ウィンターtoスプリングな菅原紗由理の新作

菅原紗由理 | 2010.12.29

 最近よくラジオや街で耳にする「サヨナラまた...。」。“そばにいたい”と直接伝えられない想いと、“この気持ちに気づいて欲しい”との願い、そして、それを必死に断ち切ろうとする女心が、女性シンガー菅原紗由理の感情移入たっぷりの歌声で伝えられ、聴く者の胸をジーンとさせる片想いナンバーだ。巷での人気も高い同曲を含めた彼女のニューミニアルバム『Close To You』が発売された。  全曲ミディアムテンポでまとめられながらも、各曲愛しい人への押さえられない気持ちや秘めた想いを、多彩なサウンドと共に聴く者の中に広げ、<さよなら>から<新しい出会い>、そして<これからもずっと一緒に>へと、悲しみから最後には永劫の光に包まれるかのような、一つの大きな流れやストーリーを感じさせる全6曲だ。


冬から春に向けての楽曲が順序よく並んだミニアルバムになった

EMTG : 本日の出で立ちはライダースの皮ジャンですが、正直もう少し女性っぽい服装なのかと思ってました。
菅原 : よく言われるんですよ。「曲や写真のイメージと実際に会うと違いますよね」って(笑)。髪をばっさり切ってからは、こういったボーイッシュな服装が多いかな。最近はチェックのズボンや皮ジャン等を着て、ボーイズスタイルに決めることが多いですね。「こっちの方が似合うよ」、なんて言われてるうちに、自分でも本気になってきちゃって(笑)。
EMTG : それはけっして「腐女子」の類とは違いますよね(笑)。
菅原 : 違いますよぉ(笑)。色々なおしゃれに挑戦していく一環です。元々黒は好きで、一時はモードっぽい服装もしていたんですが、最近はこれまで履いたことのなかったデニムを履いたり…。実はこれでも学生の頃は、ずっとミニスカートやショートパンツだったんです (笑)。地元秋田の寒い冬の中でも、”なんとか生足で乗り切ってやる!!”って(笑)。
EMTG : ちなみに2010年は自身にとっていかがでした?
菅原 : 学祭やワンマンライヴを経て、少しずつ人前で歌うことに自信がついてきた1年でしたね。
EMTG : おっ!!
菅原 : なので、来年2月からのワンマンライヴでは、これまでのライヴで気づいた、“もう少しアップテンポの曲を増やしたい”や、"色々なタイプの曲を演ってみたい"って欲も出てきて。
EMTG : ライヴでの流れやストーリー、緩急づけには、色々なタイプの楽曲が必要ですからね。
菅原 : そうなんです。私のこれまでの曲って、ミディアムやバラード等、聴かせる曲が中心で。1stアルバムではハウスやロックにも挑戦してはいるけど、更に自分の引き出しを増やしていきたいんです。
EMTG : とは言え、今回のミニアルバムはどの曲もミディアム・テンポですよね? 冬の別れから、春の出会い、その後も一緒に行こう的な、大きな流れを持つ作品の印象を持ちました。
菅原 : 正直、完成してから、“冬の恋物語”ってコンセプトがピッタリなんだって気づいたんです。自分では季節感は意識しつつも、あえてテーマを絞らず各曲毎に歌ってきたんで、その都度思うことはあるけど、その時点では、なかなか全体像までは見えてなくて。こうして完成型を聴き返えすと、確かに冬から春に向けての楽曲が順序よく並んだなと。バランスも非常に良いし。中でも「サヨナラまた...。」は、ライヴでずっと歌ってきてからのレコーディングだったんで、より思いが強いですね。
EMTG : 1stアルバムでも、色々なことをやってはいましたが、今回はミディアムテンポや冬?春を彷彿させる曲と、統一感のある中でのバリエーションづけが出来ていますね?
菅原 : 自分でもそう思います。2曲目の「So Long My Love」なんてまさにそれで。「サヨナラまた...。」が秘めた想いだったのに対し、こちらは自分から別れを切りだす強気なタイプですから。最初はシングルを作るつもりで今作の制作に入ったんですが、次から次へと良い曲が出てきて。結果、R&Bやエレクトロ調だったり、ゴスペルチックな曲等、色々と入れ込むことが出来ました。

