a crowd of rebellion 過去最高にダーク&アグレッシブな3rdアルバム『Ill』

a crowd of rebellion | 2018.06.23

「鉄球みたいな作品」と宮田大作(Vo)は表現していたけれど、言い得て妙だ。新潟発のスクリーモ5人組、a crowed of rebellionは昨年結成10周年を迎えた。そのアニバーサリー・イヤーを経て、届いた3rdアルバム『Ill』(イルと読む)がとにかく凄い! そもそもどんなアーティストに影響を受け、自分たちはどんなことをやりたいのか。それを徹底的に突き詰めることでブレイクスルーを果たした傑作と言っていい。歌詞も曲調もこれまでになく振り切ることでダーク&アグレッシヴな音像を獲得しているけれど、耳にスッと飛び込んでくる聴きやすさも磨き抜かれている。その意味では10年という歳月で培われたものが、音に重厚な説得力を与えているに違いない。

EMTG:今年3月8日に結成10周年を締め括るワンマン公演をZepp DiverCity TOKYOで行いましたよね。ライヴ自体はこれぞa crowed of rebellion!と言える凄まじい爆発力を発揮してくれましたが、振り返っていかがですか?
宮田:10周年を迎えて、ここから俺たちはこう行くよって、目で、耳で感じさせることができたかなと。俺たちは新しい未来へ行くんだという決意を見せられたと思います。今作を聴いてもらえれば、前作と違ってダークな部分……自分たちの根本にあるものだったり、一番表現したいものを圧倒的に前面に出そうと。
EMTG:あの10周年ライヴと今作は気持ちの部分でも繋がっていると?
小林:そうですね。ライヴ後半は視界が晴れて、メンバーやお客さんにも救われたし、あの日を境に心の中でパーンとハジけたものがあって。吹っ切れたし、強くなれたかなと。
EMTG:今作を聴かせてもらって、これは過去最高にアグレッシヴな作品じゃないですか?
宮田:余計な方に散らずに、核の部分をそれぞれの曲に込めましたからね。だから、そういう印象を持っていただけるのかなと。
EMTG:前作までは音色や展開など曲調を広げる方向でバンドのオリジナリティを見せていました。今作はその流れとは異なり、作品全体からコンセプチュアルな趣を感じました。作品一枚を通して、このバンドの色が強烈に感じられる作風ですね。
宮田:自分たちはどういうバンドなのか、それを考えた上で作ってみない? と提案したんですよ。それが俺にとって悲しみ、苦しみ、辛さだったり……もっと、わかりやすく共感できるものを提示しようと。それで小林(亮輔 / Vo&Gt)を真ん中に立たせた作品を作ろうと思ったんですよ。そこがいままでとは違いますね。その上で自分たちが影響を受けた音楽をしっかり出したくて。
EMTG:悲しみや苦しみを感じたアーティストというと?
宮田:俺自身はKORN、DEFTONESですかね。それからスクリーモを聴いたりして、すげえ! と思ったから。スクリーモも苦しさや辛さを隠さずに思いっきり放出してますからね。a crowed of rebellionは、そういうバンドに影響を受けて作られたバンドですからね。
丸山漠(Gt):もともと好きだったスクリーモとか、あの悲痛な感じを出せたらいいなと。今回はその中でもエモーショナルな部分を凝縮して作りました。自分はUNDEROATH、SAOSINとか大好きですからね。ああいうバンドたちもエモーショナルだし、叫びも悲痛じゃないですか。あの“ウワーッ!”となる感じを曲で出そうと。
EMTG:なるほど。ただ、苦しさや辛さを体現する上でなぜ小林さんを真ん中に立たせようと?
宮田:こいつ、超楽しい奴だぜ!って思わないですよね(笑)? a crowed of rebellionを象徴しているんですよね。
小林:もともと僕はファンで、後から加入したんですけどね。
EMTG:そうですよね(笑)。ほかのメンバーも異論はなく?
近藤岳(Dr):そうですね。メンバーみんなで話し合ったし、そこで改めて方向性も見えましたからね。
EMTG:紙資料には「小林亮輔の精神世界を具現化した」と書いてありますが、これはどういう意味なんですか?
小林:精神世界というか、自分の頭の中ですよね。自分が書きたいことをこの作品で全部書きました。心の真っ暗な部分を書いたから、ダークと言えばダークなのかなと。昔は難しい言葉で伝えようとしていたんですけど、誤解を恐れずに言うと、簡単に書こうと。前の俺だったら「忘れないで」とか、そういう言い方はしないですからね。今回の歌詞は意味がわかるような文章で書けたと思うし。仮歌をベースに歌詞を書いたんですけど、そこにハメた適当な日本語とあまりズレないように耳馴染み良くしたかったんですよ。2人(宮田、小林)で考えたシナリオはあるんですけど、聴いてくれる方がどう解釈してくれるかが楽しみですね。
宮田:歌詞は小林の深いところから引っぱり出してますからね。自分の嫌いところだったり、自分なんて死んでしまえばいいのにみたいな……そういうダークな部分を出しているから。人に向けて頑張れと言ってる曲もあるけど、それ以上にダークなものが目立っていますからね。
EMTG:ええ。楽器陣はアレンジ面でどんなことを考えました?
近藤:楽曲に対して仮歌を入れた時点でアレンジを考えるんですけど、亮輔の歌を際立たせるに余分なものは削ぎ落としたり、歌の抑揚に注意して、それに合うようにフレーズ作りを考えました。
高井佑典(Ba):そこは同じですね。あと、バンドの指標になるものがほかにあればいいと思って、亮輔が好きな作家さんの本を買ったんですよ。
小林:銀色夏生ですね。中学のときに読んでいたんですよ。
高井:亮輔を構成したものの一つとして教えてもらって。漠も、その本の雰囲気を踏まえて作った曲もありますからね。演奏でも(銀色夏生の)言葉の雰囲気を踏まえて、擦り合せた部分もありますね。
EMTG:今作は小林さんを真ん中に立たせているとはいえ、全員攻撃と言える、とてつもない迫力に溢れてますよね。
宮田:小林という神輿を担いでいるけど、密着しないと担げないじゃないですか。それが音になって表れているんじゃないかと。以前は俺が勇者だぜという気持ちもあったけど、小林という勇者が先頭を歩いて、俺は魔法使いみたいな(笑)。
小林:うん、メンバーが音数を減らして歌に寄り沿ってくれたり、漠は俺が歌っているイメージで曲を作ってくれましたからね。メンバーがそういう気持ちで取り組んでくれると、自分の歌にも張りが出たし、気持ち良く歌えましたからね。なので、本当に大切なアルバムになりました。制作は苦しかったけど、いろんなことに挑戦もできたから。
EMTG:今作は音像も歌詞も振り切っているという意味で聴き手によって好き嫌いは分かれるかもしれませんが、好きな人にはとことん深く刺さる作品ですよね。やはりバンドとしても、そういう作品を作りたかった?
宮田:その通りですね。自分たちが好きなものを嫌いっていう人もいるだろうし。でも自分たちが好きなものをやって何が悪いんだと(笑)? 俺たちはこれをやりたんだ!って決心できたからこそ、一枚岩になれたし、アグレッシヴだし、いままでになく硬質なアルバムができんじゃないかと。これまでの10年を踏まえて、俺たちにしかできないアルバムを作れたと思います。

