andropの最新シングル『Shout』。収録されている3曲で描かれた「叫び」とは?

androp | 2014.08.08

 密やかなギターの爪弾きと歌声、バンド全体が一丸となって奏でるエモーショナルなサウンドの間を行き来しながら奥行き深い世界を映し出す「Shout」。人間同士が繋がり合うことの困難を真っ直ぐに見つめつつも、心が通う瞬間を求め続ける「叫び」が伝わってくる。じっくり磨き上げたサウンドと言葉によって、人間の営みに宿る光と翳を鮮やかに浮き彫りにしている楽曲だ。今作はその他、情熱的な躍動感に満ちた「Run」、アグレッシブなサウンドで彩りつつ鋭いメッセージを投げかける「Alternative Summer」も収録。3曲について内澤崇仁(Vo・G)に語ってもらった。

EMTG:「Shout」はTVドラマ『家族狩り』の主題歌として書き下ろしたそうですね。
内澤:はい。脚本と原作を読んで、撮影が終わった映像も観させて頂いて曲を作りました。この物語の描いているテーマが重いものであり、深いものだと感じたので、薄い曲と歌詞にはしたくなかったです。家庭内暴力、家族愛、社会的な問題を真っ向から描いている作品ですので。
EMTG:曲のイメージの出発点ってどんなものでした?
内澤:まず、自分が思っていることと作品の持っているテーマの重なる部分を探しながら曲に落とし込もうと考えたんです。そこで思ったのが「不条理な社会、家族間の不条理な出来事というのをテーマにしよう」ということでしたね。あと、普段、自分が思っているけど口にできない事柄、あるいは優しさが他人を傷つけてしまうということ、「もどかしくて叫びたいんだけど叫べない。でも心では叫んでいる」ということも音や歌詞を通じて表現したら作品ともマッチするんじゃないかと。
EMTG:一定の年齢に達している人だったら、この曲で描かれていることってすごく思い当たると思います。例えば、「優しさ」のつもりのものが相手を傷つけたり、追い詰めることって度々起こるじゃないですか。想いの強さや深さだけでは人間関係って上手くいかないんですよね。
内澤:本当にそうですね。『家族狩り』も一見仲のいい幸せな家族なんですけど、ちょっとした歪みのせいでお互いに傷つけ合ったりしてしまうんです。この物語ほどの方向には行かないにしても、自分たちの生活の中でもこういうもどかしさはあると思います。
EMTG:人間同士が繋がるって素敵なことですけど、やっぱりすごく難しいですよね。でも、だからこそ繋がり合えたと感じた瞬間の喜びは大きいわけで。例えばandropの最近のライブや楽曲って、すごくそういうものを感じます。内澤さんもライブ中に度々、「繋がりたい」とか「声を聞かせて欲しい」っていうことをおっしゃるじゃないですか。
内澤: androp、そして僕自身もこの前の代々木でのライブ(今年3月23日に行われた国立代々木競技場第一体育館公演)を経て、よりそういうモードになってきました。「繋がりたいし、その人たちに向けて叫びたい」というような気持ちになっています。それは今回の「Run」や「Alternative Summer」にも表れていると思います。3曲とも方向性は違いますけど、「叫び」がテーマなんです。
EMTG:今回の3曲に関しては比較的生音メイン、シンセサイザーをあまり入れていないというのがサウンド面に関して感じたモードなんですけど、その点に関しては?
内澤:2曲目の「Run」は薄くシンセが入っているんですけど、たしかにおっしゃる通りですね。でも、自然とそうなったんだと思います。「叫ぶ」って生身な行為だと思うので。叫びって作られたものじゃなくて、心から出てくるものですよね。それを表現したかったので自然と生楽器に行ったのかもしれないです。
EMTG:andropって演奏の表現力もすごいじゃないですか。そういうパワーも生々しく伝わってきます。
内澤:「Shout」に関しては音数がすごく少ないんですよ。こういう表現ができるようになったのも、代々木っていうステージを経たからこそなのかもしれないです。あのライブは「離れたところから観ているお客さんにも満足して頂きたい」っていう気持ちで臨んだんですけど、あれを経て「もっとできるんじゃないか?」って思っているんです。今まで聴いてくれた人たちにもっといい音楽を届けたいですし、まだ出会っていない人たちにも突き刺さる音楽を作りたいっていう気持ちなんです。それが今の「届け!」「もっとやってやるぞ」っていう僕らの叫びでもあるんですよね。
EMTG:「Shout」は、すごく幅広い層に届き得るメロディの力も持っていると思います。
内澤:伝える熱量、曲の構成とかは、たくさんの方々に聴いて頂けるということも意識しました。「Shout」はメロディと歌詞、どちらか一方から作るというのではなく、両方が合わさって自分の中から出てくるのを待ったんです。そうやって出てくるものが一番強さを持っていると思ったので。冒頭の《ひとことの優しさが 君を傷つけてしまう》っていうのが出てきてから、一気に作っていくことができました。
EMTG:繋がり合うことの難しさをとことん描いた末に出てくる《今 君の声を聞かせて》とか《今 君に聞こえているだろ》とか《今 君の声で叫んで》というフレーズがすごく沁みます。
内澤:もともとは言葉数がもっと多い歌詞だったんですけど、そぎ落とした結果、そういう言葉になったんです。こういう直球の言葉が今だったら歌えるなと思って。
EMTG:では、今回の他の曲のお話に移りましょうか。「Run」はandropとしてかなり新しいタイプの曲ですね。
