avengers in sci-fi、新たな季節の到来を告げる最新作『Disc 4 The Seasons』インタビュー

avengers in sci-fi | 2012.04.24

 avengers in sci-fiが待望のニューアルバム『Disc 4 The Seasons』を完成させた。今作はタイトルにもある通り「四季」をテーマにしたもの。そして、木幡太郎(Gt、Vo、Syn)の新しい季節の到来を告げる記念すべき作品にもなった。「今まではアーティストごっこをしてただけ」とまで語った彼が、この作品に込めた「音楽のあるべき姿」とは何なのか?また、本作は「トーンコネクト」というアプリと連動した、世界初(!)の作品にもなっているので、詳しくはバンドのオフィシャルサイトをチェックしてほしい。

EMTG:アルバムとしては『dynamo』以来、1年半ぶりのリリースとなる『Disc 4 The Seasons』ですが、楽曲制作はいつ頃からスタートされていたんですか?
木幡:去年の2月の終わりぐらいからですかね。アルバムのリリースツアーのファイナルが2月19日だったんで、その後から始めてて。ライヴとかツアーをしながら進めてた感じですね。
EMTG:どういう作品にしようと思ったんですか?
木幡:ちょっと和のエッセンスがあるようなものを作りたくて。北野武監督の「座頭市」みたいな“妙なんだけど心地よい違和感”というか。なんか、桜の木の下で、祭囃子をバックに侍がチャンバラしてるんだけど、持ってる刀はライトセーバーみたいな(笑)。制作の初期はそういう感じで作ってましたね。
EMTG:そこから徐々に変わって行ったんですか?
木幡:やっぱり遥かな時が流れたんで(笑)。そういうテイストの曲で、アルバム全体を塗り固めるのも考えてはいたんですけど、あまりコンセプチュアルなものにしたくなかったんです。アルバムを通して聴くというより、その日の気分で好きな曲をピックしてもらって、バラバラに聴いても成立するぐらい、カジュアルなものにしたくて。
EMTG:確かに前作と比べると、1曲1曲はダイナミックになってますけど、すごくシンプルにまとまっています。
木幡:そうですね。だから、いろいろ考えながら作ったっていうよりは、それこそ四季を感じながら制作をしていたというか。ホントに1年かけて制作していたので、夏の最中だったら、夏の空気感だったり、気候から得たフィーリングを曲に反映したいっていう気持ちが生まれて。
EMTG:そこなんですけど、個人的なイメージなんですが、avengers in sci-fiの楽曲って、無重力空間をすごい勢いで突き抜けていくイメージがあったんです。でも、今作は地上に降り立ったイメージがあったんですよ。
木幡:実は、今回は宇宙的だとか、未来的だとか、そういうものは全く意識してなくて。ここ1、2年は、そこにエクスタシーを感じなくなっていたんですよ。
EMTG:それはまた何故ですか?
木幡:たまたま自分がそういうモードだったっていうのもあるんですけどね。avengers in sci-fiって、俯瞰した視点でストーリーを描くスタイルだけど、そういうものより、今はもっと一人称の音楽をやりたくて。上から俯瞰するっていうよりも、それこそ地上に降りて、自分の目の高さで見た世界のことを書きたくて。
EMTG:それって、すごく大きな心境の変化だと思うんですが。
木幡:でも、いつかそうしたいとは思ってたんですよ。やっぱり、音楽って自己表現だと思うんです。音楽のあるべき姿って、すごく身近な例えになっちゃいますけど、自分がコーヒーを飲んで美味いって感じて、それを叫びたい気持ちが曲になるようなものだと思ってて。だから、本来は自分のことを歌うべきなんですよ。でもまぁ、歌詞とかで直接的に自分のことを歌わなくても、自分はそこに投影されるんですけど。
EMTG:メタファーとして出たりしますよね。例えば「Skywalker」や「Lady Organa」は映画「スターウォーズ」の登場人物だったり、宇宙を連想する言葉も使われていますよね。そこはバンドのイメージを崩しちゃいけないっていう部分もあったんですか? 
木幡:別にイメージを崩したくなかったわけではないんですけど、それこそメタファーでしかないというか。僕にとってヒーローの原体験といえばルーク・スカイウォーカーですし、ヒロインの原体験はレイア・オーガナ姫なんですよ。そういう神聖をまとった何かであり、究極的な存在という意味で使ってて。
EMTG:なるほど。あと、過去を振り返る歌詞が多くて、そこから儚さを感じました。
木幡:僕は女々しいんですよ(笑)。後ろ向き過ぎちゃって。
EMTG:でも、和っていう表現方法から出たかもしれないですね。最初におっしゃってた「桜」のお話も、キレイな中にも儚さを感じますし。
木幡:あぁ、散る美学みたいな。でも、全編通して和を表現してるわけではないけど、今までよりは確実に日本人の琴線に近いところで鳴っているというか。そこに儚さみたいなものもインプットされてるんじゃないかなと思います。
EMTG:お話を聞いていて、和をフィーチャーしたり、自分の日常を語ることで、日本人としてのアイデンティティみたいなものをイメージされたのかなと思いました。
木幡:それはありましたね。なんで和のアレンジをやろうと思ったかって言うと、最近、欧米のインディー寄りのバンドとかが、すごく非欧米的なエッセンスにすごく注目していて。僕もそういうものに惹かれていた部分もあったんで、それを猿真似じゃなく、日本人なりの解釈をしたらどうなるかっていうところからスタートしてて。
EMTG:そうだったんですね。
木幡:なんか、よく洋楽的だって言われるんですけど、どうもピンとこなくて。日本の音楽ってすごく面白いと思うんです。アメリカでもイギリスでもない、独自のバランス感覚があるっていうか。だから、邦楽的であるっていうことにすごく誇りを持っているんですけど。
EMTG:そういう考えが表に出てきたんですか?
木幡:まぁそうですね。歌謡曲的であることから逃げないというか。でも、今回のアルバムに関しては、何かを意識したっていうより、全部正直に出した感じです。自分の中から沸いてきたものを音楽にしたというか。
EMTG:アーティストとしての自我の目覚めがありましたか?
木幡:それはすごくありましたね。やっと音楽を創る資格を得たというか。今までは「音源を出したい」っていうところが出発点になってたけど、それって感情の発露っていうよりは、数学的な作業だと思うんです。だから、今まではアーティストごっこをしてただけで(笑)、本当の意味での表現者じゃなかったんですよ。
EMTG:活動を経ていく上で、同じことやっていてもしょうがないっていう考えもあると思うんですが、何故そういう方向にいったんでしょうか?
木幡:でもそういうことっていうより、この1年間は人間活動に明け暮れてたというか。宇多田ヒカルさんじゃないですけど(笑)。そういう生活の中で、自然と自分目線の音楽になっていったというか。なんか気付いたんですよね。俺は音楽より人間の方が好きだなって。音楽はあくまでも、他の人と繋がるための手段だっていうことが確認できたというか。だから、今作は気持ちが沸いてこなかったら、作らなかったかもしれないです。
EMTG:アーティストとしての木幡さんの新章が、この作品から始まったと。
木幡:そんな「新章」とか大層なもんじゃないですよ(笑)。
EMTG:でも、先ほどおっしゃってた“資格を得た”っていう話はそうだと思いますよ。
木幡:あぁ。でも、なんだろうなぁ……カッコ悪くてもいいかなって思えたんです。気持ち悪いものを作りたかったというか。
EMTG:それは自分の本心を曝け出すということですか?
木幡:そうですね。自分のことを歌ってる音楽なんて、吐き気を催すようなものなわけですよ(笑)。でも、それぐらい醜悪なものを作りたくて。カッコいいだけの音楽ってすごく嫌いなんですよ。その人が投影されてないっていうか。そういう音楽は、良くない音楽だと思ってて。どれだけカッコ良くしてても、カッコ悪い部分が出てしまう。そういうものでありたくて。
EMTG:この作品を経たことで、今後がまた楽しみになりました。
木幡:単純に作品として作るんだったら、架空の都市を舞台にしたコンセプトアルバムを作ってみたいなっていうのはありますけどね。でも、音楽も自分のセールスポイントのひとつというか。背が高い、性格が良いっていうのと一緒で、“音楽がカッコいいですね”って言われることが“あなたは素敵な人ですね”って言われるのと同義だと思うんで。人と繋がるためのツールとはいえ、適当なもので良いっていうわけじゃないですし。でも、もしかしたら音楽じゃなくてもいいのかなっていう気はしますね。それが自分の発露であるのなら、漫画家に転向してもいいんじゃないかなって(笑)。

