今年1月10日には地元・ひめぎんホール・サブホールにて、念願のワンマン・ライヴを満員の大成功に収めたひめキュンフルーツ缶（以下ひめキュン）。そこで第一章にピリオドを打ち、さらなる自信を得た。

　そして、2月に発売されたニュー・アルバム『天国ギミック』は、メンバー自ら「第二章」と位置付ける真新しいエッセンスを盛り込んだ意欲作に仕上がっていた。以前よりエレクトロ色を前に押し出し、本来持ち合わせていたロック・サウンドと見事結実させることに成功。楽曲、ダンス、衣装、すべてにおいてレベルアップを図ったと、取材(インタビューはこちら)でも熱く語ってくれた。

　その『天国ギミック』発売記念ツアーは大阪公演を皮切りに、地元松山で締め括る（計6カ所、追加公演4公演）。今日はツアー5カ所目、セミ・ファイナル的な位置付けとなった東京公演の模様をレポートしたい。しかもワンマンとして最大キャパの東京・渋谷TSUTAYA O-EASTということもあり、ステージも広いため、ひめキュンにとっては思う存分に力を発揮できる舞台と言える。開演前からどんなライヴを繰り広げてくれるのか、ドキドキしながら、ステージが始まるのを待っていた。

　この日はゴールデンウィーク真っただ中ということで、15時開演。既にフロアには多くの観客で溢れていた。そこに奥村真友里、河野穂乃花、岡本真依、谷尾桜子、菊原結里亜のメンバー５人が登場すると、異様な熱気が渦巻く。バンドとは違って、ステージには本当に彼女たちしかいない。それを補うのはアグレッシヴなダンスであり、煌びやかエレクトロを配したロックモード全開の楽曲の数々だ。序盤からヘドバン、モッシュ、ジャンプと観客の感情を引き出すパフォーマンスで、休憩する暇さえ与えない。ひめキュンのメンバーもふとした表情はもちろん、両手足をダイナミックに動かす。加えて、目まぐるしい曲展開にピッタリ合わせた振り付けは、アスリート並みの運動量である。しかし、観客側にも微塵も疲れを見せず、エネルギッシュに躍動する様には感動さえ覚えてしまう。今回は最新作『天国ギミック』に伴うツアーなので、それらの楽曲を中心に据え、過去の楽曲もバランス良く織り込んだ内容になっていた。もしかすると、楽曲に温度差が生じるのではと危惧したが、全くそんなことはない。大人っぽいトラック、神秘的なデジタル音、アッパーなラウドっぷり、メンバー個々のソロパート、またマイクを向けて観客と一体化するシンガロングなど、耳目を奪うバリエーション豊かな攻めで飽きさせない。

　メンバー５人が気持ちを一つにした「モノクロビタミン」の美しいハーモニー、郷愁を刺激する青春ちっくなメロディに涙腺を揺さぶられる「ラララ」と最新ナンバーもライヴで格段に映えていた。そして、彼女たちが第2章をもっとも象徴する曲と言っていた「デッドギミック」もここで披露。既にMVでも公開済みの楽曲なので知ってる人も多いだろう。シースルーの赤いドレスをまとい、マイクスタンドを使用して、両手を激しく使ったエキゾチックな振り付けも実に魅力的。間奏のピアノパートにおけるコミカルなダンスを含め、片時も目が離せないひめキュン第二章を猛アピールしていた。

　もう暴れて、歌えて、躍れるライヴ・パフォーマンスの連続に、観客も追い付くのが必至という印象だった。それだけ今のひめキュンは「覚醒」しているのだ。地元・松山で行われるファイナル公演においても、凄まじいステージングを見せてくれることだろう。

【取材・文：荒金良介】