人間模様の愛の結晶が描かれた『ACIDMAN 20th ANNIVERSARY FILM”SAI”』

ACIDMAN | 2018.03.28

 2017年11月23日にACIDMAN主催フェス「ACIDMAN presents SAITAMA ROCK FESTIVAL "SAI"」が、バンドの地元・さいたまスーパーアリーナで開催された。当日は2万人以上の観客が集まり、大成功のうちに幕を閉じた。今回は結成20周年の大きな節目に行われた"SAI"のライブや舞台裏を軸に、2マン・ツアーのドキュメントや、ファン投票でセットリストを決めた『ACIDMAN 20th Anniversary Fans’ Best Selection Album “Your Song” リリース記念プレミアムワンマンライブ』(17年1月21日・Zepp Tokyo)の模様をパッケージしたBlu-ray&DVD『ACIDMAN 20th ANNIVERSARY FILM"SAI"』について、じっくりと話を聞いてきた。

EMTG:昨年開催された結成20周年の集大成となるACIDMAN主催フェス「ACIDMAN presents SAITAMA ROCK FESTIVAL "SAI"」の映像集が完成しました。現場でも観ましたが、映像では舞台裏の人間模様をリアルに描いてて、ものすごく見応えがありました。
大木伸夫(Vo・Gt):「今回のフェスは人間模様の愛の結晶だ」と映像監督である親友のアキさんが言ってくれて、僕自身もフェス中にそれをずっと感じてたんですよ。ほんとにいろんなバンドやファン、スタッフのおかげでできたフェスだなと。あと、ファンの人に「ACIDMANとは?」と質問してくれて、みんなの人生の一部になれているんだなって、自分で観ても感動しました。
EMTG:ファンの方から「ACIDMAN=人生」という発言も多くありました。大木さん自身も映像を観て、感動したと?
大木:そういう映像になるとは聞いてなかったので(笑)。裏側を撮ってほしいと思ったけど、それをちゃんとまとめてくれたなと。一発目の10-FEETからこのフェスが決まったなと思いました。コスプレまでしてくれたし、僕らの直前にBOOちゃんがMCで見事に空気を作ってくれましたからね。
EMTG:ええ、出演者を含む周囲の人たちのACIDMANに対する愛が尋常じゃなくて。大木さんとしても、20年の歩みがあの場所で結晶化された気持ちがあります?
大木:ありますね。僕はネガティヴに考えるほうで、昔からロック・バンドとしてなかなか居場所がなかったし。それを選んでいる自分がいる一方で、仲間を欲している自分もいたから。あの日は本当の意味での仲間みたいな場所を作れた気がして。MCに関しても普通はOKをもらえないんだけど、それも全バンドがOKしてくれたから、貴重な一枚になったと思います。
EMTG:各バンドのMCや、それをステージ袖で見守る大木さんの姿を見るだけで、当日のフェスの良さが伝わってきました。特にBRAHMANのライブが終わった後、大木さんは涙を浮かべてましたよね?
大木:そうそう(笑)。TOSHI-LOWにはいつも感動させられるというか。先輩ではあるんだけど、友達として付き合ってくれるし……フザけるんだけど、最後にビシッとまとめてくれるMCをしますからね。憧れの先輩が自分たちのフェスに出てくれて、感極まっちゃいました。
EMTG:さきほど「ロック・バンドとしてなかなか居場所がなかった」と言ってましたが、結成時はそういう思いが強かった?
大木:インディーズの頃からシーンで括られるのが嫌だったんですよ。当時はパンク、ラウド、オルタナ・ロックとか言われていたけど、言葉で括られると、そこから出れなくなる気もしたから。僕はインスト、バラード、ポップスも好きで、その全部をやりたかったし。でも気付くと、そういう居場所がないバンドたちが集まって、特に今回のフェスはみんなそういう姿勢でやってきた人ばかりだなと。彼らのおかげで自分たちも20年続けられたと思うので。デビューから周りのバンドに影響を受けてきたし、彼らの生き様や活動に刺激されてきたんだなと。逆に言うと、曲を作っても、それがほかのバンドに似ていたら、バッと捨てますからね。
EMTG:ACIDMANがデビューした90年代は特にシーンの棲み分けがはっきりしてました。例えばHi-STANDARDがいたら、それっぽい音を鳴らそう、というバンドも多かった時代ですけど。
大木:あっ、でもHi-STANDARDの存在は大きいかも。当時はメロコアも好きだったけど、こんなにかっこいいバンドが日本にいるなら、同じことをやるのはやめようと。それでパンク色の強い曲は減りましたからね。
EMTG:なるべく他者と被らずに、自分なりの表現を見つけようと。
大木:その考えは昔からずっとそうですね。ただ、この20年の中で最初は中指を立てていたけど、それから両手を広げて、すべてを抱きしめるような生き方をしたいなと。デビューして2、3年後ぐらいかな。そこで歌い方もガラッと変わりましたからね。当時はすべてに唾を吐くような気持ちで歌っていたけど、何のためにネガティヴな言葉を吐き出しているのかな?って。最終的には誰だって人から愛されたいし、自分を好きになりたいし、人間をもっと信じたいし、世界はもっと美しいと思いたい。意地を張っていたけど、僕は人間が好きなんだなって。あと、宇宙が好きで、小学生の頃に空に向かって叫んでいたから、むしろそっちを突き詰めようと。それでなるべくなら、一歩先の考えを提案したくて。死後の世界を提案して、そのためには思いっきり勉強して、死後の世界はあるんだと確信したら、それを歌にしようと。目に見えない世界はたくさんあるんだよって。
EMTG:ええ。"SAI"に話を戻すと、あの日の自分たちのライブを振り返って、どんな思いがあります?
大木:いいライブだったんですけど、助けられた部分がでかくて。みんながお膳立てをしてくれたから、ヘンな言い方だけど、失敗のしようがない場所を作ってくれたなと。普段とは全然違う気持ちでライブができたし、何のプレッシャーもなかった。ウィニングランみたいな気持ちでしたね(笑)。フィギュアスケートで言うと、エキシビジョンみたいな。
EMTG:はははは、そうですか。じゃあ、気持ち良くライブをやれたと?
大木:そうですねえ、ステージに出たときもみんなが最後まで観てくれたのも嬉しかったし。何とも言えない贅沢な気持ちでライブをやりました。
EMTG:そして、今作は"SAI"の映像だけではなく、2マン・ツアーのドキュメントなども収録されていますけど、AGGRESSIVE DOGSからRIP SLYMEまで対バンに呼べるのはACIDMANしかいないと思いますよ。
大木:ははははは。人が好きだし、出会いを大事にしているから。AGGRESSIVE DOGSは今もかっこいいと思ったから呼んだし、RIP SLYMEも大好きだから呼んだだけで。常にオープンにしているし、自分の感情にウソを付かないようにしているから。まあ、各バンドともスタイルが違うので、刺激を受けましたね。僕は一緒にお酒を飲んでいると、その人たちの人生を見てしまうんですよ。
EMTG:というのは?
大木:裏側というか、UZI-ONE(Vo、AGGRESSIVE DOGS)も子供の頃があったんだなって(笑)。
EMTG:その中でもHEY-SMITHの猪狩君(Vo/G)が大木さんに感謝の言葉を述べるシーンが印象的でした。
大木:猪狩がどうしてもいいたいと言って、映像を撮ってくれたみたい。ちょうどバンドがぐちゃぐちゃのときで、メンバーとも顔を合わせなくて。打ち上げで乾杯! と言ったけど、「これで乾杯できるのか?」って言っちゃったんですよ。それからバンドの関係性も戻ったみたいで、僕らもそういう時期があったからわかるんですよ。人生はおせっかいの密集みたいなもので、事故に遭いながら、みんな人と出会うわけだから。僕はHEY-SMITHが好きだから、ヘンになって欲しくなかったし。踏み込んで言うのは難しいけど、自分の性格的にも黙っていられなかったから。
EMTG:わかりました。では、今回の映像を通して、大木さんが伝えたいことは?
大木:愛ですよね。"SAI"じゃなくて愛(笑)。映像からそれが伝わるだろうし、打ち上げで朝4時頃にしみじみと愛だなと自分で思ってるときに、TOSHI-LOWから「大木、愛だよ、愛!」と言われて。今、マジでそれを思っていたんだよなって。20周年で区切りが付いたので、ここからまた新たなスタートですね。いい曲を作って、いいライブをする。それが目標ですね。で、いつかわからないけど、またこういうフェスをやれる機会を作れたらいいなと思ってます。

