注目の鹿児島在住4人組ロックバンド、テスラは泣かない。メジャーデビュー

テスラは泣かない。 | 2014.04.21

 繰り返されるフレーズ。走るメロディー。バウンドするピアノ。駆け抜けるディストーション・ギター。逃げるボーカル。追いかけるコーラス。切り込んでくる哲学的な歌詞。音色の異なるフレーズが、次々と降り注ぐ。
 よせてはかえすリフレインの余韻が作り出すグルーヴと、エモーショナルなボーカルを基盤に、シャープなバンドサウンドがスプラッシュする。鮮烈だ。
 鹿児島在住。村上学(Vo&G)、吉牟田直和(Bass)、飯野桃子(Piano&Cho)、實吉祐一(Dr)の4人からなる“テスラは泣かない。”。この変わったバンド名も、そのうち彼らの強力な武器になるだろう――ライヴパフォーマンスも含め、そう思わせる実力を備えている。
 当サイト「Coming Up Artist 2014」でも紹介した“テスラは泣かない。”。デビュー曲「Lie to myself」とともに初登場!

EMTG:村上さんと吉牟田さんが同じ大学のある軽音サークルの先輩、後輩だったとか?
村上:僕ら(自分と吉牟田)は、サークルのみんなが仲良くキャンプやってる輪の中に参加できず、端っこの方にいた人たちでしたね(笑)。
吉牟田:それで映画の話とかしてました。
村上: “OB会って面倒くさいね”とか。
吉牟田:僕が本の話、学さん(=村上)が映画の話をすることが多かったですね。
村上:当時、僕のアパートの屋上にテレビと絨毯とテーブルを持ち込んで、映画を撮ろうとしたんです。“アパートの屋上に生活してる人”っていう映画(笑)。
吉牟田:そしたら撮ってる途中で飽きちゃって、疲れたねって、片づけるという(笑)。じつは最初は、映画音楽やりたいねって話を2人でしてたんですよね。
EMTG:映画音楽って、サントラってことですか?
吉牟田:そうです。
村上:自分たちで映画を撮って、その後ろで鳴ってる音楽も自分たちで作ろうと。完成させた作品はひとつも無いんですけど(笑)。結局、映像だけとか、音楽だけとかになった。で、一緒にバンドをやってたら、こういうバンドになりました。
EMTG:最初の最初は、どんな音楽を作ってたんです?
村上:すごくアンダーグランウンドな……アンビエントじゃないような、ノイズみたいな。すごい変な音楽を。「エリ・エリ・レマ・サバクタリ」って、暴力温泉芸者の中原昌也さんが出ている映画があるんですけど、その中の音楽を真似してましたね。2人で。
EMTG:なるほど。……そ、れは……楽しかったんですか?
4人:ははははははは(笑)。
EMTG:すみません、ノイズ、暴力温泉芸者って聞いて、今のサウンドとあまりにかけ離れていたので、思わず……。
村上:楽しかったんだ思います。ライヴとか全然してなかったですけど、ずーっと吉牟田の家でやってたから。
吉牟田:あの時はあの時で楽しかった。制作してて、アドレナリン出るタイミングはアドレナリン出るんです。興奮して“あー!”って、楽しんでました。
EMTG:實吉さんとの出会いは?
實吉:僕は別でバンドをしていて。“テスラは泣かない。”が初めてライヴする時の、対バンでした。その時はピアノがかっこいいなって思って。あ、でも出会いはもっと前か?
吉牟田:出会い自体はもっと古い。狭い町なんで、音楽やってる人は面識がある人ばかりで。その中で、實吉ってヤツが組んだバンドが、エモーショナルでロックなことをやってる、ドラムの奴がキックをブチ破ったりする、と。それで彼のライヴ観たりしてたんです。そしたらある日、授業で一緒になって。いちばん前の席で突っ伏してるヤツがいると思ったら彼で。あれ? みたいな。
EMTG:飯野さんとの出逢いは?
飯野:私は村上さんと吉牟田さんの後輩として同じサークルに入って。キャンプをしてた方でしたね(一同爆笑)。私が入部した当時、軽音部のイチオシが“テスラは泣かない。”だったんです。私は、ライブもよく行ってたし、自主制作盤も買ったりして、普通にファンだったんですよ。そしたら前のピアノの方が辞めて……。
村上:飯野さんとは、一緒のサークルだったので、彼女にピアノを弾いてもらったりする機会もあって。それで僕から声をかけて入ってもらいました。
EMTG:このバンドにとって、ピアノがサウンドの重要な要素になっていると思うんですが、その理由は?
