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秦 基博が続けてきたアコースティック・ライブ「GREEN MIND」初の東京公演をレポ!

秦 基博 | 2012.01.16

“デビュー5周年記念ライブ”として昨年11月5日に武道館のステージに立った秦 基博が、わずか1ヵ月半のインターバルで再び武道館に戻ってきた。今度は弾き語りスタイル。秦がずっと行なっているアコースティック・ライブ“GREEN MIND”の初の東京公演だ。

“GREEN MIND”は秦のクオリティの高いボーカルとギターワークに焦点を当てたライブとして人気があり、ライブアルバムも発売されている。さて、武道館でどんな歌が響くのか期待して足を運ぶと、入口で久保田光太郎氏にばったり会った。久保田氏は秦のアルバム制作、ツアーに欠かせない人物で、“GREEN MIND”でも曲によってサポートに入ることがある。「あれ? 今日は?」と聞くと、「今日は客席でゆっくり楽しみます」とのこと。今夜は純粋に秦の“ひとり武道館”なのだと分かって、改めて楽しみになった。
何もないステージにライトが当たると、そこにギターを抱えた秦がいた。自らのアルペジオ(指弾き)をバックに、ファルセット(裏声)から「メトロ・フィルム」に入る。やや緊張気味かと思って聴いていると、歌が始まってほんの36小節くらいで喉が全開になる。憎らしいほどの自信だ。いや、自信よりも自分の歌を赤裸々な形で届けたいという思いが強いのだろう。

「どうも、秦 基博です。ようこそおいでくださいました。ひとりで弾き語りということで、妙な緊張感がある。しかもセキとかクシャミができるのはMCの時だけという、お客様にいろんなものを強いてる感じです」と笑わせる。
序盤は「Lily」など私小説的な色彩の楽曲を中心にして、落ち着いた雰囲気で進む。
「ワンマンの武道館は3回目です。前回は5周年記念だったんですけど、5年の間に痩せたり太ったり悩むこともありました。今日はそういういろんな秦 基博を楽しんでもらえれば(笑)。どんどん大人の男になっていこうかなと思ってます」。

 「虹が消えた日」あたりからライブは明るさを増していく。「猿みたいにキスをする」、「dot」では、秦の背後のスクリーンにインスピレーションに富んだアニメーションが映し出される。
中盤、良かったのは「朝が来る前に」だった。スクリーンに映写された電車が止まっているホームの前で、秦はまるで自分の作った楽曲と対話するように、丁寧に、そして生々しく歌う。“GREEN MIND”のコンセプトが見事に具現化されたパフォーマンスだった。
グルーヴィーなギターのストロークが印象的な新曲の「トラノコ」から客席との一体感が高まっていく。「キミ、メグル、ボク」で秦は「ここで騒いでおかないと、後はないですよ」とアオる。オーディエンスは立ち上がってハンドクラップで応える。このアッパーなシーンがあったからこそ、次の「鱗(うろこ)」が強烈に刺さる。力強さと真摯な願いが込められていて、秦の持ち味である“端正な歌”が聴こえてきた。
そして締めくくりは名曲「アイ」。キャリア3年目にして誕生した秦のスタンダード・ナンバーが、隅々にまで届く。♪ただの一秒が永遠よりながくなる♪という音楽の魔法に、武道館全体がかかってしまった瞬間だった。

アンコールで秦が話し出す。
「みなさん、ずっと僕と一緒に歌ってましたね。嬉しかったな。来年(2012年)2月に『エンドロールEP』を出します。シングルでもアルバムでもなくて、“EP”。新曲が4曲入ってます。今の秦の“モード”が分かりやすく伝わる4曲です。その中から1曲歌います」と、「エンドロール」を美しいアルペジオで歌ったのだった。
「ひとりでやってますが、たくさんのスタッフが関わって今日のライブができてます。スタッフに拍手を!」と言ってラストナンバー「シンクロ」を歌ったのが、いかにも秦らしくて素敵だった。

【取材・文 平山雄一】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 秦 基博

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リリース情報

エンドロールEP(初回生産限定盤)

エンドロールEP(初回生産限定盤)

2012年02月08日

アリオラジャパン

1.エンドロール
2.トラノコ ~カンロ健康のど飴TVCMソング~
3.恋の奴隷
4.1/365
5.エンドロール(backing track)
6.トラノコ(backing Track)

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セットリスト

  1. メトロ・フィルム
  2. フォーエバーソング
  3. Lily
  4. Honey Trap
  5. 虹が消えた日
  6. プール
  7. 夕暮れのたもと
  8. 猿みたいにキスをする
  9. dot
  10. 朝が来る前に
  11. トラノコ(新曲)
  12. 今日もきっと
  13. 赤が沈む
  14. キミ、メグル、ボク
  15. 鱗(うろこ)
  16. 新しい歌
  17. 水無月
  18. アイ
  19. エンドロール(新曲)
  20. シンクロ

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