高橋優、BEST盤「高橋優BEST 2009-2015『笑う約束』」をリリース(前編)

高橋優 | 2015.07.15

 シングルとしてリリースされた曲は勿論、彼のキャリアの中で燦然と輝く重要な曲も多数収録した初のベストアルバム「高橋優BEST 2009-2015『笑う約束』」。収録されている全30曲は、高橋優のかけがえのない魅力を改めて強く噛みしめさせてくれる。これから彼の音楽に触れようとしている人に向けての入門編としても、強力にオススメできる仕上がりだ。本作についてのインタビューを全2回に亘ってお届けする。
 インディーズ時代から最近の曲までを辿ることによって浮き彫りにされる変化とは? 変化の一方、変わらず核にあるものとは? そして、ファン投票によって選ばれた「リーマンズロック」にこめられている想いについて、今回は語ってもらった。

EMTG:シングルの曲以外にも幅広く収録されていますね。“これが入った!”っていう楽しさが、リスナーとしてはいろいろありました。
高橋:例えばどれですか?
EMTG:例えば僕、「ボーリング」が大好きなんですよ。よく“♪あぁ面倒臭ぇ”って、口ずさんで洗い物とかをしていますから。
高橋:ありがとうございます(笑)。「ボーリング」は、僕にとってメモリアルな曲なんですよね。すごく悩んでいた時期の曲ですから。『僕らの平成ロックンロール②』に入れた曲ですけど、自分の向かう先についていろいろ意識が高まる一方、悩んでしまったりもしていた時期なんです。あの頃くらいから僕は、「声を聞かせてくれ! 一緒に沈黙をぶち破ってこうぜ!」っていうテーマになっていって。その狼煙みたいなところに、「ボーリング」があったような気がします。2013年に初めて武道館でライブをやらせて頂いた時も、1曲目が「ボーリング」。そういうメモリアルな曲だったので、僕やスタッフも「ボーリング」は入れるべきだよねという点で一致していました。
EMTG:ライブの風景が浮かぶ曲もたくさん収録されましたね。「泣ぐ子はいねが」とか「頭ん中そればっかり」とか、ライブで欠かせない曲ですから。
高橋:「頭ん中そればっかり」とか、メッセージ性も何もない曲ですけど(笑)。ただエロティックな気持ちを爆発させただけの曲がライブでああいう風に花開くようになるとは、作った時は思ってもみなかったです。
EMTG:「頭ん中そればっかり」は、インディーズの頃からの曲ですよね?
高橋:そうです。『僕らの平成ロックンロール』の曲ですから。僕、メジャーデビューしてから5周年なんですけど、今回のベストアルバムのタイトルは“2009-2015”。インディーズの頃の曲も収録したかったので、そうさせてもらいました。
EMTG:インディーズの曲だと、「こどものうた」とか「駱駝」とか「友へ」も収録されましたね。「駱駝」は武道館の時のダブルアンコールで、弾き語りで披露されたのが忘れられないです。
高橋:ベストアルバムをリリースする良さって、ずっと聴いてくださっている方々にいろんな思い出を振り返って頂けるところですね。あと、もう1つの良さは、最近、高橋優を知ってくださった方々に、いろんな昔の曲を聴いて頂けるところだと思います。
EMTG:表現スタイルの変化や進化が見えるのも、様々な時期の曲をまとめて聴く面白さですよ。例えば「こどものうた」って、今とはまた一味違う鬼気迫るものがありますし。
高橋:あの時期は、ただただ全力でやることしかできなかったですからね。
EMTG:でも、本質は変わっていないということも感じました。抱えている想いを思いっきり迸らせる表現をするという点では、今も変わっていないじゃないですか。
高橋:おっしゃる通りだと思います。怒り、不安、疑い、生きる喜び、感動とか。テーマとしては「こどものうた」を歌っていた頃からあったことなので。“それに対してどうアプローチして曲にするか?”とか“それをどうライブで表現するか?”っていうことに関してはバリエーションが広がるようになっているということなのかもしれないですね。
EMTG:“いろいろ厳しい現実はあるけど、少しでも良い方向へと進みたい”っていう願いも、高橋さんの音楽の核に一貫してあるものだと思います。そういうポジティブな想いの発し方に関してストレートでシンプルなアプローチが出てきたのが、これまでのキャリアの中での変化の1つなのかなと。
高橋:「こどものうた」とか「駱駝」とかを歌っていた頃から、意外と僕は明るい部分もあったり、友だちと会うと笑って会話したりしていたんです。でも、公の場に出て表現する時は、ウワー!っていう感じで眉間に皺を寄せて表現しなきゃいけないような感じがあったんですよね。でも、この5年間くらいの中でどんどん自然体になってきて。勿論、今でも昔みたいな自分はいるんですけど、ナチュラルな部分もじんわりじんわりと出させてもらえるようになってきたという感覚です。
EMTG:例えばメジャーデビュー曲の「素晴らしき日常」と最新シングルの「明日はきっといい日になる」を聴き比べると、その変化がよく分かりますよ。
高橋:「素晴らしき日常」の頃は、自分の願望、希望、メッセージが強く出ていた気がします。それに対して「明日はきっといい日になる」は、自分の中の“大丈夫だよ”っていう気持ちが出ているんですよね。笑顔になれることに対する確信を強く持って歌えている曲なので。
