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EGO-WRAPPIN’、年末恒例の「Midnight Dejavu」で懐かしの“あの歌”なども披露

EGO-WRAPPIN’ | 2015.01.26

 EGO-WRAPPIN’が毎年12月に催す「Midnight Dejavu」は2014年で14回目。この数年と同様に今年も東京・鴬谷キネマ倶楽部で3日,大阪・大阪ユニバースで2日と計5公演を行なったのだが、ファンにとっては年中行事になっていると言っても過言ではなく、初日となった19日のキネマ倶楽部から待ちわびた人たちの熱気と喧噪がフロアに溢れかえっていた。
 古いキャバレーをそのまま使ったこの会場は、EGO-WRAPPIN’によく似合う。バンドが持つジャジーでブルージーな雰囲気だけでなく、バルコニーに丸く囲まれたレトロなステージから、彼等が鳴らすサウンドの温度がそのままフロアに響いてくるようだ。だからここで見るEGO-WRAPPIN’は格別に楽しいのだろう。

 SEが流れTHE GOSSIP OF JAXXのメンバーらとステージに登場した森雅樹(G)は「皆さんこんばんは。テンション高いですねー」と笑顔を見せ、「今年も沢山の人にお世話になったんですけど」と、この日のゲストDJで、彼等が15年ぶりに主題歌「Neon Sign Stomp」を担当したTVドラマ「リバースエッジ大川端探偵社」の大根仁監督を紹介。「ノリノリで行きましょうか。EGO-WRAPPIN’、ショウタイム!」とスタートを切った。

 4人の管隊がアッパーな演奏で盛り上げるウィリー・ジャクソンのカヴァー「Later for the Gator」で幕を開けると、ふっくらした赤いドレス姿の中納良恵(V)が登場し「Mother Ship」をフロアに歌いかけた。歌うほどに声が伸びてフロアを包み込んで行く中納はこの日も絶好調。軽やかな「PARANOIA」に続き端唄(はうた)の「奴さん」をアーバンに聴かせ、管隊がクリスマス曲を挟み込んだ「Crazy Fruits」ではスムースな歌で魅了する。アドリブで「キネマ倶楽部!」などと叫ぶのもお手のもので、オーディエンスをぐいぐい曲に引き込んで行った。

 カヴァーもタップリ演るのが「Midnight Dejavu」。この日も「Boom Diddy Wah Wah」やエルヴィス・プレスリーの曲、森とバンドが「隅田川ブルービートボーイズ」を名乗って演奏したスカタライツのナンバーなどでルーツや趣向を示しながら、彼等ならではの味に仕上げて楽しませてくれた。

 もうひとつ「Midnight Dejavu」とは彼等のデビュー曲「色彩のブルース」のタイトルの一部でもあるからか、同時期の「かつて…」や「GI GO LO」など懐かしい曲も披露。1月14日にソロ2作目を出す中納の歌はクールであると同時に豊かで、しなやかに歌うジャジーかつブルージーな曲は、今の彼等にこそふさわしいように思える。さらりとこうした美曲を聴かせたところに14年の歴史を感じさせもした。

 もちろん最新曲「Neon Sign Stomp」では、「大根さん、あの曲やっていいですか!」と中納が声をかけ、歌詞を「あなたのいない鴬谷」と変えて沸かせた。この辺りから終盤は一気に加速し、「Nervous Breakdown」「くちばしにチェリー」で盛り上げる。フロアと掛け合い熱気を増して行くと森のギターがひときわ踊った。本編最後は6枚目のアルバム『EGO-WRAPPIN’AND THE GOSSIP OF JAXX』から「雨のdubism」。4人の管隊が鳴らす分厚い響きに煽られ、これぞ「Midnight Dejavu」と思わせる上がりまくっての大団円。そしてアンコールはしっとりと聴かせたベッシー・スミスのカヴァーに、伸びやかな中納の歌がロマンチックなムードを盛り上げた「SORA NO LION」。上からフロアに降り掛かる淡雪に手を伸ばす人たちは歌に酔いしれていた。
 新年は中納のソロからスタートするが、1年後にはまた同じようにここで集うことだろう。見る程に味が増すEGO-WRAPPIN’は2015年も眼が離せないと、固く思わせたライヴだった。

【取材・文:今井智子】
【撮影:仁礼博】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル EGO-WRAPPIN’

リリース情報

BRIGHT TIME

BRIGHT TIME

2014年05月21日

トイズファクトリー

1.Neon Sign Stomp
2.太陽哀歌(エレジー)
3.パンドラの箱
4.サニーサイドメロディー

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お知らせ

■ライブ情報

還暦 こだま和文
2015/01/29(木)東京都 LIQUIDROOM

CHOICE 2ND ANNIVERSARY
2015/03/21(土)大阪 ユニバース

中納良恵 live tour「窓景」
2015/02/07(土)金沢市民芸術村パフォーミングスクエア
2015/02/08(日)仙台 イズミティ21 小ホール
2015/02/19(木)札幌 サンプラザホール
2015/02/24(火)福岡 イムズホール
2015/02/26(木)名古屋 CLUB DIAMOND HALL
2015/02/27(金)大阪 サンケイホールブリーゼ
2015/03/01(日)BLUE LIVE 広島
2015/03/10(火)東京グローブ座
2015/03/11(水)東京グローブ座

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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