BURNOUT SYNDROMESメジャー第一弾シングル『FLY HIGH!!』

BURNOUT SYNDROMES | 2016.03.08

 大阪在住の3人組ロックバンド、BURNOUT SYNDROMES(バーンアウトシンドロームズ)が3月2日にシングル『FLY HIGH!!』でメジャーデビューした。「自分と殴り合うように曲を書く」という、熊谷和海(G・Vo)が手がける文学的な歌詞の世界観から“文學ロック”を標榜するバーンアウト。アニメ『ハイキュー!! セカンドシーズン』のオープニングテーマとして書き下ろした今作は、ド直球のスポ根マンガと出会ったことで、よりバンドが持つ情熱がストレートに浮き彫りになった1曲だ。EMTG MUSIC初の対面インタビューでは、バンドが目指す音楽のあり方について熱い想いを語ってくれた。

EMTG:BURNOUT SYNDROMESって“文學ロック”って言われるように、歌の中で歌詞をとても大切にしてるバンドですよね。
熊谷和海(G・Vo) :そうですね。自分が「この曲を好きだな」って思うのは、大体歌詞なんですよ。しかも、それは単純にメロディと歌詞があればいいってわけじゃなくて、歌詞でいちばん伝えたいことに行きつくための、理由としてのAメロ、Bメロがあって、そのピークに持っていくための仕掛けが大切なのかなっていう気がしてるんです。曲のテンションと、展開と、歌詞の流れっていうものとピークが一致した瞬間に何かが生まれるんじゃないかなっていう。ちょっと言葉にするのは難しいんですけど……。
EMTG:わかりますよ。歌詞は結局歌の一部なんだけど、でも絶対的な意味合いがあって。言葉では伝えづらいことをいかに音楽で表現するのがバーンアウトだと?
熊谷:そうですね。そういうことを、ずっとぼんやりと思ってます。ようやく最近になって、こうやって喋れるようになってきたんです。『文學少女』(前作アルバム)のあたりから、いろんな人の作品を聴いたりして、何が自分の心に刺さるのかっていうのを分析していったら、目指すのはそういうところなのかなと思うようになりました。
EMTG:自分が何者であるかを分析することは、必要な作業でしたか?
熊谷:やっぱり自分が伝える立場である以上は、自分のことを誰よりも把握してないと、なかなか言葉にはできないと思っていて。音楽とは別のところで、「自分の好きなものって何だろう?」って考えたりするんです。曲って自分の歴史でしかないと思うんですよ。自分の好きだったもの、嫌いだったものを正確に把握したうえで、「俺はこういうのが良いと思うんだ」っていう景色を届けることが音楽だと思うんです。
石川大裕(B・Cho):だから僕は「僕ららしさ」が何かって言うと、つまり熊谷らしさなんだと思うんですよ。熊谷は何でも上手にこなすことができるし、すごい器用なんですけど、すごい不器用でもあるというか。頑固なんですかね。ここで、ちょっと自分に嘘ついただけで、もっともてはやされるのにって思うことも絶対にやらない。だから生きるの大変そうやな、と思いますよ(笑)。それがこいつやと思うし、僕らの曲にも出てるんです。
熊谷:器用に生きられたら、曲なんて書く必要ないじゃないですか。楽しく生きたらいいんですよ。こんな、わけのわからない……自分と殴り合うようなことをしなくても、女の子と楽しくやって、余生を過ごすみたいな(笑)。
石川:もう余生か!?まだ23歳やで(笑)。
熊谷:それができないから音楽をやってるんですよね。
EMTG:廣瀬くんも、石川くんが言ったような感覚はありますか?
廣瀬拓哉(Dr・Cho):そうですね。僕は昔は目立ちたがり屋だったんですよ。ドラムのフレーズにもたくさん個性を出したいと思うタイプだったんですけど。20歳を超えたぐらいから、やっぱりBURNOUT SYNDROMESは熊谷の曲ありきだから、そこが最大限に生きるようにドラムを叩いていくのが正解なんだろうなと思うようになりました。
熊谷:(2005年に結成して)11年目にして、バンドがまとまりだしたね。
廣瀬:それまでは、みんな我が強いので個性のぶつかり合いでした。
EMTG:あ、その個性のぶつかり合いは消えてないですよ。特にこの「FLY HIGH!!」は。
石川:本当ですか?だいぶ譲歩したつもりだよね、自分たち的には(笑)。
廣瀬:譲歩した(笑)。でも、たしかに「FLY HIGH!!」に関して言うと、青春っぽさっていうか、荒々しさっていうところも必要だと思って作ったところはあるかな。
EMTG:その「FLY HIGH!!」は、アニメ『ハイキュー!!』のオープニングテーマにもなってますが、タイアップのお話があって書き下ろした曲ですか?
熊谷:そうですね。当時、『ハイキュー!!』は18巻まで出てたんですけど、改めて全部読ませてもらって書きました。読みながら、いい年して本当に泣いてしまったんです(笑)。だからその「なぜ自分が泣かされたのか」みたいなのを考えて、ファンのひとりとして、「俺は『ハイキュー!!』のここが好きだ」みたいな曲にしようと思ったんです。
EMTG:『ハイキュー!!』を読んで、どういうところで感動しましたか?
熊谷:バレー漫画なんですけど、もともとバレーの強豪校だった学校に天才1年生が2人入部してくる、みたいな話なんですね。その1年生に3年生がポジションを奪われてしまうんですよ。でも、その3年生は1年生に対して嫉妬するでも、暗い感情を抱くわけでもなくて、「才能の差が格段にあっても、俺はバレーが好きだから、実力でまたこのポジションに立てるようにがんばるよ」っていう宣言をするんです。そこに熱いものを感じたんですね。敗者にもスポットライトをあてていて、彼らには彼らなりの青春があったし、努力もあったっていうのをすごくリアルに描いてるんですよ。そういうことをオープニングテーマとして書けたらなと思ったんです。
EMTG:石川くんはアニメの世界観に寄せて作ることに関してはどうでしたか?
石川:僕はアニメの主題歌っていうと、やっぱり『鉄腕アトム』とか。極端なことを言ってしまうと、ああいうものが正解だと思うんですよ。
EMTG:ああ、作品にすごく寄り添った歌というか?
石川:っていうのが、タイアップはいちばんベストなのかなって思ってて。
