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2018.2.27『UVERworld LIVE TOUR 2018 男祭りvs女祭り in Zepp DiverCity

UVERworld | 2018.03.09

 全身全霊。有言実行。前進あるのみ。
 UVERworldというバンドに、後ろ向きな言葉や、諦めを感じさせる言葉はいっさい存在しない。
 そんな彼らに共感し、彼らについていくファンたちは、彼らのそんな強い精神力に強く惹かれているのだろう。しかし。彼らとて人間。最初から強いわけではなく、生まれつき傷つかない特別な精神力を持ち合わせているわけではない。弱い部分もあれば、人並みに傷つく。だが、彼らは、経験してきたすべてを自らのバネとし、今、UVERworldとして聴き手に伝えるメッセージを心から歌えるようになったのだ。

 自分に打ち勝つこと。嘘を付かないこと。そして、とにかく前に進むこと。
 彼らは自分達が信じて進んできたその先に広がっていた、現在自分達の目の前に在る景色を、UVERworldを求めてくれる人達全員の人生の中にも魅せたいと思い、全身全霊の力で必死で叫び、必死で奏でるのだ。一瞬たりとも手を抜くことなく。
 そんな彼らの生き様を見ているからこそ、UVERworldのファンは、胸に特別な熱さを宿すのだ。

 2月27日のZepp DiverCityで行われたライブも格別に熱かった。
 この日は、『男祭りvs女祭り』と銘打ったライブであったことから、客席は男性限定エリア、女性限定エリアに別れているという、いつもとは違った形式で行われたライブであった。この男女対決ライブは、昨年の12月21日に横浜アリーナで開催した『TYCOON TOUR TAKUYA∞生誕祭』で、“ステージ中央で左右に客席を半分に分け『男祭り』と『女祭り』を同時に行う”という、UVERworld史上初、そして横浜アリーナ史上初の企てとなった第2弾。Zepp DiverCity版であったのだ。

 客席は、ステージに向かって左側が男性限定エリア、右側が女性限定エリアとなっていたのだが、ライブ開演前から男性エリアは先立った熱気を放ち、オーディエンスの1人が“盛り上げていこうぜ! 男っ!”と声を発すると、その声に男ファンたちが轟音のような歓声を上げた。それに対し、静かに闘志を漲らせる女ファンたち。どうやら、両者ともに、競う相手がいるということが、いつも以上の熱を放つ要因であった様だ。
 オーディエンスは、ヴィジョンに映し出された開始時刻を知らせる数字が30秒を切ると、大声で始まりの時間をカウントし始めた。さらに声の音量があがった10秒前。オーディエンスは、ステージへと押し寄せながら、大声で叫んだ。5、4、3、2、1--- 。
 UVERworldがオーディエンスのカウントに対して、1曲目に届けたのは「いつか必ず死ぬことを忘れるな」だった。
 いやぁ、またノッケから熱いとこをぶつけてきてくれたもんだ。

≪別れ惜しんで泣くだけじゃなく いつか自分だって変わらず死んで行くことも忘れんじゃないよと 人が生きる為に与えられた時間は きっと必要な時間の半分も渡されちゃいないんだ≫

 全力の演奏と全力の叫びでこの曲を届ける6人の姿を見せつけられたら、もう叫ぶしかない。飛び込んでいくしかないのである。
 それを証拠に、1曲目からモッシュ、ダイブの応酬である。ただただ暴れることを目的とするものではなく、無条件に彼らの音とTAKUYA∞の歌(言葉)に突き動かされての“衝動”そのものであることが見て取れた。2曲目の「DECIDED」では、イントロに入る前のギターのハウリングを聴いただけで、オーディエンスは次に届けられる曲が「DECIDED」だと悟り、狂喜の声を上げたほどである。ここに集まったファンたちは、TAKUYA∞の息使いや、ギターのフィインガーノイズまでも、彼らから発せられるすべてを、一欠片も逃さずに聴き込んでいる奴らなのだ。克哉、彰、信人、真太郎によって放たれるラウドなバンドサウンドを受け、間奏で誠果が伸びやかなサックスソロを響きわたらせるこの曲は、もはやロックという単純な呼び名で括ることが憚れるほど、“UVERworldという唯一無二な個性=UVERworldそのもの”なのである。

