前へ

次へ

WHITE ASH、白熱のチャリティ・ワンマンライヴをレポート!

WHITE ASH | 2014.11.17

 黒地に白抜きでバンドロゴを配したシンプルなバックドロップが張られたステージ。ロフト、野音、武道館と並んで、ここクラブクアトロも、ロックバンドが大きくなっていく過程でははずせない会場だが、意外にもWHITE ASHにとってこの会場でのワンマン公演は初。この春、すでにAX公演を成功させている彼らだけに、チケットは当然ソールド・アウト。首にタオルを装備したロック少年、ロック少女のみならず、幅広い世代のオーディエンスで フロアはみるみる埋め尽くされていく。
 開演前にも関わらず熱気が充満していたフロアに涼しい風が吹き込まれた18時過ぎ、客電が落ちる。歯切れのよい手拍子にのってメンバーが登場。スモークが焚かれる中、その表情はわからないものの、のび太(Vo,G)は客席に向かって深々と頭を下げている。オープニングナンバー「Casablanca」のイントロが鳴らされたところで、悲鳴にも似た歓声があがった。腹と胸にグイグイと迫りくるビート。メロディアスなパートでは再び覇気のある手拍子が演奏に弾みをつける。ストロボライトの中でのび太の細い腕が天に向かって突き上げられた「Number Ninety Nine」。バンドのポリシーである“シンプルでカッコいい音楽”、それにプラスされる肉体感は、やはりライヴでしか体感できないことを早くも序盤で痛感させられた。一瞬のブレイクの後、彩(B)の左手が上下に大きくスライド。「Thunderous」の骨太なグルーヴの中で洗練された印象を残す、のび太の歌声。なだれこんだ「Kiddie」ではオーディエンスの熱唱を、「Paranoia」の聴かせどころでは、オーディエンスのハンドクラップを誘う。音のうねりの中を悠々と泳ぐのび太、ギタリストとしての存在感を揺るぎないものにする山さん(G)。

 『イイね、なんかワンマンって、イイ!』。のび太の短い言葉がこの日の充実ぶりを物語っていた。『フェスや対バンで見られるWHITE ASHはここまで。ここからは本来のWHITE ASH。自由に楽しんでいって』。妖艶ささえ感じさせる「Zodiac Syndrome」、メロウな中にも不穏が漂う「Killing Time」では長い髪を揺らしながらグルーヴを操る彩のプレイが印象的だ。腰を揺らせるメロディアスなミドルナンバーも、WHITE ASHの真骨頂だ。心地よさで塗り替えられたフロアを眺めながら、引っ込み思案だった幼少期を振り返ったのび太。『人生、何が起こるか分からない。人生は一回しかないし、楽しめたらいいなと思って作った曲をお届けします』との言葉から、柔らかな光射すナンバー「After All, Life Is Picnic」へ。剛(Ds)、彩、山さんのコーラスの中で歌うのび太からは、照れ屋で恥ずかしがり屋だった少年の表情が覗く。メンバー紹介の後、新曲「Xmas Party Rock Anthem」がひと足早くプレゼントされた。切ないメロディと鈴の音、ヘヴィなサウンドが一体となったWHITE ASHらしいクリスマスソングは、12月リリースのMVベスト盤『The Best Nightmare For Xmas』に封入される「Special Xmas CD」に収録される。

 ひときわ大きな歓声があがった「Crowds」からラストスパートへ突入。ここまで全力で歌いながら、綻びひとつ感じさせないのび太の歌声は、繊細だが屈強だ。ダンサブルにネックを振り上げるのび太、「Pretty Killer Tune」ではコール&レスポンスも沸き起こった。本編ラストは「Hopes Bright」。『ここにいる皆さんと、すべての方々に明るい希望があることを願って』。希望の光がメンバーの背後から降り注ぎ、オーディエンスを照らした。

 アンコールの声に応え、再びメンバーが登場。ライヴタイトル“Cycle”の意味が福島出身の山さんから告げられた。今回は震災後の福島を支援する『福島インドアパークプロジェクト』を支援するチャリティライヴで、前々日に福島で行われた2公演の収益の一部が寄付されるという。話す山さんの背中を、メンバー3人が見つめている。とはいえ、ここまでチャリティライヴらしい雰囲気や演出など一切なく、純粋にワンマンライヴとしてステージを進めたあたりが、いかにもWHITE ASHらしい。『シリアスな感じというより、気軽に考えてほしい』。そのカジュアルさが“Cycle”へと繋がっていくことを、メンバーも、オーディエンスも、ささやかだが確かな証として実感したに違いない。

 大小のミラーボールが煌びやかな光を放った「Xmas Present For My Sweetheart」、WHITE ASHなりの“みんなのうた”とされた「(Y)our Song」で4人が見せた笑顔いっぱいのプレイと幸福感でライヴは終了、と思いきや、ラストナンバーはスリリングな「Stranger」でピリリと引き締める。一筋縄ではいかないバンドの在り方を最後まで提示し続けた一夜だった。

【取材・文:篠原美江】
【撮影:柴田恵理】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル WHITE ASH

リリース情報

[DVD]The Best Nightmare For Xmas(DVD+CD)

[DVD]The Best Nightmare For Xmas(DVD+CD)

2014年12月10日

VAP

【DVD収録内容】
Music Video(新曲含む全11曲)
Stranger、Thunderous、Paranoia、Kiddie、Jails、Would You Be My Valentine?、Velocity、Crowds、Casablanca、Hopes Bright、Xmas Party Rock Anthem(新曲)

Live Movie
2014.03.15 WHITE ASH One Man Tour “Lilium” Final at SHIBUYA-AXより
「Xmas Present For My Sweetheart」 

特典映像
WHITE ASHのやってみてGOOD!

【CD収録内容】
Xmas Special CD
M-1:Xmas Present For My Sweetheart (From Album「Ciao, Fake Kings」)
M-2:Xmas Party Rock Anthem(新曲)

このアルバムを購入

お知らせ

■ライブ情報

LITHIUM ROCK FESTIVAL 2014
2014/11/23(日) 新木場 STUDIO COAST

rockin’on presents JAPAN’S NEXT
2014/11/30(日)TSUTAYA O-WEST

Boo Xmas 2014
2014/12/12(金)豊洲PIT

COUNTDOWN JAPAN 14/15
2014/12/28(日)幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

LIVE DI:GA JUDGEMENT 2014
2014/12/30(火)渋谷CLUB QUATTRO / TAKE OFF 7

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る