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Bentham 『Bulbous Bow Tour 2018』ファイナルで見せた、過去最高の“今”

Bentham | 2018.06.20

「帰ってきました! ただいま!」(須田原生/Gt・Cho)。Benthamが4月にリリースしたEP『Bulbous Bow』を引っ提げた全国ツアー『Bulbous Bow Tour 2018』のファイナルを渋谷クラブクアトロで開催した。初日、京都MUSEでの夜の本気ダンスとの対バンを皮切りに、マカロニえんぴつ、ircle、サイダーガール、パノラマパナマタウンなどを迎えたツーマン形式の前半14本を経て、東名阪ワンマンでファイナルを締めくくった今回のツアー。これまで以上に楽しげな表情でステージに立ったメンバーは、ロックバンドとして大胆かつ繊細に進化した姿を見せてくれた。

「Bulbous Bow Tour、ファイナルへようこそ!」。小関竜矢(Vo・Gt)の第一声が渋谷クアトロに響き渡り、キャッチーなメロディが弾む「TONIGHT」からライブはスタート。フロントに立つ小関だけでなく、メンバー全員が主役級の存在感を放つ、やんちゃで熱量の高いBenthamのロックサウンドが高らかに鳴り渡ると、会場からは一斉にハンドクラップが湧き起こった。ポップで人懐こいメロディを小関のクリアなハイトーンが伸びやかになぞっていく。“カラフルに染められた”という歌詞に合わせて、ステージを七色の光が照らした「透明シミュレーション」では、須田の伸びやかなギターリフを合図に、メンバー同士がステージを生き生きと動き回り、時に向かい合いながら、4人にしか鳴らすことのできない音楽を生み出していく。美しいハーモニーを聴かせた「Bandwagon」は、バンドの儚さを歌ったナンバー。“僕等の時代は目の前さ”と力強く歌うこの曲は、インディーズ時代を含めて、結成から8年にわたり、どんな時も4人で悲しさも悔しさも乗り越えながら、ロックバンドとしてかっこよさを追求してきたBenthamにとてもよく似合っていた。

 4曲を終えて、「すごい熱いですね。もうライブ終盤ぐらい汗をかいてる」という須田に、「早い、早い(笑)!」と、辻怜次(Ba・Cho)が切れ味鋭いツッコミを見せたMCでは、『Bulbous Bow』という作品について、改めて須田が説明をした。船が進んでゆくために、船主に取り付けられた部分であるバルバス・バウという言葉には、これからもバンドが止まらずに進んでゆくという前進の意思が刻まれている。そのレコーディングでは、よりバンドの音楽を広い場所へと届けるための初めての試みとして、ギターを何本も重ねたり、ベースにテックを招いたり、曲ごとにドラムセットを変えるなど、細部までこだわって完成させたという。そういうレコーディングを経たからであろう、この日は、これまでのBenthamらしい荒々しさの中に、とても表情豊かで、味わい深くもある、繊細な演奏が印象的だった。

 ガレージロックのグルーヴが心地好い「KIDS」では、小関の出身地である神奈川県民や小田急線ユーザー、辻の出身地である和歌山県民だけにポイントを絞ったユニークなコール&レスポンスで湧かせた。「KIDS」は、これまでライブで何度も演奏してきた曲だが、こんな風に遊ぶのは初めてだったと思う。続けて、センチメンタルな別れのポップソング「SAYONARA」を披露すると、それがドラムの鈴木敬の作詞作曲ナンバーであることを改めて紹介。辻は、「これがBenthamの層の厚さです(笑)!」と笑顔で言ったが、小関を中心にメンバー全員が作詞作曲を手がけるBenthamというバンドは、そういう部分にまで踏み込んで理解した時、より面白いバンドに感じられるはずだ。

 ライブ中盤はツアーを振り返るMCだった。4人だけで夢を語り合った長崎の夜のこと、マネージャーも交えて訪れた愛媛の道後温泉のこと。些細な言葉のやりとりからもメンバーの仲の良さが伝わってくる。そして、ギターを弾きながら、「4月でメジャーデビュー1周年を迎えることができました」と語りかけた小関。「ライブなんかしょっちゅう来なくてもいいんだよ、来たい時に来てくれればさ。ただ、みんなが頑張って生活をしていく中で、みんなの生活の晴れ間になれたらと思って、Benthamをやってます。“なんで売れないんだろう?”って思うこともあるけど、こうやって集まってくれる人がいる、本当にそれだけでいいと思ってます。いつまで続けるかわからないけど、みんながいるから“明日もう辞める”とは言えない。そういうことを、今日みんなに伝えるために、ツアーで大事に温めた曲です」。そんなふうに紹介して届けたのは、バラード曲「クラクション・ラヴ」。それはBentham、が誰のために、何のために歌を届けるのかを伝える優しい歌だった。

