眉村ちあき メジャー1stアルバム『めじゃめじゃもんじゃ』インタビュー前編

眉村ちあき | 2019.05.07

 バラエティ番組『ゴッドタン』で披露した即興ソングが話題となり、NHK Eテレ『ビットワールド』へのレギュラー出演もスタートするなど、様々な形で注目を集め続けている「弾き語りトラックメイカーアイドル」眉村ちあき。彼女のメジャー1stアルバム『めじゃめじゃもんじゃ』のリリースを記念して、インタビューを2回に分けてお届けする。非常にユニークなスタイルを発揮しつつも、美しいメロディを目一杯に開花させているこの作品を聴けば、規格外の才能の持ち主であることを誰もが確信するに違いない。彼女の音楽は、どのようにして生まれているのか? 前編となる今回も、独特な感性を示す自由奔放なエピソードが早速たくさん飛び出している。

EMTG:『めじゃめじゃもんじゃ』には本編16曲+ボーナストラック2曲が収録されていますが、予定していたよりも曲数が増えたと聞いております。
眉村:そうなんです。せっかくアルバムにするなら同じ値段でいっぱい曲が入ってる方が、お得じゃんって思って、「いっぱい入れてあげよ~」って。私もお得なものが好きだから。消費者の気持ちです!
EMTG:さすが「株式会社 会社じゃないもん」の経営者ですね。
眉村:はい(笑)。
EMTG:前回のアルバムを出した後、2週間くらい曲作りのスランプがあったんですよね? 「なんだっけ?」は、その時のことが反映されているそうですが。
眉村:「なんだっけ?」を作ったのは、去年の11月とかです。「天才な曲を作らないと!」って勝手に思い込んで、作れなくなっちゃったんですよ。だから「天才って思い込み過ぎて作れねえよ!」っていうのをそのまま歌にしたら、スランプから脱出できました。
EMTG:去年辺りから急に「天才!」って言われるようになって、どうしたらいいのか自分でもわからなくなったんですかね?
眉村:そうですね。急だからびっくりして。でも、今はプレッシャーを感じてないです。
EMTG:「なんだっけ?」は、何かに押しつぶされそうなっているリスナーを励ませる曲にもなっていると思いますよ。僕、《グミを分けてあげるね》っていうフレーズに、妙にグッときてしまったんですけど。
眉村:私、人と仲良くする時にグミを1粒あげるっていうルールがあったんです。今もたまにグミを持ってたらやるんですけど。グミをあげたら友達じゃないですか。「一緒に立ちションをしたら、もう親友!」みたいな感じです。
EMTG:ZOCの香椎かてぃさんは戦慄かなのさんに足の匂いをかがせて仲良くなったそうですが、それに通ずる本能的なコミュニケーションですね。
眉村:はい。その話を聞いて「似てるな」って思いました。
EMTG:(笑)友情の輪を広げたりもしながら、いい曲をたくさん生み続けていますね。僕、「ピッコロ虫」が大好きなんですよ。元気がない時によくMVを観ています。
眉村:やったあ!あの曲、メジャー感がありますよね。「メジャー感出そう!」って思って作ったんです。最初はディズニーみたいな曲を作ろうと思ってたんです。「お姫様ですよ~」みたいな曲にしたくて。私は、太陽のお姫様なんです。元気がもりもりなんで。前までは「やったあ~!」って言って朝起きてたんですけど、最近は「ぱちり!」って言って目をあけてます。平和ですねえ。
EMTG:平和なメジャー感ということで言うと、「ブラボー」もそういう曲ですね。『魔女マーティーと動く竜宮城』という大作となったMVもすごかったじゃないですか。
眉村:はい。11分くらいあります。メロディアスなところが月9っぽくて、エンディングで流れたらピッタリな曲だと思っているので、MVでもエンディングで流しました。
EMTG:「ピッコロ虫」のメロディも神がかっているし、眉村さんってやっぱりタダ者じゃないなと僕は思っています。
眉村:ありがとうございます。ほめられてる(笑)。
EMTG:こういう記事でやたらとほめすぎると「本当にそんなにすごいの?」って読者に思われることもあるので注意しなきゃいけないんですけど、これだけいい曲、いい歌を聴くとほめざるを得ないのが困ったところです。
眉村:嬉しい!
EMTG: 1曲目の「ほめられてる!」みたいな曲が生まれるのも自然なことだよなと、このアルバムを聴きながら思いました。
眉村:この曲、最初のアカペラがお気に入りなんです。すごい音痴なんですよ。気分を昂ぶらせて音痴に歌いました。その後にメジャー感のある《何もない日だって》に入るのが「ギャップ!」って感じだから、それがいいかなと。1曲目がこれだから、お店の試聴機で聴いた人を膝から崩れ落ちさせたいなと思ってます(笑)。私は本当の音痴が好きなんですよ。クリトリック・リスとか、どついたるねんさんが大好きですから(笑)。
EMTG:非常に味のある方々ですよね。
眉村:はい。クリトリック・リスなんて、どうしてあんなに音がとれないのか不思議なんですよ。私は音がとれるから、とれない人がすごく素敵に見えるんです。人間は自分が持ってないものを持ってる人が魅力的に見えるものだから、クリトリック・リスはほんとに大好きです。「なにやってもいいんだ」っていう元気を与えてくれるんですよ。
EMTG:理由がよくわからないまま心を動かされずにはいられない音楽ですよね。
眉村:そうなんです。背中を押すような歌詞とか、明るい曲調とかでみんなを元気にするのが一般的だと思うんですけど、それ以外のグシャグシャなものとかも世の中にはあるじゃないですか。そういう人たちって歌詞とかもめちゃくちゃで、「そんな曲で元気を与えられるわけない」って思われるんだろうけど、その生きざまというか、必死にバカなことを歌ってるっていうものは、聴いてると元気になるんですよね。私はそういうものを聴いたりする方が、逆に泣いちゃうんです。
EMTG:眉村さんは歌がすごく上手いですけど、「上手く歌おう」ではなくて「伝わるものでありたい」というのが根本にあるということですね。
眉村:はい。上手く歌いたいとは全然思ってなくて。ボイトレに通ったこともあって、上手く歌う方法を先生に教えてもらったりもしたんですけど、「上手く歌えてどうすんねん?」って思ったんです。「先生が言ってることは必ずしも正しいわけじゃないな」と思いました。私の良さを出すためには、私がそれを出すしかないんです。他の人に言われて直すとかしたら自分じゃなくなっちゃうんじゃないかなということを思って、ボイトレはやめました。
EMTG:眉村さんに関しては、自分の歌をちゃんとコントロールできるスキルの高さを持っている上でそういう意識を持てているから強いんだと思います。
眉村:自由自在なので、「ラッキー!」って思ってます(笑)。オペラも真似したらできましたからね。
EMTG:例えばクイーンも独自の解釈で吸収して、そこからオリジナル曲を生み出せる眉村さんですし、表現の幅は広がり続けていますね。
眉村:はい。『ボヘミアン・ラプソディ』を観てから、帰ってすぐに作ったのが「Queeeeeeeeeen」です。クイーンっぽく作ろうとしたんですけど、「どこがクイーンなの?」って、みんなに言われます(笑)。でも、「書き下ろし主題歌」のBメロからサビに行く時の転調の仕方は、クイーンの転調を参考にしたんですよ。『関ジャム』のクイーンの特集を観て、「こうやって転調してるんだ?」って。私は、すぐに影響されるんです。
EMTG:「奇跡・神の子・天才犬!」もPOLYSICSとの2マンライブきっかけだったじゃないですか。
眉村:はい。あの2マンが衝撃的だったんです。新しい吸収ができるから、ライブはいっぱいしたいんですよね。
EMTG:眉村さんは、ヒップホップも好きですよね。この前、渋谷のラ・ママでDOTAMAと対バンした時、フロアでノリノリだった眉村さんを見つけました。
眉村:DOTAMAさん、超好きなんですよ。私はラップが好きというより、多分、ヒップホップが好きなんだと思います。重低音が大好きですし。
EMTG:トラックでループを効果的に使っている感じとか、たしかにヒップホップ的なところがあるかも。
眉村:ありますね。憧れがあるんだと思います。ヒップホップをずっと聴いてたわけでは全然ないんですけど、対バンして「かっこいい!」って思うのが、どうしてもそっち系なんですよ。
EMTG:吸収したものを上手く自分なりに表現する眉村さんのスタイルは、ヒップホップのサンプリング的なところもあるのかも。「Teeth of Peace」も、そういう部分が表れている曲ですし。
眉村:「Teeth of Peace」は即興トラックメイクで作ったんですけど、エレピを使ったらたまたまいい感じになったんです。私、本当はSuchmosみたいなおしゃれな曲が作りたいんですよ。でも、できないんです。今までに何度も挑戦したんですけど。今回のアルバムには入ってないですけど、「ビバ☆青春☆カメ☆トマト」や「MC マユムラ」っていう曲とかも、本当はSuchmosみたいな曲を作りたかったんです。
EMTG:「ビバ☆青春☆カメ☆トマト」とか、Suchmos感は全然ないですけど、おしゃれな曲ではあると思いますよ。
眉村:本当ですか? いつかSuchmosやジャミロクワイみたいな曲を作りたいんですよね。聴いてるとイケメンになったような気分になってくるじゃないですか。イケてるシティーボーイ、シティーガールみたいな気分になれる曲を作りたいんです。でも、自分で自分の曲を聴いてても、私はそうならないんですよ。自分の曲を聴いてると、子供が歌ってるのを聴いてる気分になっちゃうので。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