【取材・文:荒金良介】

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リリース情報

ACIDMAN 20th ANNIVERSARY FILM “SAI”

ACIDMAN 20th ANNIVERSARY FILM “SAI”

2018年03月28日

ユニバーサルミュージック

・ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”」

・ACIDMAN 20th Anniversary 2man tour Documentary

・ACIDMAN 20th Anniversary Fans’ Best Selection Album “Your Song” リリース記念プレミアムワンマンライブ2017.01.21 at Zepp Tokyo

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

ACIDMAN LIVE TOUR “Λ(ラムダ)“
04/01(日)[東京]Zepp Tokyo
04/07(土)[宮城]仙台 Rensa
04/08(日)[新潟]新潟 LOTS
04/14(土)[石川]金沢 EIGHT HALL
04/15(日)[愛知]Zepp Nagoya
04/21(土)[香川]高松 Olive Hall
04/22(日)[大阪]Zepp Osaka Bay Side
04/28(土)[福岡]DRUM LOGOS
04/29(日)[熊本]熊本 B9.V1
05/06(日)[高知]高知 CARAVAN SARY
05/13(日)[北海道]Zepp Sapporo
05/19(土)[広島]広島 Club QUATTRO
05/20(日)[岡山]岡山CRAZYMAMA KINGDOM
05/26(土)[沖縄]桜坂 CENTRAL
06/02(土)[宮城:石巻ブルーレジスタンス
07/13(金)[東京]日本武道館


TAKASAKI ARENA LIVE FESTIVAL “GBGB2018”
05/03(木祝)[群馬]高崎アリーナ

中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018
09/22(土) -23(日)
[岐阜]中津川公園内特設ステージ

THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2018
10/07(月)-08(火)
[鹿児島]鹿児島市桜島多目的広場&溶岩グラウンド

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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