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Cö shu Nie 新たな“実験”が行われたツアー「Psychedelic Experiment」

Co shu Nie | 2019.09.03

 東名阪をまわったCö shu Nie(読み:コシュニエ)のツアー「Psychedelic Experiment」。そのツアーファイナルが8月24日、恵比寿LIQUIDROOMにて開催された。「Psychedelic Experiment」は直訳すると“サイケデリックな実験”。そのタイトル通り、ライブでは新たな試みが多々見受けられたため、そこも含めてレポートしていきたい。

 まず松本駿介(Ba)、藤田亮介(Dr)が登場すると、SEからそのまま演奏開始。SEの展開に合わせ、満を持して中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator)が現れると、キーボードの前に座り、鍵盤に指を滑らせるオープニングから、そのまま中村が弾き始めたのは「サイコプール≒レゴプール」のイントロで、7月31日にデジタルリリースされたばかりの最新曲が早速披露される。A~Bメロは浮遊感のある音像でボーカルはファルセットメインである一方、中村がエレキギターに持ち替えてからのサビは各楽器の音も歪み、刃先の鋭いアンサンブルからは狂気さえ感じる。静と動のコントラストが鮮やかな同曲では、それに伴い照明の色調も変化。上手上空にある布の装飾はクラゲの触手みたいで、ライトを浴びながらゆらめく姿が幻想的だった。

「最終列車」、「私とペットと電話線」と1曲の中に何曲分ものアイデアを詰め込んだかのような曲が続けて演奏されるなか、「『Psychedelic Experiment』へようこそ。かっこよすぎてよく分からない曲やります。」(中村)と、超高速BPMの「永遠のトルテ」へ。シーケンスを入れているとはいえ、3ピースの音とはとても信じられないほど情報量が多く、しかしキメるべきところではばっちりと息を合わせてみせる3人のアンサンブルが猛威を振るうなか、松本は背面弾きまで披露し、歓声を集めていた。

 そんなバンドの演奏を前にしてオーディエンスもすっかりハイになっているようで、曲間に一時暗転すると、「フゥー!」というテンションの高い声が飛んでくる。ここで改めて言及しておくと、“サイケデリック”とは元々ドラッグによって生じる幻覚や陶酔・恍惚状態が元になっている言葉。そう考えると、確かに、膨大な情報をもたらすCö shu Nieの音楽には聴く者の理性を吹っ飛ばす類の威力、中毒性があるかもしれない。そして「アマヤドリ」では波紋が広がったり、水泡がポコポコと生まれては消えたり……という映像がメンバー越しに壁面に投影されるプロジェクションマッピング的な映像演出が。「絶体絶命」では一面が歌詞でびっしり埋め尽くされるなど、このあとも映像演出は効果的に用いられ、聴覚のみならず、視覚をもがCö shu Nieの世界に支配されていく。

 壮絶な演奏シーンから一転。中村が一旦捌けると、松本と藤田の2人の個性が際立つMCに会場の空気が一気に和らぐ。そんななか、松本は、演出面や選曲面において様々な実験を行った今回のツアーを振り返り、「いいチームだし、3本だけですが、いいツアーだったなと思います」と語り、集まったファンへ「これからもみなさんと楽しんでいけるように実験していくのでよろしくお願いします」と伝えたのだった。

 再び中村が現れるとステージセットのランプが灯るという曲名に因んだ演出と共に「Lamp」から演奏再開。その後は、MCでも告げられた”実験”の1つとしての新曲が披露された。

 端的に言うならばCö shu Nieは、変則的な曲構成や色鮮やかな轟音を持ち味としたバンドだ。しかし「iB」以降は音像が一転。滑らかなアンサンブルをじっくりと聴かせるパートに移行していく。カオティックなサウンドで空間を塗りつぶすだけでなく、音の余白を聴かせ、行間を読ませる表現ができるのも彼らの魅力。「defection」演奏時にはほぼ暗転状態のなかで歌詞が投影され、歌の中の物語を増幅させるよう各楽器がドラマティックな旋律を奏でていた。演奏が進むにつれて、《you’re my garbage》という歌詞を(私の大切な人)と訳すような彼らの音楽が抱える悲しみ、孤独が浮き彫りになる。その後は、呼吸の音と微かな鼻歌が徐々にビートに変化するようなSEが流れ、呼吸が荒くなっていき極限に達するかの否かの瞬間、それをぶった切るように中村のギターカッティングから「PERSON.」へ。「butterfly addiction」、「asphyxia」と深みに潜ったあとの「海へ」は青の上方にぼんやりと白・緑・オレンジが浮かぶ照明も美しく、救いの響きをしていた。

 SEによるノイズがふと途切れ、スネアのロールにベース、それから歌とポエトリーリーディングが混ざったみたいな中村の歌が重なったあと、減速、停止。そうして始まったこの日最後の曲は、バンド結成初期の頃から存在する曲、「迷路」だった。組曲のように壮大な構成の同曲を終えたあと、一斉に楽器を掻き鳴らし、ギターの残響を鳴らしっぱなしの状態で去っていった3人。あえて締め括りを作らず、観る者の胸の内を掻き乱していくラストシーンは鮮烈で、彼らによる実験はまだ発展途上なのだということを示唆しているようにも思える。ひとまずは、11月リリースのニューシングル、そして来年1月から始まる全国ツアーがどのようなものになるのか、それを楽しみにしていたい。

【取材・文:蜂須賀ちなみ】
【撮影:鳥居洋介】

tag一覧 J-POP ライブ Co shu Nie

リリース情報

bullet【期間生産限定盤A】

bullet【期間生産限定盤A】

2019年11月20日

SMAR

1.bullet
2.絶体絶命 (piano ver.)
3.Lamp (piano ver.)
4.bullet (Instrumental)
5.bullet (Slushii Remix)

セットリスト

Cö shu Nie Tour 2019
“Psychedelic Experiment”
2019.8.24@恵比寿LIQUIDROOM

  1. 01.サイコプール≒レゴプール
  2. 02.最終列車
  3. 03.私とペットと電話線
  4. 04.永遠のトルテ
  5. 05.アマヤドリ
  6. 06.絶体絶命
  7. 07.Lamp
  8. 08.新曲
  9. 09.葡萄
  10. 10.supercell
  11. 11.character
  12. 12.iB
  13. 13.defection
  14. 14.PERSON.
  15. 15.butterfly addiction
  16. 16.asphyxia
  17. 17.海へ
  18. 18.迷路

お知らせ

■ライブ情報

Cö shu Nie Tour 2020
2020.01.24(金)KYOTO MUSE
2020.01.26(日)神戸VARIT.
2020.01.31(金)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ3
2020.02.02(日)名古屋Electric Lady Land
2020.02.08(土)福岡DRUM Be-1
2020.02.10(月)YEBISU YA PRO
2020.02.14(金)高崎club FLEEZ
2020.02.16(日)金沢AZ
2020.02.21(金)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ2
2020.02.23(日)仙台darwin
2020.02.28(金)BIGCAT



TK from 凛として時雨 Bi-Phase Brain “L side”
2019.10.08(火)名古屋DIAMOND HALL
Open 18:30/Start 19:15
ste Act:Cö shu Nie

2019.10.09(水)なんばHatch
Open 18:30/Start 19:15
ste Act:Cö shu Nie

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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