市民文化センター 大ホール
2016/12/09(金) 滋賀びわ湖ホール
2016/12/11(日) 福井フェニックスプラザ
2016/12/17(土) iichikoグランシアタ
2017/01/12(木) 大宮ソニックシティ 大ホール
2017/01/22(日) レクザムホール(香川県県民ホール)大ホール
2017/01/29(日) 倉敷市民会館
2017/02/04(土) 福岡サンパレス
2017/02/06(月) フェスティバルホール
2017/02/12(日) 新潟県民会館
2017/02/18(土) 仙台サンプラザホール
2017/02/19(日) 盛岡市民文化ホール 大ホール
2017/02/25(土) 名古屋国際会議場センチュリーホール
2017/03/11(土) わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
2017/03/17(金) 中野サンプラザ追加公演

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る