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MOROHA初映像作品『其ノ灯、暮ラシ』発売ツアーファイナル東京公演で魅せた、“全力”のロックンロール

MOROHA | 2017.08.02

 時に温度感までも伝わってくる電話越しの声のように、時に筆圧や肉筆感までも伝わってくる手書きの手紙のように、時に胸倉を掴み、目を覗き込み、傍らに居たり対峙したりの直接伝達のように...。この日もMOROHAは、満場を言葉とギターのみで釘づけにし、その放たれる一語一句を聴き逃すまい、受け止め逃がすまいと聴き入り、自分と重ね合わせている、その場に集った人々に素晴らしい<糧>を与えてくれた。

 6月14日にリリースされた新曲CD付きのMOROHA初映像作品『其ノ灯、暮ラシ』の発売ツアーが渋谷TSUTAYA O-nestでファイナルを迎えた。各公演ゲストを迎えて行われた同ツアー。この日は自主企画「怒濤」の9回目も兼ねていた。O-nestでの対バンはSA。キャリアやジャンルは違えど、共にスタンドアローンで男を背負った、極めて青春性と男臭さに満ちたロックバンドだ。 
元々同ツアーは各箇所ジャンルも異なるアーティストと共に行われてきた。THA BLUE HERB、あらかじめ決められた恋人たちへ、LOST IN TIME、四星球、呂布カルマと、その対バンも多岐であった。その理由の一つをMOROHAのMCアフロは、「学生の頃、自分が通っていたレンタルCD店では、ヒップホップもハードコアもミクスチャーも『ラウドロック』の括りで陳列されていた。しかし、中身も分からない為、ヒップホップ目当てでジャケを頼りに借りては、“そうだった!”“違った!”を繰り返していた。しかし、逆にそれを機に知ったアーティストや音楽、ジャンルや作品もあり、それが自分の糧にもなった」とライブ中に語ったが、それは“そんな体験を自分のお客さんにもしてもらいたい…”との意にも取れた。

 片や<共に抗い抜き、戦い抜き、目標や夢を得よう!!>と力強く謳歌するSAと、片やスタンドアローンでも抗い、もがき、ちらっと見える希望の光を信じさせる言葉が際立つMOROHA。その対象さは、会場一丸となって拳をあげ、一緒に歌い、呼応し、共有を創り上げたSAと、いつものことながら、一言一句を聴き逃すまいと全身で受け止めるかのように見入るMOROHAといった、それぞれの観衆の反応からも伺え、一方、<生命力>や<でも、やるんだよ!>といったパンキッシュなメッセージを両者から共通して感じることが出来た。

 まずはSA。MOROHAとは、3年前に共に出演した『京都大作戦』で知り合って以後、相互の音楽性を認め合い、一度の共演を経て、今回が久々の対バンだという。彼ら独特の疾走感がありながらも重低音の効いたパンクロックサウンドと人生を謳歌するような歌が次々と繰り出された、この日。それに合わせ会場の至るところから無数の力強い拳があがった。
ストリートパンク性の高い呼応と拳のあがる「DON’T DENY, GIVE IT A TRY!!」や「GET UP! WARRIORS」、ドライヴ感溢れる「KIDZ IGNITE」やサークルピットを生んだ「runnin’ BUMPY WAY」。ミラーボールも回る至福感たっぷりの背景の中、<今でも魔法を信じている>とハッピーさを交えて歌われた「BELIEVE IN MAGIC」。会場一丸となって歌った「誰が為の人生だ」やパーティ-性溢れる「START ALL OVER AGAIN」。そして、ラストのフロア中が肩を組む光景も美しかった「GO BARMY KIDS」まで全12曲。全ての生き方や歩みを肯定し祝福してくれるライブを展開してくれた。

 続くはMOROHA。SAとは対照的に最小限のライティングの中、既にステージ上では、MCアフロと、各歌内容が繰り広げる物語のサウンドトラックとも言えるバックトラックであり、演出であり、リリックの可視化や光景化の役割を担うアコースティックギターのUKが現われ、ライブの開始を待っていた。

 美しさと激しさ、優しさ柔らかさを表情豊かに伝えるアフロのラップは、自分に向けて歌われているように響くものが多く、この日も集まった多くの者が自分を重ね合わせているかのような光景が目を惹いた。
激しさの入り混じったストロークとカッティングを駆使したギターの上、「VS」から幕を開けたこの日。UKによる弦のタッピングとボディタッピングのビートの上、音源を武器にこの世界に震えながらも飛び込む所信表明曲「奮い立つCDショップにて」が、♪アーティストの生き残りをかけて7/25 O-nestにて♪とリリックの一部を変えて伝えられる。