EMTG:様々な曲の核には相通じるものがありつつも、作風の多彩さが出てきているように感じています。
高橋:はい。振り幅が広くなったっていうことだと思います。今でも“全然素晴らしくないな、この世界。でも、素晴らしいって言いたいよ、まじで!”っていうところが僕にはあるので。多角的とまでは行かないけど、いくつかの視点から描けるようになったんだと思います。
EMTG:ポジティブな気持ちになりたくない人ってまずいないでしょうし、そういう言葉を欲している人が世の中の大半だと思うんです。でも、ポジティブな表現って、実はとても難しいんですよね。軽々しく言われると反発を覚えるものでもあるから。そういう表現を鋭い切れ味で届けられるのが高橋さんの魅力だと、僕は感じているんですけど。
高橋:“ポジティブ”って奥が深いですよね。“元気出そうぜ!”って言われても、“どの口が言えんだよ!”ってなることもあるわけですから(笑)。そうなってしまったら、それは最早ポジティブな言葉じゃない。優しさとかも含めた人にとってのプラス思考の言葉っていうのは、臨機応変さが必要なんだと思います。
EMTG:匙加減が難しいですよね。
高橋:はい。それは時代性に対してとかも含めてなんでしょうけど。“さあ元気出してこうぜ!”ってストレートに言われて元気が出てくることもあるだろうし、そういう歌が歌われる時期もあるはず。でも、今の僕に関して言うならば、“さあ元気出してこうぜ!”って言うためにどんな言葉を使って、何と言えばそのメッセージを伝えることができるのかを工夫しています。そうではないと、ともすれば誤解を招くと思いますから。本当にポジティブなものを届けるためには、“♪あぁ面倒臭ぇ”って歌うくらいの方が良いこともあると思います。
EMTG:「ボーリング」は愚痴の塊みたいな曲ですけど、すごくポジティブになれる曲ですよ。“ほんといろいろ面倒臭くて大変だけど……まあ頑張ろう”っていう気持ちに至れる曲ですから。この曲の主人公、むちゃくちゃ愚痴っていますけど、気持ちの根本は負けていない気がします。
高橋:なるほどなあ。参考になる感想です(笑)。「ボーリング」のYouTubeの備考欄にレコード会社のスタッフが“逆説的人生応援歌”って書いていて。僕はそのニュアンスがよく分かっていなかったんですけど、今のお話を聞いてよく分かりました。“嘆いて一緒に微笑み合う”みたいなことですね。
EMTG:高橋さんの曲、聴いていると元気になるというのは、多くのファンのみなさんが感じているところだと思いますけど。
高橋:ありがたいですね。でも、元気になってもらえているという実感は、自分ではなかなか湧かないですよ。むしろ僕の方が元気をもらっている感覚がします。“高橋優の音楽を聴こうと思ってくれる人がいるんだ? なんていい人なんだろう!”って思いますから(笑)。
EMTG:(笑)聴いて元気になる理由の1つは、“この人、すごくいろいろ悩んで、怒って、傷ついて。その上で何とか立ち上がろうとしているんだな”って伝わってくるからですよ。“悩んでるの、自分だけじゃないんだな”って思える部分があるんです。
高橋:聴いてくださっている方々の顔を見ると、それは感じます。“俺だけじゃなかったんだな”という表情なので。一緒に歌ってくれると、“あなたに会うためにこの曲を書いたのかもな”って思うんですよね。元気を届けられているかどうかは分からないです。でも、そいう方々を見ると“曲を書いてよかった”って心から思えます。
EMTG:例えば今回、ファン投票で選ばれた「リーマンズロック」とか、社会で闘っている人にとって、仲間を得たような気持ちになる曲だと思います。
高橋:これを書いたのは2008年くらいなんですけど、最初は「ルーザーズロック」にしようかなと思うくらい、ルーザー(loser=敗者)のことを歌っているようなイメージだったんです。でも、“ルーザーじゃないな。この人たちに支えられてる人もいるわけだし、その頑張りが誰かの幸せに繋がってるのかもしれない。この人たちこそヒーローだ。でも、この人たちはヒーローと言えるほど自分がカッコいいと思ってやっていないのかもしれない”……とか思って、「リーマンズロック」になったんですよね。この曲が投票で1位というのは嬉しかったです。ダントツでしたから。
EMTG:「リーマンズロック」はシングル『同じ空の下』の特典DVDにライブ映像の形で収録された曲じゃないですか。正式な音源化は今回が初ですよね?
高橋:そうなんですよ。実は、僕とスタッフの間で、“これ入れる? どうする?”って考えていた曲の中に「リーマンズロック」はなかったです。そういう曲をこうして選んで頂けたので、作ってよかったと思いました。
EMTG:新アレンジ、すごく良いです。
高橋:DVDは弾き語りだったからその形のまま録るというのもアリかなと思ったんですけど、思い入れの強い曲でもあったのでバンドバージョンで試しにプリプロもしてみたんですよね。そのアレンジが良かったので今回、そのバンドバージョンを急遽レコーディングして、収録しました。