【取材・文:山口哲生】

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ビデオコメント

リリース情報

Disc 4 The Seasons

Disc 4 The Seasons

2012年04月25日

ビクターエンタテインメント

01. Yang 2
02. Psycho Monday
03. Two Lone Swallows
04. Stairway To The Sun.I
05. Stairway To The Sun.II
06. Sonic Fireworks
07. Skywalker
08. Pearl Pool
09. Lady Organa
10. Wish Upon The Diamond Dust
11. The Planet Hope

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TOKYONESE
この前、台湾に行ったんですよ。
日本人って、アジアを別のものとして捉えてる節があるじゃないですか。自分はアジアの中の日本人なのか、それともアジアとは別の存在なのか……ああいう場所に行くと、自分が何者なのかを意識するというか。
それで、日本人でもなく、アジア人でもない存在として、この言葉を自分で作ったんですよ。「JAPANESE」とか「CHINESE」みたいな感じで。それで、そういう発想ってあるのかなと思って検索をかけたら、同じ言葉を書いてる人がいて。その人も自分の同じ感覚があったのかなぁって。


■ライブ情報

2 Yang 1 Wrong -Live 4 The Seasons-
2012/05/05(土)SHIBUYA-AX

FM802&SPACE SHOWER TV present SWEET LOVE SHOWER 2012 SPRING
2012/05/12(土)大阪城音楽堂

LACHIC presents SAKAE SP-RING 2012
2012/06/02(土)SAKAE SP-RING 2012

Force 4 The Future Tour
2012/06/16(土)福岡DRUM SON
2012/06/17(日)広島ナミキジャンクション
2012/06/23(土)札幌cube garden
2012/06/30(土)仙台MA.CA.NA
2012/07/01(日)新潟CLUB RIVERST
2012/07/06(金)大阪梅田CLUB QUATTRO
2012/07/08(日)名古屋CLUB QUATTRO
2012/07/14(土)高松DIME
2012/07/16(月)金沢vanvan V4

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