 まず最初のアフロのMCは自分自身に向けて語られた。最近驕ってヌクヌクやってる自分に不満を持ち、自分のことが気に入ってない模様。次曲では通例、仮想敵に対して中指を立てていたけど、今日はそれを己に向けて歌いたいと、弦楽器であり、打楽器であり、ポストロックを経た超技巧派のUKのギターと共に、「俺のがヤバイ」へ。♪俺のがヤバイ♪の連呼と共に、仮想敵に対しての威嚇と自身暗示を激しく捲したてるように放つ。

 振り返るように伝えられる、その主人公の秀でたところを浮き彫りにするかのような手紙風の伝え方も彼らの曲の特徴の一つ。打って変わって「Apollo11」では、美しいアルペジオの中、祝福感溢れる柔らかいラップを聴かせてくれた。同曲では、嫁いでいく際の娘の心情や情景がアフロの口元から綴られ、会場中が主人公の親同様の心境になり、皆が嫁いでいく娘の幸せを願った。さらに幸せ溢れる曲は続く。アルペジオの最新発表曲「Memorii」では、もっと幸せになってとの思いが極上の優しさや温かさ、慈しみを込めて歌われた。

「全力で歌えば全力を引き出せると信じてる。一生懸命歌うだけ」とアフロ。緊張感に溢れ、まるで対峙しているように逃れられない、且つ時に向かってくるように響き、時に背後から常に追いまくられているかのように響く彼らの歌たちも、常に聴き手の背筋をしゃんとさせてきた。
そんな中の1曲とも呼べる「それいけ!フライヤーマン」は、4つ打ちのボディタッピングのループの上、緊張感のあるギターアルペジオも印象的な楽曲。作品以上の切迫感が会場の空気を更に締め上げていく。そして、今でも変わらない所信証明的ナンバー「三文銭」が飛び出すと会場も俄かに驚喜。♪DREAMはCOMEしてTRUEにならず DREAMはGOしてTRUEにしていく♪のリリックに各人が自身の夢や目標を思い浮かべる。この曲では、♪ついにはSAとツーマンができた。夢さえあれば人は輝く♪とリリックを替えて歌われた箇所も想い出深い。

 打って変わり、愛情と愛着に満ちた「拝啓、MCアフロ様」、「GOLD」の手紙ナンバー2連発が会場の多くの頬に涙を伝わせていく。「馬鹿な男を愛した馬鹿な女が最後に書いた手紙です」(アフロ)との言葉のあと、相手を心配した思いやりと愛情溢れる、懐かしさと想い出を散りばめた言葉が綴られた「拝啓、MCアフロ様」。続く、きっと大丈夫と温かく伝える「GOLD」では、同曲が擁する安堵感が会場全体に広がっていった。

 ここからは意志の強い決意表明を突きつけるかのような曲が連射され、それがグイグイと会場を惹き込んでいく。
革命前夜を歌った「革命」。もう絶対に負けない!そんな強い意志に満ちた「夜に数えて」の、振り払っても振り払ってもついてくるような歌たちが再び観衆と歌との対峙を誘う。

 この日はアンコールはなし。最後は「四文銭」が歌われた。億千万のため息や涙、雨風にさらされても、それを糧に希望や夢、決意として吐き出すと、まるで人生の光合成のように響く歌が、そのアフロの感情移入と、抒情性とエモーショナルさを内包させたUKのギターにより、更に眩しい輝きを放ち、自分たちに詰問してくる。「自分たちもSAも、キチンとお客さんと目と目を合わせて会話するかのような姿勢で毎度のライブを望んでいる」「ロックンロールとは閉じた扉をこじ開けることを言うんだろ。お前たちの日々にロックンロールはあるかい。もしあるのなら全身全霊を込めて言わせてくれ。俺たちはそのロックンロールを愛しているぜ!」「また会う日まで命を描け~!!」とはアウトロ時のアフロの言葉。なんというカタルシスだ。何か凄く浄化された気分だ。と同時に湧き上がってくる活力や生命力。気持ちが軽くなり、重かった足取りも軽くなる感じ。但し心は確実に入場時よりも豊潤になっているのが分かる。そう、MOROHAのライブの最後に常に感じる<生きている!!>って実感する瞬間だ。

