想像力を豊かに刺激するThe SALOVERSの音楽

The SALOVERS | 2012.06.29

EMTG:The SALOVERSの音楽って、何処か無国籍な世界をイメージさせるところが大きな魅力の一つだと思います。例えば今回の1曲目「オールド台湾」は、まさにそう。歌詞とかに土地の名前が入っている曲が他にもいろいろありますけど、行ったことない町を想像して書いているんじゃないですか?
古舘:そうです(笑)。アジアっぽさみたいなイメージって、昔から頭の中にあって。それで出てきたのが、例えば「オールド台湾」っていう言葉だったんです。この言葉から「日本に今ないものが全部揃っている国」「理想国家」みたいなイメージがさらに広がって。だから「台湾だけど台湾でない国」っていう、ちょっとSF的な感じなんですよね。メロディも「オールド台湾」っていう言葉から引きずられて出てきたものです。
EMTG:ブログによると、先日初めて台湾に行ったそうですね。
古舘:行きました。結構イメージしていた感じに近かったです。ライヴを1本やったんですけど、この曲も演奏したんですよ。なんだか面白い気持ちでした。台湾を想像した曲を実際に台湾でやっているっていう(笑)。
小林:この曲をやることになって、背景を説明したメールが来た時は、よく意味が分からなかったんですよ(笑)。ある程度形になったデモも添付されていたんですけど。
藤川:練習で何回も歌うのを聴いたことによって、どんどんイメージとか言いたいことが分かってきました。最初は本当に手探りでしたね。
古舘:やっていく中でイメージの共有はできていったし、共通するものがいっぱいあったので、みんな無意識で分かっていたものはあったんだと思います。そういうのを皆で出し合って作り上げていく感じでした。
EMTG:この曲のギターは、エキゾチックな雰囲気がすごく出ていますね。
藤井:アジアっぽいフレーズは意識しました。ソロは特にそうですね。女子十二楽坊的な感じで(笑)。
EMTG:「オールド台湾」って、今までの曲の中でも特に開放的な感じがしたんですが。
古舘:そうですね。今までって、くすぶっていた感じというか、内側で発散させていた感じだったんですよ。今回は外に向かってはじけたかったんです。理想国家のイメージなので、それを辛辣に歌うのは違うと思ったので。だから痛快な方向にどんどん進んで行ったんだと思います。
EMTG:「オールド台湾」と「曇り空」は、いしわたり淳治さんのプロデュースですね。
古舘:「メジャー盤は、どういうことをしようか?」って考えた時に、「より、ちゃんと人に伝えたい」っていうのが僕の中にあったんです。それはサウンドのことも含めて。だから誰か手伝ってくださる人が必要だと思ったんです。淳治さんにお願いすると、僕らは負けてしまうかもという不安もあったんですけど、むしろそれくらい刺激が強い方が面白いんじゃないかなと。淳治さんは作詞の面でも経験が豊かな人ですし。僕は人が歌詞を見てくれるっていう経験が全くなかったんですよ。それは怖いようでいて、やってみたいことでもありました。
EMTG:プロデュースして頂いて、いかがでした?
古舘:とりあえボロクソ言われました(笑)。思ったことを全部言う方なので。最初はショックでしたね。でも、僕はボロクソ言わるれるのが結構好きだったみたいで(笑)。だからすごく楽しくやらせて頂きました。
EMTG:古館さんの歌詞は、気になる固有名詞が入るのも面白いところだと思います。例えば「曇り空」だとサガンが出てきたり。海外文学が好きなんですか?
古舘:そんなに海外のものばっかり読んでいる方でもないんですけどね。SF小説が好きなんですけど。
EMTG:「オールド台湾」がそうだったように、気になる言葉から曲のイメージが膨らむことが多い?
古舘:そうですね。「曇り空」はすごく昔に書いた曲だから、今はあんまりリアルに思い出せないですけど。でも、当時から例えば「サガン」みたいな言葉を入れたがっていたんだと思います。
EMTG:今回のアルバムは過去のアルバムの収録曲も入っていますが、選曲の基準って何かあったんですか?
古舘:単純に「ベスト盤」みたいなイメージでしたね。
EMTG:「サリンジャー」はリメイク。これはまさに代表曲ですよね。
古舘:16歳の時に書いた曲なんです。「やるせない」みたいな想いから書いたんだと思います。
藤井:ほんと最初の頃に作った曲です。できた時は、今までに味わったことがないような嬉しさがありました。
古舘:「サリンジャー」を皆で部屋で一緒に形にしていったんですけど、彼(藤井)はなぜか「2つの曲を作っているんだ」って勘違いしていたんですよ(笑)。彼以外の3人はもちろん1つの曲、「サリンジャー」をアレンジしているつもりだったのに。だから話が全然噛み合わなくて(笑)。「どっちの曲、次は?」とか言っていましたね。
藤川:あれは謎だったね(笑)。
小林:「今までに味わったことがないような嬉しさ」って言ったけど、「1曲だったんだ!」っていう感動だったんじゃない(笑)?
古舘:そういう感動は、多分二度と現れないよ(笑)。
EMTG:(笑)全曲に関して言えることですが、リスナーそれぞれで自分なりの風景のイメージを膨らませて聴く楽しみがあると思います。
古舘:そういうのは小説の影響でしょうね。小説を読むと遠いところへ連れて行かれて、最後のページを読むと現実に戻るじゃないですか。そういう曲を書きたいって、すごく思っていたので。
EMTG:秋にメジャーデビューすることが発表されましたが、何か今後のビジョンはあります?
古舘:とりあえず、やれることは何でもやっていこうと思っています。誤解を恐れず、思ったことを全部やっていきたい。それって難しいことだし、判断が難しいけど、躊躇しないでやっていきたいです。
小林:あと、僕が思うのは、このバンドをずっと続けていきたいっていうことですね。続けていくのは難しさもあるのかもしれないけど、大事なことだと思うので。
藤川:成長が止まらないバンドであり続けたいです。ずっと上に向かって行きたい。
藤井:「俺らはこれだ!」っていうスタンスを持つんじゃなく、どんどん脱皮して、新しいことに挑戦し続けられるバンドでありたいですね。