【取材・文:荒金良介】

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リリース情報

Ill

Ill

2018年07月11日

ワーナーミュージックジャパン

01. Prologue -Insomnia-
02. Ill
03. Sign.
04. Raccoon Dead
05. Anemia
06. #ペルソナ
07. Calling
08. 紡冬
09. Interlude -Akinesia-
10. Colorless
11. Noah
12. THE TESTAMENT

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

Ill tour 2018-2019
【Two-man tour】
2018年
09/02(日) [新潟] GOLDEN PIGS RED STAGE
10/20(土) [岩手] the five morioka
10/26(金) [神奈川] F.A.D YOKOHAMA
10/27(土) [静岡] Live House UMBER
11/02(金) [群馬] 高崎 club FLEEZ
11/03(土) [長野] 松本ALECX
11/04(日) [茨城] mito LIGHT HOUSE
11/10(土) [広島] 広島 CAVE BE
11/11(日) [兵庫] 神戸 太陽と虎
11/16(金) [埼玉] HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
11/17(土) [千葉] 千葉LOOK
11/23(金祝) [香川] 高松TOONICE
11/24(土) [京都] 京都MUSE
11/25(日) 石川 金沢 vanvan V4
【One-man tour】
2019年
01/20(日) [新潟] 新潟LOTS
01/26(土) [福岡] 福岡DRUM Be-1
01/27(日) [岡山] 岡山IMAGE
02/03(日) [大阪] 大阪BIGCAT
02/09(土) [北海道] DUCE札幌
02/11(月祝) [宮城] 仙台MACANA
02/15(金) [愛知] 名古屋ボトムライン
02/24(日) [東京] TSUTAYA O-EAST

acor members 先行販売
6/23(土)21:00~7/1(日)23:00
詳細はこちら(スマートフォンのみ対応)



激ロック presents a crowd of rebellion 男祭り Smells Like(C10H26N4)
06/29(金)下北沢LIVEHOLIC

PassCode Presents VERSUS PASSCODE 2018
07/01(日)LIQUIDROOM

ANOTHER DECADE IN THE RAIN TOUR 2018
07/15(日)鹿児島CAPARVO HALL
07/16(月祝)宮崎SR BOX

0.1gの誤算 presents もんぐサミットVol.2
08/09 (木) TSUTAYA O-EAST

RUSH BALL 2018 20th Anniversary
08/26(日) 泉大津フェニックス

TREASURE05X 2018 “HEARTS OF THE TREASURE"
09/09(日)蒲郡ラグーナビーチ

TOKYO CALLING 2018
09/15(土)新宿エリア複数のライブハウス
09/16(日)下北沢エリア複数のライブハウス
09/17(祝月)渋谷エリア複数のライブハウス
※上記いずれかの日程での出演となります。

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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