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何度も「最高!」とTAKUYA∞が叫んだ、UVERworld 2017年10月4日(水)日本武道館

UVERworld | 2017.10.25

 平日の日本武道館。客席がどんどん埋まっていく。ステージ上には、バック一面を覆う大きなスクリーン。そのビジョンの中には、ツアータイトルとデジタル時計。時計はリアルに時を刻んでいた。

 1分前。「60」からカウントダウンが始まる。一斉に立ち上がるオーディエンス。カウントに合わせ、クラップが始まる。クラップがどんどん早くなっていく。満員の観客の期待の表れか。スクリーンに「10」。大観衆のカウントダウンが始まる。「9、8、7………3、2、1」。最後は「オーッ」という大歓声に変わった。明るかった会場が暗転する。無数のレーザー光線が走る。色とりどりのムーヴィングライトが旋回する。最新アルバム『TYCOON』のオープニングを飾る「TYCOON」が流れる中、ステージにスタンバイするドラム、サックス。次の瞬間、残りのメンバーが、ステージ底からロケット砲のようにジャンプして飛び出してきた。

「IDEAL REALITY TOUR」。8月から開催してきたツアーのファイナル。10月4日、5日、日本武道館公演。その2日目。最終日の幕は、最新シングル「DECIDED」で切って落とされた。ダイナミックでラウドな音が、一瞬で日本武道館を飲み込んでいく。最初から最前線に飛び出て来たTAKUYA∞は、2本のマイクを使い分け、オーディエンスに真っ直ぐメッセージを放っていく。「さあ、行こうぜ、ライブハウスツアーを経て、ホールツアーを超えて、いくつもの夏フェスを超えて、この武道館にたどり着いたぞ!」と、TAKUYA∞が叫び「CORE PRIDE」。客席から♪We Are!♪の大合唱が起こった「WE ARE GO」と、立て続けにハイパーなスピードチューンを畳みかける。日本武道館全体の温度が急上昇していく。ステージも客席も、半端ない。最初から最速にギアを入れて全開、全力でサウンドにまみれ、メッセージを共有していく。「まだまだ足りない!」と「Don’t think.Feel」へ。サビで「歌え!」と客席にマイクを向けるTAKUYA∞。曲の後半では、右足、左足の順番で、履いていた靴を勢いよく客席に蹴り投げた。ワッとその靴に手を伸ばす観客。その様子を見てにっこりと笑顔を見せるTAKUYA∞。 “靴の行方”を追って、客席に目を凝らすメンバーもいた。

 MC。観客に向け「いい声してるね」と第一声。「俺の情熱という名の靴が飛んで行った。その靴、返してもらっていい?」と笑いを誘う。ほどなくして片方の靴が返って来た。「お前らいいヤツじゃん!」と言うと、なんと、もう片方の靴もステージへ。拍手が起こると「本当にいいヤツだな!」と笑顔を見せ、こう続けた。「このツアーで失った俺の靴の数、4足!でも今日は返って来た。ありがとう!(オーディエンスが)あまりに素晴らしかったから、俺、靴を飛ばすから。あ、間違った、情熱を飛ばすから」と、会場を和ませた後、このツアーで「ずっとずっと最高が続いている。どんどん最高が続いている。一滴一滴の汗、一滴一滴の笑顔を染みこませていこうよ」と「一滴の影響」へ。冒頭のコーラスと激しいサビが対照的な1曲。間奏では、ファンキーなサックスがブロウし、大観衆を躍らせた。

 最新アルバム『TYCOON』の楽曲を中心に展開していくライブ。ステージを重ねることで培ってきたバンドのスキルが放つパワフルで骨太なサウンド。その上を駆け抜けるように上昇していくTAKUYA∞のボーカル。クリアなロングトーンは、聴いていてドキドキするほど、輝いている。サウンドとひとつになりながらも、眩いほどに綺麗で、真っ直ぐでのびやかな声が、観客の心のど真ん中にズバン、ズバンと、言霊を投げていく。

 彼らを語る際、ミクスチャーという言葉が良く使われる。この言葉が出てきたのは90年代初頭。ファンクやメタル、パンクやヒップホップの要素を飲み込み、音圧を体感させるサウンドとして注目された。レッチリもデビュー当時は、ミクスチャーと呼ばれていた(懐かし!)。UVERworldは、このミクスチャー(後にラウドと称されるようになった)のサウンドに、ドメスティックなメロディーをのせることで、観客との一体感=シンガロングを徹底して貫いてきたバンドだと思う。この手法は、ライブを活動の肝に据え、最も大切な場所と考えて来たからこその結果ではなかろうか。このバンドのスキルならば、もっと複雑なインプロビゼーションも出来るだろうし、海外のラウド系やメタルバンドも真っ青の音圧も出せるはずだ。そこを絶妙ギリギリのバランスで歌を生かす形にもっていっている。どの曲もそうだ。TAKUYA∞の声があったからこそ、この形になっているとも言えるが、またそこに葛藤もあったのではないかと思う。歌声だけを生かすなら、別の手法、別の音楽性もあったと思うからだ。しかしながら、彼らがライブを第一に考え、目指したサウンドはそうじゃなかった。スキルに裏打ちされた複雑なアンサンブル、身体に響く音圧とダイナミックでファンキーなリズム、抒情的なメロディー、人生の陰影と日常の光を彷彿させるメッセージ、そのすべてをひとつの塊にして観客に伝えること、オーディエンスを一緒に歌うことを目指したのではなかろうか。

