THE ORAL CIGARETTES、サウンド面を追究したキラーチューン満載の2nd Album『FIXION』 

THE ORAL CIGARETTES | 2015.12.24

 2016年1月4日、Zepp DiverCityで行われる“THE ORAL CIGARETTES唇リベンジワンマン ~復活・返上・BKW!! の巻~”で新年からアクティヴに動き出すTHE ORAL CIGARETTES。この公演翌日には2ndアルバム『FIXION』もリリースし、2月からは“THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマン TOUR 2016 ~復活・激突・BKW!!の巻~”という豪華なメンツを迎えての対バンツアーも決定! 今回は、間違いなくこのツアーの目玉になるであろう『FIXION』の楽曲達について、そして2016年にかける思いなどを、ガッツリ語ってもらった。

EMTG:ニューアルバム『FIXION』の完成から少し時間が経ってますが、アルバムの印象は変わってきましたか?
山中拓也(Vo&G):今までのアルバムより……って比べてしまうのも何ですけど、何度も聴いてますね。1stの『The BKW Show!!』は、自分らがどういう人間なのかを伝えようっていうコンセプトで作ったんですが、僕らにとっては“自分達が何か”っていうのはわかりきった事実で。だから、出来上がってから何度も聴くことは正直なかったんです。 でも、『FIXION』は、サウンド面で追究できた作品だったんで、何度も再確認してます。“あ、これは正解だったんや”とか“これは次にどうやって変えていこうか”みたいなとことに焦点を合わせて聴いてますね。
EMTG:クセのある曲もありますけど、全体的にキラーチューン満載な印象があるんですが――。
山中:シングル曲もいっぱい入ってますしね(笑)。ただ、キラーチューンの定義は人によって違うと思うので何とも言えないですけど(苦笑)。今回のアルバムは、前提としてライブハウスに来るお客さんを意識して作ったんです。自分達が育ったライブハウスにもう一度立ち返って、そこに来るお客さん達がどういう曲を求めているのか……そういうことを考えました。結果、ライブが連想できる曲が多くなったことで、キラーチューン満載な印象になるのかもしれないですね。
あきらかにあきら(B&Cho):とはいえ、最初から曲調を決めているわけでもなくて。3曲目の「MIRROR」なんて、“歌に寄せた曲が欲しいよね”って話をしていたのが、“いや、突っ走ってもいいんじゃないか”っていう流れになって完成したし、作っていくうちに自然と変化していくこともあるんです。
山中:思えばインディーズの頃から、アルバムのこの部分ではこういう曲が欲しいとか、ここでこういうストーリーを持たせたいねとか、そういうやり方でずっと作ってきた気がします。
EMTG:ライブのセットリストを組む作業と似てますね。でも、アナログ盤のLP(A面B面がある)における配置の仕方にも似ている気がします。時にB面の1曲目にはクセのある曲がきたりするんですが、『FIXION』でいったら「マナーモード」みたいな。
山中:ホントですか? そこは全然意識してなかったですけど、そういう感覚にすごく近いかもしれないです。
EMTG:あと、アナログ盤に近い匂いを感じた部分としては、収録曲がキッチリ10曲というスッキリしたボリュームだからでしょうか。最近、十数曲は当たり前みたいになっているので。
山中:10曲っていう部分にはこだわりがあります。僕自身が、もともとライブハウスに通っていたキッズでもあるし、CDを買って聴いていた音楽ファンですからね。いちリスナーであり、ファンとしての目線を持っている自覚があるんですよ。これは僕の主観ですけど、どうしても十何曲あるフルアルバムって、聴く側にとばしちゃう曲みたいなものが出てきてしまうんですよね。作っているアーティスト側にはそういう思いはなくても、聴く方は曲をとばしてしまったりする。そうすると、ストーリー性がなくなってしまいそうで、もったいないって思うんですね。だから、もし自分達がアーティストの立場になったら、曲数を絞って最大限のことを伝えられるようにしようと。これはもうインディーズの頃からずっと決めてました。
鈴木重伸(G):僕もLP世代じゃないですけど、8曲入りの音源を出してきて、2014年に初めてフルアルバム(=『The BKW Show!!』)を出した時には、10曲でも挑戦だなっていうイメージがありました。今回、また2作目のフルアルバムを作ってみて、改めてこのボリュームがベストだなって思うんですよね。だから、ぜひとも全曲聴いて欲しいです。
EMTG:なるほど。ところで、タイトルの『FIXION』には、すごくクールな響きがありますね。前作が『The BKW Show!!』だったんで、また英語3文字でくるかと思ったんですけど……例えば、“The KBP Show”とか。
山中:お……?
EMTG:火事場の馬鹿パワーShowみたいな。
山中:なるほど……ちょっとトイレに行ってきていいですか?(爆笑)。
EMTG:いやいや、“BKW”みたいなタイトルになるのかと少しだけ思ってました(笑)。
山中:僕が好きなエミネムのアルバム・タイトルも『The Marshall Mathers LP』と『The Marshall Mathers LP 2』っていうのがあったから、同じようなタイトルを並べるのも面白いと思ったんです。でも、このタイミングだからこそ、意味のあるワードのタイトルをつけたいなと思って。前作はオーラルのストーリー性の中で“BKW”っていうキーワードがあったんでアルバムのタイトルに掲げたんですけど、今回はオーラルのストーリーだけじゃなく、どういうアルバムなのかを象徴するタイトルにしたかったんですよ。
