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a crowd of rebellion、結成10周年に発表した最新作『Ill』携えファイナルに挑む

a crowd of rebellion | 2019.03.20

 己の音楽的武器を研ぎ澄まし、その美点が光り輝くショウだった。

 新潟発のスクリーモ・バンド、a crowed of rebellionは昨年バンド結成10周年を迎えた。そのアニバーサリー・イヤーに発表した3rdアルバム『Ill』(読み:イル)はシャープ、ヘヴィネス、ダークネスの三拍子を揃えながら、奥深い表現力をも見せつけた会心の一撃作だった。ジャパニーズ・ラウドの一角を担う存在感をシーンに示す一方で、比較対象が見当たらない強烈無比なオリジナリティを誇示している彼ら。

 その新作に伴うレコ発ツアーのファイナルは1300人収容の渋谷TSUTAYA O-EASTで行われ、この日は完売御礼のソールド・アウト。18時5分、妖しげな赤い照明が光りを放つ中、「Prologue-Insomnia」~「Ill」で幕を開けると、ド頭からダイバーが入り乱れる瞬間沸騰ぶり。その新作の流れを汲む形で「Sign.」、「Raccoon Dead」、ダンス地獄に誘う「Anemia」と突き進み、新作の冒頭5曲目までを曲順通りにプレイする強気のセットリストに驚愕。これは楽曲に自信がなければ、なかなかできないアプローチだ。新作に対する揺ぎないプライドを感じさせる序盤の猛攻撃にシビれた。

 その後に「Never Say A Gain」、「O.B.M.A」、「M1917」と耳馴染みのある必殺チューンを矢継ぎ早に投下し、フロアもジャンプやウォール・オブ・デスなどで全力で応えていく。その凄まじいエネルギーのキャッチボールにより、場の熱も右肩上がりに上昇!

「11年やってきて、初めて劇中歌を(丸山)漠が全部作った」と宮田大作(Vo)が告げると、その映画『超・少年探偵団NEO-Beginning-』主題歌に決定した「Calling」をプレイ。ポジティヴな煌めきに満ちた丸山漠(Gt)のギターをイントロに、小林亮輔(Vo/Gt)の裏声を活かしたハイトーン・ボイスが映え渡り、宮田もクリーン・ボイスで援護射撃する。嵐吹き荒ぶヘヴィな音像の狭間に、頬を優しく撫でる清冽な風のごときポップな曲調がまた素晴しかった。続く「#ペルソナ」もヘヴィ一辺倒の攻めに終始しないメロディアスな側面にクローズ・アップした楽曲。加えて、シンフォニックな広がりを感じるサウンドも実に新鮮だった。前述した2曲をやり終えると、「今の俺たちの新しい形のエモーション」と宮田が説明を加え、自身の音楽性をどんどん開拓していくプログレッシヴな姿勢もきっちり見せつける。

 そして、静と動のドラマ性に長けた「The IIex Allowed Clarity hate」を挟むと、ここで新作の中でも異彩を放っていた「紡冬」へ。宮田がアコギを持つ中、小林のヴォーカルを全面的にフィーチャーした曲調を披露。どこかフォーク・ソングに通底する歌心と情景描写豊かな歌詞により、バンドの新たな魅力を掘り起こしたナンバーである。ラウド系バンドでも、ここまで歌ものに振り切った楽曲を披露できるアーティストはそういない。先ほどの「Calling」にも言えることだが、硬質なヘヴィネスで観客を焚き付けながら、こうしたグッド・ソングでも心を射抜く手腕にただただ脱帽。

 それから近藤岳(Dr)がドラムソロで観客を沸かせると、「ここから熱量上げて行くぞ!」と宮田が呼びかけ、後半に向けて怒濤のラスト・スパートを仕掛けていく。ブリブリのヘヴィネスで迫る「Colorless」を皮切りに「Noah」と?ぎ、テクニカルな演奏を土台に目くるめく曲展開で観客を翻弄して、壮絶なブレイクダウンで地獄の谷底に叩き落とす。エクストリーム・メタルの極致を尽くしたスリリングなバンド・アンサンブルに身も心も持っていかれた。

「『Ill』ツアー、9月から約半年やってきたけど、5月からまたツアー("Dystopia Tour")回ります! シモの毛が白くなってもこの声を出す。骨を埋める覚悟でバンドをやってるから!」と宮田が熱く語り、さらにここから阿鼻叫喚の地獄絵図を作り上げていった。「BLACK ANTHEM」で最大級のサークル・モッシュが勃発し、激越の演奏でフロアの隅々まで飲み込んでいく。また、イントロからハンドクラップが起きた「She’ll Never Forgive To Be Insulted.」においても観客を一人残らず束ねる凄まじい光景を作る。途中の和風メロディ・パートも強烈なフックとなり、聴く者の鼓膜をガシッと鷲掴みにしていた。それから「HOPE」をプレイした後、事前にアンコールをやらないことを告げ、本編のみで完全燃焼させることを誓うと、ラストは「Nex:us」、「THE TESTAMENT」と畳み掛け、余力を振り絞るように拳を突き上げて大合唱する観客たち。その景色を見ていると、ここは地獄という名の「ラウド天国」と表現したい気持ちに駆られるほど。

 全19曲2時間に渡る濃厚すぎるショウを観終え、バンドとファンが真剣勝負でぶつかり合うエネルギーに心底圧倒されてしまった。今日のライヴを節目に、a crowed of rebellionはさらなる進化を遂げるに違いない。その隙のないパフォーマンスを眼前にして、彼らの未来がますます楽しみになってきた。期待を込めて、2019年はもっともっと大暴れしてくれることだろう。

【取材・文:荒金良介】





tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル a crowd of rebellion

リリース情報

Ill

Ill

2018年07月11日

ワーナーミュージックジャパン

01. Prologue -Insomnia-
02. Ill
03. Sign.
04. Raccoon Dead
05. Anemia
06. #ペルソナ
07. Calling
08. 紡冬
09. Interlude -Akinesia-
10. Colorless
11. Noah
12. THE TESTAMENT

お知らせ

■ライブ情報

Dystopia tour
05/26(日) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
06/02(日) 岐阜 CLUB ROOTS
06/07(金) 栃木 HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
06/08(土) 福島 club SONIC iwaki
06/15(土) 奈良 NEVER LAND
06/16(日) 滋賀 U-STONE
06/29(土) 埼玉 HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1
06/30(日) 神奈川 F.A.D YOKOHAMA
07/06(土) 三重 松阪 M’AXA
07/07(日) 愛知 豊橋 club KNOT
07/12(金) 広島 広島 SECOND CRUTCH
07/13(土) 岡山 岡山 IMAGE
07/14(日) 香川 高松 DIME
07/20(土) 静岡 静岡 Sunash

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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