昨年11月にリリースした『ふらいはい!!!』を見事発売初週に2,011枚売り切って、メジャーデビューへの切符を手に入れた、がんばれ！Victory。メジャー決定のニコ生放送では涙を流して喜んだメンバーだったが、いよいよ5月20日のデビューシングル『全力！スタート』リリースを目前に控えて、改めて語られたメンバーの心境は不安でいっぱい！？
　インディーズ時代に様々な試練を乗り越えてきたド根性バンド＝がんばれ！Victoryがメジャーデビューにかける熱い想いを訊いた。

EMTG：メジャーデビュー発表からしばらく経ったけど、改めていまはどういう気持ち？

みなみ（G）：中学校とか高校まではメジャーデビューできたら売れてるって思ってたんだけど、わたしたちは全然そんなことないから……ここから頑張らないとって思ってます。

まゆこ（Dr）：いまは緊張が一番大きいです。やっぱり先って見えないじゃないですか。いくら夢見てても。だから……なんて言うんでしょうね。自分がどうなっていくんだっていう気持ちがすごいあって。ソワソワしてます（笑）。

あやき（Vo）：わたしも5月20日っていう区切りを迎えた先がどうなるんだろうっていうのはすごいある。やっと実感も湧いてきたぐらいだから。前も後ろもアタフタですね。

しのぶ（B）：すごい喜んだし、本当にありがたいなと思うんですけど、結果を掴んだのは私たちだけの力じゃないから、手放しでは喜べないっていうか。これから私たちが恩返しをしなきゃいけないし。より一層気を引き締めていかないとなと思ってます。

EMTG：ライブとかでは変化はあった？

れな（G）：わたしたちも緊張してるけど、ファンのみなさんも緊張されてるのは感じますね。「がんばってね」っていう気持ちの裏側に心配してくださってるような言葉が増えてきて。こういう人たちの想いを無駄にしちゃいけないなって思います。それが逆にめげそうなときにパワーになるなっていうのは思ってます。

EMTG：いまは不安のほうが大きいんですね？

れな：そうですね。でも、それも良いことだと思ってます。最初はすごく喜んだけど、いまやっと思考が追いついてきたというか。その不安がメジャーデビューをリアルに感じてる証拠だと思うので。不安に終わらず、プラスにしていければと思いますね。

EMTG：今回の『全力！スタート』だけど、最初はメンバーの「これからやるぞ！」みたいな強い気持ちが出てると思ったけど、話を聞いてると、どちらかって言うと、不安な自分たちを奮い立たせるために作ったんじゃないかなって思った。

あやき：そうですね。本当にメジャーっていうステージに立つので、いま言っていただいたように不安な気持ちが多かったので。これは自分たちが前向きな気持ちになる曲にしないとダメだと思って。とにかく突き進め、突き進めっていう歌詞を考えてたんですけど。そこからみんなの考えも入れて……合わせて…。

EMTG：みんなの考えてっていうのは？

れな：あやきはたぶんグループとして5人の意志を強く書いてくれてたんです。いままで歩んできた道のりというか。でも今回はそういう気持ちに、プラス、スタートに重点を置こうよっていう話をしたんですね。未知の世界を書こうって。視点を少しだけそっちにもっていった感じですね。

EMTG：より未来が見えるように。

れな：そうそう。

しのぶ：この曲のキーワードになってる《つかみたい》っていう歌詞があるんですけど、やっぱりこれだけたくさんチャンスをいただいてるなかで、このチャンスを絶対に無駄にしたくないっていう気持ちはあるんです。自分たちも演奏しながら気持ちをあげていくし、それを聴いた方も、「いいじゃん、よっしゃ、がんばろう」みたいな気持ちになっていただけたらと思ってます。

れな：自分たちのいまをそのまま書きたいなっていうのはあるよね。

EMTG：メインとなるソングライターは？

まゆこ：最初はわたしが曲を書いて、そこから歌詞はあやきに頼んで、みんなの意見を取り入れながら練っていく感じです。オールドロックがわたしたちのコンセプトなので、前奏とかにもわかりやすいリフとかを入れてますね。

