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雨のパレード 東京ファイナル 日比谷野音をレポート

雨のパレード | 2018.05.09

 夕暮れ時の爽やかな風が吹き始めた頃にスタートした日比谷野外大音楽堂公演。山崎康介(G&Syn)、是永亮祐(B)、大澤実音穂(Dr)が各々の楽器の準備を済ませた後、福永浩平(Vo)も登場。“気持ちいいね。どうぞよろしく!”と観客に呼びかけた。そして「You & I」の演奏がスタート。穏やかに広がっていくサウンドに身を任せた人々が、早くも恍惚の表情を浮かべている。今日のライブが特別なものになりそうな気配が早くも漂っていたオープニングであった。

 大澤のスティックカウントでスタートした2曲目「Dive」は、力強く高鳴るサウンドに合わせて観客が一斉に手拍子。続いて「Horizon」「Tokyo」「new place」「Petrichor」も届けられたが、曲毎にエレキギターとシンセサイザーを使い分けて、美しい音像を響かせる山崎。サンプリングパッドから繰り出す音色も交えて曲の奥行きを効果的に広げる大澤。多彩なプレイによって活き活きとした躍動感を生む是永――濃厚なサウンドに包まれながら歌い続けた福永が実に気持ちよさそう。会場の周囲に緑の木々が茂り、その向こう側には官庁のビルが立ち並んでいる風景に雨のパレードの音楽は、とてもよく似合っていた。

“晴れましたね。どっち期待してた? 雨? 3月14日に『Reason of Black Color』をリリースしましたが、自分たちの中にある色を、より濃く出したアルバムです。このツアーのタイトルは『COLORS』。俺らは各会場でいろんな色を貰って、成長してきたんです。だから今日は、俺らが染める番です。最後までよろしく!”。福永のMCを挟んで、再び演奏へ。印象的なシンセサイザーのフレーズに彩られながら広がるメロディが瑞々しかった「Shoes」。続いて「(soda)」も届けられたが、すっかり日没を迎えた屋外で体感するのは、堪らないほど贅沢なことだと感じた。

“アルバムの中で1曲だけアコースティックギター1本の曲があって。僕が鹿児島から上京してから住んでた家があるんですけど、6年間住んだんです。そこでいっぱい曲を作ったし、仲間たちを呼んで遊んだし、振り返ればいろんな思い出が詰まってるなと思って。アルバムを作ってる時期に引っ越すことになって、その家についての曲を書こうかなと。せっかくだから、その家で録ることにして、自宅に1本だけマイクを立てて、康介さんにギターを弾いてもらったんです”――制作エピソードを語ってから披露した「H.Apartment」。傍らで山崎がアコースティックギターを爪弾き、福永はライトを浴びながら一心に歌い上げた。そして“もう1曲アコギでやろうかなと。今日は……あの曲にしようかな。気分がいいから「You」にしよう。最近、動画サイトに我々2人(福永と山崎)のアコースティックバージョンを上げたので、今日は特別にやりたいと思います。この曲は、書くのに苦労したんです。1stシングルの曲なんだよね。初めて書いたラブソングなんですけど”というMCを経て届けられた「You」。月と星が輝き始めた夜空に向かってメロディが吸い込まれていくのが、何とも言えず心地よかった。

“第2部、行けますか? ここから怒涛の展開です”と福永が言い、再びステージ上にメンバー全員が勢揃い。色とりどりのインクが渦巻くグラフィックがステージ全体に投影された中、響き渡った「Reason of Black Color」が、とても神々しかった。続いて「Hwyl」も披露された後、薄暗い空間に誰かが現れたのが見えたのだが……トランペットを吹き始めたその人物は、なんとSOIL&"PIMP"SESSIONSのタブゾンビ! 豪華共演が実現した「Hometown feat. TABU ZOMBIE(from SOIL&"PIMP"SESSIONS)」は、観客の熱い興奮を誘っていた。そして、お楽しみはさらに続いた。“タブさんは、地元の大先輩。僕が小学生の頃から通ってた本屋さんがあって、そこでいろんな漫画とか文房具を揃えてたんですけど、タブさんの実家なんです。タブさんに、アルバムに参加してほしいとずっと思ってて。僕らにとって初のゲストミュージシャン。ライブにゲストをお迎えするのも初めて。1曲だけで終わらせるのもアレなので、今日だけの特別バージョンをお届けしようかなと”と福永が語り、披露された「ice feat. TABU ZOMBIE(from SOIL&”PIMP”SESSIONS)」は、観客を開放的に踊らせていた。

