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Bentham、バンドキャリア初のフルアルバムを引っ提げ行った「Re: Wonder TOUR 2017」 ファイナル東京公演をレポート

Bentham | 2017.11.06

「何があっても僕らが手を差し伸べるから」。ライブの終盤、小関竜矢(Vo・Gt)は強い口調でそう宣言した。今年4月にメジャーデビューを果たしたBenthamが初のフルアルバム『Re: Wonder』を携えて開催した、全17公演のツアーのファイナルとなった赤坂BLITZ。5年間のインディーズ活動を経て、メジャーフィールドに進出した彼らにとって、今回は新たなお客さんと出会う、大きな意味のあるツアーになった。だからこそ、そのツアーのファイナルでは、メンバーの口から、ステージで音楽を鳴らすことの喜びをいっそう噛みしめるような言葉が多く飛び出したのが印象的だった。“あなたの日常に寄り添うバンドでありたい”。いまもむかしも変わらない彼らの願いがより強固になるのを感じるライブだった。

 SEが流れ出した会場に、小関竜矢、須田原生(Gt・Cho)、辻怜次(Ba)、鈴木敬(Dr・Cho)がステージに現れると、まずはドラム台を囲み、4人が気持ちをひとつにしてからライブがスタートした。「赤坂いけるか!Benthamです、よろしく、楽しんで行こうぜ!」という小関の第一声に続き、須田の雄弁なギターソロが炸裂した「サテライト」で会場からは一斉にハンドクラップが湧き起こった。強靭なバンドサウンドにのせて、キャッチーなメロディを小関のハイトーンボイスが軽やかになぞっていく。「手の鳴る方へ」で須田と辻がお立ち台に乗って繰り出すプレイは互いに殴り合うように強く個性を主張し合うプレイだ。鈴木のシンバルカウントを合図に「Heartbreaker」へ。ライブの幕開けは挨拶代わりとばかりに、これまでライブハウスで成長させてきた馴染みのナンバーで会場を温めていった。

「Re: Wonder TOURへようこそ。東京ただいま!ツアーで感じたことを思いっきりぶつけていこうと思います。とは言いつつ、普通に曲をいっぱいやってたら、時間がなくなっちまうなあ……“タイムオーバー”!」という小関のMCから突入したのは、「タイムオーバー」。軽やかなスタッカートで弾む愛嬌のあるメロディがとても小関らしい。さらに最新アルバム『Re: Wonder』のなかから「センチメンタル」へ。フロアのお客さんを男チーム、女チームに分けると、この曲のノリにちなんで、「Benthamのことを好きですか?」「ハイ!ハイ!」というコール&レスポンスで盛り上げていった。ところが、ここでギターの須田だけが、なぜか「ヘイ!ヘイ!」と言っている!?という事実が発覚すると、その流れで「HEY!」という曲に繋いだり、その「HEY!」でもメンバー全員の名前を織り交ぜたコール&レスポンスを繰り広げたり、いままで以上に“わかりやすくみんなで楽しめる要素”を加えていたのは、おそらく今回のツアーで初めて参加したお客さんも増えたからだろう。

 ライブの中盤、小関がギターを掻き鳴らしながら、会場の熱狂をクールダウンさせるように語りかけた。「みんなの目を見て、空気を感じて、気持ちを受け取って、ライブハウスは最高だなと思ってます。いつも頑張ってるのもわかってるし、“俺もこんなに頑張ってる”とか言うつもりもない。伝わってると思います。何かあったら、俺らのせいにして。みんなの生活の晴れ間になったらいいと思っています」。そう言ってから、ギターの須田がピアノを弾いて届けたのはインディーズ時代から歌い続け、少しずつかたちを変えてきたミディアムポップ「夜明けの歌」だった。サビで繰り返される“僕のせいにしてくれよ”という歌詞は、自分を責めて押しつぶされそうになったら、全部僕のせいにしていいよ、という意味が込められている。小関が書く歌詞は直接的なメッセージというよりも、その奥に熱い想いを秘めたものだ。その真意や熱量はライブという場所でこそダイレクトに伝わってくる。そこから、先ほどの小関の言葉を借りるなら、“晴れ間”を願う、爽快なポップナンバー「Sunny」へ。ステージが淡いピンク色に染まるなか、引き続き須田がクラシカルなピアノのフレーズを弾いて届けたその曲は、Benthamが“ギターロックバンド”としての一面だけでなく、まだまだ音楽的な可能性を秘めていることを感じさせてくれるものだった。