自分の中での近い経験を当てはめて歌ってみた

EMTG : 正直今回は、もう少し菅原さんの作詞曲が増えると思っていたんです。1曲は自身で、あとは提供曲ですね。とは言え、どの曲も感情移入がしっかり出来ていて。
菅原 : 自分で書いた曲は、当然気持ちが自然と入るんですが、他の方の歌詞だと、その方の気持ちや想いが詰まってますからね。経験してきたことや、見たもの、知識も全然違うし。それを<どう私の歌として歌うか>は毎度迷うし、考えますね。そのストーリーの中で、自分の人生経験に置き換えたり、当てはめたりしながら、自分の言葉として伝える感覚で歌いました。
EMTG : わりと各曲主人公に成りきって歌ってみたと。
菅原 : 自分の中での近い経験をそのまま当てはめた感じですかね。一言一言、どうすれば楽曲の感情が細かいニュアンスも含め伝わるのか?は、毎度試行錯誤しながら歌ってます。
EMTG : 実際の歌入れはいかがでした?
菅原 : やはり「サヨナラまた...。」での、ライヴを経てのレコーディングは非常に勉強になりましたね。実際にファンの方の前で歌ったことで、リアクションを事前に把握できたし、この曲はレコーディングでもファンの方の顔や表情を思い出しながら歌えました。ライヴを通し学んだり、感じたことも含め今回はレコーディングできたかな。
EMTG : ちなみに「サヨナラまた...。」のライヴでのお客さんの反応は?
菅原 : 届いてくれていたら嬉しいですね。出だしで泣いて下さる方もいたり…。この歌のレコーディングに関しては、感情をあえて込め過ぎないよう歌ったんです。曲に入り込み過ぎると、歌がどうしても荒くなっちゃうし、かと言って逆にサラッと歌うだけだと、伝わるものも伝わらないし。その加減は苦労しました。だけど、どうしてもライヴだと感情移入し過ぎちゃいますね(笑)。
EMTG : その苦労あって、トゥーマッチにならず、且つストーリーテラー的になってない、絶妙さがこの曲にはありますよ。3曲目の「Close To You」は自身で作詞されてますが、こちらはわりと<これから>を感じさせる曲ですね。
菅原 : この曲のテーマは、<これからこの恋を2人でずっと育てていきたい>なんですが、私、過去、自分が恋をしていた時に、相手との距離や、2人で過ごしていた時の気持ち等を書きとめていたんです。で、プロデューサーのSinさんから、「何年も前から大切に温めていた曲がある」とこの曲を聴かせてもらい、「これには紗由理が歌詞つけてくれ」と言われた時に、パッと"このメロディには、あの歌詞しかない!"と。なので、多少の微調整はありましたが、ほぼ当時の歌詞のままなんです。あと、私も20歳を迎えたんで、以前よりも男性との距離が近い、大人な感じの恋もこの曲では出してみました。
EMTG : : <大人、菅原紗由理>としての第一弾作詞曲でもあると(笑)。
菅原 : (笑)。前々から書きたいとは思っていて、今までは、”ちょっと背伸び感を持たれるんじゃないか?”と、控えていましたが、この曲で幕開けです(笑)。今後は自分の歌詞も少し大人っぽいものを入れたりしていきたいですね。

自分に重ね合わせて聴ける曲では、是非一緒の気持ちになり聴いて欲しい

EMTG : 「『好き』という言葉」は、友達以上恋人未満がテーマの曲ですが、こちらもまた切ないですね。
菅原 : ですね。この曲も大好きなバラードで大切にしている曲です。実は私も以前、このような好きという気持ちを伝えることで関係が壊れる懸念にもどかしさを感じていた時期があって。この曲は、その頃の私を思い返しながら歌いました。
EMTG : 「WINTER STORY」は、ラストにふさわしく、これからの明るい2人を感じさせてくれる曲ですね。
菅原 : この曲も作詞は「サヨナラまた...。」と同じく唐沢美帆さんなんです。特に<さよならのない恋が始まっていく>って箇所が大好きで。サビではものすごく広がり、ゴスペルクアイアも入る。凄くエターナル(永久・永遠)感を持っている曲です。聴いていて楽しくなる、これからを明るく感じさせる歌い方を意識しました。「サヨナラまた...。」は、冬の似合う、切ないメロディやストーリーで、この「WINTER STORY」は最後に向けて光に包まれていく歌なんですが、"この両テーマを書き分ける唐沢さんって凄い"と改めて思いました。
EMTG : 今作の聴きどころを教えて下さい。
菅原 : 自由に聴いて欲しいです。少しでも、みなさん自分に重ね合わせて聴いてもらえる曲があると嬉しいですね。
EMTG : 2月からは東名阪のライヴツアーがありますが、その意気込みを教えて下さい。
菅原 : 初めて私のライヴに来てくれる方でも、みんなが一緒に盛り上がれるライヴを目指します。最後、会場を出るときには、"また来たい"と思ってもらえるライヴをやりたいです。作品だけを聴くと、静かな人だと思われがちですが、ライヴではけっしてそれだけではないので(笑)、それも是非確かめに来て下さい。

【 取材・文 : 池田スカオ和宏 】

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ビデオコメント

リリース情報

Close To You

Close To You

2010年12月22日

フォーライフミュージックエンタテインメント

1. サヨナラまた...。
2. So Long My Love
3. Close To You
4. 『好き』という言葉
5. 素直になれなくて
6. WINTER STORY

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お知らせ

【菅原紗由理 Live Tour -Close To You-】
■2011年2月25日(金) 心斎橋 CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
公演のお問い合わせ:
夢番地 大阪 06-6341-3525

■2011年3月2日(水) 名古屋 E.L.L
OPEN 18:00 / START 19:00
公演のお問い合わせ:
サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

■2011年3月4日(金) 赤坂 BLITZ
  OPEN 18:00 / START 19:00
公演のお問い合わせ:
キョードー東京 0570-064-708

▼チケット先行
◆受付&引取期間:1/10(祝)13:00〜1/19(水)23:00
◆お申込URL(PC/mobile共通)
http://l-tike.com/closetoyouhplive/
※枚数制限:お1人様1申込み4枚まで(複数公演申込み可能)
※今回の先行予約は先着受付になります。

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