めじゃめじゃもんじゃ

めじゃめじゃもんじゃ

2019年05月07日

TOY’S FACTORY

1.ほめられてる!
2.ピッコロ虫
3.奇跡・神の子・天才犬!
4.開国だ
5.Queeeeeeeeeen
6.なんだっけ?
7.ヘチマで体洗ってる
8.書き下ろし主題歌
9.おじさん
10.代々木公園
11.ゲロ
12.Teeth of Peace
13.荻窪選手権
14.ブラボー
15.本気のラブソング
16.大丈夫

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■マイ検索ワード

死んだふりの名人 オポッサム

最初「死んだふりをする動物」で検索したんですよ。そしたらオポッサムが出てきたので調べました。身の危険を感じると死んだふりをするらしいです。
私、この間、死んだふりごっこみたいなのをしてたんですけど、「死んだふりごっこ」って言うのは嫌だから「オポッサムごっこ」っていう名前をつけて、「オポッサムごっこしたよ」ってツイッターに書きました。



■ライブ情報

全国ツアー「CHIAKI MAYUMURA 1st Tour めじゃめじゃもんじゃ」
5/19(日) 宮城県 space Zero
5/25(土) 福岡県 graf
3rdワンマンライブ「眉村ちあき 3rd ワンマンライブ〜東京湾へダイビング!〜」
6/4(火) 新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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