熊谷:俺もそうです。『サイボーグ009』とか。
EMTG:メンバーの年齢のわりには出てくるアニメが古いよ(笑)。
石川:『銀河鉄道999』とか?
熊谷:『宇宙戦艦ヤマト』とか。
EMTG:『ドラゴンボール』の「CHA-LA HEAD-CHA-LA」とか?
熊谷:いや、そのあたりは新しすぎます(笑)。
EMTG:変なバンドだなあ(笑)。
石川:あははは。まあ、それは極端かもしれないですけどね。だから、今回もさすがに歌詞に「ハイキュー!!」って言ってしまうと古くなってしまうんですけど、でも、熊谷がちゃんと作品のことを思って曲を書いたのは、すごく良かったなと思います。
廣瀬:あとは、歌詞の内容で言うと、何度だって、負けてももう一度這い上がって勝ってやるっていう『ハイキュー!!』だからこそ書けた気持ちが、いまの自分たちともマッチしてるんですよ。初めて聴いた時に、僕もがんばろうって思ったんです。だから、これを聴いてくれるお客さんにも、聴いて元気になってもらえたらと思いますね。
EMTG:応援歌みたいな曲ですもんね。
熊谷:そうですね。この高校の応援幕に「飛べ」って書いてあるんですよ。この二文字がかっこいなと思って。それを歌詞に入れることにしたんです。
EMTG:今までのバーンアウトにはないストレートな曲だし、やっぱり『ハイキュー!!』っていうアニメの話がなかったら、こういうタイプの曲はできなかったんじゃないですか?
熊谷:少年漫画から新しい刺激をもらえたというか。自分だけで作ったら出てこないかもしれないです。自分が封印してた扉が開いてしまいましたね。
石川:ジャンプだからね。「努力、友情、勝利」みたいな。
EMTG:同時に今作はメジャーデビュー曲でもあるわけだから、作品に寄せるより、もっとバンドとしてのエゴを打ち出したい気持ちはありませんでしたか?
熊谷:うーん……。正直、メジャーデビューだから、みたいな気持ちは二の次でした。この『ハイキュー!!』の曲をちゃんと作りたいっていう気持ちが強かったし。結果として、僕らのメジャーデビューらしい曲にもなったと思うんです。これまで『ハイキュー!!』は、偉大な先輩方がオープニングをやってらっしゃるわけで。そういう人らと比べられるのは間違いないという部分もあった。そうなった時に僕らが何をするかって言うと、自分たちが持っている色で闘うのがベストだと思ったんです。だから、さっき彼(石川)が言ったような、器用なんだけど不器用、みたいな雰囲気はこの曲にもありますね。
EMTG:わかりました。では、2曲目の「エアギターガール」の話も訊かせてください。女子高生の衝動が溢れ出た、めちゃくちゃかっこいい曲ですね。
石川:これは、熊谷が(デモ音源を)持って来てすぐにできましたね。
廣瀬:デモの段階から、熊谷が楽しそうに作ってる感じが伝わってきたんですよ。「俺、やりたいことやってるよ」みたいな。愛着がある曲だよね。
熊谷:曲自体は「FLY HIGH!!」と同時進行で作ってて、この歌詞は本当に自分がやりたいことですね。女の子がエアギターを弾いてる絵が好きだなと思ったんです。ギターは弾けないけど、ロックスターを目指してがんばる、みたいな。それは生き方の話ですけど。言いたいことをちゃんと言って、もうジメジメする性格はやめよう、みたいなことを歌詞のキーとして、そこにエアギターがあったら面白いなと思って書きました。
EMTG:熊谷くんの特徴として、曲の中で女の子が主人公になったりするじゃない?
熊谷:そうですね。
EMTG:それは、どうしてだろう?
熊谷:今回で言うと、その理由のひとつは「FLY HIGH!!」が男の子の曲だから、2曲目は女の子にしようっていうのがあった。っていうのと、《輝けあたし Rock Star》っていう歌詞が出てくるんですけど、これを男の子の歌にして、「僕はロックスター」みたいなことがちょっと言いづらくて……。照れなのかわからないですけど。
EMTG:自分と重なっちゃうから?
熊谷:なのかな。今はまだ心からは言えないから、女の子にしちゃいました。
EMTG:3曲目の「サクラカノン」は、クラシックの名曲「カノン」を大胆に組み込んだ卒業ソングですね。
熊谷:平原綾香さんの「Jupiter」とか、遠藤賢司さんの「歓喜の歌」みたいな、クラシックをそのまま生かした曲が好きなんですよ。ああいうスタイルには賛否両論あると思うんですけど。クラシックに対する敬意を感じるし、僕は音楽としてありだと思うんです。
廣瀬:最初、デモで聴いた時は、「うわ、バラードだ、珍しい」と思ってたら、急にテンポチェンジが入って、「カノン」が入ってきて、最後にバーンッてピークが来るっていう。今まで聴いたことがない曲だったから、面白いなと思いましたね。
熊谷:でも、不思議なことではないと思うんですよ。転調であったり、テンポチェンジであったり、引用っていうのは音楽のひとつのかたちだと思ってて。それを、このCDを聴いてくれる世代にも知ってほしいんです。「こういう音楽もあるんですけど、どう?」って提案することが、僕らの仕事なんじゃないかなと思ってる。やっぱり自分が良いと思ってるものを見せていきたいし、そのためには変なこだわりは捨てて、新しいことをどんどんやっていきたいと思ってます。よく言う「それはロックじゃない」みたいなことは、どうもロックじゃない、というか。音楽として聴いてほしい、という気持ちですね。
EMTG:こういう一見「ロックなの?」思われるような曲も、堂々とメジャー一発目のシングルに入れることがバーンアウトのひとつの意志なんですね。
熊谷:そうですね。この曲ができたのは、僕が打ち込みを始めたからっていうのもありますね。いままで僕らは「かっこいいかわからないけど、とりあえずやってみよう」みたいな感じがあったんです。でもいまはデモの段階で100%自分の頭の中を見せられるようになったから面白いですよ。『文學少女』までは、そういうことができなくて、もっとこうすれば良かったっていうのもあるんですけど。それを極力減らしてくのが、メジャーっていうフィールドにいる資格なのかなっていう。メジャーっていう名前に恥じないように、これからは頭の中を全部曝け出す気持ちで臨めたらと思います。

