leccaがアルバム『TOP JUNCTION』を引っさげて開催した全国ツアーのZeppファイナル。会場となったZepp Tokyoは超満員で、開演前から熱気に溢れている。

　そんな中、アルバムの1曲目でもある「RUNWAY」から、ライブは元気にスタートした。ストレートでパワフルなボーカルが、会場を一気にヒートアップさせていく。その後4人の女性ダンサーも加わって、『TOP JUNCTION』からのナンバーを中心に、エネルギッシュな楽曲が次々に歌われていった。後方の4面のスクリーンには、歌の内容に応じて、アニメーションやCGなど様々な映像が映し出され、ステージの雰囲気を盛り上げていく。ゴスペル・タッチの「100年の明日」を挟んで、11曲目の「INFORMER」まで、多くがアップ・テンポのナンバーで、それがほぼノンストップで畳みかけるように披露されていったが、1曲ごとにパワー・アップしていくかのような、leccaのボーカルは圧巻だ。そのパワーと、未来へ向かおうとする推進力の強さは、「すごい」という他ない。ハンパないパワーの持ち主だ。特に、がんばる女の子に向けての応援歌ともいうべき「キラキラ」「ミソ-gal」「働く♀の子」、そして「ファミリア」「紅空」のメドレーは圧巻だった。

　さらに、歌の合間に、歌詞のメッセージとも繋がったleccaの言葉が次々と発信され、それがファンのハートにダイレクトに伝わってくる。

「Junction（分岐点）に立ったときに、ラクな方を選んじゃダメ。しんどいけど、“こっちなら私がんばれる”という方を選ばないと、前には進めないよ」
「正解を選ぶんじゃなくて、選んだ方を正解にするんです」
「でも、ほんとうにしんどくなったら、休んでもいいよ。無理をしちゃダメ。少しぐらい休んでも、絶対に追いつけるから」

　…など、彼女の真摯なメッセージが、聴き手のハートを熱くしてくれる。そんな熱いスピリットも、leccaの大きな魅力だ。

　そして「マタイツカ」では、このツアーで初披露だという、彼女自身のピアノの弾き語りを聴かせ、続く「Back to U feat. TEE」では、スペシャル・ゲストのTEEが登場し、切ないラブ・バラードをスウィートなデュエットを聴かせてくれた。さらにスローなレゲエ・ナンバー「For You」と、前半とは一転したスローなこのセクションでは、leccaの豊かなボーカルが感動的だった。表現の幅広さも、彼女のシンガーとしての強みだろう。

　後半は、「My Measure」「SOLA」「ちから」と、さらにパワフルでエネルギッシュなナンバーが続き、会場のボルテージは、一気にMAXへと昇り詰めていった。「足が痛くなってきた人もいるかも知れないけど、鍛え方が足りないよ。体も心も、鍛えれば強くなるからね」という彼女のメッセージが、さらに客席を盛り上げていく。　

　ラストは、アルバムのタイトル曲でもある「JUNCTION」。leccaのスケールの大きな歌声に乗せて、スクリーンには4人の、それぞれの日常を写した映像が映し出され、“選んだ道を後悔しない、前を向いて生きていこう”という彼女のメッセージが強く伝わってきた。

　曲が終わり、leccaがステージを降りた後も、観客が赤いサイリュームを振りながら「JUNCTION」のサビをずっと歌い続けていた。それはleccaとファンとがひとつになった、彼らの繋がりの強さが感じられる瞬間だった。

　そしてアンコールでは、スペシャル・ゲストとしてRHYMESTERが登場。「Sky is the Limit feat. RHYMESTER」を、ライブで初披露した。実はこの曲、ラップとボーカルの掛け合いなど、ライブで再現するのがかなり難しい曲なのだが、それを完璧に表現し、さらにアルバム以上のグルーブ感でパフォームしたのだからすごい。改めてlecca、そしてRHYMESTERのミュージシャンとしてのスキルの高さを再認識させてくれた、素晴らしいパフォーマンスだった。

　さらに情感溢れるロック・バラード「to be continued」、ビートの強いダンスホールの「Jammin’ the Empire」で、背中を押される強いメッセージと共に、ライブは幕を閉じた。lecca自身、“苦行のようなライブ”と語っていたが、最初から最後まで全力投球、パワーとエネルギーが全開のライブだった。それを1曲たりとも力を抜かず、テンションを緩めず、全身全霊を込めて歌い続けるところが、leccaだ。そしてそんな彼女のスピリットがファンにも届いているからこそ、これだけ会場と一体になれるのだろう。leccaというアーティストのすごさを実感できた、充実感に溢れたライブだった。

【取材・文：熊谷美広】