【取材・文:田中 大】



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リリース情報

マリーゴールド

マリーゴールド

発売日: 2018年07月18日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージックジャパン

収録曲

1.マリーゴールド
2.あなたのために
3.マリーゴールド (Instrumental)

ビデオコメント

リリース情報

高橋優 BEST 2009-2015 『笑う約束』(初回限定盤)[2CD+DVD]

高橋優 BEST 2009-2015 『笑う約束』(初回限定盤)[2CD+DVD]

2015年07月22日

ワーナーミュージック・ジャパン

[DISC-1]
01.福笑い
02.明日はきっといい日になる
03.BE RIGHT
04.8月6日
05.ボーリング
06.頭ん中そればっかり
07.今を駆け抜けて
08.素晴らしき日常
09.旅人
10.サンドイッチ
11.同じ空の下
12.パイオニア
13.(Where’s)THE SILENT MAJORITY?
14.ほんとのきもち
15.友へ

[DISC-2]
01.未だ見ぬ星座
02.こどものうた
03.駱駝
04.リーマンズロック
05.陽はまた昇る
06.泣ぐ子はいねが
07.誰もいない台所
08.少年であれ
09.靴紐
10.太陽と花
11.現実という名の怪物と戦う者たち
12.花のように
13.誰がために鐘は鳴る
14.卒業
15.おかえり

[DVD]
メジャーデビューから5周年を迎える高橋の“5年間の軌跡”に加え、
2015年3月13日にZepp Tokyoで行われた一夜限りのファンクラブ限定LIVEを収録!

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お知らせ

■ライブ情報

橋優デビュー5周年記念 ベストアルバム発売記念祭「秋田で笑う約束」
2015/07/25(土)秋田県秋田市エリアなかいちにぎわい広場
特設サイト:http://wmg.jp/takahashiyu/

高橋 優5th ANNIVERSARY LIVE TOUR「笑う約束」
<ホール編>
2015/10/04(日)福岡県・福岡市民会館
2015/10/11(日)北海道・わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
2015/10/16(金)大阪府・フェスティバルホール
2015/10/24(土)新潟県・新潟県民会館
2015/11/03(火・祝)香川県・サンポートホール高松
2015/11/08(日)広島県・上野学園ホール
2015/11/15(日)愛知県・名古屋国際会議センチュリーホール
2015/11/20(金)秋田県・秋田県民会館
2015/11/22(日)宮城県・仙台サンプラザホール
2015/11/23(月・祝)福島県・いわき芸術文化交流館アリオス大ホール
2015/11/29(日)熊本県・熊本県立劇場演劇ホール
<アリーナ編>
2015/12/05(土)東京・日本武道館 ~笑う武道館~
2015/12/06(日)東京・日本武道館 ~約束の武道館~

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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