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オメでたい頭でなにより たくさんの“ありがとう”が溢れたツアーファイナル

オメでたい頭でなにより | 2018.07.24

 これまでもオメでたい頭でなによりのライブには“ありがとう”の気持ちが溢れてはいた。だがその感謝は主に、ライブに集まってくれたこと、一緒にライブを盛り上げ楽しんでくれたこと、終始無事に、みなが無事故で笑顔で帰路についてくれたことなどに対して贈られていたように感じていた。しかしこの日の彼らは、今までとは多少趣きが違った“ありがとう”を、楽曲やMCに込めて放った。同じ感謝の意ながら、そこにはどこか<一緒に、この一戦を越えようとしてくれている者たち>といった、朋友や戦友たちへの“慈しみも交えた感謝”が含まれているように映った。

 今春メジャーデビューしたオメでたい頭でなによりの自身史上最大規模の全国ツアー『オメ道楽2018 ~鯛獲るレコ発編~』が、この日のZepp DiverCityをもって幕を閉じた。

 場内に入ると既にライブは始まっていた。とはいえそれは、この日の為に用意されたメンバーによるラジオ番組風の愉快なアナウンスの類。それらが開演までの場内を和ませていく。しかしよくよく聞けば、愉快な内容ながらホロッとくる一言や本音をさりげなく織り交ぜているのも耳を惹き、それが実に彼ららしく思えた。

 ステージ前の紗幕に注意/禁止事項の映像が映し出され、続いてメンバーのシルエットが。その中からまずはボーカルの赤飯がひと口上。続けて「かかってこいや~!!」のシャウトと共に幕が振り落され、いきなり派手な特効がライブ開始を告げる。1曲目はメジャーデビュー曲「鯛獲る」。雄々しいサウンドと疾走感とプリセットされた三味線。重さと軽さの同居といった彼らの真骨頂がいきなり炸裂する。
 新衣装の5人+マニピュレーターのマニピ猫。4台の紅白ステップを始め、ステージ上には、のぼりや演目帳、だるまなども配されている。

 「とうとう始まったぜ! 最後まで汗だくで楽しんでくれよ!!」とは赤飯。続く「えんがちょ!」では、飛び交うレーザーの中、mao(Ba)のスラップを始め、ぽにきんぐだむ(Gt&Vo)、324(Gt)、ミト充(Dr)のも交えたソロハイライトリレーが早くも炸裂。324のファンキーなカッティングも印象的だった「憂き浮きウォッチング」では会場に友達の輪を広げていく。同曲のラストはミト充のツインペダルが地響きを立てて会場を襲ってきた。

 ここでMC。赤飯が彼らのライブ初見者に声をかける。かなり多いその数に彼らの広がりと浸透が伺えた。「初見の方も、何度も観てくれている方ともども、一人残らず汗だくにして笑顔で帰らせる!」と宣言。続く「wosushi~ウォールオブ寿司~」では、大会場がお寿司作りの場へと早変わり。フロアが「ネタ」と「シャリ」に別れ、身体よりも心をぶつけ合うウォールオプデスを見た。またタオルの大旋回の壮観を生んだ「海老振り屋」では、ファンタスティックさを増大させるべくミラーボールも回り出し、名物・赤飯の声色の七変化も楽しめた。

 この日はミディアムな曲も挟まれた。「七夕リアン☆リターンズ」ではロマンティックさを場内に浸透させ、324もセンチメンタルを交えたギターソロをキメる。再び通常営業へと失笑ギリギリの寸劇を交えた「歌謡サスペンス劇場~わたしがやりました~」へ。ここではぽにきんぐだむのラップも交え、躍動感を有した同曲に更なるメリハリとドラマ性が加わっていく。ダブステと赤飯による女声のポップさと、突如乱入するラウド性の同居も魅力な「さくらんぼ」の際には、会場に紅白のサイリウムが繚乱。続く「推しごとメモリアル」では、キュートでメルヘンチックな歌声とラウドで疾走感のあるサウンドに乗せ、メンバーも激しくアクション。間では各人が楽器を置き、ステップで揃いのフリで可愛く踊る。それらと打って変わり、「ふわっふー」では赤飯の驚異的なロングトーンも場内に轟く。ぽにきんぐだむとの掛け合いもあり、ストレートさが場内に爽快さを呼び込んでいく。

 この日、最大のお祝いは後半突入時に現れた。「VIVA!ハピバ」では、Zeppが大誕生会へとチェンジ。この日+前後1日が誕生日の観客を全てステージに上げる。金銀のボンボンを持ち、同曲に合わせ歌い踊る誕生日者たち。一生忘れられない誕生プレゼントになったことだろう。場内にはカラフルな無数の風船も飛び交い、まるで自分も祝われているかのような幸せさに浸らてくれた。ここまでやってもまだ“遊びたりない!! ”とばかりに、間に「湯冷ます2018」を交えた「ダルマさんは転ばないっ」では、お客さんも各々自己主張。この日も満場のみながびたっとフリーズし、いい表せぬフレンドリーさと共有感、親密さが育まれていった。

 とは言え、この日最大の沸点は「スーパー銭湯~オメの湯~」であった。「ここが俺らの居場所だ!!」と言わんばかりに疾走を魅せた同曲。赤飯も曲中、用意された巨大なアヒルのボートに乗りフロアで歌う。また、同曲ではメンバー各人のソロも炸裂。彼らの真骨頂が凝縮された同曲が楽しさと凄さを楽しませてくれる。