「スペシャルなセットリストで行こうよ!」

 TAKUYA∞は叫んだ。そう。彼らは、2月13日、14日のZepp札幌を皮切りに、メンバーの生誕祭を含むZeppでのライブハウスツアーをスタートさせていたのだが、1公演たりとも同じセットリストでライブをしていないのである。ちなみに、メンバーの生誕祭当日(2月14日は信人、22日は克哉、3月8日は彰)は、誕生日のメンバー本人が考えたセットリストで構成されるスペシャルを届けたのだという。そして迎えたこの日は、『男祭りvs女祭り』を意識してのスペシャルなセットリストだったのである。

「男! 女に負けてなんていられないよな! 女! 男になんて負けてらんねぇよな! いくぞ!」

 そんなTAKUYA∞の挑発を受け、届けられた「GOLD」に力強い拳を振り上げていくオーディエンス。
 左半分の男エリアは、モッシュ、ダイヴが止まることがないし、右半分の女エリアも1番後ろのオーディエンスまで、最前列の熱と同じ温度を放つ熱量で値から強く拳を振り上げていた。
 TAKUYA∞は、時おり最前列の柵に足をかけ、後方からダイブで最前列まで転がってくる男ダイバーたちと拳を合せた。拳が重なりあう瞬間、“よく来たな! オマエ、最高だよ!”というTAKUYA∞の心の声がはっきりと聞こえてきた気がした。

「男、オマエらヤベエな! まだまだ。勝負はこれからだからね。今日やった曲は、明日はやらない。1曲たりとも被ることはない。そんな今日しかないセットリストの中で、最高の景色を作りあいましょう! よろしくお願いします。俺たちで作り上げてきた男祭り。この7年間で2万3千まで膨れ上がらせた男祭り。今日、ここで爆発させような! そして。“いつも男、男って、うるせーんだよTAKUYA∞! 女だって本気見せてぇんだよ!”って言ってんのはオマエらだよな? 女の子の熱い気持ち聴かせてよ、よろしくお願いしますっ!」

 と、男女に変わらぬ愛情を注ぐ言葉を投げたTAKUYA∞は、「一滴の影響」へと曲を繋げていった。

≪許せば進めるし 恨みは立ち止まらす あれは僕のせいにしな それも僕のせいにしてよ君をずっと立ち止める その全てと 僕以外を許して 進んで行きなよ≫

 生きていれば、必ずぶちあたるいろいろな壁や葛藤。ある意味、それが生ている証拠。当たり前のこと。しかし、人はそんな壁や葛藤に大きく心を乱される。
 TAKUYA∞はこの曲の中で≪一番いけないことはさ 自分はダメだと思うこと≫だと歌う。オーディエンスは、モッシュやダイブを繰り返しながら、力強く拳を振り上げながら、“自分を愛してあげてよ”と叫ぶ、この曲の歌詞をしっかりと噛み締めている様だった。
 ライブが中盤戦に差し掛かった、「99/100騙しの哲」が届け終ったときのことだった。TAKUYA∞は、マイクを置き、最前列の柵に足をかけると、客席に身を乗り出して手を伸ばした。TAKUYA∞の手に触れようと多くのオーディエンスが手を伸ばしたのだが、TAKUYA∞はオーディエンスの手を激しく振り払う仕草をみせた。さっきまで拳を合せたり、手が届く距離のオーディエンスの手に触れながら歌っていたTAKUYA∞のその行動は、実に不可解なものだった。
 しばらくすると、TAKUYA∞は精一杯手を伸ばし、オーディエンスの上を流れてきた1人の女の子ファンを力一杯引っ張り上げて引き寄せたのだった。
 その後のMCでTAKUYA∞によってこの時の状況が詳しく明かされたのだが、なんと、歌っている途中から、女の子がオーディエンスの上を流れてきたのが見えたのだと言う。ダイブしたいという衝動を抑えきれなかった彼女に、“よく頑張ったね”と、声をかけた後、TAKUYA∞は右サイドの女の子オーディエンスを気遣った。

