SABU監督、松山ケンイチ主演で話題の映画『天の茶助』。この映画の主題歌「翼」をMs.OOJAが手掛けた。愛する人への強い思いを込めた、彼女らしい、とてもスケールの大きなロック・バラードになっている。そしてこの曲も収録したミニ・アルバム『翼』が6月17日にリリースされる。普段の生活の様々な場面で、リスナーの背中をそっと押してくれるような、優しい楽曲が5曲収録された、まさに彼女の思いがギュッと凝縮された作品だ。

EMTG：ミニ・アルバム『翼』のタイトル曲は、映画『天の茶助』の主題歌ですね。

Ms.OOJA：映画の主題歌の書き下ろしというのは、初めてです。映画の制作の方からお話しをいただいたんですけど、脚本を読ませていただいて、SABU監督ともお話しをさせていただいて、録音中のスタジオでも映画の映像を見ながら作っていきました。

EMTG：楽曲を作る時に、テーマにしたことは?

Ms.OOJA：映画からも、監督からも、すごくロックなイメージを感じたので、ロック・バラードにしました。映画のクライマックスで、主人公の茶助が、ユリという女性を守るために奇跡を起こすんです。大切な人を守りたいという思いが、人をこんなに強くするんだ、守るものがあれば、人は強くなれるんだということを、きっと監督は伝えたかったんだろうなって感じたし、私自身も、応援してくれるファンの人がいるから、がんばろうって思える部分もありますし、その無限大の力を出させてくれる、守るべきものっていうのが、その人にとっての「翼」になるんじゃないかというテーマで歌詞を書いていきました。

EMTG：SABU監督は、曲についてどのような感想をおっしゃっていましたか?

Ms.OOJA：すごく気に入ってくださって、実際撮影現場でも、ずっとこの曲をかけてくださっていたそうです。スタッフみんなが、この曲を覚えて歌えるくらい(笑)。

EMTG：歌詞の内容とか、“翼”というキーワードとかは、これまでのMs.OOJAさんの楽曲の世界観に通じるものがあると思います。

Ms.OOJA：私自身、Ms.OOJAらしい楽曲ができたなって思っています。何度かライブで歌ったんですけど、すごく気持ちいいんです。映画のメッセージが、私の歌詞の世界観に似ているなって思ったし、普段私の音楽を聴いてくれているリスナーのみんなに、この映画を見てほしいなって、素直に思いました。

EMTG：そして今回、この「翼」を核としたミニ・アルバムという形のリリースになりました。

Ms.OOJA：前のオリジナル・アルバムから1年くらい経っているので、「翼」をシングルとして出すのではなく、もっと曲を聴いてほしいなと気持ちはありました。あといつも私は、歌でみんなを支えたいという思いを持っているんですけど、映画の主題歌を作ったことで、より一層その思いが強くなってきて、私もがんばるから、みんなもがんばろうよという気持ちで、いろいろな形の応援ソングをひとつの作品にまとめました。恋愛の歌とか、いろいろな要素の曲があるんですけど、人にはいろいろな顔があって、いろいろな場面でそれぞれの自分がいると思うので、その場面場面で励みになるような曲になればいいなって。

EMTG：5曲が、ひとつのストーリーのように繋がっているなって感じました。

Ms.OOJA：そうですね。2曲目の「シナリオ」は、映画のコンセプトが、“運命を、書き直す。”ということで、自分が強く思えば、物事は変えていけるし、そういう強さを持っていたいなという思いで書きました。全体的に、“強さ”というのがひとつのテーマかなと思っていて、この曲でもこれまであまり使わなかった、命令口調の歌詞が出てきます。

EMTG：「NEWDAY」は、全国専門学校広報研究会のCMソングでもありますね。

Ms.OOJA：毎年このCMソングをやらせていただいていて、今年が4年目なんですけど、いつもは曲が先にあって、それをCMで使っていただいていたんですけど、今回はCMの制作段階から打ち合わせをさせていただきました。すごく前向きなCMで、新しいことを始める時の応援ソングになればいいなと思って作りました。

EMTG：そして後半の2曲は、大人ならではという感じの、深いラブ・ソングですね。

Ms.OOJA：知っているからこそ、一歩踏み出せないということもあると思うんです。そういう大人の人に、ぜひ聴いてほしいですね。「君がいい」という曲は、友だちに“恋人やご主人で、最近腹が立った出来事はある?”ってリサーチして、それを題材に歌詞を書きました。だからけっこうリアルなんです(笑)。

EMTG：全体的にミディアム・テンポというか、ゆったりとしたイメージの曲で構成されていますね。

Ms.OOJA：それもミニ・アルバムだからこそできることで、フル・アルバムだと全体のバランスなども考えて曲を構成していくんですけど、ミニ・アルバムだと表現したいことが、ミニマムにだけどボリューミーに詰め込めるというか、ワン・テーマで“ギュッ”とできるので、そこは作っていて楽しかったですね。

EMTG：ジャケットもすごくきれいですね。

Ms.OOJA：あの写真は、実際の朝日をバックに、自然の風の中で撮ってます。撮ったのは2月の早朝だったので、寒さで死ぬかと思いました(笑)。でもいいジャケットになったと思います。

EMTG：そして今回、初回盤には、昨年のツアーのライブの模様を収録したDVDも付いてきますね。

Ms.OOJA：実はライブDVDは、これが初めてなんです。ファンの方から、ライブDVDがほしいというリクエストをたくさんいただいていて、それが今回実現しました。ライブをやっている時は、もうむき出しというか、素の自分をさらしていますから、自分で見るのは照れくさいんですけど(笑)、ライブで歌っている姿が目に見えるというのは、すごくいいことだなって思います。伝えたいメッセージが、より届けられるんじゃないかなって。ライブって、みんなで作っているんだなってあらためて思いますし、ファンのみなさんがライブに来てくださって、反応してくれないと始まらないし、ライブに来てくださった皆さんが、このDVDを作っているんです。それにライブで歌っていくことによって、歌がさらに育っていく感じがあるので、同じ楽曲にも、いろいろな表情があるんだなということを感じてもらえると思います。カバー曲も3曲入っていて、初めての方にも入りやすいと思うので、ぜひ動くMs.OOJAも楽しんでください。

EMTG：では、この作品で、ファンの方に伝えたいメッセージは?

Ms.OOJA：みんなの支えになりたいという思いを込めて、いろいろな形の応援ソングを収録しました。大人ってたいへんだと思うし、出口のない迷路の中を歩いていて、いつ光が見えるかもわからないような日々を過ごしている人もいると思うんですけど、そういう人たちと、一緒にがんばろうよという気持ちで、この作品を作りました。皆さんと共有したいメッセージが、いっぱい込められています。たどり着ける場所は絶対にあると思うので、聴いてくれた人が、明日もがんばろうって思ってもらえたら嬉しいです。

【取材・文：熊谷美広】