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THE BACK HORN、ストレイテナーとの対バン「“共鳴”を通り越して宿命だ」

THE BACK HORN | 2015.11.12

 ストレイテナーのホリエアツシ(Vo、G)が、「俺たちとTHE BACK HORNはずっと前から共鳴してる。今日は共鳴通り越して宿命、それが判明した」と言ったのを受けて、THE BACK HORNの松田晋二(D)は「今日は"KYO-MEI"じゃなくて"宿命"ツアー」とMCを始める。別々の時間軸なのだが、2バンドそれぞれのステージが一つにつながっているようなやりとりに、これこそTHE BACK HORNが提唱する"KYO-MEI"の、ひとつのかたちだと思った。この 2バンドは、年齢もほぼ一緒でインディーズ・デビューが共に2000年。同じ頃に結成しライヴハウスやイベントで何度もすれ違ったり共演したりしてきた。そして2年前にストレイテナーの「21st CENTURY ROCK BAND TOUR」にTHE BACK HORNがゲストで参加し、今回はTHE BACK HORNの「KYO-MEI 対バンツアー」にストレイテナーが参加した。そんな経緯があるから、この夜も互いにリスペクトを込めた軽口を叩き、本気で競いあう熱いライヴを見せてくれた。

 緊張感のある「The World Record」からスタートしたストレイテナーは、ホリエが随所で歌詞をこの日に合わせて変えていた。「Little Miss Weekend」の、死神たちが「少しはマシな話をしてくれるぜ」というところを「中身のある話をしてくれるぜ!」と強く言い放ち、日向秀和のベースが唸ると前傾姿勢で「瞬きをしない猫」「From Noon Till Dawn」と畳み掛ける。そしてホリエは「From Noon Til Dawn」の歌詞を変えて「共鳴へようこそ!と歌い、「(THE BACK HORNの)「キズナソング」に負けないバラード」と言って「シンクロ」へ。キーボードを弾きながら伸びやかな歌を聴かせるホリエを青い照明が包む幻想的な情景から、大山純の印象的なギターで始まる「NO ~命の跡に咲いた花~」へと続くドラマティックな展開は、ストレイテナーの真骨頂。そして「今日初披露の新曲」と始めた「DAY BY DAY」はシンセを同期させたディープなビートと起伏に富んだメロディに引き込まれずにいられない曲。大山のフリーキーなギターと日向の歪むベース、そしてナカヤマの鋭いドラムが、ホリエの歌をさらなる高みへ届かせた。終盤はスケール感のある「冬の太陽」で沸かせ、「一緒にTHE BACK HORNを楽しみましょう」と呼びかけた「ROCKSTEADY」の熱っぽさは、THE BACK HORNへの十分すぎるエールになった。

 荘厳なSEに乗って登場したTHE BACK HORNは最新シングル曲「その先へ」でキック・オフ。バンド結成当時のことをモチーフにしたこの曲は、この日の幕開けにぴったりだ。”その先へ”と歌うサビで山田将司(Vo)はフロアを指差してフロアの熱気と集中度を高め、ヘヴィな「ブラックホールバースデイ」は菅波栄純(G)のアグレッシヴなギターが炸裂した。岡峰光舟(B)も激しく動き回り、フロアも瞬く間にカオス。そのまま突っ込んだ「戦う君よ」で将司が何度も「TOKYO!」と叫んだのは、この日が全国7カ所を親しいバンド達と回ってきたこの「KYO-MEI 対バンツアー」ファイナルだからだろう。

 松田が、冒頭に書いたように「SHUKU-MEI対バンツアー!」と受けた後で、日向がお気に入りだという「テンション上がってますか!」で煽り「幻日」へ。ベースとギターが幻想的な音像を作って曲へ入ると将司は手拍子を促し、タイトなビートに体を揺らす。栄純も光舟もコーラスしながら暴れまわり、このバンドならではの高揚感を発散する。ヘヴィな「ファイティングマンブルース」から最新シングルの「悪人」へ続くドラマティックなスケール感もまた、このバンドにしか描けないものだった。「悪人」は5月の渋谷公会堂で初演した曲だが一段と深みのある演奏になり、ストーリーのある歌がさらに説得力を増していた。