 ギターの須田が手のひらに乗るサイズのミニピアノを弾いた「memento」(須田が作曲で、歌詞は須田と小関の共作だ)のあと、いつもとは違う新鮮なイントロで突入したのは「HEY!!」。この曲の途中では、ドラムの鈴木が、平昌オリンピックのカーリングで銅メダルを獲得したLS北見へのオマージュを込めて、「もぐもぐタイム」と称した、各地の名産品を自腹で用意して食べるというコーナーへと突入。東京編は、土壌鍋を食べたのだが、一瞬、それが曲の途中であることを忘れるぐらいの余興に、会場は大いに盛り上がった。
この日のライブでは、前半の「KIDS」然り、これまで何度もライブで聴いてきた曲たちに、新たなアレンジや遊び心を加えた曲が多かった。これまで、どこか「かっこいいロックバンドでありたい」という熱い想いのほうが先走っていたBenthamだったが、もちろんその意思を失わないままに、今のBentamは、誰ひとり置き去りにせず、お客さんと一緒に楽しめる音楽空間を作り上げるバンドへと成長したことが大きな進化だと思う。

「あんたらが本当に聴きたい音楽はなんだい!? 何かあったら、ライブハウスに来いよ。俺らの声を聴いてくれ!」と訴えた「Chicago」から「激しい雨」へと、ライブはクライマックスにかけて、小関のエモーショナルな言葉とともに、アップテンポな楽曲を畳みかけていく。ラスト1曲は「パブリック」。バンドの始まりを告げる大切なナンバーの中で、小関は「踊れー!」と渾身の叫び声を上げると、会場は息の合った手拍子で満たされた。

 アンコールでは、須田がひとりで登場すると、「あがり症でネガティブだった僕が、超ポジティブの、ちょいあがり症ぐらいになれた。それも音楽のおかげです」と語りかけて、なんと弾き語りで「雨と街」を歌い始めた。ワンコーラスを歌い終えたところで、他のメンバーも参加。鈴木の命名によるバンド名は“須田原生&the 梅雨前線”だそう。そんな演出も今回のツアーで初めての試みだ。さらに、このライブの前日である6月7日が小関の誕生日ということで、須田の伴奏で会場のお客さんがハッピーバースデーの大合唱を巻き起こすと、サプライズなお祝いに「うわっ! マジか!」と、驚きの声をあげた小関。「生きてきた中でいちばん大きい声で“おめでとう”を言ってもらいました。30代も4人で変わらず、Benthamを続けます、ありがとう!」と素直な言葉で喜びを伝えて、ラストは「手の鳴る方へ」と「クレイジーガール」を披露。まさにメンバー自ら、“今バンドがいい状態にある”と言い切っていたとおり、Benthamの過去最高を見事に更新するライブだった。

 なお、Benthamは9月6日に初の主催イベントを渋谷WWWで開催することを発表した。まだ他の出演者などの詳細は不明だが、満を持して開催されるBentham初の主催イベントは、かつてないスペシャルな一夜になりそうだ。

【取材・文:秦 理絵】
【撮影:白石 達也】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル Bentham

リリース情報

Bulbous Bow

Bulbous Bow

2018年04月04日

KOGA RECORDS

1.Bandwagon
2.Reset
3.FATEMOTION
4.SAYONARA
5.memento

セットリスト

Bulbous Bow Tour 2018
2018.06.08@渋谷CLUB QUATTRO

  1. 01.TONIGHT
  2. 02.サテライト
  3. 03.透明シミュレーション
  4. 04.Bandwagon
  5. 05.Reset
  6. 06.エスケープ
  7. 07.KIDS
  8. 08.SAYONARA
  9. 09.クラクション・ラヴ
  10. 10.僕から君へ
  11. 11.memento
  12. 12.HEY!!
  13. 13.FATEMOTION
  14. 14.Chicago
  15. 15.激しい雨
  16. 16.パブリック
  17. 【ENCORE】
  18. EN 01.雨と街
  19. EN 02.手の鳴る方へ
  20. EN 03.クレイジーガール

お知らせ

■ライブ情報

Golden Melody Festival
06/22(金)台北市内のライヴハウス・NEO Studio

アラスカナイズロックフェス
06/23(土)大阪 BIG CAT
06/24(日)名古屋 SPADE BOX
06/30(土)東京 LIQUID ROOM

見放題2018
07/07(土)心斎橋アメリカ村周辺 19会場

Amelie 「ビューティフルライフ」Release Tour 2018
07/10(火)F.A.D YOKOHAMA

JOIN ALIVE 2018
07/15(日)いわみざわ公園

そこに鳴る「4th mini album「ゼロ」release tour final 〜rewrite the zero〜」
07/20(金)渋谷club乙

MURO FESTIVAL 2018
07/21(土)お台場野外特設会場

"red cloth 15th ANNIVERSARY"
07/27(金)新宿red cloth

夏休みだョ!全員集合!
08/09(木)心斎橋BIGCAT

ROCK IN JAPAN FES.2018
08/11(土)国営ひたち海浜公園

MONSTER baSH 2018
08/19(日)国営讃岐まんのう公園

Bentham自主企画
09/06(木)Shibuya WWW

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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