【取材・文:田中 大】

tag一覧 シングル 男性ボーカル The SALOVERS

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ビデオコメント

リリース情報

いざ、サラバーズ!

いざ、サラバーズ!

2012年07月04日

EMIミュージック・ジャパン

1. オールド台湾
2. 曇り空
3. SAD GIRL
4. 夏の夜
5. サリンジャー
6. フランシスコサンセット

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■マイ検索ワード

●古舘
男 ヒゲ なぜ生える

検索する時に入力する文章って面白いなと思って。関連するワードの間にスペースを入れるじゃないですか。つい先日調べたのが、「男 ヒゲ なぜ生える」。「何でだろう?」って思って。毛って普通、大事なところに生えるけど、ヒゲって別に要らないじゃないですか。どうやらヒゲって男女の区分けのために生えるみたいです。一種のセックスアピール。よく分からない話ですけど(笑)。

●藤井
傘寿

おばあちゃんが80歳になったんですよ。だから手紙を書こうかなと思って、言い方とかを知りたくて調べました。もう手紙を書いて贈りました。優しいおばあちゃんです。隣に住んでいるんですよ。ライヴに1回来てくれたことがあります。2曲目で帰りました(笑)。

●小林
柔軟剤 洗濯機 タイミング

最近一人暮らしを始めたんです。コインランドリーへ行ったんですけど、柔軟剤を入れるタイミングが分からなくて。最後のすすぎの段階、排水して給水したタイミングで入れるのが正解だそうです。柔軟剤は使いたいんですよ。フワフワ感が欲しいので(笑)。

●藤川
ドラムセット

ドラムセットを買おうと思っていて、いろいろ調べているところです。CANOPUSのちょっと深胴の、色は派手目なものが欲しいと思っているんですけど。水色っぽいのとか、黄色とか、蛍光色っぽいのがいいなあと思っています。


■ライブ情報

Little Red Lobster Vol.2 0626
2012/06/26 (火)仙台MA.CA。NA.

The SALOVERS トライアルツアー 二泊三日の旅
〜東西コンぺティション〜

2012/06/30(土)心斎橋JANUS
2012/07/07(土)下北沢SHELTER [SOLD OUT]

FM FUKUOKA presents LIVE GOW!! vol.1
2012/07/15(日)福岡スパイラルファクトリー

The SALOVERS〜VS企画〜LOVER MATCHシリーズ Vol.4
2012/07/18[Wed]名古屋アポロシアター

Get Your Music!
2012/07/21(土)梅田CLUB QUATTRO

FM802 MEET THE WORLD BEAT 2012
2012/07/29(日)万博記念公園自然文化園「もみじ川芝生広場」

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012
2012/08/04(土)国営ひたち海浜公園

SETSTOCK’12 10th Anniversary in Bihoku
2012/08/18(土)国営備北丘陵公園

SUMMER SONIC 2012
2012/08/19(日)大阪 舞洲サマーソニック特設会場

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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