「Sunny」のエンディングから雪崩れ込むように鈴木のドラムソロにはじまり、そこにベースの辻が加わると、やがて再び4人に戻って繰り広げたセッションコーナーから、いよいよライブはクライマックスに向けて怒涛の勢いで駆け抜けていった。なかでも、激しく明滅する光のなかで届けられた「White」は素晴らしかった。よりエモーショナルに加速していく長めのアウトロのなかで、「あーーー!」と言葉にならない声で叫んだ小関。決してあきらめることのできない夢を、暗闇のなかから掴もうとする歌詞は、同じように、がむしゃらに夢へと向かって走り続けているBenthamというバンドにもよく似合っていた。

「誰かに何かをわかってほしいと思うけど、伝わらなくて、いろいろな声が聞こえてくる毎日。変な声が聞こえても耳をふさいどけよ。俺の声だけ聴いていればいい!」と言って届けたのは「Chicago」。緩急を自在に操りながら、様々なギミックを詰め込んだベンサムの新しいアンセムをライブのハイライトにして、「どうしたら、あの子は振り返ってくれるのかな。それは大好きな子でも、夢でもいい。もうすぐ(自分も)いろいろなものが振り返ってくれそう。あんたらがいれば大丈夫。頼んだぞ」と言ってから届けたラストソングは「パブリック」だった。かつてインディーズ時代のBenthamが“パブリック”=みんなの歌になるという意志を込めて作った楽曲が、赤坂BLITZの大きなミラーボールが回るステージのうえで鳴らされる光景を見ると、この歌がさらに広がる瞬間を見たいと心から思った。

 アンコールでは、「1公演1公演、僕らが音楽をやっていくうえで大事になったツアーだった」と振り返った小関。「2018年、僕らがどんなふうに前に進んでいくか、どういう気持ちを伝えていくかを見ていてほしい。みんなに寄り添えるバンドになりたい。最近、本当に音楽が好きになりました。たくさん聴いてください」と言って、「僕から君へ」と「激しい雨」を届けた。そして最後にライブを締めくくったのは小関とメンバー3人のコーラス、ギターのアルペジオだけで聴かせたバラード曲「クラクション・ラヴ」だった。アップナンバーで終わらないライブは珍しかったが、“君の笑顔のために僕は歌う”というシンプルな意味を持つこの曲を、大切な場所で届けることを選んだのもBenthamらしかった。

「まだまだ僕らは伝わりづらいことが多いかもしれないけど、がんばっていきたい」。MCでは、小関がそんなふうに言う場面もあった。なかなか伝わらないもどかしさを抱きながら、それでもBenthamは赤坂BLITZまで辿り着いた。何かを成し遂げるとき、一足飛びにゴールには行けない。一歩一歩、それでも前へ。それがBenthamの闘い方だ。

【取材・文:秦 理絵】
【撮影:後藤 壮太郎】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル Bentham

リリース情報

Re: Wonder[CD+DVD盤]

Re: Wonder[CD+DVD盤]

2017年07月26日

KOGA RECORDS

1.Chicago
2.透明シミュレーション
3.White (Album Ver.)
4.今さら
5.Sunny
6.戸惑いは週末の朝に
7.ファンファーレ
8.エスケープ
9.Heartbreaker
10.survive
11.センチメンタル
12.激しい雨
13.クラクション・ラヴ

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お知らせ

■ライブ情報

the quiet room pre.
「運転免許取得☆車でGO!GO!ツアー 2017」

11/10(金) 名古屋ハートランド

ドラマチックアラスカ
「イッツ ア ワンダフル ワールド ツアー 」

12/11(月) 水戸 LIGHT HOUSE
12/12(火) HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2

SAKANAMON
「9な帰省ですみま10ツアー」

12/15(金) 岩手盛岡club change WAVE
12/16(土) 青森青森Quarter
12/18(月) 北海道COLONY

J-WAVE
"THE KINGS PLACE" LIVE Vol.15

12/26(火) 新木場 STUDIO COAST

COUNTDOWN JAPAN 17/18
12/31(日) 幕張メッセ国際展示場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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