 そしてストレイテナーもお気に入りらしい「キズナソング」はリリースから10年経った今もピュアな輝きを持って届き、4人の雑談めいたMCの空気を躍動感あふれる「真夜中のライオン」は一変させた。光舟のベースが跳ね、将司がシャウトすると、栄純は転がらんばかりに暴れ、加速をつけて突っ込んだ「コバルトブルー」と「シンフォニア」はバンドとフロアが一体となって揺れた。

 アンコールで松田が、ドラムがMCするスタイルはACIDMANに敬意を表して「イチゴスタイル」と宣言。そしてTHE BACK HORNの新作『運命開花』がリリースされ来年ツアーを行うこと、12月23日に恒例の「マニアックヘヴン」を開催することを告げ、演奏した「路地裏のメビウスリング」の穏やかさと「刃」の熱気は心地よい余韻を残した。実際に顔を揃えなくても、ずっと2バンドがそこにいるように感じられる、気持ちの良い対バンだった。

【取材・文:今井智子】
【撮影:RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE BACK HORN ストレイテナー

リリース情報

運命開花(初回限定盤)[CD+DVD]

運命開花(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年11月25日

ビクターエンタテインメント

[CD]
1. 暗闇でダンスを
2. ダストデビル
3. その先へ
4. tonight
5. コンクリートに咲いた花
6. 記憶列車
7. 胡散
8. 魂のアリバイ
9. 悪人
10. シュプレヒコールの片隅で
11. 君を守る
12. カナリア

[DVD]
『Document of 運命開花』
アルバム制作を追いかけたドキュメント。Music Video「悪人」「その先へ」の撮影ドキュメントを含む約45分の特別映像

お知らせ

■ライブ情報

マニアックヘブンVol.9
2015/12/23(水・祝)新木場STUDIO COAST

THE BACK HORN「KYO-MEIワンマンツアー」~運命開歌~
2016/02/21(日)渋谷TSUTAYA O-EAST
2016/02/23(火)千葉LOOK
2016/02/25(木)HEAVEN’S ROCK KUMAGAYA VJ-1
2016/03/02(水)HEAVEN’S ROCK UTSUNOMIYA VJ-2
2016/03/03(木)水戸LIGHT HOUSE
2016/03/11(金)京都磔磔
2016/03/13(日)米子AZTiC laughs
2016/03/18(金)神戸VARIT.
2016/03/20(日)和歌山CLUB GATE
2016/03/21(月・祝)奈良NEVERLAND
2016/03/26(土)松本Sound Hall a.C
2016/03/27(日)甲府CONVICTION
2016/03/31(木)郡山HIP SHOT JAPAN
2016/04/02(土)石巻BLUE RESISTANCE
2016/04/03(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE
2016/04/07(木)浜松窓枠
2016/04/09(土)名古屋DIAMOND HALL
2016/04/10(日)金沢EIGHT HALL
2016/04/14(木)大分DRUM Be-0
2016/04/16(土)宮崎SR-BOX
2016/04/17(日)鹿児島CAPARVO HALL
2016/04/21(木)岡山YEBISU YA PRO
2016/04/23(土)高知X-pt.
2016/04/24(日)松山サロンキティ
2016/05/07(土)広島クラブクアトロ
2016/05/08(日)福岡DRUM LOGOS
2016/05/10(火)熊本DRUM Be-9 V1
2016/05/14(土)松江AZTiC canova
2016/05/15(日)高松MONSTER
2016/05/21(土)新潟Lots
2016/05/22(日)仙台Rensa
2016/05/28(土)旭川CASINO DRIVE
2016/05/29(日)札幌ペニーレーン24
2016/06/10(金)なんばHatch
2016/06/12(日)新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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