前へ

次へ

THE BAWDIESという本物のロックンロールバンド

THE BAWDIES | 2013.07.03

 バンド史上初であり、最大規模となる全国59公演ツアーを企てたTHE BAWDIES。
“4枚目のアルバムにして、またデビューアルバムが作れた!”というほどの手応えを感じていた『1-2-3』を引っさげ、全国にロックンロールの素晴らしさを届けるため、彼らは全国ツアーに旅立った。
 そして。6月16日。彼らは57本目となる公演を、横浜アリーナで迎えたのだ。

 客席の電気が落とされると、ステージを囲んでいたドレープのかかった幕が真っ赤に染まった。ステージから放たれる透明な強い光に、オーディエンスの上げた手が、逆光で影となって浮きだつ。こんなにも広い場所なのに、そこは、海外のライヴハウスのような空間だった。次の瞬間。いつものSAM & DAVEの「Soul Man」をSEに、ROY、JIM 、TAXMAN 、MARCYがステージに姿を現した。轟音にも似た歓声が沸き上がる。そんな歓声を受けながら、彼らはそれぞれの楽器をセッティングすると、中央にギュッと集まった。
 彼らは向き合うと、息を合わせて1曲目のナンバーの音を放った。4人から届けられるロックンロールは、一瞬にしてオーディエンスを夢中にさせた。

「THE BAWDIESです! ロックンロールパーティへようこそ! 上を向いて全力で前に進んで行きましょう! いいですか!」
 ROYは早くも、すっかりロックンロールに取り込まれ、興奮気味に叫んでみせた。
「ウォーッ!!!!!」
フロアからは最高のレスポンスが返された。

 熱いんだけど、どこかクール。
自由に音を感じ、自由に体を揺らし躍りながら、彼らのロックンロールを感じ、そのグルーヴを彼らに返したのだ。“ミクスチャー”なんて呼び方は、すべての音楽に当て嵌まるここ最近。彼らは、正真正銘、たった4人から発せられる音だけで最高のグルーヴを生み出し、大きくフロアを包み、揺らしていた。最高の音圧とグルーヴだ、
 “ロックンロールは生で感じるモノ!”
は、ROYの口癖。しかし、ROYはこの日も、ところどころで、ロックンロールの素晴らしさを口で説明しながらライヴを進めていった。
 なかなか口数の少ないドラムのMARCY は、この日初めての長めのMCの口火を切った。これこそ、57本目だからこそ見れたはっきりとした成長の証である!
「ありがとう! ………………あ。もうないよ。タッチ」(MARCY)
 え? 期待していた会場から笑いが起こった。いやいや。しかし。これでこそMARCY。安堵し、見守るようなオーディエンスの優しい眼差しは、彼らを深く愛しているからこそ。彼らの音楽を通し、楽曲はもちろん、MARCY の跳ね感あるパワフルなドラミングももちろん、そして、そんなほんわかな人柄ももちろん、ROY、JIM 、TAXMANというそれぞれの人となりも愛されているのだということを、このとき改めて知った気がした。
 ROYは、いつものごとく、そんなMARCYを弄りながらライヴを進めていった。ライヴは加速し、熱を放った。と、そのとき、TAXMANがマイクを取った。
「こんなに人が居るから、そろそろ僕も歌いたいと思うんですけど! どうですか!?」(TAXMAN)
 曲はもちろん「TAKE A CHANCE」。
「カモン! JIM!」(TAXMAN)
TAXMANの合図に、JIMがギターをかき鳴らし、その曲は始まった。メインボーカルであるROYがベーシストに徹し、ROYとはまた違った声色のTAXMANの声が魅力のロックンロールがオーディエンスを熱くした。
 言うまでもなくJIMのギターも最高だった。
楽曲によってギターの位置を変え、音にこだわり、無心にギターを弾きじゃくるJIMからも、底知れないロックンロールへの深い愛が溢れていた。
 そして中盤では、ROYが、THE SONICSとの出逢いから、自分たちを突き動かしたロックンロールの魅力を多くの人に伝えたいという想いを畳み掛けるように語り、彼らの原点から、『1-2-3』の楽曲たちまで、惜しみなく集まってくれたオーディエンスに贈ったのだった。
「全部いらない感情を空にして帰って下さい! 嫌なもんは僕らが食ってやります! ここが世界中で1番ロックンロールが熱くなってる場所にしてやろうじゃないですか! いいですか!?」(ROY)
 アンコールでは、本編以上に手放しでロックンロールを楽しんでいたメンバーとオーディエンスが居た。

“シンプルで、図太くて、ドーン”(ROY談)な魔法は、この日も私たちを最高にハッピーな気持ちにしてくれた。
 1950年の半ばにアメリカの大衆音楽として生まれたロックンロール。63年という年月を経た今も、こうして若い世代に受け継がれ、色褪せず、そこに新たな輝きを注ぎながら生き続けていることを素晴らしく思った。
 59公演という長いツアーは、彼らをまた一歩、本物のロックンロールバンドに近づけた。そんな気がした。

【取材・文:武市尚子】
【撮影:橋本塁(SOUND SHOOTER)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE BAWDIES

関連記事

リリース情報

1-2-3(初回限定盤)

1-2-3(初回限定盤)

2013年01月16日

ビクターエンタテインメント

1. DANCE THE NIGHT AWAY
2. LONELY MAN
3. ROCK ME BABY
4. I WANT YOUR LOVE AGAIN
5. LEMONADE
6. LISTEN
7. TAKE A CHANCE
8. RED ROCKET SHIP
9. SHA LA LA
10. CAN’T STOP GROOVIN’
11. SING YOUR SONG
12. 1-2-3(初回盤のみ収録)

このアルバムを購入

お知らせ

■ライブ情報

JOIN ALIVE
2013/07/20(土)北海道 いわみざわ公園

FUJI ROCK FESTIVAL’13
2013/07/27(土)新潟県湯沢町苗場スキー場

サンスターオーラツーpresents 25th ANNIVERSARY J-WAVE LIVE 2000+13
2013/08/16(金)国立代々木競技場第一体育館

WILD BUNCH FEST. 2013
2013/08/18(日)山口県 きらら博記念公園

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2013
2013/08/31(土)山中湖交流プラザ きらら

RUSH BALL 15th
2013/09/01(日)大阪・泉大津フェニックス

JFL 20th ANNIVERSARY "LIVE FOR THE NEXT"
2013/09/12(木)Zepp Nagoya

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る