 大きな拍手がゲストのタブゾンビを見送り、再び4人編成に戻った雨のパレード。インストゥルメンタルナンバー「GOLD」を経て、「Change your mind」「epoch」「Count me out」も披露されたが、清らかな光に満ち溢れるかのように広がるサウンドが、ただひたすらに圧倒的だった。“こうやって音楽の聖地、野音でワンマンができるのも、応援してくれるみんなのおかげです。ほんとにありがとうございます! 気持ちよかった。最高だった。俺ら、もっとでかいところへ行きたいんだよね。そこら中を俺ら色に染めたいんだ。だからこれからもよろしく!”。力強い意思が滲んでいた福永の言葉と共にスタートした本編ラストの曲「MARCH」を、観客は瞳を潤ませながらじっくりと噛み締めていた。

 鳴り止まない手拍子に応えてステージに再登場したメンバーたちは、各々想いを語った。“来てくださってありがとうございます! ほんとに愛おしいです。今日のためにバスドラムのフロントヘッドをマーブル模様(※アルバム『Reason of Black Color』のジャケットに使用されているアートワーク)にしてきました。もっとすごいバンドになりたいので、応援よろしくお願いします!”(大澤)。“めちゃめちゃ気持ちいいです。4月は新生活が始まったり、忙しい時期かもしれないですけど、来てくれてほんとに感謝してます。野音でワンマンは今日が初めて。イベントの時に見る景色とは全然違うんです。感無量でございます”(山崎)。“こんばんはー! ほんとにありがとうございます。こんなにたくさんのピーポー、ほんとに嬉しいです。僕は椎名林檎さんがめっちゃ好きなんですけど、高校の時から聴いてた曲で吹いてたタブさんと一緒に演奏する日が来るなんて思ってなかったです(※2006年、[SOIL&"PIMP"SESSIONSと椎名林檎]名義でコラボレーション作品『カリソメ乙女 (DEATH JAZZ ver.)』がリリースされた)。嬉しかった。楽しかった。頑張ってたら良いことあるなあと思いました”(是永)。“ここに立ててるのは、みんなのおかげです。これからもよろしくお願いします!”(福永)――笑顔を輝かせながら喜びを言葉にしていた4人の姿が印象的だった。

 このライブを華麗に締めくくったのは、“嘘みたいに明るい曲を書いてしまったので、盛り上がってください!”という福永の言葉と共にスタートした「What’s your name?」。手拍をしながら踊る観客も、ステージ上のメンバーたちも心底幸せそうだった。“ありがとうございました! またお会いしましょう!”と挨拶をして、ステージから去った4人に送られた歓声は特大級。奏でるサウンドによって最高の空間を生み出すことができる雨のパレードは、今後、さらに大きなステージへと進むに違いない。

【取材・文:田中 大】
【Photo by 田中聖太郎】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル 雨のパレード

リリース情報

Reason of Black Color

Reason of Black Color

2018年03月14日

ビクターエンタテインメント

1. Reason of Black Color
2. Dive
3. Horizon
4. GOLD
5. Shoes
6. ice
7. (soda)
8. Hometown feat. Tabuzombie (from SOIL&”PIMP”SESSIONS)
9. You & I
10. What’s your name? (plus strings ver.)
11. H.Apartment
12. Hwyl
13. #556b2f
14. MARCH

セットリスト

ame_no_parade Oneman Tour 2018 “COLORS"
2018.04.21@日比谷野外大音楽堂

  1. 1.You & I
  2. 2.Dive
  3. 3.Horizon
  4. 4.Tokyo
  5. 5.new place
  6. 6.Petrichor
  7. 7.Shoes
  8. 8.(soda)
  9. 9.H.Apartment (Acoustic)
  10. 10.You(Acoustic)
  11. 11.Reason of Black Color
  12. 12.Hwyl
  13. 13.Hometown feat. TABU ZOMBIE (from SOIL&“PIMP”SESSIONS) ※ゲスト:タブゾンビ)
  14. 14.ice feat. TABU ZOMBIE (from SOIL&“PIMP”SESSIONS) ※ゲスト:タブゾンビ)
  15. 15.GOLD
  16. 16.Change your mind
  17. 17.epoch
  18. 18.Count me out
  19. 19.MARCH
  20. 【ENCORE】
  21. en1.What’s your name?

お知らせ

■ライブ情報

METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2018
05/20(日)METROCK大阪特設会場
05/27(日)新木場・若洲公園

百万石音楽祭2018〜ミリオンロック フェスティバル〜
06/03(日)石川県産業展示館(1〜4号館)

DRIP TOKYO @ WWW X
06/24(日)渋谷 WWW X

THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2018
10/07(日)鹿児島市・桜島多目的広場&溶岩グラウンド

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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