 中盤のMC。「最高、本当に最高。俺たちの作った曲をあたかも自分の曲のように歌ってくれている。いいんだ、それでいいんだ。それで俺たちも励まされている。励ましあおう!」この言葉に、大歓声で答える観客。「この武道館を愛でパンパンにしよう」と「SHOUT LOVE」へ。最新アルバム制作の際、最後に作ったと言うこの曲で、TAKUYA∞は、ハイトーンを綺麗に響かせる。最後のサビではファルセットじゃなく、ギリギリ地声で歌う姿に、本当に歌詞を大切にしているんだなと思った。「武道館、後半戦、もっともっと距離を縮めていこうぜ」という言葉からライブは後半へ。多数のレーザーと明滅するフラッシュのようなライティングの中「I LOVE THE WORLD」、続く「Q.E.D」では、ステージ上のメンバーがヘッドバンキングする、ステージ上を駆け抜けるなど、ライブバンド然としたパフォーマンスでオーディエンスを煽る。ワールドミュージックやレゲエのフレーバーが特徴の「LONE WOLF」では、TAKUYA∞は、ひとつ言葉の中の単音を意識して大きくしたり伸ばしたりするような、独特のフロウをみせ、楽曲に個性を添えた。日本語でどこまでサウンドの起伏に寄り添えるかのチャレンジなのではなかろうか。少なくとも私はそう思った。

 最後の曲の前、TAKUYA∞がマイクをとった。やっぱり何度やっても日本武道館は楽しいと、10年連続で日本武道館公演を大成功させた感想をシンプルに述べると、こう続けた。

「デビューの時はいろいろ迷ってた。だけど今は音楽も音楽以外も楽しんでる。人生を楽しんでる。あなたたちの中には、あなたたちのUVERworldの世界があるだろうけど、そこをいい意味でぶっ潰していけるようなバンドでありたいと思います」

 そして、過去は1回のツアーで必ず喉をつぶしていたけど、今回のツアーでは1回も潰さなかった、自分と向き合って最強のUVERworldの喉を手に入れたんだ、と。正直、ここまで暴露せずともいいのではないかと思うエピソードだったが、ここまで言ってしまうのが、TAKUYA∞の真髄なのだろう。だから彼が歌う言葉は、真っ直ぐに聴く者の心をとらえるのではなかろうか。彼は最後、こう締めくくった。

「お互い、もっと輝いていこうぜ」

 ラストを飾ったのは「7日目の決意」。メンバーが1人ずつステージ中央に出てきて、それぞれ感謝の気持ちを述べる。目を真っ赤にした女の子の顔が見える。「最高!」と何度も叫んでいる男の子の声が後方からふってくる。額にはりついた前髪を気にする女子高生。自分のタオルで相手の顔を拭いてあげているカップル。上気して赤くなった頬は、この日、UVERworldと最高の夜を作り上げた者が持つ勲章だ。全国各地で同様の勲章がどれだけあっただろう。「IDEAL REALITY TOUR」は幕を閉じたが、すぐ次のツアーが待っている。この日の、そしてあの日の勲章をひとつの記憶にして、オーディエンスはまた、UVERworldと一緒に、最高の夜を迎えにいく。

【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:鳥居洋介】

tag一覧 J-POP ライブ UVERworld 男性ボーカル

リリース情報

TYCOON

TYCOON

2017年08月02日

Sony Music Records

01. TYCOON
02. Q.E.D.
03. シリウス
04. SHOUT LOVE
05. IDEAL REALITY
06. LONE WOLF
07. DECIDED(Album ver.)
08. PRAYING RUN
09. ALL ALONE(Album ver.)
10. 一滴の影響(Album ver.)
11. ほんの少し
12. 僕の言葉ではない これは僕達の言葉(Album ver.)
13.WE ARE GO(Album ver.)
14. Collide
15. 奏全域
16. I LOVE THE WORLD
17. エミュー
18. 終焉

セットリスト

UVERworld IDEAL REALITY TOUR
2017.10.4@日本武道館

  1. 01.TYCOON
  2. 02.DECIDED
  3. 03.CORE PRIDE
  4. 04.WE ARE GO
  5. 05.Don’t think.Feel
  6. 06.一滴の影響
  7. 07.IDEAL REALITY
  8. 08.誰が言った
  9. 09.シリウス
  10. 10.奏全域
  11. 11.エミュー
  12. 12.ナノ・セカンド
  13. 13.PRAYING RUN
  14. 14.ALL ALONE
  15. 15.SHOUT LOVE
  16. 16.ほんの少し
  17. 17.Massive
  18. 18.I LOVE THE WORLD
  19. 19.Q.E.D.
  20. 20.零HERE ~ SE ~
  21. 21.IMPACT
  22. 22.LONE WOLF
  23. 23.RANGE
  24. 24.7 日目の決意

お知らせ

■ライブ情報

UVERworld TYCOON TOUR
11/02(木) 神戸ワールド記念ホール
11/03(金) 神戸ワールド記念ホール
11/11(土) 静岡エコパアリーナ
11/12(日) 静岡エコパアリーナ
11/22(水) 大阪城ホール
11/23(木) 大阪城ホール
12/05(火) 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
12/06(水) 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
12/13(水) 日本ガイシホール
12/14(木) 日本ガイシホール
12/16(土) セキスイハイムスーパーアリーナ - グランディ・21
12/17(日) セキスイハイムスーパーアリーナ - グランディ・21
12/20(水) 横浜アリーナ
12/21(木) 横浜アリーナ※TAKUYA∞生誕祭
12/25(月) 日本武道館※UVERworld Premium LIVE on Xmas 2017
12/30(土) マリンメッセ福岡
12/31(日) マリンメッセ福岡

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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