EMTG：そういうハードロックながんばれ！Victoryの特徴は「全力！スタート」にはよく出てると思います。それぞれのプレイヤーごとに聴きどころを教えてください。

れな：今回は各々の楽器と歌のスキルはあがってると思います。ギターのフレーズも多くて、基本的に上物が目立つというか、すごく煌びやかで。この曲を引っ張れるフレーズだなって最初にデモを聴いたときに思いました。でも、弾いてみたら難しくて（笑）。みなみと私とユニゾンのソロがもあるんです。

EMTG：そこは、すごくかっこいい！

れな：ライブでも向かい合って弾いたりするんです。それも楽しんでもらえるかな。いままでは明るい曲はあっても、ギターがあんなに世界観をボンと出すような曲がなかったのと思うので。

みなみ：でも……すごく難しかったです。

れな：レコーディングも大変だったよね。

みなみ：ひとりで家でキレてたんです。

EMTG：『ふらいはい!!!』もキレながら練習したって言ってた！

みなみ：はい。今回は自分のアンプをパーンて投げちゃって（笑）。

あやき：ちょっと凶暴だよね。

まゆこ：でも、すごいがんばってたので……。

みなみ：そこらへんを聴いてもらえればと思います。

EMTG：まゆこちゃんのドラムも疾走感のある楽曲をパワフルに引っ張ってる。

まゆこ：今回は曲のなかにブレイクが3回あるんですよ。そのブレイクのあとにピタッと止まるところがあって。そこで空気がパッて変わるので、みんなでスカッてなってほしいです。あとは「ビートがだいぶ変わったね」って言われたんです。その変化も感じながら聴いてもらえればと思います。

EMTG：同じくリズム隊のしのぶちゃんは？

しのぶ：この曲はテンポが速いので、ベースで8分を弾くところをドラムと合わせるのが難しかったですね。目を合わせながら、まゆこと「速いよ」とか「遅いよ」とか確認しながら弾きました。あんまり目立たない影の部分ではあるんですけど（笑）。

EMTG：でもリズム隊がテンポをキープできてないと、それだけで曲がダメになるよね。

まゆこ：そうなんですよ。しのぶはすごい絶妙なタイミングでメロウな感じに弾いてくることがあるので、そこは聴いてほしいです。

しのぶ：うわっ！ありがとう。急にすごい褒められた（笑）。でも、前はけっこう勢いだけでいってる部分があったんですけど、やっとちゃんと考えられるようになりましたね。

EMTG：なるほど。それぞれに新しいチャレンジをしてるんですね。ところでがんばれ！Victoryって活動のなかでスタッフが用意した課題を乗り越えていくじゃない？

れな：はい、ミッション。

EMTG：なんだけど、いま話を聞いてると曲にも自分たちでちゃんとミッションを設定して乗り越えてきてるよね。

れな：それもありますね。前回の「ふらいはい!!!」はいただいた曲だったけど、今回は書下ろしですし。そこも挑戦できたなって思います。スキルがあがったっていうのも、単にあがったわけではなくて、無理やり難しいことに飛び込んで馴染んでしまえば、意外とできたりするんです。そうやって一歩一歩成長していく。だから守るだけじゃなくて挑戦することは必要だなって。それは今回すごく学ばせてもらったなと思います。

まゆこ：やっぱりメジャーっていろんなアーティストさんがいるじゃないですか。だからその段階に立つってことは、もう「あの人上手いな」っていう視点じゃなくて、「自分があの人を超えるんだ」っていうのを作っていかないといけないんですよね。できない、できないじゃなくて、自分がそこに昇っていかなきゃいけないと思うんです。

EMTG：それは大事なことだと思う。今日は初めてポニーキャニオンでがんばれ！Victoryの取材をしてるけど、来るときに入口にはaikoのポスターも貼ってあって……。

れな：そうですよね。そこに私たちのポスターも貼っていただいてる。そういうのでもメジャーがリアルだなっていうことを感じますね。

まゆこ：もう19歳だからとか、20歳だからとかは通用しなくなるんだと思います。これからも、キレる方もいらっしゃれば、悩む方もいらっしゃると思うんですけど（笑）。悩みつつも、怒りつも、自分たちがちゃんとしなきゃいけないですよね。

【取材・文：秦理絵】