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mol-74、“夜は、明ける”夜から朝へ、そして冬から春を描いたワンマン公演

mol-74 | 2018.05.25

 チケットがソールドアウトして、満杯となっていた会場内の照明が暗転。やがて、徐々に1灯のライトが明るくなり、坂東志洋(Dr)、髙橋涼馬(B) 、井上雄斗(G・Cho)が登場した。 最後に武市和希(Vo・G・Key)が現れ、薄暗がりのステージ から手を振ったのが見える。拍手が4人を出迎えたが、程よい緊張感を何処となく漂わせている観客のムードが独特。ステージに向かって左側から坂東、武市、髙橋、井上、ほぼ横1列のフォーメーションなのが目を引く……そんなことを考えていると、「● (Fanfare)」の演奏がスタートした。武市がシンセサイザーを弾きながら放つメランコリックな音像に井上、坂東が奏でる音色も加わり、構築されたアンサンブルがとても美しい。浮き彫りにされた瑞々しい歌声、ドラマチックに展開するサウンドに圧倒される外ないオープニングであった。

「楽しむ準備はできていますか? 最高の夜にしましょう」。武市が観客に呼びかけて、2曲目「▷ (Saisei)」。井上がバイオリンの弓でエレキギターの弦を弾く“ボウイング奏法”によって艶めかしい音のベールを生み出しているのがユニークだった。続いて「▷ (夜行)」「アルカレミア」「プラスチックワード」「フローイング」……様々なナンバーが届けられていったが、キーボード、アコースティックギター、エレキギターを使い分け、多彩な質感を各曲に添えながら歌う武市の姿がスリリングだった。そして、4人各々の豊かな表現が完全に融け合う様が、とにかく圧倒的。楽器編成を踏まえて紹介するならば、mol-74は“ギターロックバンド”ということになるのだろう。しかし、このような呼称からイメージされるサウンドを超越しているあの音楽は、何と表現するのが適切なのだろう? アルペジオや繊細なコード感を活かすUKロック的な風味、幻想的な世界にリスナーを巻き込むポストロックのエッセンスを融合させ、心地よい空間を生む4人は、とても素敵な音楽家たちだった。

 掲げた手のひらを揺らす開放的な瞬間が時折ありつつも、ものすごい集中力で耳を傾け続けていた観客は、「rose」の演奏が終わった瞬間、感極まった様子で一斉に拍手。そして、最初のインターバルを迎えた。「ツアーファイナルにお越こしくださり、ありがとうございます。新しい作品『▷ (Saisei)』は冬をテーマにしていて、今は春で、なんなら初夏ですけど(笑)。冬の曲が続きますのでよろしく」、武市のMCを経て、「| | (Frozen Time)」へ。ピアノ、歌声、甘美な音のベールが揺らめく様が、観客を恍惚とさせていた。その後も「バースデイ」「グレイッシュ」「◁◁ (瞼)」「ゆらぎ」「エイプリル」「ノーベル」……新旧の曲が届けられたが、多彩なベースフレーズで曲に生命を注入する髙橋、熱いビートからマレットを使った繊細なプレイまでを巧みに駆使する坂東――頼もしいリズム隊が揺るぎない土台となり、奥行き深いアンサンブルをバンド全体で構築する場面が続いた。

「雲一つない晴天の中、お越こしくださり、ありがとうございます。」。ファンの間で雨バンドとして定評があるmol-74。その期待に応えるかのように、この日の東京の天候は大雨……そんな状況をぼやき、1月に新宿のレコード店で行ったインストアイベントの日も大雪だったことを思い出したりもしつつ、観客の和やかな笑いを誘っていた武市。そして、「今日も雨で、僕ららしい。みんなの心だけは晴れさせて帰りたいと思います」という言葉と共に突入した「%」は、ドラムのビートに合わせて観客が小刻みに打ち鳴らす手拍子の一体感が素晴らしかった。

『▷ (Saisei)』が、“夜明け”や“再生”をテーマにしているという旨を語った武市。昨年、サポートメンバーだった髙橋が正式加入したことも、バンドにとっての“夜明け”や“再生”としての感覚があったのだという。「『▷ (Saisei)』は、《夜は、明ける》という言葉で終わる作品。今年は夜が明けそうです」――力強い言葉を添えて本編ラストを飾ったのは「□ (StarT)」。清らかな光に満ち溢れていくかのようなサウンドが美しかった。エモーショナルなサウンドを高鳴らせた後、ステージから去った井上、髙橋 、坂東。そして、最後までシンセサイザーを演奏して、自ら放った音像に包まれていた武市がステージを後にした瞬間、観客は熱い歓声を上げた。

 鳴りやまない手拍子に応えてステージに戻ってきた4人は、和気あいあいとしたムードでオリジナルグッズを紹介。本編では演奏にひたすら集中していた彼らだが、アンコールではリラックスした表情で親しみやすいキャラクターを滲ませていたのが印象深い。“mol-74の日”としている7月4日・代官山UNITで自主企画イベント『mol-74 presents “mol-7.4”』を開催し、THE NOVEMBERSをゲストに迎えることを発表した髙橋は、“心に残る1日にしたいと思ってます!”と、憧れのバンドとの共演を心から喜んでいた。

【取材・文:田中大】
【撮影:MASANORI FUJIKAWA】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル mol-74

リリース情報

(Saisei)

(Saisei)

2018年01月17日

Ladder Records

1.(Fanfare)
2.(Saisei)
3.(夜行)
4.(Frozen Time)
5.(瞼)
6.(StarT)
※各楽曲に表示不可文字が含まれております。

セットリスト

mol-74「▷ (Saisei)」release tour
2018.5.13@恵比寿LIQUIDROOM

  1. 01.● (Fanfare)
  2. 02.▷ (Saisei)
  3. 03.▷▷ (夜行)
  4. 04.アルカレミア
  5. 05.プラスチックワード
  6. 06.フローイング
  7. 07.rose
  8. 08.| | (Frozen Time)
  9. 09.バースデイ
  10. 10.グレイッシュ
  11. 11.◁◁ (瞼)
  12. 12.ゆらぎ
  13. 13.エイプリル
  14. 14.ノーベル
  15. 15.%
  16. 16.□ (StarT)

お知らせ

■ライブ情報

mol-74「▷(Saisei)」tour in China
05/25(金)上海 万代南梦宫上海文化中心-未来剧场
05/26(土)広州 MAO LIVE HOUSE

GREENS LIVE MEETING ~ぐりみ2~
05/29(火)梅田 Shangri-La

odol LIVE 2018 “O/g-4”
06/09(土)名古屋CLUB UP SET
06/17(日)心斎橋CONPASS

YATSUI FESTIVAL! 2018
06/16(土)渋谷ライブハウス

tacica pre.「PANIC ZOO×京都MOJO」
06/26(火)京都MOJO

テスラは泣かない。「偶然とか運命とか」Release Tour【10周年とかツアーとか】
06/29(金)岡山CARAZYMAMA 2ndRoom
06/30(土)広島CAVE-BE
07/01(日)福岡Queblick

mol-74 presents "mol-7.4"
07/04(wed) at 代官山UNIT

見放題2018
07/07(土)大阪・心斎橋アメリカ村周辺の19会場

Live is Beautiful.
07/08(日)高松DIME

JAPAN’S NEXT 渋谷JACK 2018 SUMMER
07/15(日)渋谷ライブハウス

MONSTER baSH 2018
08/19(日)国営讃岐まんのう公園

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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