昨年9月にリリースした最新ミニアルバム『Q』を引っ提げ、愛媛・松山サロンキティを皮切りに10月3日（土）からスタートした全国ツアー『BUZZ THE BEARS Q TOUR 2015-2016』。

　1月16日（土）に東京・SHIBUYA CLUB QUATTROで、ついにファイナルを迎えた。この公演のチケットはソールドアウト。オープニングSEが流れ、ステージに現れた越智健太（Gt.Vo）、池田大介（Ba.cho）、桑原智（Dr.Vo）を出迎えた歓声は、途轍もなく大きなものだった。「準備できとるんやろうな？」、越智が呼びかけてスタートした1曲目は「Hurry Up!!」。スピード感たっぷりに駆け抜けるメロディ、パワフルに躍動するビートに刺激され、フロアはたちまちモッシュ、クラウドサーフの嵐となる。続いて「サンライズ」や「まわり道」なども披露され、会場内の気温と湿度は、驚異的なまでに急上昇していった。

　 BUZZ THE BEARSのライヴはアグレッシヴだが、漂うムードはピースフル極まりない。「1つだけ決まり事があって。絶対ケガすんなよ。揉めるなよ。全員“楽しかった！”って言って帰ろうな」と、観客に呼びかけていた越智。まさにその言葉通りの空間となっていた。「このタオル、誰のですか~？」など、時折のインターバルで、落し物の持ち主を探す声が上がるのも微笑ましい。そんな観客に向けて語りかけるメンバーたちの言葉も温かかった。「水戸からの道すがら立ち寄った牛久の大仏、デジタル過ぎてびっくり。中にエレベーターがついてた」（池田）。「京都の喫茶店で“オレンジジュースのM”って注文したら“ブレンドコーヒーのSですね”って店員さんに言われたんやけど」（越智）……ツアーの思い出として、ライヴとはあまり関係のないエピソードを挙げて爆笑を起こすなど、ウィットに富んだMCも冴えていた。

　そして、普段とは一味違う見せ場が満載だったのも、ツアーファイナルならではであった。「普段ライヴでやってない曲を練習してきたので聴いてください」と言い、アコースティックコーナーでまず届けられた「白銀」。さらには「笑って また 明日」もアコースティック編成で披露され、メンバーたちも観客もリラックスしたひと時を楽しんでいた。また、プレゼントが当たる抽選大会も行われたのだが、賞品はユニークなものばかり。桑原智賞『マンツー似顔絵タイム（※桑原に似顔絵を描いてもらえる）』、池田大介賞『Mr. Dのゲームセンター講座（※ゲーム好きの池田と一緒にゲームセンターで遊び、最後にプリクラ撮影）』。越智健太賞『越智とカラオケ』。スタッフが用意したサイン入りのドラムヘッドの抽選も行われ、大盛り上がりとなった。

　「このバンドを10年やって、曲も増えてきました。全部の曲をやるのは難しいけど、できるだけやりたいなと思って」と言って披露されたメドレー（ダーリン／月明かり／晴れのち終わり／アイスクリーム／スーパースター／サクラ……6曲で構成）も、ツアーファイナルのために用意したという。そして、ツイッターで募集した「ツアーファイナルで演奏して欲しい曲」の上位5曲もセットリストに反映されていた。1位に輝いたのは「ひまわり」。この曲の後半で観客の間から大合唱が起こった瞬間、ステージ上の3人は実に嬉しそうな表情を浮かべていた。

　今回のツアー中、越智は「ファイナルのクアトロを満杯にするから来てください」と各地で言っていたそうだが、実際にチケットはソールドアウト。メンバーたちは「想像していたより遥かに素敵な景色。最高です。ありがとうございました！」と、集まったたくさんの観客に向けて心から感謝の気持ちを伝えていた。「全てを」で本編は締め括られたが、「最初から！　最初から！」という熱い声と手拍子に応えて行われたアンコール。最初にステージに戻ってきた桑原がスタッフからギターを手渡されたので、観客はザワつく。続いて登場した越智が手にしたのはベース。ドラムにスタンバイしたのは、なんとSECRET 7 LINEのTAKESHI！　3人が演奏をスタートさせると、池田が歌いながら登場。この特別編成で届けられたのは「花火」だった。楽しそうなステージ上の4人の姿が、自ずと力強い手拍子を誘う。TAKESHIを拍手と共に送り出し、普段の編成に戻ってからは、「マジック スパイス」と「約束」も披露。そして、3人がステージから去って迎えた終演……と思いきやダブルアンコールが行われ、「サタデーナイト」が演奏された。両腕を激しく振り上げながら踊る観客は誰も彼も汗だくだが、爽やかな笑顔を浮かべている。BUZZ THE BEARSの音楽が愛されていることを改めて実感させられる清々しいエンディングであった。

　ライヴ中のMCで発表されたが、このツアーは今回で終わりでなく、3月5日（土）大阪・堺club massiveにて『裏FINAL ONEMAN』が開催されるという。この公演も完売必至の公演となりそうなので、既に受付を開始しているオフィシャルチケット先行をチェックしたい。

　そして、「せっかくの10年目なので、ここで止まりません！」と越智のMCでもあったように、2016年にBUZZ THE BEARSは10周年を迎える。そんな記念すべき年に、越智と桑原の地元である愛媛で、秋に自主企画イベントを開催する事も発表された。

　併せて、自主企画イベントに向けて、バンドを一層鍛え上げるため、3月から毎月2マンライヴを行う事も発表。続報を楽しみに待ちたい。
　2016年のBUZZ THE BEARSの活動も刺激的なものになりそうだ。

【取材・文：田中大】
【撮影：桝田 哲也】