EMTG:そう考えたら、確かに歌詞にはフィクションが多いですよね。
山中:ただ、「エイミー」だけはノン・フィクションなんです。「エイミー」は、お客さんに対して“ありがとう”っていう思いを込めて出したものだったし、例外と言えば例外的な曲です。人と人とのつながりを大切にしてシングルにしたっていう特別な出し方をしたので。だから、『FIXION』の中では特別な存在感を発揮していると思うんです。僕は歌詞を書く時、自分の経験をそのまま書くんじゃなく、フィルターを通して妄想しながら、言いたいメッセージを落としていくんですよね。だからフィクションっていう単語がハマることが多かったんです。
EMTG:では、続きまして各メンバーの皆さんから、アルバムの中で知られざる聴きどころを教えていただきたいんですが。秘話みたいな制作エピソードをひとつ。
あきら:まず、ひとつは「A-E-U-I」っていう曲でDragon Ashの馬場さん(=馬場育三)のベースを弾かせていただきました。モデュラスっていうモデルなんですけど、レコーディングの時にテックさんが持ってきてくれて。何でも“今月から使っていいことになったから”っていうことで、僕が初めて使わせていただきました。馬場さんが亡くなって以降、奥さんがずっと持っていたらしいんですが、“今、輝いている子達にも弾いてもらいたい”っておっしゃってくださって。
EMTG:いいお話ですね!
あきら:あと、7曲目の「通り過ぎた季節の空で」では、ボーカルとベースが似たような動きをしているんですね。そこは僕としてのこだわりだったんですけど、やっぱり低音が足りないってことで、実はサビだけベースを2本使いました。
EMTG:いきなり盛りだくさんのエピソードが出ちゃいましたね(笑)。
中西:僕はもう超えられないです(笑)。敢えて言うなら、ドラムセットが増えたので、今まで以上に音数が増えているのがミソです。そこは聴いた皆さんで探してください。
山中:ちなみに、僕はレコーディングで歌入れの途中まで、ドラムセットが増えたことに気がつきませんでした(苦笑)。
鈴木:僕は「マナーモード」のギターフレーズですね。これ、最初から最後まで、ほぼ同じフレーズを弾いてるんですけど、Aメロのどこかでは音を抜いたり、サビではコードに合わせて少しだけ音を変えているんです。基本的には同じに聞こえるけど、実は要所要所で変えているのが聴きどころですね。
山中:僕も「マナーモード」なんですけど、たぶんあまりHIPHOPを聴かない人にとっては、“どこがHIPHOPなんやろ?”って感じると思うんですよ。僕はこれをキッカケに、ぜひ90’sのHIPHOPを聴いていた人にこの曲を聴かせて語り合いたいです(笑)。
EMTG:いきなり対談募集企画?(笑)。
山中:これはHIPHOPをやっているわけではなく、HIPHOPをオーラルで表現したらこうなりますっていう解釈の曲ですけど、それを“この辺の感じってアレやんな!”みたいな話を語りあったら楽しいかなって(笑)。HIPHOPって、ずっと同じフレーズを鳴らしていて、その中で温度感を出すじゃないですか。どうやって出していくんだろうって考えると、楽しくなってくるので。
EMTG:そして! 2016年は1月4日にリベンジワンマンのZepp DiverCityに始まり、2月からは唇ツーマンTOURも控えてますね。
山中:ぼちぼち準備を始めているんですが、かなり大変です(苦笑)。
EMTG:テンポ速めの曲が多いですもんね。
鈴木:まぁ、僕自身のことを言えば、ここ最近は筋肉がついたんで大丈夫です(笑)。2月までにはもうちょっと仕上がってますね。
EMTG:頼もしい! では最後に2016年は“こんな年になる!”っていうのを勝手に予想していただきましょう! 1年後に当たったかどうか盛り上がれたらいいなと。おひとりずつどうぞ!
山中:僕、毎年7月から9月にかけて大きい病気にかかってるんですよ(苦笑)。一昨年が肝臓と腎臓、去年は肺炎、今年は喉だったから……次は脳じゃないですか(苦笑)。
EMTG:ヤメてください(苦笑)。いやもう3年連続だったんで、もう不幸は脱したということにしましょう!
山中:じゃあ、2016年の7月から9月は、絶対に病気にならないようにします!
あきら:僕はディズニーランドに行きたい!
山中:いつでも行けるじゃん。
中西:誘われてもいないしな(笑)。
山中:じゃあ、みんなで行こう(笑)。
中西:僕はフルマラソンに……出ます!
山中:みんなで応援しに行くわ。
鈴木:じゃあ、僕はバイクの免許を取って、併走して応援します。
山中:シゲはそれが来年の予想か?(笑)。
鈴木:いやいや、だったら2016年はがんばって体重を70キロにします!
山中:それ、絶対ムリや!
鈴木:僕の身長やったら75キロが平均なんですよ。今、63キロなんで、あと7キロがんばります!
EMTG:皆さん、いい目標ですね。そう考えると、ディズニーランドに行くのって……微妙な気が(笑)。
山中:みんなを連れて行けばいいんじゃないですか?(笑)。
あきら:ええっ? なんで(苦笑)。じゃあ、ディズニーランドに連れて行って、帰りに焼肉をおごって、最後にはタクシー代をみんなに渡せばいいんですね?(笑)。
山中:これ、録音したのを絶対に残しておいてください!(笑)
EMTG:各自、実現に向けてがんばってくださいね(笑)。