「やべぇな。気がきじゃねぇよ。自分でちょっと無理っぽいなと思ったら後ろに除けてなよ。無理しない様に。女には女の盛り上がり方ってもんがあんだから、男の真似なんかしたってカッコ良くないからさ。無理すんなよ。黄色い声最高だよ! 本当に無理すんなよ! おい、男! 女の子引っ張ってくぞ!」

 オーディエンスはその声に大きな歓声を返したのだった。

 この日、私の中でとても印象的に響いたのは、「RANGE」だった。男も女も関係なく、集まったオーディエンスのすべてが声を重ね、共に歌っていたその歌声が、いつもよりも特別大きく重なって聴こえた気がしたからである。

≪分かる人だけでいい 分かってくれる人だけでいい そんな程度の想いで今歌ってるわけじゃない≫

 きっと、オーディエンスは、その言葉の深さの意味を分かっているからこそ、共に同じ気持ちで声を重ねたくなるのだろう。ライブハウスという原点に立ち返って歌う彼らの音と言葉を、特別な想いで受け取っていた様に思えてならない。

 そして。「CORE STREAM」で、克哉、彰、信人、真太郎、誠果が、それぞれの個性とスキルがぶつかりあった、さすがとも言うべき、息の合った最高に熱いインストゥルメンタルを届け、ライブは後半戦へと走り抜けた。

 「CORE STREAM」が届けられていた間、ロビーの様子を覗きにいったというTAKUYA∞は、そこで20人を超える男オーディエンスが廊下でぶっ倒れているのを目にすることになったのである。

「今さぁ、ちょっと廊下覗いたら、男どもが廊下でぶっ倒れてたんだよ! 大丈夫かよ(笑)! 男がすげぇから、女の子ドン引いてるよ(笑)。でもさぁ、俺、そういうのカッコイイと思っちゃうんだよ! 勘違いだって分かってんだよ。でもさぁ、欲しいモノ掴むために必死なんだよな! いいんだよ、それで! 勘違いしていこうぜ! 勘違いしてます、よろしくどうぞ(笑)」

 終始1,000%。いや、それ以上。もはや、数字では現しきれない次元なのかもしれない。それほどメーターは常に振り切っている。そんなこれ以上にないタフなライブは、「終焉」をラストに、全19曲が届けられた。
 少しだけ、人間らしい弱さが伺える「終焉」は、弱さをまったく感じさせることなく、全力で突っ走ったライブの最後に聴くと、より胸を締め付けられる。

 UVERworldが目指すのは、“理想という名の現実”。

 力の限りを出し切った絶対的な音圧と、余力を残すことなく叫ばれるTAKUYA∞のリアルな言葉(唄)は、この先も、オーディエンスが一体となった圧巻の景色を魅せ続けてくれるに違いない。

≪出逢えただけでいい 言葉かわせただけでいい そんな程度の出逢い此処で求めて来たわけじゃない≫

 「RANGE」で歌われるこの歌詞が、とても深く響いた、本物の絆を見せつけられた夜だった。

【取材・文:武市尚子】
【撮影:小林太樹】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル UVERworld

リリース情報

ODD FUTURE

ODD FUTURE

2018年05月02日

Sony Music Records

後日発表

セットリスト

UVERworld LIVE TOUR 2018 男祭りvs女祭り in Zepp
2018.2.27@Zepp DiverCity

  1. 01.いつか必ず死ぬことを忘れるな
  2. 02.DECIDED
  3. 03.パニックワールド
  4. 04.GOLD
  5. 05.Fight For Liberty
  6. 06.一滴の影響
  7. 07.IDEAL REALITY
  8. 08.REVERSI
  9. 09.99/100騙しの哲
  10. 10.エミュー
  11. 11.畢生皐月プロローグ
  12. 12.RANGE
  13. 13.CORE STREAM
  14. 14.Wizard CLUB
  15. 15.Collide
  16. 16.奏全域
  17. 17.CORE PRIDE
  18. 18.Ø choir
  19. 19.終焉

お知らせ

■ライブ情報

METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2018
05/26(土) 新木場・若洲公園

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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