 そしてこの日、最大の感動と共に会場を一体化させたのは、先日配信開始された新曲「We will luck you」であった。「歌いたいことを歌うことができ、それを具現化してくれるメンバーが居て、支えてくれるスタッフ、そして何よりもそれを聴いてくれるみんながいて、自分はとても幸せ者だ」と語る赤飯。続けて「今回のツアーを経て、ここが居場所だと改めて気づいた。居場所を与えてくれてありがとう」と告げ、それらを代弁するかのような同曲が勇ましく響いた。グラップなドラムに合わせて会場一丸となって雄々しく響かせた同曲。きっと集まったみなが「自分が守るべき場所」を各々思い浮かべたことだろう。

 本編ラストは、感謝の気持ちが込められ、場内に無数の幸せのサークルを作り上げ、笑顔でのダブルピースを咲かせた「オメでたい頭でなにより」。同曲ではまさに主役が逆転。いつしか会場が主役に移り変わっていた様を見た。

 アンコールは3曲。彼らの幅が楽しめた。まずはアコースティック形態で「笑うユメの生活」が、アコギ、ハーモニカも交え伝えられる。ブルースフィールを擁しながらもアーシーなダイナミズムとスイートホームさを感じさせる温かい楽曲だ。打って変わりラウドな「生霊の盆踊り」では、赤飯を始めメンバーもフロアへと雪崩込み、歌い、演奏。赤飯がフロア真ん中のバーにて歌いシャウトしていた雄姿も印象深い。
 赤飯による力強い「武道館に立つ宣言」を経て、ラストは更にハッピーに「宴もたけなわプリンセス」でお開き。金テープも放射され超大団円にて宴を締めた。

 「ソロで5年前に、このステージに立ったことがある」と、ライブ中振り返った赤飯。が故に、この日の緊張は相当だったろう。また、これ以上の場所を目指す為にも、あの日を上回る光景と満足度を得なければならないと強く自身に課したにちがいない。そして実際にステージに立ち、その眼前に広がり、バックに配された友軍たちの姿に、一人じゃないことを実感し、ライブ中の数々の感謝の言葉が引き出されたのではないだろうか?

 この日、見事に5年前のあの日を超えられた彼ら。今回はそれが決して赤飯ひとりで成し遂げたものでないことが、まさにこの日の成果と言える。ステージの去り際に、これまで以上に何度も丁寧にお礼を述べ、お辞儀をし、満足そうなメンバーたちの笑顔が、それを強く裏づけた。気づけば私を含め回りもみな、赤飯を始めメンバーたちと同じく嬉しそうな表情をしていた。逆に何度もステージに向け「こちらこそありがとう」と交歓している自分がそこに居た。

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:竹内光司 / Yuto Fukada】




「We will luck you」Music Video


「We will luck you」
絶賛配信中

01:We will luck you
02:湯冷ます 2018
03:えんがちょ!(2017.11.5 at 川崎CLUB CITTA’)
04:スーパー銭湯~オメの湯~(2017.11.5 at川崎CLUB CITTA’)
※アルバム購入価格:¥450


【配信特設サイトURL】
http://ldandk.com/omedeta/wewillluckyou/

tag一覧 ライブ 男性ボーカル オメでたい頭でなにより

リリース情報

鯛獲る

鯛獲る

2018年04月04日

ポニーキャニオン

01:鯛獲る
02:歌謡サスペンス劇場〜わたしがやりました〜
03:推しごとメモリアル
04:ブチオメ♂トラック いいとこ獲り~KenKen MIX~

セットリスト

「オメ道楽2018 ~鯛獲るレコ発編~」
2018.7.16@Zepp DiverCity

  1. 1.鯛獲る
  2. 2.えんがちょ!
  3. 3.憂き浮きウォッチング
  4. 4.wosushi~ウォールオブ寿司~
  5. 5.海老振り屋
  6. 6.七夕リアン☆リターンズ
  7. 7.歌謡サスペンス劇場~わたしがやりました~
  8. 8.さくらんぼ
  9. 9.推しごとメモリアル
  10. 10.ふわっふー
  11. 11.VIVA!ハピバ
  12. 12.ダルマさんは転ばないっ
  13. 13.湯冷ます
  14. 14.スーパー銭湯~オメの湯~
  15. 15.We will luck you
  16. 16.オメでたい頭でなにより
  17.  Encore
  18. En-1.笑うユメの生活
  19. En-2.生霊の盆踊り
  20. En-3.宴もたけなわプリンセス

お知らせ

■ライブ情報

『レコ発ワンマン~夏の大宴会~』振替公演
08/13(月)TSUTAYA O-WEST

東名阪3マンスプリットツアー『幸三昧2018』
11/10(土)東京 渋谷 WWW X
11/15(木)大阪 十三 246 LIVEHOUSE GABU
11/16(金)名古屋 E.L.L.

・チケットオフィシャル先行販売中:
2018年8月14日(火)23:59まで
イープラスhttp://eplus.jp/omedeta1811/



OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL 前夜祭
〜ONRF ADDICTS 2018〜

07/27(金) 秋田県男鹿市船川構内特設ステージ

ROCK IN JAPAN FES 2018
08/04(土)国営ひたち海浜公園

RISING SUN 2018
08/11(土)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

MONSTER baSH 2018
08/19(日)香川県・国営讃岐まんのう公園

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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