【取材・文:海江敦士】

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リリース情報

Official髭男dism one-man tour 2019@日本武道館[DVD(2枚組)]

Official髭男dism one-man tour 2019@日本武道館[DVD(2枚組)]

発売日: 2020年02月12日

価格: ¥ 6,000(本体)+税

レーベル: ポニーキャニオン

収録曲

【Disc1】
01.115万キロのフィルム
02.異端なスター
03.Tell Me Baby
04.犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
05.始まりの朝
06.ブラザーズ
07.コーヒーとシロップ
08.バッドフォーミー
09.LADY
10.55
11.Rolling
12.明け方のゲッタウェイ
13.FIRE GROUND
14.Pretender
15.ノーダウト
16.宿命
17.Amazing
18.Stand By You
【Disc2】
Behind The Scene from Official髭男dism one-man tour 2019

ビデオコメント

リリース情報

FIXION(初回盤)[CD+DVD]

FIXION(初回盤)[CD+DVD]

2016年01月05日

A-Sketch

[CD]
1. 気づけよBaby
2. 狂乱 Hey Kids!!
3. MIRROR
4. STAY ONE
5. エイミー
6. マナーモード
7. 通り過ぎた季節の空で
8. カンタンナコト
9. A-E-U-I
10. Everything

[DVD]
収録内容:Vo.山中の声帯ポリープを抱えながら駆け抜けた全国ワンマンツアー・夏フェスの様子、その後摘出手術を無事終え復活に向けた活動を追ったドキュメント

お知らせ

■ライブ情報

唇リベンジワンマン
~復活・返上・BKW!!の巻~

2016/01/04(月)東京 Zepp DiverCity

唇ツーマン TOUR 2016
~復活・激突・BKW!!の巻~

2016/02/08(月)京都 MUSE
2016/02/11(木・祝)高松 MONSTER
2016/02/12(金)広島 CLUB QUATTRO
2016/02/14(日)福岡 DRUM LOGOS
2016/02/19(金)仙台 RENSA
2016/02/21(日)札幌 PENNY LANE
2016/03/05(土)新潟 LOTS
2016/03/11(金)大阪 ZEPP NAMBA
2016/03/13(日)愛知 ZEPP NAGOYA
2016/03/20(日)東京 STUDIO COAST

唇ワンマンライブ~故郷に錦を飾りまSHOW!!~
2016/04/30(土)奈良 なら100年会館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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