村上:元々ロックも好きだった。で、映画音楽も好きで、映画音楽ってピアノが入ってる曲が多かったんですよね。だから一緒にしちゃえって思ったんです。そこからは、ギターとピアノって、どうやったら両方生かせるんだろうなとか、試行錯誤を繰り返しながら、今の形になりました。
EMTG:このバンドのピアノを聴いていると、ピアノは打楽器なんだなって改めて思いました。
飯野:私はテスラが、初めてのオリジナルバンドなんですけど、このバンドをやるまでは打楽器として弾くっていう感覚は無かったんです。だから打楽器って感覚は、新たな魅力で。
實吉:僕もピアノは打楽器って感覚に近いかな。歌謡曲が大好きなんで、その伴奏とかも含めて。
EMTG:なるほど。そこからフレーズ、リフレインというところにたどり着いたのは?
村上:ピアノのリフレインがマッチして。その曲をライヴでやったらお客さんと僕らで共有できるものがあったんですよね。その時、これは僕らのひとつのアイデンティティになるなと思った。それからはそこを武器に曲作りをしてますね。
EMTG:リフレインの気持ちよさとは?
村上:メロディ……歌が耳に残るのは当たり前で。もうひとつの側面として、ピアノがずっと流れてて、耳から離れないんだよねっていう。中毒性を持たせる意味で、ピアノって絶対重要になるところで。そこは大事にしてますね。
EMTG:「Lie to my self」はどのようにして出来上がりました?
村上:デビュー曲を作ろうって作った作品なんです。この作品で、いろんな人に認知されることになると思っていたので、ちゃんと自分たちらしさを詰め込みたいというのがありました。中毒性のあるピアノのリフレインがあって、ギターのディストーションがあって、なおかつちゃんと歌も立ってる。で、それぞれのスタイルで体を揺らすことができる音楽っていうので作っていった作品ですね。
EMTG:歌詞については?
村上:歌詞はいつも、全部オケが出来てから、その曲の持つ空気感にあったコンセプトの歌詞を載せるんですよ。例えばその曲がちょっとこもっているような曲なら、ヒリヒリした歌詞を載せる。「Lie to my self」もそうで。マイナー調ではあるんですけど、サビが弾けるような感じだし、すごく前向きな印象だったので、前向きな歌詞を書こうとは思いました。今、自分たちのキャパシティを超えたことをするにあたって、でも絶対しなきゃいけないことが目の前にある状態だったら、自分に嘘をつく……自分に暗示をかけてでもやろうって意味での「Lie to myself」。そういった意味では、メジャーデビューして、自分にできるかどうかわからないことがたくさん待ってる僕たちにとっては、今の自分たちに合った曲になったと思います。

【取材・文:伊藤亜希】

tag一覧 シングル 男性ボーカル テスラは泣かない。

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ビデオコメント

リリース情報

Lie to myself

Lie to myself

2014年04月23日

EMI Records Japan

1.Lie to myself
2.アンダーソン
3.LIVE Track at Shimokitazawa SHELTER

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お知らせ

■ライブ情報

「Lie to myself」RELEASE LIVE
【LIE TO YOURSELF】

2014/04/30(水)鹿児島SR HALL
(ワンマンライブ)
2014/05/15(木)新代田FEVER
(GUEST:ヒトリエ)

EMI ROCKS neo
2014/04/24(木)渋谷CLUB QUATTRO
(w/赤い公園/GLIM SPANKY/ミラーマン)
2014/05/21(水)心斎橋Music Club JANUS
(w/GLIM SPANKY/ミラーマン and more!)

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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