【取材・文:秦 理絵】

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リリース情報

Teen Trip Into The Future

Teen Trip Into The Future

発売日: 2021年02月03日

価格: ¥ 1,500(本体)+税

レーベル: ULTRA-VYBE, INC./SPEEDSTAR MUSIC, INC.

収録曲

01.Intro
02.It’s gonna be you
03.きみにうたう
04.ブラナ#15
05.Melancholy
06.Everybody Nice Guys
07.夕霞団地

リリース情報

FLY HIGH!!(初回生産限定盤)[CD+缶バッジ2個セット]

FLY HIGH!!(初回生産限定盤)[CD+缶バッジ2個セット]

2016年03月02日

EPICレコードジャパン

1. FLY HIGH!!
2. エアギターガール
3. サクラカノン
4. FLY HIGH!!(アニメバージョン)
5. FLY HIGH!!(Instrumental)

(c)古舘春一/集英社・「ハイキュー!! セカンドシーズン」製作委員会・MBS

お知らせ

■ライブ情報

Release Anniversary Tour
~君を何処へだって連れて行く~

2016/06/25(土)東京・渋谷GARRET udagawa
2016/06/27(月)名古屋・池下 CLUB UPSET
2016/06/28(火)大阪・心斎橋CLUB DROP

【オフィシャル先行受付期間】
3/15(土)~3/13(日)23:59まで
http://eplus.jp/burnoutsyndromes-hp2016/

★2016年11月、全国ツアー&東阪クアトロワンマンライブ決定!!
2016/11/16(水)大阪・梅田CLUB QUATTRO
2016/11/25(金)東京・渋谷CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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