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熱いエネルギーを渦巻かせ、音楽を鳴らす喜びに満ち溢れていたKICK THE CAN CREWのツアー初日をレポート

KICK THE CAN CREW | 2017.12.13

 アルバム『KICK!』を8月30日にリリースした前後で各地の音楽フェス、イベントに出演して、9月7日には日本武道館に縁の深いゲスト陣を招いて『復活祭』を開催――6月に完全復活が宣言されて以降、KICK THE CAN CREW(以下、KTCC)の唯一無二の魅力が様々な形で示され続けた日々を経て、ついに迎えた<LIVE TOUR 2017「タコアゲ」>の初日。彼らが全国ツアーを行うのは、約13年5ヶ月ぶりなのだという。この3人が共にステージに立つのを観るのは初めてであることが窺われる若いファンも数多いZepp DiverCity内には、ものすごい期待感が漂っていた。そして、いよいよ開演時間。DJの熊井吾郎がターンテーブルからサウンドを放ち、KREVA、LITTLE、MCUがステージ上に現れると、地鳴りのような歓声が会場全体で湧き起こった。

 ツアーは今後も続くので、細かい演出をテキスト内で紹介するのは控える。披露された曲について触れるのも最小限にとどめておくが、パーティーチューンとして抜群のパワーを発揮していた「完全チェンジTHEワールド」、叙情的な風景を浮き上がらせた「また波を見てる」など、最新作『KICK!』の収録曲を存分に堪能させてくれた他、代表曲も絶妙なバランスで配置していたセットリストは、とても内容が濃かった。

 また、3人のラップのコンビネーションの良さが際立っていた上、各々のキャリアの中で磨かれてきた表現力が豊かに融合していた点も、特筆すべきところだろう。壮大に響き渡った「千%」が、KTCCの完全復活を改めて実感させてくれたり、先の全く見えない20代の頃に抱いた葛藤がリアルに反映されていた「アンバランス」が、様々な経験を積んできた現在の3人が歌うことによって一層の深みを伴って迫って来たり――新旧のあらゆる曲が、フレッシュな輝きを放っていたのが、とても印象的だった。

 ヒップホップが日本の音楽シーンに定着する前からロックフェスを含むアウェイの場でも戦ってきた彼らならではの、観客をどんどん巻き込むパワーも、随所で冴え渡っていた。シンガロングする部分を軽く練習してから曲をスタートさせ、観客の歌声を美しく開花させたり、ステージの隅々までを巡りながらあらゆるエリアの人々の歓声やダンスを煽ったりもしながら熱気を果てしなくエスカレートさせていた姿は、とにかく貫禄たっぷり。MCに於ける和気あいあいとしたやり取りも、大いに光っていた。「やっときますか? やり収めだな。今年でこの挨拶も終わり。他の人の挨拶を使うのはやめよう(笑)」と言いつつ、某国民的3人組女性ユニットを彷彿とさせる自己紹介をテンポ良く繰り広げた瞬間、会場内のムードが一際和やかになったのを感じた。

 そして、時折のインターバルでの3人の掛け合いもエンターテイナーとしての切れ味の良さを示していた。MCUが喋りだそうとした瞬間、KREVAが「これからMCUさんのお話を!」というような感じで割り込んで邪魔をする……というような、最近、お約束となりつつある両者のやり取りをする場面もあり、3人が実に楽しそうに共にステージに立っている姿を観て、「相変わらずだなあ」と胸が熱くなったファンもたくさんいたのではないだろうか。

「人生って時に……いや、大体自分の思い通りにいかないことばっかりだけど、“ここだ!”と思った時に流れに乗った方がいい。そして、その流れを作る。それが大事だなと感じてます。ここに来た人たちは、完全チェンジTHEワールドしてますよ」(KREVA)。「こんなにみんなが集まってくれて、嬉しそうな顔が見えるけど、何が嬉しいって、こっちが一番嬉しいよ」(MCU)。「我々は“休止”って言ってから約14年の月日を必要としました。時には“このまま終っちゃうんじゃないの?”って思った人もたくさんいたと思う。でも、今みんなの前でライブができているのは、本当にみんなのおかげです」(LITTLE)――KTCCとしてステージに立ち、集まった人々が大喜びしていることに対して、3人が心から感謝していた終盤のMCタイムは、とても心温まるひと時となっていた。

 2001年5月23日、シングル『スーパーオリジナル』でメジャーデビューした時、彼らはタイトル曲で《スーパーオリジナルにのし上がれ!!》と力強く歌い、まさしくその言葉通りにJ-POPシーンの中で異彩を放つ存在となった。当時の3人にも通ずる熱いエネルギーを渦巻かせつつ、音楽を鳴らす喜びにも満ち溢れていたツアー初日公演は、全編で圧倒的な盛り上がりを生み、爽やかな余韻と共に終演を迎えた。代表曲の1つである「イツナロウバ」の《まだ何も終わっちゃいないぜ》というフレーズが自ずと思い浮かぶくらい、現在進行形のKTCCを感じさせてくれる素晴らしいライブだった。今後の彼らも、刺激的な何かを我々にたくさん届けてくれるだろう。

【取材・文:田中 大】
【撮影:岸田哲平】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル KICK THE CAN CREW

リリース情報

KICK !

KICK !

2017年08月30日

スピードスターレコーズ

1.全員集合
2.千%
3.今もSing-along
4.SummerSpot
5.なんでもないDays
6.完全チェンジTHEワールド
7.また戻っておいで
8.また波を見てる
9.I Hope You Miss Me a Little
10.タコアゲ

お知らせ

■ライブ情報

LIVE TOUR 2017「タコアゲ」
2017/12/16(土) Zepp Nagoya
2017/12/17(日) Zepp Osaka Bayside
2017/12/21(木) 広島 CLUB QUATTRO
2017/12/24(日) 福岡サンパレス

rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 17/18
2017/12/28(木) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール イベントホール

ビクターロック祭り2018
2018/03/17(土) 幕張メッセ国際展示場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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