内澤:J-WAVEのサッカーの曲(J-WAVE FOOTBALL FEVER 2014キャンペーンソング)なんですけど、作るにあたってメンバーと一緒にサッカーを観に行ったんです。「どういう曲調がいいのか?」とか「どういう感じで盛り上がっているのか?」っていうのを観ながらリサーチしました。サポーターの応援のタイミング、テンポとかのBPMをアプリで測ったりして。「130から140くらいかな?」とか(笑)。サッカーの応援の時は「ウォーウォー!」って言うじゃないですか。あと、僕は昔サッカー部で、パスをもらう時に「ヘイヘイ!」って言っていたので、そういう部分もこの曲には入れました。andropの曲の中で一番テンションの高いものにしたいという想いもありましたね。
EMTG:テンションの高いサッカーのサポーターの感じと対極にあるのがandropだと思うので、こういうキャンペーンソングってちょっと意外でした。
内澤:そうなんですよ。よくぞオファーしてくださったなと(笑)。だから「やるからにはとんでもないものを作ってやろう!」っていう意気込みがありました。
EMTG:キメの部分にサンバ的なフレーズを入れたり、独特な味付けをした曲ですよね。
内澤:「日本に限らず、世界中のサッカープレイヤーを応援するものにしてください」というお話も頂いていたのでそういう想いも反映しつつ、andropとしてもモチベーションが上がるものにしたかったんです。代々木を経て今の自分たちが心から歌いたいもの、今まで設けていた制限を越えた「もっとできるんじゃないか? どこまでも行ってやろう!」っていう想いも表れている曲です。
EMTG:そして、3曲目が「Alternative Summer」ですが、これはアグレッシブですね。
内澤:聴いた瞬間に心を掴むどころか、心をブチ抜くような。衝動を駆り立てるような曲にしてやろうと思って作りました。裏テーマとしては「変拍子でも乗れる曲」。
EMTG:《自分の形選ぶより 形は作ってよ》っていうフレーズが印象的です。
内澤:時代に対して叫んでいる歌だと僕は思っていて。今って選択肢がすごくたくさんあるじゃないですか。だからついついその中から選んでしまいがち。でも、そうやって既にあるものから選ぶより何かを作った方が面白いと思うんです。そういうことを叫びたい、訴えたいと思って作った曲なんですよね。
EMTG:例えば今ってネットで探せばすぐにいろんな情報が得られますし、一定の結論には瞬時に到達できますけど、その分、1から自分で考えたり、推測することが減っていますよね。
内澤:そう思います。出てくる1つの答えによって「これでいいんだ」と完結してしまうんですよ。そこからさらに一歩踏み込む思考にならなくなっている気がするんです。それは危険なことだなと。
EMTG:さて。3曲について語って頂きましたが、それぞれの魅力と濃度がものすごいシングルだと思います。
内澤:ありがとうございます。方向性は違うんですけど、3曲とも「叫び」を表現できたと思います。
EMTG:8月30日からは全国ツアーですね。
内澤:はい。3月の代々木のライブでは『period』っていうアルバムを全部は消化し切れてなくて。だからあのアルバムをもう一度バンドで噛み砕いて表現してみたいなと思っています。あの代々木よりもモチベーションが下がったライブにはしたくないという想いも強いです。今回のツアーの会場は代々木よりは小さいですけど、想いは代々木の時以上に大きく。そんなすごく熱量の高いライブにしてやろうと思っています。
EMTG:andropのライブってお客さんの熱量もすごいですからね。お客さんの上に鍋を置いたら沸騰するんじゃないかと思うことがあります(笑)。
内澤:もっと沸騰させてやりたいですね(笑)。蒸発させてやりたい。そういう気持ちになれるのが音楽のいいところです。満員電車のような環境であったとしても、好きな音楽をたくさんの人と一緒に聴くライブの空間だと、それが逆に清々しいですし楽しいですから。そういう体験を今度のツアーでもしたいです。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

Shout(初回限定盤)

Shout(初回限定盤)

2014年08月13日

ワーナーミュージック・ジャパン

1.Shout
2.Run
3.Alternative Summer

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「Shout」のPVをPARTYの川村真司さんにお願いしたんです。今、川村さんはNYにいらっしゃるので、Googleのハングアウトを使ってやり取りをしました。その体験を通じてメンバー、スタッフ共々、ハングアウト自体の可能性もすごく感じました。だからスタッフ内の会議でも使えるんじゃないかと、みんなで注目しているところです。


■ライブ情報

one-man live tour "period"
2014/08/30(土) Zepp Nagoya
2014/08/31(日) Zepp Nagoya
2014/09/06(土) Zepp Sapporo
2014/09/13(土) Zepp Fukuoka
2014/09/23(火・祝) Zepp Tokyo
2014/09/24(水) Zepp Tokyo
2014/09/27(土) Zepp Namba
2014/09/28(日) Zepp Namba

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