 全てのやり取りや伝達がメールや携帯、スマホで事足りるこの時代。しかし、圧や熱や情を交えてでなければ伝わらないものもある。泥臭くも、回りくどくも、トゥーマッチにも、直に言葉をラップやギターに乗せて伝えることにこだわってきたMOROHA。
これからも彼らの<其ノ灯、暮ラシ=音楽活動>は続いていく。全国色々な場所で彼らに触れられる機会もあるだろう。その時はどうか彼らが放つ市井の人々ならではの圧や熱や情や叙情を、是非全身で受け止めて欲しい。それらは絶対に、あなたのその次の大切な一歩への糧になるはずだから。

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:MAYUMI -kiss it bitter-】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル MOROHA

リリース情報

其ノ灯、暮ラシ[single&DVD]

其ノ灯、暮ラシ[single&DVD]

2017年06月14日

YAVAY YAYVA RECORDS

SINGLE
1. Memorii
2. 30/20(LOST IN TIME 「30」リアレンジ)Recorded at RedBull Studios Tokyo

DVD
全41カ所のMOROHAIII ツアードキュメント

セットリスト

「其ノ灯、暮ラシ」RELEASE TOUR
2017.7.25@渋谷O-nest

 <MOROHA>
  1. 1.VS
  2. 2.奮い立つCDショップにて
  3. 3.俺のがヤバイ
  4. 4.Apollo11
  5. 5.Memorii
  6. 6.それいけ!フライヤーマン
  7. 7.三文銭
  8. 8.tomorrow
  9. 9.拝啓、MCアフロ様
  10. 10.GOLD
  11. 11.革命
  12. 12.夜に数えて
  13. 13.四文銭
 <SA>
  1. 1.DON’T DENY, GIVE IT A TRY!!
  2. 2.GET UP! WARRIORS
  3. 3.KIDZ IGNITE
  4. 4.runnin’ BUMPY WAY
  5. 5.俺は俺
  6. 6.さらば夜明けのSkyline
  7. 7.青春に捧ぐ part.2
  8. 8.BELIEVE IN MAGIC
  9. 9.誰が為の人生だ
  10. 10.START ALL OVER AGAIN
  11. 11.RALLY-HO!
  12. 12.GO BARMY KIDS

お知らせ

■ライブ情報

MOROHA presents MOROHA自主企画「怒濤」
08/28(月) 渋谷WWW X 第10回
11/07(火) 恵比寿LIQUIDROOM 第11回

“EIGHT SIX live”
08/05(土) 広島クラブクアトロ

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO
08/12(土) 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

OTODAMA SEA STUDIO 2017 音ザFLOW SUMMER 2017
08/14(月) OTODAMA SEA STUDIO

信州帰省フェス2017 LIVE AREA
08/16(水) NAGANO CLUB JUNK BOX

MONSTER baSH 2017
08/19(土) 国営讃岐まんのう公園

八食 SUMMER FREE LIVE 2017
08/20(日) 八食センター駐車場特設ステージ

ONE Music Camp 2017
08/26(土) 兵庫県三田アスレチック野外ステージ

Save the Birthday2017
08/27(日) 滋賀県彦根市荒神山公園運動施設野外特設ステージ

旅祭2017
09/03(日) 幕張海浜公園 Gブロック/野外特設会場

GO OUT MUSIC CAMP2017 
09/09(土) 大阪・万博記念公園 もみじ川芝生広場

夏の魔物2017 in KAWASAKI
09/10(日) 神奈川県・川崎市東扇島東公園・特設会場

HUSKING BEE presents Resonance MOROHA 〜Stay In Touch〜
09/16(土) 新代田 LIVE HOUSE FEVER

焼來肉ロックフェス 2017 南信州・飯田
09/17(日) 野底山森林公園

ITAMI GREENJAM 2017 ※9/17,9/18 出演日は後日発表
09/17(日) 兵庫県伊丹市昆陽池公園 多目的広場/草生地広場

MY FIRST STORY TOUR 2017
09/23(土) Zepp Nagoya

長田大行進曲2017
09/30(土) 神戸空港島内 多目的広場 野外特設ステージ

CLAPPER 11th ANNIVERSARY × MOROHA自主企画「破竹」第十三回 presents
10/05(木) アメリカ村CLAPPER

tricolore
10/07(土) 名古屋CLUB UPSET

ECHOES 2017
10/15(日) STUDIO COAST

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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